ゆっくりれみりゃ系いじめ30 れみりゃのヘアカット

「うっう~~♪ れ~みりゃ~だどぉ~~♪」
 最高級の不協和音が聞こえた俺は、何の気なしに後ろを振り向いた。
「うっう~~♪」
「うあうあ~~♪」
 そこには、やはりれみりゃが居た。
 しかも二匹。
 二匹とも紅魔館のれみりゃなのだろう、日傘をエッチラオッチラ運びながら、その顔は何かやり遂げたような、そんな顔をしている。
 どうせ帰ったら八つ裂きだろう。
 以前近くで野苺を摘んでいたらそんな声が聞こえてきたから。
 なら、俺が一思いに実験してやろう。
「二人とも、ぷっでぃ~~んたべる?」
 一瞬、驚いたような顔をした二匹だったが、互いに顔を見合わせて大声で叫んだ。
「「う~~♪ れみりゃはぷでぃ~~んたべるど~~~♪」」
 近頃は、霊夢達もワンクッションおかないと付いてこないというのに、こいつらはホイホイ付いてくる。
 まさに、ゆっくりらしいゆっくりだ。
「さぁ、ここがおにーさんのお家だよ」
「う~~♪ ちいさいど~~~♪」
「こ~まかんのほうがおおきいどぉ~~♪」
 家に上がりこむなり、好き勝手に言い放ちながら中を蹂躙する二匹。
「う~~~♪ ごっほぉんだどぉ~~」
「う~~♪ らぁんぷ~だど~~♪」
 まな板と玉子を手にとってなにやら嬉しそうにはしゃぎ回っているが、これ以上モノが壊されないうちに仕掛けようと思う。
「お~い!! お前達は紅魔館のお嬢様なのか?」
「「う~~♪ れみりゃはこ~まがんのおぜうざまだどぉ~~~♪」」
 さも当然のように答える二匹だが、俺はこれっぽっちも信じていない。
 この二匹の紅魔館は、一体どこに有るのだろう。
 それでも、この言葉は好都合だ。
「そうだろ。だったら髪も綺麗だと思ったんだよ」
「「う~~♪ れみりゃのかみはしるぐのよぉ~にきれいだどぉ~♪」」
「それじゃあ、専用のスタイリストが居るのかな?」
「う? じゅだだいずと?」
「う~。 ずだーじど?」
 聞いた事ないのも当然か、こいつ等髪伸びないし。
「髪の毛を綺麗にしてくれる人の事だよ。君達も、由緒正しい紅魔館のおぜうさまならその人に切って貰って居るんだろ?」
「う~♪ おぜうさまじゃないどぉ~♪ おぜうさまだどぉ~~♪」
「れみりゃのかみはきれいだどぉ~♪」
「そうだね!! でもおじさんがもっとかっこよくしてあげるよ!!」
「「う?」」
 そういって、一枚のカタログを二匹に見せる。
 そこには、髪をカットしていく様子が事細かに書かれている。
「「うーーーーーー!!!!!」」
 大きく目を見開いて、その写真を眺める二匹。
 どうやら、動機付けは成功したらしい。
「どうだい? おにーさんがかみを切ってあげようか?」
「うっう~~~~はやぐきっで~~~♪」
「う~~♪ かわいくきゅ~どにするんだどぉ~~~♪」
 うん、それ無理だから。
「それじゃあ、最初はお前から。ここに座って」
「う~~~♪」
 無造作に一匹を選んで椅子に座らせる。
 鏡を前において、スキバサミを入れていく。
「う~~~♪ きれでないどぉ~~~♪」
 ハサミが入ったのに見た目には変わらないので不思議がっているらしい。
「これはね、少しずつ切っていくんだよ。ほら、髪の毛は切れてるだろ?」
「う~~♪ れみりゃはきゅ~~どになるど~~~♪」
 その後、数回はさみを入れて終了。
「どうだい?」
「う~~~♪ きゆ~どだどぉ~~~♪ うっう~~~うあうあ~~~♪」
 見た目にはぜんぜん変わっていない髪形を見せられたれみりゃは大喜びでダンスなぞを踊っている。
「それは良かった。それじゃあ、君がもう一人の髪を切ってみたらどうだい?」
「う~~♪ れみりゃはてんさいだからかっごよくきれるど~~~♪」
「う~~♪ はやくきるんだどぉ~~♪」
 帽子を外し手早く椅子に座らせ、一匹にはさみを持たせる。
「う~~~♪ じょっきん♪」
 根元から思いっきり行ったが、スキバサミなので見た目は殆ど変わらない。
「「う~~~♪ かっこよくなったど~~~♪」」
 鏡を見ている本人と、切っているヤツ。
 二匹ともビックリするようなほど上機嫌になっている。
 お目出度い頭だなァ。
「おっと、こっちのはさみを使ったほうが、紅魔館のお嬢様として最高だよ!!」
「う~~♪ はやくよこすんだどぉ~~~♪」
 手早く俺の手からはさみを奪い取ったれみりゃは、丁寧に髪にはさみを入れ……きった。「「あああああああ!!!!」」 
 前髪が綺麗になくなったのを見て、絶叫する二匹。
 予想通り。
「あああーーー!!! れみりゃのきゅーどなかみがーーー!!!」
「ああああ!!! どうしでーーーー!!!!」
 うんうん、俺も初めの頃にやったよ、スキバサミとカットバサミを間違えるのは。
「あーあ。天才なのに失敗しちゃったんだ~」
「!! うーーー!! ちがうぞーー!! もうずごしでうまぐいぐんだぞーーー!!」
 チョッキンチョッキン♪ 
「あああーーー!!! やめでーーー!! やめでーーーー!!!」
「うーー!! なんでかっごよぐならないのーー!!」
 見る見る間に、一方のれみりゃの髪の毛がドンドン減っていく。
「うーーー!! なんでふえないのーーーー!!!」
「うあーーー!! やめでーーーちょっぎんしないでぇーーー!!!!!」
 もはや両方涙目。
 見ているほうとしては楽しくて仕方が無いと言った状況だ。
「うーーー!!! どーーじでーーー!!!!」
「うう!! うあーーーーーーーー!!!!!!!!」
 とうとうハサミでは切れないくらいまでにバッサリと切られた一方のれみりゃの髪の毛。
 まさに本人たちからすれば、かなり衝撃的なのだろうが、見ているこっちはとても楽しい。
「うわ!! ひどいなぁこれは。こっちのれみりゃは可哀相に……」
 おそらく十回くらい転生しても使わないであろう言葉を使って、坊主頭のれみりゃを慰める。
「うーーー!!! れみりゃのきゅーーどでぷりでーーなざらざらへあーがーーー!!!」
「うーーごめんだどぉーーー!!! ごめんだどぉーーー!!!」
 必死で謝っている所を見ると、仲間意識はあるのかもしれない。
「こんな酷い事をするれみりゃにはお仕置きだな!!」
「う? いやだどぉーー!! はなすんだどぉーーー!!!」
「だまれ!!」
「うぎゃ!!!」
 暴れるれみりゃを捕まえて、髪を切っていく。
 使う道具はバリカン、長く不快な髪の毛がドンドン地面に落ちていく。
「あああーーー!!! れみりゃのかみのけがーー!!!」
 もう一匹のれみりゃと瓜二つにした所で、剃刀を取り出して仕上げをする。
「うああーー!! やめるんだどぉーーー!! やめるんだどぉーー!!!」
 お前達はもうちょっとボキャブラリーを多くしたほうが良いよ。
 その方が面白いから。
「はい出来上がり。見てごらん。すっごくに有ってるよ」
「う~~? !!!! うあーー!! ざぐやーーー!! ざぐやーーーー!!!」
 自分の姿を見たれみりゃは大興奮で叫び出した。
 ツルツルな頭がとっても気に入ったようだ。
「う~~♪ れみりゃのかみのけをめじゃくじゃにしたばつだどぉ~~♪」
「じゃあ今度は君の番ね」
「いやだどぉーーー!!! やめるんだどぉーーーー!!!!」
 いやいやながら涙を上げて喜んでいるもう一匹の失敗れみりゃの髪も、キチンをツルツルにして上げた。
「よく似合ってるよ!!」
「「れみりゃのかみのげがーーーーー!!!!」」
 仲良く頭に手を当てて、目を真ん丸くして泣き叫ぶれみりゃを眺めるのは良いことがだ。
 主に心が癒される。
「「うーーー!! れみりょのぷりっでぃーーなぼーじかえじでーーー!!!」」
「これのこと?」
「「う~~~♪」」
 どうしてここまでシンクロするんだろう?
 やっぱり馬鹿で単純だからか?
「そんなに生かす髪型なんだから、もういらないよね? ポイするよ!! ポイッとな」
「「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!! れみりゃのおぼーじがーーーー!!!!」」
 ビリビリに引き裂いて、薪代わりに囲炉裏の中へ入れる。
 数刻のうちに灰に変わり果てた帽子をみて、二匹はこれ以上ないほどに泣き出した。
「うああーー!! れみりゃのぼうじーーー!!!」
「れみりゃのかみのげーーー!!!!」
 やれやれ、煩い煩い。
「その方がかっこいいよ。きっとその格好で街に行ったら、いっぱいプリンをもらえるんだろーなー」
 ……やっぱり切り替えが早いようだ。
「う~~~ぷりんじゃなくで、ぷっでぃ~~んだどぉ~~~♪」
「う~~~♪ まちにいくどぉ~~~~♪」
 仲良く玄関から出て行く二匹に向かって、俺は最後の言葉を投げかけた。
「あっちの方向に、れみりゃ大歓迎のお店があるよ!!」
 二匹は仲良く踊りながら、食品街へと向かっていった。


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最終更新:2022年01月31日 01:39
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