そこは奇形ゆっくりや人間に虐待され五体(?)満足でなくなったゆっくり達が唯一生きられる場所。
もともとはとあるゆっくりの群れが住んでいたのだが餌となるものを採り尽くしてしまったため群れが別の場所に移ったのだ。
ろくな食料も無く近場に水場も無い。
しかもここは外敵となる獣や大型の鳥が多く生息する。
そんな場所のため普通のゆっくりは近づこうともしない。
迫害されたゆっくり達が暮らしていける場所はそんな所しかなかったのだ。
幸い巣穴は元の持ち主であったゆっくりの群れたちが大量に掘っていたため多数存在した。
自らの巣穴を掘る力すらない彼女達が何とか生きて…そして数日、数十日のうちに死んでいく環境が存在していた。
「ゆぅ!ゆぅ!」
いつものように複数人分の餌を採りに行っていき集落へ帰って来たれいむ。
彼女はただ飾りを失っただけというこの集落ではもっともましな状態だった。
しかし彼女は食事すらできず苦しむ仲間の姿を我慢できなかったのだ。
気づけば動けぬ仲間達のために餌を採ってきていた。
だが自分に可能な限界の量の食料を採ってなお足りなかった。
朝、日が昇ってすぐに餌を採りに行き、日が暮れてようやく巣に帰り着く。
そんな生活が一月ほど続いていた。
しかしもともと餌は少なく外敵も多い場所。
ゆっくりには採れない大型の果実が多くありそれを餌とする獣が多くいる場所なのだ。
獣に襲われ逃げ帰ることもしばしばだった。
実際同じ志を持った仲間達はその多くが命を落とし、多くが罪悪感を持ちながらも諦め自分の分の餌だけを探していった。
(こんなところではおわれないよ…!しんでいったみんなのぶんまでがんばるよ!)
そんな決意を持ってこのれいむは今日も狩を続けていた。
「む、こんなところにゆっくりが?」
そこに突然現れたのは全身を白い服に包んだ人間の青年だった。
「ゆ?おじいさんだあれ?」
れいむのいうとおり青年と言うにはその人間はあまりにも疲弊していた。
頬は痩せこけ髪は白くその表情からはあまりにも生気が無い。
まさしくその外見は老人のそれに近かった。
「私は旅の者だよ。ここは君達の集落かい?見たところ皆あまりゆっくりしていないようだが…」
「ゆぅ…みんなびょうきやけがをおってるの」
れいむはこの青年にこの集落の事情を話した。
どの群れも自分たちを受け入れてくれないこと。
ここがそんなゆっくり達が集まった場所であること。
採れる食料が限界に来ていること。
青年は黙ってそれを聞いていたがやがて口を開いた。
「よし、私に任せなさい。」
そして奇跡が始まった。
青年が足の焼けて動けないゆっくりに触れればそのゆっくりは元気に跳ね回り始めた。
生まれつき目が見えないゆっくりに触れればその目が開いた。
また、青年は時折集落を離れるとゆっくり達が取れない果物を大量に採ってきた。
まさに奇跡がそこにあった。
いつしかこの集落は「奇跡のゆっくりプレイス」と呼ばれゆっくり達に広まった。
そのうわさを聞きつけ多くの迫害されていたゆっくり達が集まった。
集落を襲おうとするゲスなゆっくり達もいたが人間でもとりわけ体の強い青年の力には到底及ばず撃退された。
迫害されていたゆっくり達の奇跡がそこにあった。
彼女たちの本物のゆっくりプレイスが確かにそこにあったのだ。
ある、暑い日。
いつものようにその集落のうわさを聞きつけたとあるゆっくりまりさが青年の前に寝かされていた。
「ゆ!まりさはあしがわるいんだよ!さっさとなおしてね!びょうにんはいたわるものだよ!」
「ふむふむ、そうか」
青年はゆっくりのふざけた態度にまったく不快感を示さずにその言葉を受け入れた。
目の前のゆっくりは確かに足が悪いが少しすりむいた程度のものだ。
正直青年が手を出すまでも無い。しかし、
「わかった、俺が直してやろう!」
「ゆ!ものわかりがいいじじはゆっくりしていいよ!ゆっくりしないでさっさとなおしてね!」
「まあそう焦るな、この足を直すゆっくり秘孔は確かここだ!」
ドス!
「ゆがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!いだい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!!!!!!!!!」
「ん?間違ったかな?」
「ゆ゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っあ゛っあ゛ゆ゛びでば!!!!!!」
ボン!!!
盛大な音を立ててまりさは爆発した。
「ふむ、ここも違ったか。だがここはここで面白い。」
そうメモを取りながら青年はつぶやいたのだ。
「ゆ゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ!!!ゆ゛っぐりでぎな゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!!!」
「や゛べでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!い゛た゛い゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!」
「ゆ゛べがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あぶびら゛!!!」
ゆっくり達の地獄がそこにあった。
青年が一度ゆっくりに触れればそのゆっくりは苦しみながら死んでいった。
あるものは一日中死ぬような痛みに泣き続け干からびた。
あるものは餡子を自分の意思とは関係なく死ぬまではき続けた。
あるものは交尾もしていないのににんっしんっし無数の茎を生やし絶命した。
あるものは全身から液状化した餡子を激痛と共に噴出し続け死んだ。
「おにいさん!これはどういうことなの!?」
青年が集落に来て最初に会ったれいむが彼に詰め寄った。
今の集落の異変は間違いなく彼によるものだ。
いつの間にかおじいさんからおにいさん呼び名を変えた彼に事情を話してもらわなくてはならない。
彼女の集落内の饅頭にしては賢い頭は誰から見ても明らかな犯人をゆっくりでは唯一突き止めていた。
「おお!お前か!探していたんだぞ!」
そんなれいむの疑問を一切無視し青年はれいむを抱きかかえた。
「飾りこそ無いが肉体はゆっくり一倍健康かつ強靭!お前は最高の木偶になる!」
「な、なにいってるのおにいさん!ゆっくりしないでせつめいしてね!」
そんなれいむの叫びを一切無視し彼女を診察台の上におくと、彼はいきなり指を突き入れた。
ドス!
「ゆぎっ゛!!!」
いきなりの激痛に短く声が漏れる。
れいむは抗議の声を上げようと再び口を開いた、しかし
「っ!!!!!!っ!!!!!」
口から声が出なかったのだ。
それを見た青年は満足げに言った。
「やはり今のゆっくり秘孔は声を上げられなくなる秘孔だったのか!感謝するぞ!
お前のおかげで俺様の研究はまた一歩完成に近づいた!」
れいむには分からない。
なぜ自分がしゃべれないのか、この青年が自分に何をしたのか、なぜやさしいこの青年が集落をあんなことにしたのか。
ゆっくりの頭ではとても理解できない。
「さて、お前はもう用済みだな。この前発見した花火のように全身の餡子が爆発するゆっくり秘孔で葬ってやろう。
なあに、怖がることは無い。痛みを感じる暇すら無く一瞬で死ねる。」
ドス!
「!!!!!!」
診察室という名の研究室に爆音が響いた。
健康的な黒い髪を持つ青年の手の中でれいむはその派手にその生涯を閉じた。
かつて「奇跡のゆっくりプレイス」と呼ばれた集落はもうそこには無い。
そこにあるのはただ大量の、本当に大量のゆっくりの死骸のみ。
「ふう、時間はかかったが有意義な実験ができた。」
そう満足そうな顔でつぶやくのはこの集落に奇跡と地獄をもたらしたあの青年だ。
彼は元は加工所の研究者だった。
しかしゆっくり秘孔、ゆっくりの体に無数に存在する特殊な現象を引き起こす箇所の存在を発見し彼は変わった。
ゆっくり秘孔の実験と開発を繰り返すうちにそれに見入られ次々と、研究体以外の商品となるようなゆっくりをも殺した。
それが原因で彼は加工所をおわれたのだ。
職を失い研究環境を失った彼は浮浪者のように行く当ても無く森の中を彷徨った。
研究できないストレスで髪は白くなり栄養失中で頬がやせた。
そんな時発見したのがあのゆっくりの集落だった。
最初は治療の研究だけにしておこうと思っていた。
しかし彼のあふれる研究心は耐えられなかった、耐える気も無かった。
そうして生み出されたのが目の前の光景だ。
大量の餡子を前に、彼らに送る最後の言葉を彼はつぶやいた。
「俺の求めるゆっくり神拳はまだ遠い。」
彼は今日もどこかで自らが求める研究と拳法の完成めざしゆっくり達を付き続けている、かもしれない。
最終更新:2008年10月07日 18:41