紅魔館×ゆっくり系9 わたしのペットはよいれみりゃ 前編

十六夜咲夜は見た。
紅魔館の門前にばら撒かれた四肢と、ダルマになったゆっくりれみりゃを。ゆっくりれみりゃだったものを。
それは頭が潰されていた。
顔の皮は原型を保っていたが、後頭部のあたり、頭の後ろ半分が二目と見られないことになっていて、中身を放射状にブチ撒けていた。
それは十六夜咲夜が可愛がっていたゆっくりれみりゃの成れの果てだった。
なぜ、野良のゆっくりれみりゃと自分が可愛がっているものの区別ができるのか、以前質問した妖精メイドはただ一言「愛」との返答を受けていた。
余談だが、その妖精メイドは紅魔館が誇るメイド長が狂ってしまったと思い、それ以降どこか優しげなまなざしでメイド長を眺めるようになったという。
死体の放置された門前では、いつものように門番が眠りについており、寝息を感じさせず微動だにしないその姿はまるで寝大仏を想起させる。
咲夜は瞬時に下手人を察していた。
「起きなさい、この寝門番」
「んぅむ」
臥龍が目を覚ます。
「あ、おかえりなさい」
紅美鈴が起き上がり言う。大きなあくび。どれだけ寝れば気が済むのだろう?
その空色の瞳が自分に焦点があうのを確かめると、咲夜は冷厳と口を開いた。
「これはなに?」
「ああ、侵入者です」
「……侵入者?」
「いや、侵入しようとした肉まんが正しいですね。ごみが目障りでしたか?」
「そう。ところで貴方、私がゆっくりれみりゃを飼っていることを知っていたわね?」
「はぁ、それがなにか?」
美鈴の返答に、咲夜はびきりと何かが鳴った気がした。
「この子は私が飼っていたゆっくりれみりゃだって言ってるのよ」
「はぁ、そうだったんですか。それはまたご愁傷様です」
その返答にまた何かが鳴った。
「わかっていないようね、どうして貴方は私のペットを勝手に処分したのかを聞いているの!」
「はぁ、私は門番ですから。紅魔館の領土を不必要に侵すものは排除しますよ」
「それが私のペットだって貴方なら分かるでしょう?」
いらいらしながら咲夜は問いかけた。しかし美鈴はそんないらつきなど何処吹く風、いつものように飄々としている。
「関係ありません」
「なん……ですって……」
「『侵入しようとした』、『攻撃の意思を見せた』。この二つで十分排除する理由になります」
どうやら咲夜の留守中に館を抜け出し、帰って来たところを美鈴に咎められて反抗したというところだろう。
咲夜はその経緯を察して、かつ反論の余地が無いことを悟った。
「……」
「それに肉まんにスペルカードルールは適用されません。そのペットが人間だったら死なないで済んでいたでしょう」
「……そうね」
「ペットは首輪をつけておくものですよ」
咲夜は暗に、所有物には名前を書いておけ、と言われた気がした。
たしかに、そのゆっくりれみりゃが咲夜の飼っているものだと確定する判断材料がないのだから、美鈴ならば見分けられるはずというのは単に甘えだ。
個体識別が出来たか否かは問題にならない、美鈴は職務を全うしただけだ。文句をつけられるいわれは無い。
言ってしまえば低級な妖怪や毛玉が侵入を企てるのと同程度のものだ。
ここで美鈴を叱責するのは簡単だが、それは私憤によるもの。
咲夜はそれを分かっている。伊達や酔狂で「完全で瀟洒なメイド」などと名乗ってはいないのだ。

次の日、いつのまに調達したのか、新しいゆっくりれみりゃには首輪がつけられていた。
しかし咲夜が目を離すと、そのゆっくりれみりゃは妖精メイドたちに虐められた。
今までも妖精メイドたちにゆっくりれみりゃが虐められることはあったが、首輪をつけてからのそれは熾烈を極めた。
以前は野良と見分けがつかないから、ただ単に紅魔館から追い出そうという意味で攻撃を加えていたのだろうが、首輪がついてからは明らかな悪意が存在していた。
首輪がついたことによって、咲夜の所有物だということがはっきりし、それの言うことを極力聞かなければならなくなったことが原因だろう。
基本的に妖精メイドは自分達のことで手一杯だ。館の管理は全てメイド長たる咲夜が一任している。
それでも数多くの妖精メイドが滞在しているのは、質より量という信念があるからだ。
しかし、そんな烏合の衆と言える妖精メイドたちにも、紅魔館を住み処としている矜持があった。
主たるレミリアに達成困難なわがままな命令を受けても成し遂げようという意思が生まれるが、相手が似ても似つかぬ不細工な肉まんでは苛立ちしか生まない。
始末の悪いことに、ゆっくりれみりゃは「さくやにいいつけてやるぅ」と虎の威を借る狐を気どる。
これで苛立たないのは、当のメイド長か、広大無辺な心の持ち主だけだろう。
紅魔館でも、いや、幻想郷でももっとも心が広い妖怪かもしれない紅美鈴でさえ、体よく葬ったのだから。
それゆえに、咲夜の目の届かないところでゆっくりれみりゃは妖精メイドたちに袋叩きにあったり、弾幕をひっかけられたりしていた。
咲夜も数多くいる妖精メイドの全てを罰するわけにはいかないので、ゆっくりれみりゃに自室からの外出を禁じるが、もとより話が通じるのであればそんなことにはなっていない。
三日もしないうちに、そのゆっくりれみりゃは首輪だけでなく、鋼鉄の檻に入れられることになってしまった。
咲夜は最初、犬のように杭を打ち込んで、鎖を首輪に繋げようと考えたのだが、部屋を壊す必要はないと考え直し、美鈴に檻を作らせたのだった。
「美鈴、なかなかいい腕してるわね」
「う゛ー!だじで!だじで~!」
がしゃがしゃと鉄格子を握り締めて揺らすが、当然のことながらびくともしない。それは何処に出しても恥ずかしくない出来だった。
「さて、これで虐められることも無いし、仕事に専念できるわね」
「う゛あ゛ーっがじがじ。まじゅいー!ぽいしてっ!いらないの!ぽいするの~~!!」
鉄格子にかじりついて、いかにも不味そうな顔をするゆっくりれみりゃを見て、微笑む咲夜。
どこから出したのかぺろぺろキャンディーがその手に握られていた。
咲夜の手の中のものを見て、喜びに輝くゆっくりれみりゃ。すでに気を取られていて檻のことなど少しも頭に無い。
「うー!それれみりゃの!ちょーだい!れみりゃのきゃんでーちょーだい!」
「それを食べておとなしくなさい」
咲夜は言われるままにそれをゆっくりれみりゃに渡す。
「うー、ぺろぺろ。おいちい♪うーうーうあうあ♪」
上機嫌になったそれを見届けて、咲夜は部屋を出た。妖精メイドは勝手に咲夜の部屋には入らないし、自分から外にでることもできない。
これでペット事情は安泰だろう。

昼。
紅魔館の主は夢の中、図書館の主は読書に耽り、門番は門前にて鍛錬の真っ最中。
メイド長はというと、仕事がありすぎて食事を取る暇もないくらいだった。いや厳密には時間をとめて食事はできるのだが、ペットに餌をやれない状況なのだ。
そこで、咲夜は丁度良いところに通りかかった妖精メイドに餌やりを頼むことにした。
よもやメイド長の部屋でまでペット虐めはしないだろうという判断だった。
「おながずいだー!!ごはんぅ~~!うー!うー!ざぐや゛~~っ!!」
咲夜から配膳をまかされた妖精メイドは、咲夜の部屋に入るなりそんな声を聞いた。
見れば檻の中でゆっくりれみりゃが、まるで駄々をこねる幼児のように、地面に寝っ転がりながら暴れていた。
すると、食事の匂いを嗅ぎつけたのか、ぴたりと泣き止み起き上がり、妖精メイドに向かって威嚇するように手を広げ
「ぎゃぉー!たべちゃうぞ~~!!」
と、こうだ。
妖精メイドは軽く嘆息すると、お盆を床に置いて蓋を取る。
皿には小さなハンバーグやパンが少しずつ、あとはデザートというゆっくりには上等すぎるのではないか?と思えるほどの食事が用意されていた。
特にデザートのババロアなどは、妖精メイドが思わず生唾を飲み込むほど美味しそうな匂いを発していた。
甘いもの好きなゆっくりれみりゃが、それを嗅いで黙っていられるはずも無く、妖精メイドに催促する。
「ぅぁ~♪たべさせて!ぷっでぃんぐはやくたべさせて~~!!」
「…………」
「う~?ぷでいぃんんん♪はやくれみりゃのぷでぃんたべさせてーーー!!」
「こんな美味しそうなババロアをこんなナマモノに食べさせるなんて、食べ物への冒涜だわ!」
妖精メイドはそう言うと、スプーンでババロアをすくって自分の口に入れた。
「うあーーー!れみりゃのぷっでぃん、たべちゃだめ~~!!」
「~~~ッッ!っはぁ!!……っおいっしぃ~~~♪」
まさに至福!というような蕩ける表情で妖精メイドは言った。
「あんたいっつもこんなん食べてんの!?」
血相を変えた妖精メイドがゆっくりれみりゃに詰め寄る。その手にはババロアの皿が乗っている。
「うーうー!れみりゃのぷっでぃん!!ぷっでぃぃいぃいいぃぃんんぅぅうぐ!!!!」
泣きながら、鉄格子の間から腕を伸ばしてお皿を取ろうとしているゆっくりれみりゃ。妖精メイドの話をまるで聞いていない。
「ちょっと!人の話を聞きなさいよ!!」
「ぷっでぃいいぃいい~~~~ん!それれみりゃのぷっでぃいいぃいぃいいんなの!!」
「うっさいわね!」
「ぶめぎゃっ!?」
妖精メイドの平手打ち。鉄格子があるので、水平にではなく垂直に。
まるでアッパーカットのようなすくい上げるような平手打ち。
どてーんと転ぶゆっくりれみりゃを無視して、餌の皿へ向き直る妖精メイド。
「もしかして他のもこんなに美味しいのかしら!?」
その行動は好奇心と言う名の食欲に支配されていた。
起き上がったゆっくりれみりゃはへの字口をして涙を溜めた目で、自分のご飯を次々と食べていく妖精メイドを見た。
「うわー!れみりゃのごはーーん!れみりゃのごーーーはーーーんーーー!!うーうーーーー!!!」
がしゃがしゃと鉄格子を揺らすが重い檻はびくともしない。
「うーうー!……っばーか!ばーか!!しゃくやにいいつけてやるぅ!!しぃからぁれちゃぁうぞぉ~♪」
それを無視して、餌とは言いがたい食事を食べていく妖精メイド。無視はしているが、ゆっくりれみりゃに見えるように食べていた。
フォークの先にはソースが滴ったハンバーグが美味しそうな匂いと湯気を立てている。
それをゆっくりとゆっくりれみりゃに近づけていく。
「うあ~~~ん♪」
鉄格子がめり込むほどに顔を押し付けて、大口を開けて少しでも早くご飯に近づこうとするゆっくりれみりゃ。
「ぱくり♪」
「あ゛っーーー!」
だがあと一歩というところで、妖精メイドは手を戻し、自分の口に肉片を入れた。
「あ゛ーー!!あ゛ーーー!!!はんばーぐ~~~!はんばぁぐぅううぅううぅ!!うあーうあ~~!!!」
「はっ、ば~~~か」
鼻で嘲笑う妖精メイド。
「! がぁおーーー!たーべちゃうぞーー!!ぎゃぁお~っ!た~べちゃ~~うぞ~~~!!! 」
「うっさい、おまえ」
妖精メイドは瞬時に弾丸を発射した。右膝を撃ち抜かれ、肉片をばら撒きながら転倒するゆっくりれみりゃ。
「うぎゃーーーっ!れ、れみりゃのおーごんのあしがッ~~~!!!うあうあーーっ!!」
足を押さえながらごろごろとのた打ち回るゆっくりれみりゃ。
「いだいよーーー!ざぐやーーー!!じゅあぐゆあぁぁああ!!わるいひどがいじめるぅ~~~っっ!!!」
妖精メイドはそんなゆっくりれみりゃの頭を踏ん付けてぐりぐりと踏みにじる。
「びゅぉっ!ぶぉえぇ~~~っ!!っぐうぐぅ!」
「かわいそうだから、ご飯を食べさせてあげます。いい子だからお口をあ~んして下さいね?」
足を顔からのけると、べそをかきながらも立ち上がるゆっくりれみりゃ。足はぐりぐりされている間に修復していた。すげえ!
「れみ☆りゃ★う~☆」
ご飯を食べさせてもらえることがそんなに嬉しいのか、ゆっくりれみりゃは三拍子で揺れていた。
「はい、あ~~~ん」
「あ~~~~っもがぁっ!?」
満面の笑みで口を開くと、そこには団子のようなものが突っ込まれた。
それは妖精メイドが食い散らかした、ゆっくりれみりゃの餌の残りを全て丸めたものだった。
肉とパンとババロアの混じった味。
到底言い表せない味が、ゆっくりれみりゃの口内を思うさま蹂躙する。
しかもその団子はゆっくりれみりゃの口よりも大きく、自力で吐き出すことができない。
息が詰まるゆっくりれみりゃ。
「ふー!ふーー!っふぐ!ひゅーー!ひゅこ~~~~~!!」
「早く飲み込んでください」
これはいけないと見た妖精メイドが、頭を押さえつけて口に手を突っ込んで、むりやり団子になったそれを押し込む。
「うぎゅうぎゅ!んぎゅん~~~っ!!っぷはぁ~~~~~~!」
「はい、よくできました。これでお食事は終了ですよ」
妖精メイドは、にっこりと微笑むとお盆を持って部屋から出て行った。
「おっげぇえぇえぇぇ~~~っ!!ざぐや゛!ざぐや゛どこぉ?ざぐや゛ーー!!はやぐぎでぇ!ざぐや゛~~~!!!」
後には激しく咳き込み、咲夜の名前を泣き叫ぶゆっくりれみりゃだけが残された。

夜。
天空は漆黒に染め上がり、輝く星々が今にも落ちてきそうだ。
ゆっくりれみりゃは照明のない暗い部屋の中、ただ一匹で冷たい檻の中から月を見上げていた。
昼にご飯を無理やり押し込められてからずうっと泣き叫んでいたが、だれも来なかった。
そう、誰も。唯一自分の味方であるはずの咲夜でさえもやってこなかったのだ。
それがゆっくりれみりゃの心を冷たくする。
夕方に一度、咲夜が戻ってきたのだが、またすぐに出て行ってしまった。
実を言えば、その時に時間を止めて睡眠を取っていたのだが、悲しいかな、ゆっくりれみりゃは『止まった時の世界』に入門できない。
「うー、しゃくやぁ~」
今頃咲夜はレミリアに付き従って何かをしているだろう。散歩をしているかもしれない。何らかの異変を解決に出ているかもしれない。
しかしそれはゆっくりれみりゃにはまったく関係のない話なのだ。
しんと静まる部屋。
窓を叩く風の音。ほうほうと聞こえてくる梟の声。木々のざわめき。時折廊下から聞こえてくるこつこつとした足音。
その全てがゆっくりれみりゃを刺激する。
檻に入れられる前であれば、館内を好き勝手に歩きまわっていた。
それが今では閉じ込められて自由に外を散歩も出来ない。
「う~」
ご飯もそうだ。以前ならば歩き回っているときに、そこら辺にいる妖精メイドに命令すれば何かしら持ってきた。
もちろんその代価として虐めにあっていたのだが、ゆっくりれみりゃは覚えていない。
肉体が勝手に修復するから、ちょっとやそっとの痛みの記憶では霞のように消え去ってしまう。
「うー!だじでっ!だじでっ!!ざぐやぁあぁぁ~!ぶわぁぁぁ~~~っ!!」
火がついたように泣き出し、鉄格子をがしゃがしゃと揺らすゆっくりれみりゃ。しかし癇癪を起こしても誰も何もしてくれない。
「きゃーう!おそとー!おそといぎだいぃ~~~っ!!むきぃ~!」
全力で鉄格子を壊しにかかるゆっくりれみりゃ。激しく前後に揺すられた身体は、今までにない執念を感じさせる。
しかし、美鈴が先代のペットを葬り去った罰として作らされた鋼鉄の檻は、その程度でどうにかなるほど柔ではなかった。
鉄格子の間隔も絶妙で、腕や足は通るが頭と胴体は絶対に通れない程度に開いていた。
無理に鉄格子から抜け出そうとしても、確実に挟まってにっちもさっちもいかない状況になるのがオチだろう。
こん。
音がした。
気のせいかと思った。
再び身体を揺らすも、また音がしては気にならないわけがない。ゆっくりれみりゃは部屋中を見回す。
だが、部屋に変化はない。今までと何処も変わらない。
「うっう~~~。じゃぐやぁあぁ~~~」
何かおっかないものがいるかもしれないと思ったのか、とたんに怯え、震えながら涙を流して助けを呼ぶゆっくりれみりゃ。
モチーフになったであろう夜の王を自称する吸血鬼が、その夜闇を恐れる様子を見たら一体どんな反応を示すだろうか。
情けないと言い放ち捨て置くか、目障りだと打ち殺すか。
それを見るのも一興だが、今は関係ない。
こん。
また、音がした。
びくりと跳ねるゆっくりれみりゃ。
「うー……こわぃこわぃ~。ざぎゅやぁ~~ひっくひっく。うぅ~」
ゆっくりれみりゃは部屋中を嘗めるように見回す。どこかさっきまでと違うところはないか、細心の注意を払って見ていく。
あった。窓だ。
窓に何か丸い影が張り付いていた。
月は雲に隠れているのか、それが何かまではよく分からない。
それが体当たりをして音が鳴っていたのだろう。
こん。
やはり体当たりだ。ゆっくりれみりゃは枯れ尾花だと理解した怖がりのように、すぐにいつもの調子を取り戻した。
「ぎゃぁお~!たべちゃうぞ~~♪」
だが、窓の向こうのものには届かない。届いたとしても恐れさせることは出来なかっただろう。
雲が流れるにつれ、月の冷たい金色の光が注がれていく。
それはゆっくりれみりゃだった。
ただし、胴体のない、ゆっくりれみりゃだった。
そのゆっくりれみりゃは、同族の気配を感じて飛んできた。
しかし、月明かりに照らされた同族は、重たい体が生えて空を満足に飛ぶことも出来ない、『尻尾もち』だった。
人間たちは、手足と胴で構成されているから胴体という呼称を用いるが、ゆっくりれみりゃ同士では、それは『尻尾もち』と呼ばれて嫌われている。
飛ぶことを忘れ、地べたを這いずることを選んだという認識なのだ。
この尻尾もちがそうでないゆっくりれみりゃに遭遇すると、一方的に攻撃され、喰われることも無く虐殺されてしまう。
檻に囚われていることを認識したゆっくりれみりゃは、つまらないものを見るような目になり、そのまま飛び去っていってしまった。
自分達が忌み嫌う尻尾もちが、それよりも劣る存在に堕したということを野性の勘で察したのだろう。
しかし、檻の中のゆっくりれみりゃにはそんなことはわからない。
ここ数時間で久しぶりに出会った遊び相手が飛び去ってしまったのだ。自由に空を飛んで。
そんなものを見せられたら、
「わ゛ーーー!まっでぇ!もどっでぎでぇ~~~っ!!れみりゃもづれでっでぇええぇぇぇ~~おぞどいぎだいぃいいぃい」
とこうなる。
だがすでに窓には何もいない。
再び静まり返る部屋にゆっくりれみりゃのすすり泣く声だけが響いていた。



起承転結の承まで。
後編は近日公開予定!?

著:Hey!胡乱

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最終更新:2008年09月14日 05:20
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