ゆっくりいじめ系1768 清く、ゆっくり、美しく

※純真無垢な子ゆっくりが・・・。
※少し・・・な人間が・・・。
※前後編でお送りします。
 前編はスタンダード(笑)な虐め。
 後編は続きが気になった方のみ御覧ください。




◆『清く、ゆっくり、美しく』前編◆

白いレースのカーテンが日の光に煌き、穢れの無い純白光がリビングを照らす。
部屋の壁紙は一面無地の白色で、カーペットから天井、家具、引き出しの把手に至るまで、
あらゆる物が白色で染められていた。
そんな目も眩むような部屋の中央、
白いソファーに若い女性が腰を沈め、テレビの画面をじっと見つめている。
テレビの筐体もボタンの一つ一つにまで白のペンキで染め上げられていた。

『いま巷では空前の『ゆっくり』ブーム!!
 親子でゆっくり戯れるその姿は、見る者を癒し、ペットの代わりとしても大人気!!
 今回の『先どりBOOM』はこの『ゆっくり』の魅力をたっぷりとお届けします!!・・・』

女性はワイドショーの1コーナーに釘付けになり、すっかりと『ゆっくり』に心奪われてしまった。
これまでにもペットとして猫を飼おうとした事もあったが、その体毛が部屋中にばら撒かれ、
また排泄物の処理などが女性には耐えられなかった。
結局、猫との共同生活はうまくゆかず、知人の伝で引き取ってもらう事となった。
女性は潔癖症なのだ。
人間関係でもトラブルが絶えなく、男性との付き合いもうまく行かなかった。
それでも何モノかと触れ合っていたい。
先の猫を飼った事情もそんな願望ゆえの試みだったのだ。
さっそく女性はゆっくりを取り扱うペットショップへと向かった。



夕方。
オーブントースターほどの箱を抱えた女性が帰宅した。
箱は黒い包みで覆われており、中ではゆっくりが夜だと勘違いして眠っているのだ。
女性は玄関で衣服と箱をホコリ採りで掃除し、殺菌スプレーを吹きかけてリビングへと向かった。
テーブルに箱を置き、それを覆う黒い包みを開封する。
プラスチック製の透明な昆虫用飼育箱の中では、拳より少し大きいくらいの子まりさ、子れいむが2匹ずつ眠っていた。

「ゆぅ・・・ゆぅ・・・ゆりかごさん・・・ゆぅら・・ゆぅ・・・」
「「「ゆすぅ・・・ゆぅ・・・・」」」

幸せそうに眠る4匹の姿に、女性も自然と笑みがこぼれる。
ゆっくり達を起こさないよう、大事に持って帰った甲斐があった。
女性は子ゆっくり達が眠っている間に夕食をとることにした。



リビングにはダイニングからのおいしそうなシチューの匂いが漂っていた。
その匂いに釣られて子ゆっくり達が目を覚ます。

「・・・ゆっ!! おいしそうなにおいだよ!! 」
「ゆっ!! ごはんのじかんだね。」
「ゆー!! とってもきもちよくねむれたよ。」
「ゆゅ!! いっぱいねたら、いっぱいおなかがへったよ!!」

その様子に女性も気がついたのか、食器洗い器に食器を片付け、飼育箱の傍に寄って行く。
網状の蓋を取り、飼育箱の隅をコンコンと小突いてみた。
子ゆっくり達が一斉にこちらを向く。

「ふふ、おはようおちびちゃん達。」
「ゆゆっ? おねーさん・・・?」
「ゆ、 おねーさんはゆっくりできるひと?」
「ええ、ゆっくりできるわよ。今日からここがあなた達のおうちよ。
 これからは私と一緒にゆっくりしましょうね。」
「ゆー!! おねーさんとてもゆっくりしてるよ!!」
「とてもゆっくりできそうなおねーさんだね」
「「「「ゆっくりしていってね!!」」」」
「まりさといっしょに すりすりしてねっ!!」

飼育箱の中から子まりさが飛び出そうとした。
女性は、サッと蓋を元に戻す。
急に蓋を閉められ、勢いあまって天井に激突する形となった子まりさ。

「ゆびぇっ!!」
「まりさ?!」

天井に激突した子まりさは、子れいむの上に落下した。

「ゆぐっ!!」
「ゆぎぃ!! おもいよまりさ、ゆっくりどいてね!! ゆっくりどいてね!!」
「ゆげぇ!! このおねーさん、ゆっくりさせてくれないよ!!」
「ゆー!! おねーさん、まりさになにするの!? ゆっくりあやまってね!!」
「ごめんなさいね。でも、遊ぶ前に体をきれいにしようね。」
「ゆ? きれいきれい?」

女性はゆっくり達が入った飼育箱を持ち上げると、洗面所へと向かった。
透明な箱の中で宙に浮いたと錯覚したゆっくり達はキャッキャとはしゃいだ。

「ゆわぁー!! おそらをとんでるみたい!!」
「れいむもことりさんになれたよ!!」

先程の事はすっかり忘れ、歓喜の声を上げるゆっくり達の様子に、女性も安堵の表情を浮かべた。



ひとまず飼育箱をタオルなどが収納された棚の上に置くと、
女性は髪を後ろで束ね、ゴム手袋とエプロンを装着した。

「ゆゆ、おねーさん、”おねーさん”みたいだよ!!」
「ふふ、もう少し待っててね。」

女性は洗面台の栓を締めると蛇口を捻り、ぬる目のお湯を張った。
そしてその中にボディソープをいくらか流し込み泡立てる。
立ち上る湯気の中に、泡の雲の世界が完成した。

「ゆわぁー!! あわあわさんのおふろだよ!!」
「とってもきもちよさそうだね。」
「れいむもいっぱい きれいきれいしてね。」
「ゆー!! まりさもあわあわさんと いっぱいともだちになるよ!!」

準備を終えた女性はゆっくり達の入った飼育箱の蓋を開いた。

「ゆー!! まりさをいちばんに きれいきれいしてね!!」
「こらこら、ゆっくりまってね。」

女性は慌てる子まりさを嗜めると、次々にゆっくり達の帽子、髪飾りを取り上げていった。

「ゆぎゃああああああああ!!! ばりざのぼうしかえじで!!!」
「れいぶのがわいいりぼんどらないでええええええええ!!!」
「ゆうぇぇぇぇん!! びぼんがないどゆっぐりでぎないいいいっ!!!」
「がえじで!! がえじでぇ!! ばりざのぼうじ、いまずぐがえじで!!!」

半狂乱に陥ったゆっくり達は、なんとか髪飾りを取り戻そうと飼育箱から飛び出そうとする。
女性は再び飼育箱の蓋を閉めた。

「こらっ!! 静かにしなさい!! そんな事じゃゆっくりできないわよ!!」
「うるざいっ!! ぼうじがなきゃゆっぐりでぎないよ!!」
「れいぶのりぼんがえじで!! どうじでごんなごどずるのぉぉぉぉ!!?」
「帽子被ったままじゃ、きれいきれいできないでしょ!
 これは洗濯して綺麗にしたら返してあげるから、安心しなさい。」
「ゆぐぐぐぐ・・・。ほんどうなの? うぞづいたら、まりざドッカーンするよ!!」
「でいぶのびぼんにひどいごどじないで!!」
「はいはい、分かってるから静かにしてね。」

女性は洗濯槽にゆっくり達の髪飾りを放り込む。
そして棚から一つのボトルを取り出すと中の液体を流し入れて、蓋を閉めた。
初めて見る洗濯機を不安な表情で見つめる子ゆっくり達。
女性が洗濯機のスイッチを入れると、洗濯機の中から水が流れる音がし、ゴトゴトと動き始めた。
その様子を見つめる子ゆっくり達の表情がますます曇ってゆく。

「ゆぅぅぅぅっ!! やっぱりへんだよ!! おねーさんがまりさたちをだましたんだよ!!」
「れいぶのりぼんにひどいごどじないっていっだのにぃぃぃっ!!!」
「がえじでっ!! ばりざのぼうじ、いまずぐがえじでっ!!!!」
「いい加減にしなさい!! ゆっくり出来ない子はお仕置きするわよ?
 さ、みんな一緒にきれいきれいしようね。」

女性は子ゆっくり達の入った飼育箱を持つと、その中身を泡立てたぬるま湯の中へ流し入れた。

「「「「ゆゆぅぅぅぅ〜〜〜!!」」」」

ゴロゴロ転がり、泡の中へと消えてゆく子ゆっくり達。
ゆっくりは動物とは違うので、手入れも楽だとTVで言っていた。
程なくして、子ゆっくり達の悲鳴が泡の中から聞こえてきた。

「ゆぎゃああああ!! めがああああああああ!!」
「おべべがじみるよおおおおおおおおおおお!!」
「ゴボ、ゆご、このおみじゅ、ゴボ、にがいよおおおおおおおお!!」
「ばりざの!! じみるううう!! ぼうじ !! にぎゃいよおおおおお!!」
「ちょっとっ!! どうしたの!? おとなしくしなさい!!」

子ゆっくり達は洗面台の中で暴れ喚き、そして一斉に飛び出した。

「あっ!! こらぁっ!!・・・」
「「「「ゆべぇっ!!」」」」

子ゆっくり達は洗面台から落下し、呻き声を上げながら洗面所の外へと逃げ出す。
床に泡と濡れた跡を残しながら子ゆっくり達は一心不乱に跳ねて行く。
女性がリビングの方へ探しに行くと、テーブルの下でわんわんと泣き喚く4匹の姿を発見した。
リビングのカーペット、特にテーブルの周りはビチョビチョに濡れていた。
女性は抱えた飼育箱に4匹を放り込み、洗面所へと戻る。
飼育箱を棚の上に置き、リビングの始末をして戻ってくると、子ゆっくり達は小さな声で囁き合っていた。

「ゆぅぅぅ・・。 あのおねーさんはゆっくりできないよ・・・。」
「おめめがまだいたいよ・・・。」
「にがいおみじゅ いっぱいのんじゃって、ぺっぺっできないよ。」
「まりさのぼうじ、はやくかえしてほしいよ。」

再び現れた女性の姿に、静まり返る子ゆっくり達。
雑巾を洗い終えた女性は飼育箱を抱えると浴室へと入って行く。
そしてその中身を浴槽の中へと放り込んだ。



「「「「ゆぎゃん!!」」」」

子ゆっくり達は浴槽の隅に集まり、怯えた表情で浴槽の縁を見上げる。
女性は浴槽の傍に腰を屈め、1匹の子れいむを掴み上げた。

「ゆわぁあああん!! はなしてっ!!」
「私の目を見なさい!!」
「ゆぁぁ・・・?」
「あなた達のおかげで部屋がグチャグチャになったじゃない!!
 ゆっくり出来ない子にはお仕置きですっ!!」

そう言って女性は子れいむの頬に平手打ちを放った。

バチンーーッ!!!

「ゆぎゃんっ!!」

子れいむのもち肌が打たれ、浴室内に小気味良い音が響き渡る。
その様子を見上げていた他の子ゆっくり達。

「ゆわあああああ!! れいむをいじめないでえええええええ!!!」
「どおおおおじでごんなごどずるのおおおおおおおおおおおお!!?」
「ばりざのぼうじに、ひどいごどじないでえええええええええ!!!」

女性は別の子れいむを掴み上げると、同じ様に平手打ちを放ってゆく。

「私の目を見なさい!! お部屋をメチャクチャにする悪い子は、お仕置きです!!」

バチンーーッ!!!

「ゆびゃっ!!」

バチンーーッ!!! バチンーーッ!!!

他の2匹にも同様に平手打ちを喰らわせた女性、今度はシャワーからぬるま湯を出し、
その先を浴槽内の子ゆっくり達に向けた。
浴槽内は阿鼻叫喚の巷と化す。

「ゆわあああああ!! ぼうやべでえええええええ!!」
「も゛うい゛やあああああああああああああ!!」
「ごごがらだじでえええええええええ!!」
「ぼうじがないど、ぬれじゃうよおおおおお!!」
「濡れた体で部屋の中跳び回るから、いっぱい汚れが付いちゃってるでしょ。」

女性の家は隅々にまで清掃が行き届いているので、ホコリの一つを見つけるのも大変だったが、
それでも女性には絶え難かった。
逃げ回る子ゆっくり達を、容赦無くぬるま湯の雨の柱が追いかける。
浴槽の栓は外されているので、湯が溜まる事は無い。



1分ほどシャワーを浴びせた後、女性は風呂桶の中にぬるま湯を張り、
ボディーソープを入れて泡立てた。
そして浴槽から1匹の子まりさを掴み上げる。
子まりさは女性の手から逃れようと暴れたが、女性は構わず子まりさを風呂桶の中へ沈めた。

「ウゴボボボゴボボボボ・・・!!」
「さあ、今度こそきれいきれいするわよ。」

風呂桶から子まりさを引き上げると、風呂桶の泡と湯を手に取り、子まりさの髪の毛に擦り付ける。
女性は子まりさの髪の毛を痛めないよう指先を使い、根元から毛先まで丁寧に洗い始めた。
初めは泣き喚いていた子まりさだったが、女性の指先がマッサージのように気持ちよくなったのか、

「ゆわ〜♪ ゆ〜くり〜の〜♪ おふろ〜〜♪ あわっあわっ〜〜♪」

と歌い始めた。
浴室内に響くその歌声に合わせて、浴槽からは 「「「ゆんっ♪ ゆんゆんっ♪」」」 と
3匹のハミングする声が聞こえてくる。

「はーい、こんどは顔もきれいきれいしようね。」
「ゆ〜ん♪ ゆ〜くり〜♪ りかい〜♪」 「「「ゆんっ♪ ゆんっ♪」」」

女性は手の平の上で子ゆっくりを仰向けにし、子まりさの顔を洗ってゆく。
おでこから口の周りまで女性の指先が這い回り、くすぐったそうに目を瞑る子まりさ。

「こんどは体よー。」
「まりさの〜♪ つるつる〜♪ なまあし〜〜♪」 「「「ゆんっ♪ ゆんゆんっ♪」」」

全身を女性の指先で撫で回され、子まりさはヘブン状態。

「さーて、おめめも綺麗にしようねー。」
「まりさの〜♪ キラキラ〜♪ おめめ〜♪」 「「「ゆんっ♪ ゆわ〜〜〜♪」」」

女性は子まりさの瞼を親指と人差し指でこじ開け、眼球の表面をもう片方の指の腹でこすり始めた。

「ゆっ♪!? ゆぎゃあああああああ!! ゆぎぃっ!! ゆぎぎいいいいいいいい!!」 「「「!!!?」」」

以前にTVCMでやっていた。
眼球の表面にはホコリなど、小さな汚れがたくさん付着しているのだ。
女性は専用の洗眼剤を所有していたが、使用者以外の者と共用する事は推奨されない。
ましてや他所から来た得体の知れない物体とそれを共用するつもりは無かった。
子まりさの目にソープ水をかけ、万遍なくこすり洗う。

「まぶたの裏も綺麗にしようねー。」
「びぎゃん!! やべでっ!! めがああっ!! ぼおおおうやべっでええええええ!!」
「まりさがいやがっでるよっ?! やべであげでねええええええええええええええ!!」
「ばりざぁっどうじだの!? ばりざをはなじであげでええええええええええええ!!」
「ばりざのぼうじがえじでぇっ!!! がえじでえええええええええええええええ!!」

浴室内に4匹のハーモニーが響き渡る。
洗い終えた時には子まりさの眼球はあずき色に充餡し、まるで水羊羹のようだった。



今度は女性は洗面所の棚から、買い置きの歯ブラシを持って来た。
ブラシの先をソープ水で濡らし、子まりさの口へと突っ込む。

「お口も綺麗にしないと、虫歯さんになっちゃうぞ。」
「ゆぶびゃああああああああ!!!」

女性は”かため”の歯ブラシを愛用していた。
人間にとっては何の事は無い固さだが、饅頭で出来たゆっくりの体、
ましてや水気を吸った今ではこの固さのブラシは凶器である。
女性は運動靴の汚れを落とす感覚で子まりさの口内を磨いていった。

「はぎゃぎゃぎゃぎゃ!! にぎゃぎぎゃぎゃぎゃ!! ぶびょばあああああ!!!」
「こらじっとしなさい!! 口の中が見えないでしょ。ほらベロを出してごらん。」

女性が子まりさの舌を引っ張り出そうと口の中に指を入れたその時だった。
子まりさの顎が勢いよく閉じ、女性の指先に噛み付いた。

「いったっ!!!」
「ゆべっ!!!」

思わず女性は子まりさを床に放り投げてしまう。
指先を見るとゴム手袋の先が破れ、血が滲んでいるのが分かった。
女性は風呂場から出ると洗面台で指先を良く洗い、消毒液と絆創膏で処置をした。

「もうおうじがえるうううううううううううう!!!」
「ばりざあああ!! だいじょうぶううううう?!!」
「でいぶもおうじがえりだいよおおおおおおお!!!」
「ばりざのぼうじがえじでえええええええ!!!」

別のゴム手袋を装着し風呂場に戻ると、子まりさが浴槽の縁に身を寄せて叫んでいた。
女性は子まりさの髪を掴み上げ、自身の顔の高さまで持ち上げた。
無言で見つめてくる女性の視線と目を合わせた子まりさは、激しく身を揺すって喚きだした。

「ゆうう!! はなじでっ!! ゆっぐりはなじでっ!!」
「私の目を見なさい!!」
「い゛や゛ああああ!! もおバヂンはい゛や゛ああああああああああああ!!!」

バチンーーッ!!!

その音は浴槽内の子ゆっくり達にもはっきりと聞こえ、浴槽内から喚き声が上がる。

「私の指を見なさい!! あなたのせいで痛い思いをしたのよ!! 謝りなさい!!」
「ゆああああああ!!! もうおうぢがえじでえええええ!!」

バチンーーッ!!!

髪を掴まれ、パンチングボールのように揺れる子まりさ。

「ごめんなさいでしょ!! 悪い事したら謝らなくちゃいけないって教わらなかったの!!?」
「ごおおおめんだざああい!!! もおうじまぜんがら、ゆるじでくだざあい!!!」
「よしよし、いい子ね。分かれば良いのよ。」

子まりさに微笑みかける女性。
すぐ傍の鏡で自分の姿見てみろよ。と突っ込みたくなるが、
女性は再び子ゆっくりを手の平で掴み直すと、歯ブラシを手に取った。

「ほら、ベロ出してね。」
「ゆぅ・・・ゆ・・・。」

子まりさは恐る恐る舌を出した。
女性はその舌を親指で押さえつけ、歯ブラシでゴシゴシと磨いた。

「ゆべえげええええええええええええええええええええええ!!!!」

子まりさの舌はズタズタに耕され、二度と「む〜ちゃ〜♪ む〜ちゃ〜♪ ちあわせ〜〜〜!!」と出来なくなった。
女性はぬるま湯のシャワーで子まりさの体を洗い流すと、フカフカのバスタオルで子まりさを拭いてやる。

「さ、きれいきれいの時間は終わりよー。他の子が上がるまでゆっくり待っててねー。」

飼育箱の中に子まりさを入れてやる女性。
子まりさは壁にぶつかりながら這いずり、箱の隅でガタガタと振動した。
子まりさが見る景色は、蜘蛛の巣状にヒビの入った様な模様が常に付きまとい、
近くの物でないとボヤけて見えるようになっていた。
もうどんなに礼賛されるべき絶景を眺めても、ゆっくりする事はできないのだ。
箱から遠ざかってゆく女性の後姿がボヤけてゆく。
そして風呂場の方から子れいむの悲鳴が聞こえてきても、「ゆ゛っ・・・ゆ゛っ・・・」と呻く事しか出来なかった。



きれいきれいの時間が終わり、ダイニングでは4匹の子ゆっくり達が飼育箱の中で身を寄せて振動していた。

「さーて、みんな。ごはんにしましょ。」
「「「「ゆ? ごはん!?」」」」

子ゆっくり達は床に敷かれた新聞紙の上に出される。
地獄のような拷問を受け、疲弊しきった子ゆっくり達の中に希望の灯火が再燃する。
白い皿を持った女性が近づき、子ゆっくり達の前に差し出す。
白い紙皿の上にはジャガイモ、ニンジン、玉ねぎ、の皮がたんまりと盛られていた。
TVのコメンテーターが言っていたのだ。
ゆっくりは雑食で、うちではクズ野菜や調理で出た生ゴミを食べさせて処分してもらっているのだと。

「「「「ゆ・・・・?」」」」
「さあ、溢さずゆっくり食べてね。慌てなくてもまだあるからね。」

室内にはシチューの甘ったるい匂いがまだ残っていた。
子ゆっくり達は名前も知らぬ人間の食べ物の匂いに期待を膨らましていた。
しかし目の前の”ごはん”は見るからに不味そうである。
これが期待していた物だったのだろうか。
子ゆっくり達は空腹には逆らえず、目の前に盛られた”ごはん”をその口に入れ始めた。

「「「「ゆゆっ?!!!」」」」

子ゆっくり達は困惑した。
今まで何かを口にした時は必ず「むちゃ〜むちゃ〜しあわせ〜♪」か「まぢゅい!! こんなのいらないよ!!」
の感想が出てくるはずだった。
しかし確かに口の中で何かを咀嚼する感覚はあるのだが、何も味覚を感じないのだ!
嫌な予感がする。このままではゆっくりできなくなる気がする。
慌てた子れいむが今度は別の色をした皮を口にしてみる。
結果は同じだった。
三大欲求の塊のようなゆっくり。
そこから普段最も楽しむ機会が多い”食の楽しみ”を奪われれば、1日のほとんどがゆっくり出来なくなるのは明白だった。
空腹が紛れ、食欲が満たされてゆくのは感じるのだが、
どちらかというと「しあわせ〜♪」よりも「まぢゅい!!」の感覚に近かった。
困惑する頭で考えた後、子れいむはこの食べ物を吐き出す事にした。

「ゆっ!! れいむはゆっくりきめたよっ!!
 まぢゅいっ!! こんなのいらないよ!! ぺっぺっ・・・」

子れいむが吐き出した吐しゃ物は、新聞紙の上を通り越し、ダイニングの床へと落ちた。

「みんな!! このたべものはゆっくりできないから、たべちゃ・・・」

突如、女性の足がドン、ドン、と近づいて来る。
何事かと不思議に思っている内に、子れいむはゴム手袋を装着した手で掴み上げられていた。
そして自らの吐しゃ物にその顔を向けられた。

「これは何なの!?」
「ゆゆぅ? これはおねーさんがだしたご・・・」

今度は女性の顔を見せ付けられる子れいむ。

「私の目を見なさい!!」
「ゆ゛ゆ゛っ?!!」

先の出来事が子れいむの表情に暗い影を落とす。

「せっかくのごはんが、綺麗に食べなきゃダメでしょ!!」
「ゆゆっ!! ゆっくりできないたべものは、ぺっぺっするんだよ!!」

バチンッ!!!

「ゆべんっ!!!!」

女性の手から弾き飛ばされ、床に転げ落ちる子れいむ。

「やめであげでえええええええ!!!」
「でいぶにひどいごどじないで!!!」
「いいがら、ばりざのぼうじがえじで!!!」
「あなた達もよく聞きなさい!!」

女性が再び子れいむを掴み上げると、女性の顔の前まで持ち上げた。

「私の目を見なさい!!」
「ゆぅぅぅわあああ・・・もういやだあああああああああああああああああああ!!!」
「いいこと!? これからはご飯を食べる時は新聞紙の上から溢さずに食べなさい。
 それから出されたごはんはきちんと食べる事。口に合わなかったのならこちらも努力するわ。
 けれどもあなた達も私と同じ物を食べている事を忘れないで。わがまま言う子はお仕置きです!!
 わかったかしら!?」
「ゆっぐりでぎないおねーざんは、ゆっぐりじねええええええええええええええっ!!!!」

バチンッ!! バチンッ!! バチンッ!! バッチンッ!!

「なんて言葉を使うの!!? 謝りなさい!! こういう時は『ごめんなさい』でしょ!!」

バチンッ!! バチンッ!! バチンッ!! バチンッ!!

「ずびばぜんでじだあああああ!! ごべんなざあああいいいいいいいいい!!」

子れいむは解放され、他の子ゆっくり達の元へと這いずっていった。

「でいぶぅっ!! だいじょうぶぅ? でいぶぅ!!」
「じっがりじで!! ばりざどいっじょにゆっくりじよ、でいぶぅ!!」
「もういやあああああああ!! ぼうじがぶっって、おうぢかえるううううううううう!!!」
「だからここがあなた達の”おうち”って言ってるでしょ!!」

女性は片手に持った鍋からシチューの残りの汁の部分を掬うと、ゆっくり達の餌の上に垂らしてやった。
先程よりはいくらか見た目は良くなったが、結局、子ゆっくり達の舌を満足させる事は無かった。



「いいこと? 私と一緒に暮らしていく以上、私との決まり事をきちんと守って頂戴!!」
「ゆっぐり、ゆっぐりりがいじまじだから、ゆっぐりさぜでぐだざいぃ・・・」

どうやらこの女性は極度の潔癖症以外にもいろいろとアレなようだ。
しかし子ゆっくり達が生きてゆくには女性の言う事を聞くしか無かった。
子ゆっくり達はこれから先、その心まで真っ白に洗い流されてゆくのだった・・・。



『清く、ゆっくり、美しく』前編 おわり




※後編は虐め成分はほとんどありませんので、前編で興味を持たれた方のみ御覧ください。




◆『清く、ゆっくり、美しく』後編◆

子ゆっくり達が女性の家を”おうち”にしてから1ヵ月後。
白いソファーに女性がゆったりと腰を沈め、その膝には白いひざ掛けが、
そしてその上には真っ白に漂白された帽子を被った子まりさの姿があった。
女性の右側には子れいむが1匹、左側には子れいむと子まりさがソファーの上で並んでいる。
テーブルを挟んだ正面のテレビでは、映画「ゆっくりず えんじぇる」が流されていた。

「みんな楽しい?」
「「「「ゆっくりー!!」」」」
「良かったわ。」

子ゆっくり達の髪飾りは皆、漂白され真っ白になっている。
それ以外は皆、街の広告などに描かれた標準的なゆっくりの表情のまま固定され、まるでぬいぐるみの様だった。
視線は真正面の一点を見つめたまま微動だにせず、話しかけられた時だけ相手の方へと向く。
子ゆっくり達の視界のほとんどは灰色の雲で覆われ、真正面の一部しか見る事が出来なくなっていた。

「映画が終わったら紅茶でも煎れて、お茶にしましょうね。」
「「「「ゆっくりー!!」」」」
「今日は街で評判のケーキを買ってきたから楽しみね。」
「「「「ゆっくりー!!」」」」

味覚を失った子ゆっくり達にとって評判のケーキの味など関係なかった。
生きるため、腹を満たすため、生ゴミも出されるがまま食べた。



女性との生活が始まって2週間目の夜。
その日も何回かゆっくりできない事があった。
子ゆっくり達は積もりに積もったストレスで、身も心もとてもゆっくり出来ていなかった。
眠りに着いた子まりさは夢の中で、ある”光”を見つめていた。
その光はとてもとても小さく、果ての無い暗雲の世界で儚げに輝く。
光は透明な球体で覆われており、その厚さは子まりさのほんの一押しで壊れそうなほど薄く、
光と暗雲とを隔てていた。
球体の中の輝きはオーロラの様にゆらゆらと色を変え、
耳を澄ますと中から「ゆっくりしていってね!! ゆっくりしていってね!!・・・」と微かに聞こえてくる。
その光の中を覗くと、とてもゆっくりする事ができた。
ここしばらくゆっくりできていない。

このまま光の中に入って行きたい!

ほんの一押しで、透明な球も突き破られそうなのだが、ふと思い止まる。
このまま透明な球を破ってしまうと、何故か自分が”ゆっくり”ではなくなってしまう気がしたのだ。

「(・・・・・!・・・・・!・・・・・!)」

突如、誰かが自分を呼んだような気がした。
振り返ると、そこには仲の良い3にんの子ゆっくり達の姿があった。
3にんの姿がグニャリと形を変え、暗雲となる。
その暗雲の中には子まりさの数々の思い出が投影されていた。


〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜


目の前は未だ暗闇の中。
赤まりさは「ゆっきゅりうまれりゅよ!!」と力一杯に体を揺らした。
頭の先が何かから千切れる感覚がし、赤まりさは平らな地面の上に落っこちた。
赤まりさは本能に従ってゆっくりと瞼を開く。
初めてその目で見た景色は、大小様々な”棒”や”箱”が動き回る世界だった。

「ゆぅぅぅぅ!!」

赤まりさにとっては目に見えるもの全てがゆっくりできる物に見えた。
ふと赤まりさはある事を思い出す。
それは”おかーさん”の前でゆっくり挨拶する事だった。
赤まりさは”おかーさん”の方を向こうと、ぴょんと飛び跳ね、振り返った。
しかし目の前は冷たげな色をし、鈍い輝きを放つ壁しかなかった。

「ゆぅ?」

不思議に思った赤まりさがその壁を見上げると、壁にはいくつもの穴がずらりと並んでおり、
穴の一つ一つから1本づつの茎が伸びていた。
そしてその先には、まだ目を開いていない、何にんもの赤ゆっくり達が実っているのだ。

「ゆー!! まりしゃのおとみょだちが、いっぱいだよ!!」

”おかーさん”の姿は見当たらないが、頭上を通り過ぎて行く沢山の”おともだち”に赤まりさは嬉しくなった。
そしてようやく赤まりさは眼前の壁が動いている事に気がつく。
赤まりさが生まれ落ちたのはベルトコンベアの上だったのだ。

「ゆー!! まりゅで ありゅいてるみたい!!」

このままゆっくりしていれば”おかーさん”にも会えるのだろう。
赤まりさはそのまま検査区画へと運ばれていった。


〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜


目を覚ますとそこは見た事も無い部屋の中だった。
正面の壁は透明になっており、その先には沢山の窓が並んだ壁が見える。
自分がいる部屋の中では、何にんもの子ゆっくり、赤ゆっくり達が各々ゆっくりしていた。

「ゆぅ・・・?」
「ゆ〜♪ ゆゆ〜♪ ゆっくり♪・・・あっ、めをさましたよ!!」

赤まりさの周りに子ゆっくり達が集まってくる。

「「「「「「「「「「ゆっくりしていってね!!」」」」」」」」」」
「ゆっ!? ゆっくちしちぇいっちぇね!!」

赤まりさにとって初めての同族との触れ合い、そして初めての「ゆっくりしていってね!!」だった。


〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜


赤まりさにとって子ゆっくり全てが友達だったが、中でも3にんの赤ゆっくり達と仲良くなった。
自分と同じまりさ種の赤まりさと2りの赤れいむだ。
聞けば彼女達も動く地面の上で生まれたそうだ。

「きょうもみんにゃで、ゆっくちしようね!!」
「「「ゆっくちしちぇいっちぇね!!」」」

4にんは透明な壁の前に並んで、向こう側の景色を眺めるのが好きだった。
透明な壁の向こう側には沢山の窓がついた壁が見え、その中では様々な動物達が暮らしている。

「ゆー!! ネコしゃん きょうもゆっくちしちぇるね!!」
「へびしゃんは きょうもクルクルしちぇるよ!! へびしゃんは ゆっくちできるね!!」
「れいみゅも ことりしゃんみたいに とんでみちゃいよ!!」
「トカゲしゃんの”えりまき”もかわいいけじょ、まりしゃのぼうしのほうがかわいいよ!!」

透明な壁の向こうの景色は一日中見ても飽きる事無く、とてもゆっくりする事が出来た。

ガチャンッ。
「ごはんの時間よ。」

透明な壁と反対側にある扉が開かれ、エプロンを着けたにんげんの”おねーさん”の顔が覗く。
差し入れられた皿の上には、ごはんがたんまり盛られていた。
皿の周りに子ゆっくり、赤ゆっくり達が集まり輪になる。

「「「「「「「「「「む〜ちゃ〜♪ む〜ちゃ〜♪ ちあわちぇ〜〜〜〜〜!!」」」」」」」」」」

他の動物達の餌で余った物を混ぜ合わせた物だったが、子ゆっくり達には過ぎたご馳走だった。

「なんか食べられない物があったら、ちゃんと吐き出してね。」
「ゆっくりりかいしたよ!! まずいときは、ぺっぺっするね!!」

ゆっくり専用のペットフードなど存在しない。
時々ではあるが、本当に口に合わないごはんを出される事もあった。
皆でごはんを食べた後は、思い思いにゆっくり過ごす。

「いつまでも4にんでゆっくちちようね!!」

本来ゆっくりは森に住み、大自然の中で様々な動植物に囲まれて暮らす。
本能に刻み込まれた感覚と、ここでの生活は非常に近いものがあり、
そこは子ゆっくり達にとって最高の”ゆっくりぷれーす”だった。


〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜


透明な壁の向こうには、にんげんさんのこどもも遊びに来た。
4にんはこどもの顔の前で仲良く並び、挨拶する。

「「「「にんげんしゃんのこどもしゃん、ゆっくちちて・・・」」」」

   バ   ン   ッ!!!

「「「「ゆびゃぁっ!!!」」」」

不意に透明な壁を叩かれ、驚く赤ゆっくり達。
時々ゆっくりできないにんげんさんもやってくる。
しかし透明な壁が自分達を危害から守ってくれた。

「(こら!! たかし!! お店の人に謝りなさい!!)」
パチコン!!
「(ああああ!! ごめんなさあああいいい!!)」

「ゆゆ!! にんげんしゃんのこどもしゃん、おきゃーしゃんにおこられちぇるよ!!」
「わるいことしゅると、おかーさんにおこられりゅんだね!!」
「ゆぅ・・・。まりしゃもおかーしゃんとあいたいよ・・・。」


〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜


赤まりさもすっかり成長し、子ゆっくりのサイズになっていた。
今日も友達のなんにんかが、ここを旅立って行く。
おねーさん曰く、「人間さんの所で、もっとゆっくりしにいく」だそうだ。

「とかいはなありすのほうが ながくここにいるのに、しつれいしちゃうわ!!」

最年長の子ありすが頬をぷくーっと膨らましてご立腹のようだった。
しかし、去るものがいれば、新しくやって来るものも多かった。
ここに来てからの友達も随分と減ったが、子まりさはここでみんなとゆっくりできれば満足だった。

その日の夜。
最年長の子ありすと数にんの子ゆっくり達がおねーさんによって部屋から出された。

「ようやくわたしのばんがきたのね。にんげんさんのところで、さらなる”とかいは”になってみせるわ!!
 いなかものは そこでずっと ゆっくりしてるといいわ。」

おねーさんは何も言わずに部屋の扉を閉めた。
最年長の子ありす達が居なくなり、子まりさ達4にんが部屋の最年長組となった。


〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜


数日後、透明な壁の向こうから、にんげんさんのおねーさんが覗いてくるのに気がついた。
透明な壁の前でゆっくりしていた子まりさ達は、その顔を不思議そうに見つめた。

「ゆぅ? にんげんさんのおねーさんが、のぞいてるよ!!」
「にらめっこかなぁ?」

初めは他のゆっくり達の方も見ていたのだが、やがて一番近い透明な壁の前の4にんだけをジロジロと見つめだした。
4にんぜんいん、ひとりひとりと目線を合わせてゆく。

「ゆぅ?! みんなであいさつしようね!! せーの・・・」
「「「「ゆっくりしていってね!!」」」」

すると、おねーさんの顔が微笑み、自分達の前で手を振ってくれた。

「「「「ゆうううううううううううううう!!!」」」」
「おねーさんがてをふってくれたよ!!」
「とてもゆっくりできそうな、おねーさんだね!!」
「れいむ、おねーさんとともだちになってもいいよ!!」
「まりさのかわいいぼうし、みていってね!!」

程なくして、おねーさんが透明な壁の前から消え、代わりに部屋の扉が開いた。
子まりさ達4にんが部屋から出される。

「ゆぅ!? ゆっくりはなしてね!! まりさはここでゆっくりしたいんだよ!!」
「今日からは人間のお姉さんのところで暮らすのよ。」
「おねーさん? さっきのゆっくりしたおねーさん?」
「さあ? そうかもね。」

そう言って飼育係の女性は子まりさ達4匹を箱に詰め、アルコールを薄めた霧吹きを吹きかけた。

「ゆゆ!? なんだかねむ・・た・・く・・・」

中の子ゆっくり達が眠りに落ちたのを確認すると、飼育係の女性は黒い紙で箱を包装し始めた。


〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜


ゆっくり目を開くと、子まりさは暗雲の中で3にんの子ゆっくり達と向かい合っていた。

「ゆぅ・・・。あのころにかえりたいよ・・・。」

溜まらず涙が零れてしまう。

「まりさ・・・。もうむかしにもどることはできないよ。
 でもきいてね。あのひかりはゆっくりできるよ!! きっと、とてもゆっくりできるせかいがまってるよ!!」
「れいむたちは これからさきずっとゆっくりするため、ゆっくりしたみらいのため、
 あのひかりのなかにいくよ!!」

「でもあのひかりにはいると、なんだか”ゆっくり”じゃなくなるきがするよ!!」
「なにいってるの? れいむたちはゆっくりなんだよ!!」
「ゆっくりは ゆっくりするために うまれてきたんだよ!! ゆっくりの”ぎむ”なんだよ!!」
「まりさのぼうしはこんないろじゃないよ!! もうゆっくりできないくらしはいやだよ!!」

子まりさは3にんひとりひとりと目を合わせる。

「(私の目を見なさい!!)」

突如、女性の言葉が辺りに響き渡る。

「ゆぅぅぅぅ!! もうゆっくりできないのはいやだよ!! まりさもいっしょにいくよ!!」
「まりさ・・・。みんなでいけば、きっとだいじょうぶだよ!!」
「ゆぅぅぅ。ありがとうね、みんな!!」

3にんの姿がグニャリと形を変え、暗雲となる。
子まりさは振り返り、再び光の方へと向いた。
そして迷わず光の中へと突き進んだ。
自身と光とを隔てる透明な球を突き破る。

パリィィィィィィン・・・・・!!

ガラスを割った様な音を立てて透明な球が砕け散る。
四方八方に飛び散った破片が光を反射してキラキラと煌き、
そしてその無数の破片が子まりさの顔面に突き刺さった。

「ゆぎゃああああああああああああああああああああ!!」

思わぬ激痛に飛び退く子まりさ。
光と暗雲とを隔てるものが無くなり、暗雲がドロドロと光へと迫る。
よく見ると暗雲は餡子だった。

「どおおおじでぞうなるのおおおおおおおおおおおお!!」

その時である。
餡雲に飲み込まれようとしていた光が白く眩い閃光を放ち、一瞬にして膨れ上がる。
果ての無い餡雲の世界を作っていた黒い餡子が、眩い光に照らされ、白餡へと変わってゆく。

「ゆううううううううううううううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ・・・・・・・・・・!!」

子まりさの中身は淀みの無い白餡で満たされ、その心の内はただただ白い世界が広がるのみとなった。
翌日、子まりさは外部からの刺激に対して「ゆっくりー!!」としか反応しなくなっていた。
子まりさだけではない、他の3匹も同様の有様だった。



リビングが芳醇な紅茶の香りで満たされる。
女性は買ってきたケーキを一人で平らげ、ナプキンでその口元を拭いていた。
子ゆっくり達は、”カビの生えかけた食パンに紅茶を染み込ませた物”を半分ずつ平らげ、じっと正面を見つめている。
女性はゴム手袋を装着し、ウェットティッシュで子ゆっくり達の口元を拭いてやった。

「みんなおいしかった?」
「「「「ゆっくりー!!」」」」
「これからもみんな、ずっと一緒にゆっくりしようね。」

それを聞いた子ゆっくり達がテレビの前で整列し、女性の方を向く。
左からまりさ、れいむ、まりさ、れいむの順に。

「「「「ゆっくりしていってね!!」」」」

彼女らは得意げな笑みで、来る者を遍く歓迎する。
欲望のままに我が儘を吐き散らし、挑発的な言葉を吠える事も無い。
目先の利益に目を眩ませ、徒党を組んで破壊活動を行う事も無い。
私利私欲のため同族を裏切り、辱める事も無い。
心身が反応するがままに涎や涙、体液、糞尿を撒き散らす事も無い。
日頃の厳しい躾(?!)と徹底的な洗浄作業の末、
彼女らは”ゆっくりする事を失い”、”きれいなゆっくりとなった”。



『清く、ゆっくり、美しく』 おわり




※あとがき※
都合の悪い事は聞き流し、思い通りにいかなかったら癇癪起こす。
どっちが餡子脳だよ。
そして書いてる舞台や設定に矛盾を感じつつも、都合の悪い所は目を瞑る作者も餡子脳。
書いてる途中で、ゆっくりに度の合わないコンタクトレンズ付けたらどうなるなぁ?
ってのを読みたくなったりならなかったり。
相も変わらずダルイ文章にお付き合いくださり、ありがとうございました。


※今まで書いたもの※

※「おでんとからし 〜おでん〜」
※「おでんとからし 〜からし〜」
※「トカゲのたまご 〜たまご〜」
※「トカゲのたまご 〜とかげ〜」
※「ゆっくりしんぶん <1面>」
※「ゆっくりしんぶん <2面>」
※「清く、ゆっくり、美しく」

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最終更新:2008年12月26日 07:36
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