ゆっくりいじめ系1846 ゆっくり達の生涯 『冬篭り編』 (中編)

 〜ゆっくり達の生涯『冬篭り編』(中編)〜


 第2話 〜捕食種の越冬〜

「うー♪ うー♪ 」
「いやあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛! ながみずわないでえ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛! 」
 魔法の森の一角にある地面に掘った巣穴の中、れみりゃがれいむの餡子を笑顔で吸い取っている。
「れいむ ぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ! でいぶう ぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ! 」
 2匹のすぐ傍ではれいむのつがいであるまりさがガクガク震え涙を流しながら変わりゆく相方を見つめている。
「あまあまう〜♪ 」
「ゆ゛ぁ゛っ! ゆ゛ぁ゛っ! ゆ゛ぁ゛っ! ゆ゛ぁ゛っ! ゆ゛ぁ゛っ! 」
 中身の3分の1ほどを失ったれいむは皮が垂れ、白目を剥いて痙攣を始める。
 それを見たれみりゃは餡子を吸うのをすぐさま止める。
 開放されたれいむにまりさは体を地面に擦らせながら近づいていく。
「れいむぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ! ゆっくりしないでこれをたべてね! しなないでえ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ ! 」
 まりさの口にはキノコや木の実がくわえられており、それらを噛み砕いてれいむに口移しで与えている。
 三大欲求に弱いゆっくりは、たとえ意識が遠のいている状態であっても口に食べ物が入れられれば本能のままにそれ
 を食すのである。
「ゆ゛ぁ゛っ!・・・ゆ゛ぁ゛っ!・・・・・・・・・・ま・・・まり・・・まりさ・・・。」
「れいむ ぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ! よがっだよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! 」
 まりさは涙を流し意識が戻ったれいむの事を喜んでいる。 
「う〜・・・ねむねむぅ・・・z z z z z 。」
 おなかが満たされたれみりゃは紅く染まった葉っぱのベッドの上でゆっくりと眠りに着くのであった。
 季節は真冬、れいむとまりさの巣穴には捕食種れみりゃが住みついてしまっているのだ。
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 〜秋(冬篭り前)〜

「ゆゆ〜♪ れいむ! ついにゆっくりしたおうちがかんせいしたよ! 」
「やったねまりさ! これでゆっくりふゆがこせるね! 」
 れいむとまりさの体は土で薄汚れているが、その顔は達成感で満たされていた。
 2匹の横の地面には穴が開いており、この穴こそ2匹が晩夏の頃から作り始め今し方完成した越冬用のお家である。
 これほど立派なお家が作れるのは成体ならではである。
「まりさ、あとはごはんをあつめるだけだね♪ 」
「れいむ、べっどもわすれちゃだめだよ♪ 」

「「す〜り♪ す〜り♪ 」」

 2匹は頬ずりをし合いながらお家が完成した喜びを分かち合い、そして再び絆を確かめ合う。
 季節はまだ初秋、今から越冬の食糧を集め始めてもまだまだ余裕がある時期である。

「まりさ〜ここにゆっくりできそうなきのこさんがたくさんあるよ! 」
「ゆゆ! だめだよれいむ! そのきのこさんたちをたべるとゆっくりできなくなっちゃうよ! 」

「うんしょ! うんしょ! れいむがんばって! このいしがあればすのいりぐちがかんたんにとじれるよ! 」
「うんしょ! うんしょ! ゆぅぅ、おもいよぉ・・・でもれいむがんばるよ! 」

「ゆゆぅ・・・きょうはあめがふっててごはんがあつめられないよ・・・。」
「だいじょうぶだよれいむ。あしたになればあめさんもどこかにいってるよ! 」

「まりさ! むこうでとってもゆっくりできそうなあかいはっぱさんをみつけたよ! 」
「おてがらだよれいむ! おうちにはこんでゆっくりできるべっどをつくろうね! 」

 2匹は順調に冬篭りの準備を進め、晩秋には越冬中とてもゆっくりできる量の食糧を確保する事ができていた。

 しかし、何もかもがうまくいき幸せの真っ只中にいる2匹にゆっくりと暗い影が忍び寄る。


 ガソガソ・・・ガサガサ・・・ガサゴソ・・・ガサガサ・・・

 入り口の付近から聞こえるみょんな音が巣穴の中へ木霊する。
「ゆぅ〜、ゆぅ〜・・・だいすきだよれいむぅ・・・むにゃむにゃ。」
「ゆぅ〜、ゆぅ〜・・・まりさぁいっしょにゆっくり・・・むにゃむにゃ。」
 越冬の準備で疲れている2匹はみょんな音に気づかないまま熟睡している。

 ガサゴソ・・・ガサガサ・・・・・・・・・・

 みょんな音が止み、再び2匹の寝息だけが巣穴に木霊した時だった。

 ガブッ!

「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! ! ! 」
 突如まりさの悲鳴が巣穴の中に響き渡った。
「ゆゆー!」
 ガコン
 驚いて飛び起きたれいむは勢い余って天井に頭をぶつけてしまう。
「ゆうぅぅぅ、いだいよおぉぉぉ。まりさどうし・・・。」
 れいむがまりさ方へ目を向けるとそこには・・・。

「がおー! たべちゃうぞー! 」

 れいむの目にはれみりゃが飛び込んできた。
 既にれみりゃはれいむ目掛けてタックルを仕掛けていた。
 一瞬にして餡子脳のほとんどが恐怖に支配されてしまったれいむはただ震える事しかできなかった。

 ボンッ!
「ゆが! 」

 れみりゃに突き飛ばされたれいむは顔面から着地する。
 れみりゃはすかさずれいむの足(底部)目掛けて牙を立てる。

 ガブッ!
「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! ! ! 」

 そしてれみりゃは中身が露出しないよう、器用にれいむの皮をえぐっていく。
 今れいむがされている事が先程のまりさの悲鳴の原因である。
「ゆぎゃあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! ばりざのあじがあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! 」
 既にまりさの足はれみりゃによってえぐり取られ、逃げたくても移動手段は絶たれていた。
「やめてえ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ ! れいむのすてきなあしがあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! 」
 そしてれいむの足もれみりゃによって完全にその機能を奪われた。
「うー♪ うー♪ 」
 事がうまく運んだれみりゃは笑顔で鳴き声を上げている。
 れみりゃは巣の入り口に向かうと、自分が退かした巣穴のカムフラージュ素材で巣の入り口を塞いでいく。
 そして仕上げに2匹が苦労して運んだ越冬時の巣穴封鎖用に用意していた大きめの石で巣穴の中から入り口を完全に
 塞いでしまう。
「いやだあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! れみりゃはでてってよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! 」
「ごわいよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! でいぶまだじにだくないよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! 」
 完全に巣穴が封鎖され、なおかつれみりゃも同じ巣穴の中に居るという状況に置かれ、絶望の底に突き落とされた2
 匹はただ泣きじゃくる事しかできないのであった。

 順調に越冬の準備を終えた通常種の巣穴を乗っ取り、住んでいたゆっくりを越冬用の食糧とする。
 これがれみりゃの越冬の方法である。

 これは2匹が翌日に入り口を封鎖して越冬を始めようと考えていた日の出来事であった。
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 時刻は昼、夜行性のれみりゃは2匹が一生懸命作ったベッドの上でスヤスヤと眠っている。
「「むーしゃ・・・むーしゃ・・・。」」

「「・・・・・・・・・・」」

 2匹は少しでも体力の回復を図ろうと食糧を食べている。
 その表情からはゆっくり特有のごはんを食べた時の“しあわせ〜!”な満足感など微塵も感じ取れなかった。
 それもそのはず、夜になれば目覚めたれみりゃによって死なない程度に餡子を吸い取られてしまうからだ。
「・・・まりさぁ・・・ふたりでここからにげようよぉ・・・。」
「・・・むりだよれいむ・・・いりぐちのいしはおもすぎていまのまりさたちじゃどかせないよ・・・。」
 出入り口を塞いでいる石は秋に2匹が苦労して運んだ物であり、足を傷つけられ、中身を吸われ体力も減少している
 2匹には到底動かせるものではなかった。
 周囲の空気は絶望と悲しみで支配されていた。
「うぅ・・・うぅ・・・もっどゆっくりじだいよお ぉ ぉ ・・・ふがふが。」
「れいむ、しずかにしてね! れみりゃがおきちゃったらもっとゆっくりできなくなっちゃうよ。」
 れいむは大声でぐずり出すがすぐにまりさによって口は塞がれた。
 まりさの対処が早かった事もあり、れみりゃは起きる事無くスヤスヤと眠っている。
「・・・どうしてこんなことになっちゃったのかな?・・・れいむたちゆっくりしてただけだよ・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
 まりさは何も言い返すことができなかった。
 “どうしてこんなことになっちゃったのかな?”これには明確な回答など存在しない。
 今2匹に起こっている事はただ捕食種が通常種を食すと言う弱肉強食の関係、言うなれば自然の摂理である。
「れいむたちはるになったらたすかるかな? きっとたすかるよね?」
「・・・・・そうだね・・・・・。」
 れいむはゆっくりの平均ほどの餡子脳であり、この絶望的な状況においてもどこか夢見がちなところがあった、逆に
 まりさの知能はそこそこ高い、それ故にどうあがいても助からないという事にうすうす気が付いていた。
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」」
 2匹の周囲を沈黙が支配し、何もしないままただ時間だけが過ぎて行く。 
 れいむは“春になったられみりゃが開放してくれるかもしれない”という希望的観測を胸に抱きながら、まりさは何
 の希望を見出せないままゆっくりと眠りについた。


 夜、空には満月が昇り一面の銀世界を月明かりが優しく包み込む。
 珍しくれみりゃはまだ起きておらず、捕食種とは思えないかわいらしい寝顔で眠っている。
「ぅ〜z z z ・・・ぅ〜z z z ・・・・・ぅ〜z z z ・・・・・
う゛あ゛っ!う゛あ゛っ!う゛、う゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛! ! ! 」
 眠っていたれみりゃが突如苦しみだす。
「「ゆゆ!」」
 れみりゃの悲鳴に驚いたれいむとまりさは一瞬にして飛び起きる。

 ※エンディング分岐です。

 ・・・・・おや!?れみりゃの様子が・・・・・!
 チャッチャッチャッチャ〜、チャッチャッチャッチャ〜
 れみりゃを進化させる  → A
 れみりゃを進化させない → B


 A:れみりゃを進化させる

「う゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛! う゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛! う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! ! ! 」
 突如体に激痛が走り出したれみりゃはその痛みに耐えられず、巣穴の中でのたうちまわっている。
「ままままま、まりさ! どうなってるの!?」
「わわわわわ、わからないよ! ななななな、なにがおこってるの!?」
 れみりゃの余りの悶えっぷりに2匹は体を寄せ合い事の成り行きを怯えながら見守る事しかできなかった。
「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! ! ! ! !
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 」
 そして激痛に絶えられなくなったれみりゃの意識はゆっくりと闇の中へ消えていった。

 〜れみりゃが意識を失って1日目〜

「そろ〜り・・・そろ〜り・・・まりさ、れみりゃはまだねむってるよ。」
「ゆゆ♪ きょうはなかみをすわれないよ。」
 気絶しているれみりゃを2匹は眠っていると勘違いしている。
 もし気絶している事に気付き、れみりゃを食べてしまっていたら2匹の運命は大きく変わっただろう。
 この日、れみりゃの体から音もなく翼が抜け落ちた。

 〜れみりゃが意識を失って2日目〜

「ゆゆゆゆゆ!ななななな、なにがおこったの!?」
「れれれれれ、れいむ! ま、まりさのもわからないよ! 」
 2匹が動揺しているのも無理もない。 
 目を覚ますとれみりゃに大きな変化が現れていた。
 2匹は餡子脳の理解を超えた出来事に恐怖し、巣穴の端でガクガク震えている。
 この日、れみりゃに体が生えた(ババくさい服つきで)。

 〜れみりゃが意識を失って3日目〜

「れみりゃ☆うー! 」
 ガコン
「いだいどぉー! いだいどぉー! 」
 3日ぶりに目を覚ましたれみりゃは勢いよく天井に頭をぶつけ痛そうに頭を手で覆いながらかがみこんでいる。
「なんであたまをうつんだどぉ〜?」
 れみりゃはまだ自分が進化した事に気づいていない。
 しかし、今までとは違う手足を動かす感覚に次第に気付いていく。
「???」
 れみりゃは頭の上に?マークを浮かべて何が起こったのか必死に考える。
 そして・・・ 

「う〜♪ れみりゃはぱわ〜あっぷしたんだどぉ〜☆ 」

 目を覚まして10分経過し、ようやくれみりゃは自分の体に起こった変化に気が付いた。
「「ゆぅ〜?」」
 巣の中が騒がしいので眠っていたれいむとまりさは目を覚ましてしまう。
 そしてれみりゃの姿を確認するなり・・・。

「「なんでれみりゃがおぎでるのお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ !?」」

 さすがは餡子脳、この3日間れみりゃがまったく目を覚まさないのをいい事に春まで目を覚まさないだろうと勝手に
 思い込んでいたのだ。
「う〜♪ でなーのじかんだどぉ〜♪ 」
 立ってしまうと頭をぶつけてしまうのでれみりゃは四つんばいになって驚愕の表情を浮かべている2匹ににじり寄る。
「「ゆっくりしてね! もっとゆっくりしてね! こっちにこないでえ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ ! 」」
「う〜♪ くろいほうをたべるんだどぉ〜♪ 」
 れみりゃはガタガタ震えるまりさを掴み、容赦なく牙を頬に食い込ませる。
「でいぶう ぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ! だずげ ゆっぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! ! ! 」
「まりさあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! ばりざあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! 」
 まりさの悲鳴とれいむの叫び声が巣穴中に木霊した。

「ゆ゛ぁ゛っ! ゆ゛ぁ゛っ! ゆ゛ぁ゛っ! ゆ゛ぁ゛っ! ゆ゛ぁ゛っ! 」
 れみりゃに中身を吸われたまりさは失った餡子分の皮をたるませながら危険信号である痙攣を起こしていた。
「まりさ! しんじゃだめだよ! ゆっくりしないでこれをたべてね! 」
 れいむの口からまりさの口の中へ口移しで食糧が与えられていく。
「ゆ゛ぁ゛っ!・・・ゆ゛ぁ゛っ!・・・・・・・・・・れ・・・れい・・・れいむ・・・。」
「ゆゆぅ〜、きがついたんだねまりさ! よかったよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ !
はるになったらきっとゆっくりできるよ、いっしょにゆっくりがんばろうね! 」
「・・・・・・・・・・れいむ・・・・・・・・・・。」
 れいむはれみりゃが中身を全部吸わないのは優しいからだと思っている。
 だがそんな事はない。
 れみりゃにとって食糧はこの2匹だけであり、もし中身を吸い尽くしてしまったら翌日の“でなー”が無くなってし
 まう。
 自らが生き延びるために生かされている事にさすがは餡子脳、れいむはまったく気付いていない。
 対照的にまりさはとっくにその事に気付いていた。
 ただ、一筋の希望を拠り所にして生きていると言っても過言ではないれいむに真実を話す事はまりさにはできなかっ
 た。


「う〜♪ おねむのじかんだどぉ〜☆ 」
 2匹がようやくゆっくりできると安堵した時だった。

 ガシ!

 れいむはれみりゃにがっしり捕まれていた。
「ゆゆー! やめてね! れいむはゆっくりするかられみりゃもゆっくりねむ・・・。」
「う〜♪ やっぱりまくらにぴったりだどぉ〜♪ 」
「やめてね! ひとりでゆっくりねむってね! ゆぎゃ! 」
 れいむは暴れて抵抗するが力の差は歴然であり、あえなくれみりゃの頭の下に敷かれてしまう。
「きもちいいどぉ〜♪ うー☆・・・・・z z z z z 。」
 よっぽど気持ちいいのかあっという間にれみりゃは眠りについた。
 れみりゃは気持ち良さそうにしているが、頭の下に敷かれているれいむはたまったものではない。
「ゅぅぅぅ・・・ゅぅぅぅ・・・ゅぅぅぅ・・・。」
 がっちりホールドされているれいむはからだがひしゃげ苦しそうにしている。
 そこへ救世主が現れる!

「ゆゆ! すぐにたすけるよ! まりさにまかせて! 」

 ある程度中身が回復したまりさはれいむ救出のために立ち上がった。
「そろ〜り・・・そろ〜り・・・。」
 ゆっくり這うようにして頭の下敷きになっているれいむのもとまでたどり着く。
 れみりゃに噛み付こうものならその後どうなるかは餡子脳といえどわかっていた。
 そこでまりさの考えた救出作戦とは・・・。

「れいむ、ひっぱるからいたいけどがまんしてね。」

 少し頭が良くても所詮は餡子脳、単純な作戦であった。
 それでもれいむはまりさの言葉を聞き目を輝かせて救出を待っている。
 まりさはれいむの頬を口で掴むとお思い切り引っ張った。
「ゆう ぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ! ゆう ぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ! 」
 少しずつではあるがれいむはれみりゃの頭の下から抜け出していく。
 そしてまりさはありったけの力をこめて目一杯引っ張った。
「ゆうううううううううう ! ! ! 」

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 ついにれいむを救出する事に成功した。
 れみりゃは枕を失った反動でれいむが抜けた方向とは逆に半回転するが起きる気配は微塵もなかった。
「れいむだいじょうぶ? けがはない?」
「ゆぅぅぅ、ありがとうまりさ。れいむはだいじょうぶだよ! 」

「「す〜り♪ す〜り♪ 」」

 嬉しさのあまり2匹は久しぶりに頬ずりをしあう。・・・速く離れればいいものをれみりゃの近くで。 
 れいむを救出した勢いでみょんな体勢になってしまっていたれみりゃが寝返りをうった。
 2匹が気付いた時には遅かった。 
 寝返りによって上から振り下ろされるれみりゃの手、それがまりさの見た最後の光景であった。

 グチャッ!

 悲鳴を上げる間もなくまりさはあっけなく潰された。
 れいむの時間が停止する。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まりさ? 」
 まだ何が起こったのか餡子脳では理解できていないれいむはまりさに話しかける。
「ねぇまりさ、なにねてるの? はやくおきてよ! ゆっくりしないではやくおきてよ! 」
 れいむはまりさを揺すって起こそうとするが潰れた饅頭が蘇る事などない。
「うあああああああああああああああん! ! ! ばりざあああああああああああああああ! ! ! 」
 そして正常な判断ができなくなったれいむはその悲しみと怒りの矛先をれみりゃへと向ける。 
「ゆっぐりじねえ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛! ! ! 」 

 ガブッ!

 れいむはれみりゃの頬目掛けて思い切り噛み付いた。
「うああああああああああ! いだいどお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! 」
 れいむの逆襲によってれみりゃは飛び起きる。
 そして何が起こっているかわからないまま痛みの根源目掛けて爪を振るう。

 ズサッ!

「・・・・・ま・さ・・・・・。」
 れいむの体は真っ二つになり絶命した。
 ようやく落ち着き、巣穴の現状を見た時れみりゃは凍りついた。 
「なんでれみりゃのでなーがつぶれてるんだどおおおおおおおおおお ! ! !
 なんでだどお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! なんでだどお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! なくなっちゃったどお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! 」
 れみりゃの悲痛な叫びが巣穴に木霊した。


 〜春〜

 結局れみりゃは食糧を失い、春を迎える前に餓死してしまった。
 希少種特有の我がままな性格が災いしてれみりゃは最後までれいむとまりさが蓄えた食糧を口にしなかったのだ。
 れいむの無謀とも言える反抗は結果的にれみりゃを餓死させる事に繋がった。
 れいむは自らの命を犠牲にする事によりれみりゃを倒す事に成功したのだ。
 こうしてれみりゃは食糧を失い餓死し、れみりゃによってまりさは潰され、れいむは切り裂かれ、各々の生涯を閉じ
 たのであった。


 B:れみりゃを進化させない

「う゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛! う゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛! う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! ! ! 」
 れみりゃは何かに怯えるように肉汁を顔に浮かべ苦しそうにしている。
「ままままま、まりさ! どうなってるの!?」
「わわわわわ、わからないよ! ななななな、なにがおこってるの!?」
 れみりゃの余りの苦しみっぷりに2匹は体を寄せ合い事の成り行きを怯えながら見守る事しかできなかった。
「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! ! ! ! ! 」
 れみりゃは物凄い叫び声を上げ、同時に目を覚ます。

「うー?」

 れみりゃは悪夢にうなされていただけであった。
 ちなみにその悪夢とはこんな感じである。

                      ゆっくりしね!
               ゆっくりしね!       ゆっくりしね!
        ゆっくりしね!                     ゆっくりしね!
 ゆっくりしね!            う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!           ゆっくりしね!
        ゆっくりしね!                     ゆっくりしね!
               ゆっくりしね!       ゆっくりしね!
                      ゆっくりしね!

 れみりゃにとって最悪の悪夢である。
 夢であった事に安堵したれみりゃは再び夢の中へ旅立っていった。
「「ゆぅ〜ゆっくりさわがせだよ。」」
 拍子抜けの2匹はれみりゃが眠りにつくとすぐに体力回復のため食糧を食べ始めた。


 翌日、れみりゃは目を覚ますと強い喉の渇きを覚えていた。
 目の前で仲良く眠っている通常種達の餡子を吸ったところで到底潤せるものではなかった。
「ぅ〜・・・・・・・・・・う〜♪ 」
 なにかひらめいたのかれみりゃは笑顔で2匹のもとへ擦り寄っていく。
 れみりゃはまりさの後ろに回り込むと翼をまりさの両頬にあて小刻みに振動を与え始める。
「・・・ゆふ・・・ゆふふふふ・・・。」
 まりさの口はだらしなく開かれ、頬は赤みを帯びていく。・・・発情である。
「ゆぅ〜まりさうるさくてゆっくりねむれ「ゆ゛っゆふふふふふふふふふふ! 」」
 れいむはまりさの変わりように声を失った。
 そして発情し、理性を失ったまりさはれいむに頬を当て振動を与え始める。
「や、やめてね! まりさやめて! あがぢゃんでぎぢゃうよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! 」
 れいむは必死に抵抗するが自身もまりさの振動で少しずつ気持ち良くなっているため、次第に理性を奪われていく。
「「んほおぉぉおぉおぉおぉおお! ! ! 」」

「「すっきりー!」」

“すっきり”を迎えた2匹はすぐに理性を取り戻す。
「ばりざのばがあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛! あがぢゃんでぎじゃっだよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! 」
 れいむの頭からは緑色の蔓が生え、ぐんぐん成長していった。
 その光景を見たまりさの顔は真っ青になっていた。
「ま、まりさはわるくないよ! わるいのはれみりゃだよ! 」
「なにいってるの? ばかなの? まりさががまんすればれいむはにんっしんしなかったんだよ! 」
 まりさの言っている事は正論ではあるが、身篭った事で目覚めた母性愛溢れるれいむには届かなかった。
「どおじでぞんなごどいうのおおおおおおおおおお ! ! ! 」
「ぷんぷん! まりさなんかきらいだよ! ごめんねおちびちゃん、ばかなまりさのせいでゆっくりできないよ。」
 どうやらこのれいむ、ゲスの素質を持っていたらしく身篭った事により母性愛に誘発されその素質が表面に現れてし
 まったようだ。
 れみりゃはというと遠巻きに2匹の醜い争いを笑顔で見守っている。・・・正確には、実っているプチゆっくりを。

 〜30分後〜

 未だに2匹は醜い言い争いを続けていた。
 れいむに実ったプチゆっくりはれいむ種とまりさ種が5匹ずつ、もういつ誕生してもおかしくないほど成長していた。
「う〜♪ 」
 れみりゃは言い争っている2匹に近づくとまりさ目掛けて軽い体当たりを繰り出した。

 ボンッ!

 弾き飛ばされたまりさはコロコロと巣の奥に転がっていった。
「ゆん! ばかなまりさにはおにあいだね! おちびちゃんはすこしでもれいむがゆっくりさせてあげるよ! 」
 れいむはれみりゃが近くにいるからおちびちゃんがゆっくりできないとしか考えていない。
 れみりゃの真意、つまりなぜまりさを発情させて子供を作らせたかなど理解していないのだ。
 そんなこんなしているうちにプチゆっくり誕生の瞬間がやってくる。

 プチッ! (やっちょおか〜しゃんにあえりゅよ! じょうじゅにあいしゃつしゅりゅよ! )

 最初に生まれ落ちたのはプチれいむであった。
「ゆ〜♪ おちびちゃんがうまれるよ! 」
 傍にれみりゃがいる事も忘れ、れいむはプチれいむの誕生を喜んでいる。
 プチれいむは地面に落ち、母親に会う瞬間を今か今かと待ち望み落下している。
 そして産まれ落ちたプチれいむはゆっくりとれみりゃの口の中へ落ちていく。
「ゆっくりしちぇ ゆぎゃ・・・。」
「あまあまう〜♪ 」 
 みずみずしい新鮮な餡子がれみりゃの喉を潤していく。
 れいむは大きく口を開け、愕然としたまま凍りつく。
 れいむが凍りついている間にもプチ達は次々と誕生してはれみりゃの口の中へ吸い込まれていく。

「ゆっくり ゆぎゃ・・・。」
「ゆっくり ぴぎゃ・・・。」
「ゆっくりし ぴぎゃ・・・。」
「ゆっ ぴぎゃ・・・。」
「ゆ ゆぎゃ・・・。」
「ゆっくりしちぇ ゆぎゃ・・・。」
「ゆっく ぴぎゃ・・・。」
「ゆっく ゆぎゃ・・・。」

 プチッ!(はやくみんにゃにあいちゃいにゃ♪ )

 そして最後のプチまりさが落下する。・・・れみりゃの口の中へ。
 プチまりさが見た最初で最後の光景、それは姉妹達の見るも無残に噛み砕かれた惨い光景であった。
「ぴぎゃあ ぁ ぁ ぁ ぎゃ! ・・・。」
「う〜♪ う〜♪ あまあま〜♪ あまあまう〜♪ 」
 こうしてすべてのプチゆっくりがれみりゃのおなかの中へ収まった。
 れみりゃは久しぶりに食べた新鮮な餡子に上機嫌である。
「・・・れいむ・・・かわいい・・・あがぢゃ・が・・・ゆが・・・。」
 目の前で起こったあまりのショックな出来事にれいむは気絶してしまった。
「れ、れいむ! しっかりして! 」
 巣穴の奥に飛ばされていたまりさが傷ついた足の痛みに耐えながらようやく到着した。
 あれだけ貶されておきながら相方のことを気遣うとはなんとも健気なゆっくりである。
 喉の渇きは消え、お腹もいっぱいになったれみりゃは寝床へ戻りゆっくりと眠りについた。


 〜春〜

 れいむとまりさはまだ生きていた。・・・2匹とも痩せ細り地面に横たわっているが。
 れみりゃによる度重なる強制すっきりにより子供を産み続けた結果、食糧が減り飢餓状態に陥ってしまったのだ。
 れみりゃはと言うと・・・。
「うー! うー ♪ 」
 食糧事情を計算していたのかは不明であるが、元気一杯であった。
 そしてれみりゃは出入り口を塞いでいる大きめの石を軽々と退かし、カムフラージュ素材も退かした。

 ピュ〜

 春の心地よい夜風が巣穴の中へ吹き込んでくる。
「う〜〜〜♪ 」
 2匹を残したままれみりゃは春になった夜の森へ消えていった。
「ま・・・っ・・・て・・・ご・ろ・じ・で・・・・・。」
「お・・・ね・・・が・・・い・・・だ・ず・げ・で・・・・・。」
 れいむの希望通り春になったられみりゃは開放してくれた。
 ただ、巣穴には食糧は残されておらず空腹でまったく動く事ができない2匹にとっては殺されるよりもひどい仕打ち
 であった。
 もっともれみりゃが2匹を殺さなかったのは痩せ細った成体ゆっくりの餡子が単にまずいからであった。
 こうしてれみりゃは無事春を迎える事に成功した。
 れいむとまりさも春を迎える事はできたが、数日のうちにその生涯を閉じる事になるだろう。

 第2話 〜捕食種の越冬〜 END






「ゆだんしたわね! このすぺーすはぱちぇがのっとったわ! 」

 再び変なのがわきました。

 番外編 〜がんばれゆっくりぱちゅりー2(再)〜

「むきゅ〜♪ このにんげんのおうちにきめたわ! 」
 現在ぱちゅりーはとある人間の家の縁の下に居る。
 人間の家の縁の下ならある程度の温度に保たれ、また崩れる心配もないと考えたのだ。
 このぱちゅりー意地でも1匹で冬を越すつもりらしい。
「むきゅ〜♪ おうちもきまったしあとはしょくりょうよ! 」
 ぱちゅりーが縁側へ顔を出すと目の前に大量の野菜が置かれており、人間も近くにはいなかった。
「むきゅ!? てんのめぐみだわ! これでふゆがこせるわ! 」
 ぱちゅりーは重い野菜を何度も何度も往復して巣に運んだ。
 しかしぱちゅりーは気が付いていなかった。・・・遠くの柱の影から様子を窺う少女の影を。

 冬が到来し、本格的に越冬が始まった。
「むきゅ〜♪ かいてきだわ♪ 」
 頑丈で暖かい縁の下にぱちゅりーは満足していた。
 野菜も新鮮で野生では到底得られないほど美味しかった。
 ぱちゅりーはこの世の幸せを満喫しながら越冬生活を送っていた。

 そんなある日、事件が起こる。
「むきゅー! さ、さむいわ! それにぱちぇのたいせつなしょくりょうもないわ! 」
 目覚めると巣穴からは温もりと食料が消えていた。
 何が起こったのかわからないぱちゅりーは仕方なく外に出るため縁側へ顔を出す。
 そこで待っていたのは・・・。

「こんにちは、待っていたわよ饅頭さん。」

 ぱちゅりーの目には一人の少女が飛び込んできた。
「むきゅー? おねえさんはだ・・・むきゅ! 」
 質問の途中でぱちゅりーは少女の横に置いてある野菜に目がいった。
「それはぱちゅりーのしょくりょうよ! かえして! 」

「ふふ、ふふふふふふ、その必死な顔、いいわ〜それが見たかったのよ。」

「むきゅ?」
 少女の言っている意味がわからないぱちゅりーは?マークを浮かべている。
「頭の悪い饅頭でもわかるように説明してあげるからよ〜く聞きなさい。
 あなたがこっそりと私の家の床下をお家にしているのは初めから知ってたのよ、この屋敷にやってきた日からね。」
「むきゅ!?」
「それにこの野菜、これも私が用意してわざわざあなたのお家の前に置いてあげた物なの。」
「むきゅ!?むきゅん!?」
「つまりね、あなたは私の手のひらの上で踊っていたに過ぎないのよ!
 でもここまで思っていた通りに動くなんてさすが饅頭ね、ふふふふふ。」
「な、なんでそんなことするの? 」
「それはね、頭がいいと思い込んでるバカな饅頭の絶望する表情が見たかったからよ!
 そうそう、お家はもう貸さないし野菜も返さないわよ。」
 その言葉を聞き、ぱちゅりーは少女の言った通りの表情を浮かべそのまま気絶してしまう。
「ふふふふふ、いいわ〜その顔、完璧だと思っていた事が崩れて絶望に突き落とされた時の顔! 私はそれが見たかった
 のよ! 」
 少女は気絶した饅頭を抱えるとそのまま家の中へ入っていった。
「たまにはこうやっていたぶって遊ぶのもいいわね、冬はゆっくりが少なくなってあまり潰して遊べないもの。
 あぁ、速く春にならないかしら・・・。」

 翌日、ぱちゅりーのこの世のものとは思えない断末魔が少女の屋敷に木霊した。
 ぱちゅりーが住み着いた屋敷の門には『稗田』という表札が下がっていた。


(むっきゅーーー! まだよ! まだおわらな・・・。)
(に・が・さ・な・い・わ・よ! )
(むぎゅう ぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ! もうやめでえ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛! )


 後編へ続く

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最終更新:2008年12月31日 18:57
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