ゆっくりいじめ系2112 畑荒らしゆっくり

ゆっくりが幻想郷に出始めた頃のお話


幻想郷のとある森の中。その奥深くにはささやかな畑と一つの小屋が。
真昼だが辺りは鳥の鳴き声がするくらいで、人の気配はない。
だが、ちょうど収穫間近のキャベツの影にはなにやらうごめくものが。
「それ」はガサガサとキャベツを揺らし、バリバリと音を立てながら貪っているようだった。
時折、声のようなものも聞こえてくる。

と、そこにカゴを背負った畑の主と思われる青年が森から姿を現した。
人付き合いは皆無で、たまに収穫した作物を街の市場へ売りに行くといった生活を送るこの青年。
今日もはした金と酒や食料などを調達し、住処へと戻ったのだった。
また、畑は小屋の入り口の裏に位置していたため、帰宅した青年が異変に気づくことはなかった。

疲れを癒すように椅子に腰掛け、さっそく買った酒を注ぎチビチビと飲み始める。
至福の時、ふと暇つぶしにと、ついでにもらってきた瓦版を手に取る。
ちなみに今号の一面は「幻想郷で謎の妖怪?が繁殖??」というものだった。

「へえ・・」

読み進めると、その妖怪は大きさが大小様々な饅頭のような生物らしい。
また、ある程度の人語を解し、自らも簡単な受け答えや意思疎通が可能であるという。
記事中では絵も交えて2種類が紹介されていた。
黒髪と紅白の頭飾りが特徴の「ゆっくりれいむ」と
黒いとんがり帽子に金髪が特徴的な「ゆっくりまりさ」
どちらも可愛いような可愛くないようなつかみ所のない人間の生首のような妖怪だ。
実際に絵で見るとますますもって気味が悪い。
どちらも「ゆっくり」が口癖であること、幻想郷の有名人の顔が象られていることなどから
人々の間でその名が付いたという。
「それ」は普段山奥や森などの人里から離れた場所に住み、昨今急速にその数を増やしているらしい。
人間の田畑も食害にあっているという。となっては青年にとって他人事ではいられない。

「まさかな・・・」

ふと不安になった青年。酒を置き、畑の様子を見に小屋を出る。
畑に到着し辺りを見回ると、悪い予感は的中してしまっていた。

「あっ!」

青年は思わず声を上げる。
栽培されていた野菜の内、キャベツの一部は、無残にも食い荒らされていた。
その奥には音を立てながらキャベツに集っている、人間の頭より少し大きい2つの丸い物体。

「・・・ゆっ ゆっ♪」
「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」

「・・・こいつらは・・・」

間違いない、記事で見たゆっくりとかいう妖怪だ。
そしてそれぞれ姿の違うその「ゆっくり」はまさに「ゆっくりれいむ」と「ゆっくりまりさ」に他ならない。

「おい!そこの!!」

大声で怒鳴ると、2匹のゆっくりはびくっと体を震わせる。

「ゆゆっ!?」 「ゆっ??」

同時に振り返るゆっくり。何が起こったかわからないといった顔でこちらをぽかーんと見つめる。
だがすぐ我に返ったようで、大きく口を開いた。

「ゆっくりしていってね!!!」

なるほど、だから「ゆっくり」なのか、と無理やり納得する。
記事の絵の通り、どこか人をバカにした間抜け面に力が抜ける。

「ゆっ おじさん、だーれ?」
「ゆっくりしてるの?」

畜生に人の事情はわかるまい。
青年が立ち尽くしていると、ゆっくり2匹が足下まで寄ってくる。
なんだこいつら警戒心もまるで無しか、とすっかり怒る気もなくした青年。

「ここはねー、おじさんの畑なんだよ。畑。」

力なくゆっくりに話しかける。

「はたけ?なにそれ?おいしいの?」
「ここゆっくりできるところだね!」

微妙に人の神経を逆撫でするゆっくり達。そして更に喋り続ける。

「おなかいっぱい!!」
「ゆっくりー!ゆっくりー!」

「あのねえ、おじさんはね、ここで野菜を作ってるんだよ。
勝手に人のものを食べちゃダメじゃないか」

怒りを抑え、人語を解すのだから説得もできるはずだ、とゆっくりを論す。

「ゆ~? だめ?」
「ゆっくりたべたい~」

だめだこりゃ、と青年はため息をつく。
と、その時脇の草むらからガサガサともう1匹のゆっくりらしきものが姿を現した。

「む、むきゅぅ~ ぜぇ~ぜぇ~」

かわいらしい?帽子をかぶったそのゆっくりらしきものはは、ズルズルと体を引きずりながら
息も絶え絶えで青白くなっていた。

「ぱちゅりー!!」
「ゆっくりおそいよ!」
「む、むきゅぅぅ・・・ むきゅっ??」

会話から察するに、これも2匹の仲間で、ゆっくりの一種らしかった。
ぱちゅりーと呼ばれたそのゆっくりは青年に気づいたのか、一瞬戸惑いを見せた。

「ぱちぇもおじさんといっしょにゆっくりしよう!」

こちらの気も知らずに、と青年は歯をかみしめた。

「ゆっくりー!」「ゆっくりー!!」「むきゅ~」

こうして目の前のゆっくりが3匹になってしまった。
力尽くで追い出そうとも考えたが、初めて目にする得体の知れない相手だけに
うかつに手を出すのは得策ではないと青年は考えていた。

「ゆぅっ!おじさんはゆっくりでていってね!」

突然ゆっくりまりさが体当たりを仕掛けてきた。
思わず青年は驚きのけぞったが、と同時にこの饅頭の非力さにも驚いた。
妖怪と聞いて若干は警戒していたが、その必要もなさそうだ。
足下で必死にボテンボテンと体当たりをするゆっくりを見下ろし、安堵する。

「ゆっ?まりさのおぼーし!ゆっくりかえしてね!!」

しつこいのでまりさの帽子をむんずと掴み取る青年。
不測の事態に体当たりを止め、届かない帽子にジャンプを繰り返すまりさ。

「なあ、お前たち。ここは人間が野菜を育ててる場所なんだよ。
それを勝手に食べちゃダメだ。わかったら出て行ってくれないか?
出て行ったら帽子を返してあげるぞ」

これ以上相手にするとキリがないので、何とかゆっくりに譲歩してもらう他はない。

「ずるいよおじさん!はえてきたおやさいひとりじめして!!」
「ゆっくりはやくまりさにおぼうしかえしてね!!」
「むきゅ!そーよ!ごほっごほっ」

「駄目だこいつら・・・」

何度話しても時間の無駄だと実感した青年。
話して駄目なら実力行使しか手はない。
ふと近くにあった棒きれを振りかざし、地面に叩きつける。

「「「ゆっ!!?」」」

「ほらっ!!いい加減にしないと痛い目見るぞ!!」

同時に持っていたまりさの帽子を森の茂みに勢いよく投げ捨てた。

「ゆっ!まりさのおぼーし!!」
「ま、まりさ ゆっくり待ってね!!」

帽子を追いかけ茂みに消えるまりさ、後を追いれいむとぱちゅりーも奥へと消えていった。

「ふう・・・」

ゆっくりは追い払った、しかしまた来るかもしれないという懸念は青年の中に当然あったが
とりあえず被害にあった野菜の世話に戻る。
食い散らかされたキャベツと、青年は知る由もないがゆっくりの残していった排泄物を片付け
青年は小屋へと戻った。椅子に腰掛け飲みかけの酒を口にし、一息つく。

「そろーり、そろーり」

ぴくりと聞こえたその声。動きを止め耳を傾けると、間違いなくさっきのゆっくりの声。
裏の窓からそっと様子を見ると、性懲りもなく再びあの三匹が畑へと侵入していたのだった。

「あいつら・・!ったく・・・」

やはりというか再び現れたゆっくりにウンザリしながら畑へ向かった青年。

「おい!お前ら!」

「ゆっ? またきたよまりさ!」
「おじさんしつこいよ!」
「むきゅっ!ここはわたしたちのゆっくりぷれいすよ!」

「はぁ・・・(何を訳のわからないことを・・・ それにしつこいのはお前たちだろうに)」

しつこさに業を煮やした青年ではあったが、相手が人語を喋る得体の知れない生物ということで
対処を決めかねていた。
さっきのゆっくりの攻撃は青年にとってまったく取るに足らないものだった。
よって、おそらくこちらが手傷を負うことはないだろう、という読みはある。
とはいえ人間の頭の形で、人間の言葉を喋る生物をどう駆除すればいいか。
青年の中には当然の迷いがあった。

「ゆっ!まりさ、ちゃんすだよ!」
「おじさん、あしもとがおるすだよ!」

隙を突いたつもりなのか、ボヨンボヨンとまた青年の脚に体当たりを繰り返すまりさ。
同じことを繰り返す学習しないこの生物に、青年の迷いも少し晴れた。

「(そういえばこいつら饅頭なんだよな、ならちょっとくらい痛い目見せてやっても・・・)」

「ゆぼっ!!?」

効かない体当たりを繰り返すまりさに正面から蹴りを食らわせた。
まりさは茂みの側まで吹っ飛び、青年の脚には何とも言い難い、柔らかくやや重い感触が残る。

「(あっ やりすぎたか?)」

吹っ飛ばされたまりさは動かない。他二匹もいきなりの反撃に驚いたのか、呆然としている。

「・・・ゆっ? ・・・まっまりざあああああ!!!」
「むぎゅううう!!」

慌ててまりさの元へ向かう他二匹。まりさはよろよろとこちらへ向き直る。

「ゆ゛っ・・? どぼじで・・・なにがおきたの・・?」
「まりざあああじっがりじでえええ!!」
「ゆ゛っ・・・これくらい・・だいじょうぶ・・だよ・・・」

力の差を見せつけたはずだが、まだわからないのだろうか。
そもそも何をされたかもわからない様子だった。
頬の辺りの皮が破け、黒いものが覗いている。
裂けた皮の辺りを舌で仕切りに舐めるれいむを静止し、再び青年へと向かうまりさ。
先ほどは跳ねていたが、ダメージが大きいのかズリズリと地面を這うように。

「(まだ懲りてないのか・・・ あのはみ出てるのは・・・饅頭だから餡子なのか?)」

「ごごはまりざだぢのゆっぐりぶれいずなんだよ・・・ じゃまじないでね・・・」

自分勝手なことを呟きながらこちらに這いずるまりさの姿に、
青年の中で言いしれぬ嫌悪感と怒りがこみ上げてきた。
相手は動物でも妖怪でもない。饅頭だ、食べ物だ。
そう言い聞かせ、さっきの棒きれを手に取り、思い切りまりさに振り下ろす。

「このっ!!このっ!!」

「ゆ゙っ!!ゆ゙っ!!ゆ゙ばっ!!ぶっ!!や゙っ!!べでっ!!ばっ!!」

「や゙っや゙べでえ゙え゙え゙え゙え゙!!!ばり゙ざがあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!」
「むぎゅうううううううううううううう!!!」

何度も何度も叩きつけられ、まりさはやがて声も発しなくなった。
帽子がひしゃげ、口や傷口から餡子を漏らしたズタボロの饅頭がそこにあった。

「ば・・・ば、りざ・・・あ゙あ゙あ゙・・・」
「・・・」

ぱちゅりーはすでに気を失っているようであった。
れいむも目から涙を流し、嗚咽を漏らしている。

「人の畑で好き勝手したからだ、悪く思うな」

青年は失神しているぱちゅりーを掴み、底部に両手の指を食い込ませ
思い切り両側へと引っ張った。

「む゙ぎっ!!!!」

短い叫びと共に、真っ二つに裂けた皮から中身がボタボタと流れ出る。
数秒で手には皮だけが残り、地面にはクリーム状の中身と目玉が残された。
一匹残ったれいむは全身から汗のようなものを流し、ただブルブルと震えている。

「ゆ゙・・ぁぁ・・・だ、だずげで・・・ おねがいじまずぅぅ・・・」

「・・・どうせまた来るんだろ?」

「ま、まっで・・・!!」

青年は情けを捨て、棒を思い切り頭に突き刺す。

「ゆ゙っ!ゆ゙っ!ゆ゙っ!ゆ゙っ!」

目を見開き身体を震わせるその様に、不気味なものを感じた青年は
れいむを突き刺したまま棒を思い切り振り、森へとぶん投げた。

「はー・・・何か胸糞悪いな・・・ また同じようなのが来なきゃいいが」

ゆっくり駆除の後片付けをしながら、青年は今後が心配でならなかった。
そして同じ頃、幻想郷の各所では増殖したゆっくりが様々な問題を引き起こすのであった。

おしまい




実は半年位前の書きかけです。今ごろ気付いて中途半端に完成させUPしました。
やっつけですいません。ネタも平凡ですいません。
書きかけのネタは他にもあるんですが、飽きっぽいので今後は未定です。。。

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最終更新:2009年02月01日 20:50
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