ド口ワ系15 Lily Green

 お題『オリキャラ』

 注意
 1、Y・Yが書きました。
 2、緑髪分が多いです。
 3、虐待分なし。“無い”だからね!絶無だからね!
 4、他作者様が出ます。
 5、秋姉妹は出ないからね!!彼女達は立派な東方キャラだよ!!ゆっくり理解したうえで彼女達を『オリキャラ』っていじってあげてね!!
 6、以上の内、どこかの項目が一つでも納得出来ない方は見ない方がいいと思います。
 7、ごべんなさい。後にも言いますがごべんなざい。




 AM5:00。私の朝はそれなりに早い。

 夜がまだ眠らない頃に目を覚まし、朝日が顔を見せる頃には準備を済ませて出掛ける。
 今朝は部屋の窓を挟んだ向こうの世界は酷く寒いのだろう。窓を伝わり進入した寒気が私の部屋を占領し、布団がその温もりを最大限に活用し私を逃すまいと誘惑する。
 半覚醒した意識が、ぬるま湯に浸かったゴムボールのように浮き沈みを繰り返し、心地よさの反芻が夢と現実の境界を行き来している。

「おきて!おきて!時間になったよ!!」

 不意に私を現実に引きずり出そうとする存在。布団越しに私の胸の上で跳ねて揺れて覚醒を促す。
 10cm程度の球型の生き物。正式名称は不明だが“ゆっくり”と呼ばれている存在。私の目覚ましは彼女の仕事の一つ。

「…うん、おはよう。」

 不意にムクりと上半身を起こし、羽毛と綿の甘美な誘惑を振り切る。流れ込んだ冷気が僅かな後悔と覚醒を生む。
 間抜けな声と共に太もも辺りに何かやわらかな感触を感じた。突然の出来事に対応することが出来ずに前のめりになった私のペット。

「おはよ!おはよ!おなかすいたよ!!」

 朝から元気な私のペット。
 朝御飯の準備は私の仕事。眠い目を擦る私の前にエプロンを頭にのせてすぐにキッチンへ行こうとさせる私のペット。
 目覚ましという仕事をキチンとこなしてくれるこの子が好きなのは玉子料理。
 お砂糖少し大目の甘いだし巻き玉子をこの子に作って、私はいつも通りオムレツにしようと朝御飯の献立を想像する。

 卵焼き用の長方形のフライパンを熱し、油を引く。
 溶き卵を最初は気持ち多めに敷き、徐々にたたんでいき芯を作る。
 芯を作り終えたら、油を敷きなおし、後は同じように薄い玉子焼きをつくり、芯に巻きつけて形にしていく。
 ある程度の大きさになったらお皿に盛り付け包丁で食べやすい大きさにカットする。
 私のペットが切断面とにらめっこして、焼き目の層を目で追っていた。

「ぐるぐる、ぐるぐる、ばーむくーへんみたい!!」

 今度はオムレツ。フライパンを適度に熱し終えたら調理開始。
 フライパンにバターを溶かし卵をを一気に入れ、手早く済ます。
 玉子が丸みを帯びていく度に私のペットが大はしゃぎ。

「おむれつ!ぷるぷる!今日もおいしそう!!」

 お皿に盛り付け着席する一人と一匹。
 オムレツの他にもコンソメスープとトースト、サラダ。
 多いかな?…でも、朝御飯はしっかり食べるのが良いと私は考えているから問題はないはず。

「「いただきます。」」

 突然だが、私の習慣の一つに、オムレツに今日の目標をケチャップで描くというものがある。
 簡潔明瞭に“ぶいん☆”と描き、フォークとナイフを手に持つ。

「ぶいん!ぶいん?なにそれおいしいの?」
「部員は食べ物じゃないわ。…同じ趣味を持ったお友達みたいなものかな。今日はそういう子を探すの。」
「ともだち!ともだち!!ゆっくりできるね!!」

 そういうなり、残りの出し巻き卵をペロリと平らげ、玄関前で跳ねてみせる私のペット。
 友達探しがよほど楽しみなのか、まだ見ぬ友達に思いを馳せ、キラキラした目で私を見つめる。



「ゆりえ!ゆりえ!はやくいこうよ!!」
「解ったから落ち着きなさい。サラダも残さず食べないとダメよ。」



 苦笑しながら私のペット、“小百合(こゆり)”を諭す。お残しだけは絶対に許さないから。


 …
 ……。
 薄暗い朝の通学路、朝露で湿った土の匂いと頬を裂く寒風。
 お揃いの緑の髪、お揃いの赤いチェックのマフラー、お揃いの白い息。

「ぶるぶる…ぶるぶる…さむい、さむいよゆりえ!」
「文句言わないの小百合。部室まで耐えようね。」

 早足で校門まで歩くと、働き者の用務員、大貫さんがちょうど校門を開ける所だった。
 強面で怖そうな風貌だけれど、彼が手入れをしたお花は生き生きしているし、彼の飼っているゆっくりも生き生きしているし、生徒に混じって麻雀やトランプなどで一緒に遊んだりするところから察するに、彼は“実はいい人”なのだなと私は認識している。

「ぜんじ!ぜんじ!おはよう!!」
「小百合!!”大貫さん”でしょ、もう…。…ゴメンなさい大貫さん、お早う御座います。」
 彼も少しだけ笑い“お早う”と返してくれると、次の仕事があるのだろうか、乱れの無い動線を描き用務員室の方へ歩いていった。


 ふと、以前に彼について友達と話したことがあるのを思い出した。 

 …この学園は校門は夜になるときちんと施錠されているため、少なくとも私が登校する6時前までには大貫さんは校門を開け、用務員室で彼の飼いゆっくりと共に待機していることになる。

 朝はこのように誰よりも早く起きて校門を開け、昼は昼で校庭のお掃除や、花壇のお手入れ(授業中でなければ私も手伝う)、周囲に住むゆっくりの世話やら間引き。学園の備品の管理。
 夜は夜で全校生徒が全て下校し終えてから施錠しているが、この学園は夜が長いらしい。夜間部の授業でもあるのだろうか?
 …私は早く帰らないと次の日がつらいからさっさと帰るけれども。
 夜間部?もあるのだから、必然的に彼が仕事を終えるのは夜遅くになる。
 大貫さんがいつ寝ているのか…、学園の不思議の一つに登録しても問題は無いのかもしれない。


 広い校庭の隅にある部室棟の一角、さらにそこから少し離れた和造りの建物。我が園芸部の部室。
 元々は茶道部の部室だったらしい。だが、茶道部が廃部になってから久しく使っておらず、去年、私が新規に部の申請をした園芸部が部室として使用する事を認められた経緯がある。

 畳が香る部室。一番乗りと座布団にダイブする小百合。エアコンのスイッチをつける私。
 座布団の上でゆっくりする小百合を眺めながらぼんやりと考える。 

 …一般的にゆっくりという存在は、赤白のれいむ種、黒白のまりさ種、カチューシャが可愛いありす種、辺りが飼うにはポピュラーであるし、手に入りやすい。
 だけれども、小百合はそのどれにも該当しない緑の髪が特徴的な種。何種と呼ばれているのかは解らないが、他の種と圧倒的に違う部分は花が大好きで食さないという事。
 少し生意気であるが、人が嫌がる事や嫌がる行動は滅多にとらない。本人曰く“自分が最高にゆっくり出来る時は誰かと一緒に笑顔でいる時、一緒にいて楽しい時だから、怒って欲しくないし、泣いて欲しくもない。”所々要約した上に私の言葉に言い換えたが、そういう事らしい。
 そんな小百合だが、他のゆっくりとはウマが合わない事が多いらしい。結構な頻度で“真の意味での『ゆっくり』の何たるかを理解していないゆっくりが多すぎる。”と愚痴をこぼす。ある時
「じゃあ、ゆっくりって何なのかな?」
 と、問いかけたが、
「うーん、うーん…。いちばんはゆりえ!ゆりえがそばに居るとき!!」
 と返された。嬉しいような気がするが答えになっていない気がするのも事実。
 ゆっくり種において多義を指すものを言葉で説明せよと求めても難しいのであろう。意地悪を言ってしまったのかもしれないと後になって反省した。
 この学園に飼いゆっくりをつれてくる者は多くは無い。学園で生活していれば10分に1回以上の割合で聞こえるゆっくりの断末魔がそれを物語っている。だけれども、ゆっくりに学園指定の名札を着けさせていれば余程の事がない限り学生が飼いゆっくりを虐める事はないし、名札のある子が野良のゆっくりに襲われていたりすれば、学生が助けてあげたりもする。
 色々とぶっ飛んでいる学生や先生が多いのがこの学園の特徴ではあるが、そういったルールを破る分別とモラルが無い者は殆どいないので安心してつれて来られる。私にとって小百合を家に一人にしておくことの方が安心できない。

 部室に置いてある麦藁帽子を小百合にかぶせ、名札をつける。名札には“名:『山葉 小百合』主:『山葉 百合枝』組:『2-A』”と書いてある。迷子になった時や怪我をした時などの、もしもの時は助かるが、当然、同時に飼い主に対する責任問題も発生する事になる。

 …
 ……。

「ゆりえ?ゆりえ?ぼーっとしてる?」
 突然の声に思考を中断させ現実に戻る。
「あ、…うん。ちょっと考え事。どんな子を勧誘しようかなって。」
 実際に考えていた事は別の事だが、今日の目標は忘れてはいない。言葉にする事で思考の主点をこちらにシフトさせる。
 園芸部の部員数は2。内訳、1人と1匹。言うまでも無いが片方は学生ですらないし人ですらない。今になって思えばよく部活動の申請が通ったものだと思う。大らかな学風に感謝の意を示さなければなるまい。
 どんな部員がいいか?私の問いに反応し
「花が好きな子!ゆりえが好きな子!ゆっくりできる子!!」
 小百合副部長(仮)はいつも難しい注文を投げつけてくれる。
「…はい、副部長の案は良く解りました。確かにお花が好きな子が入ってくれれば嬉しいね。でも、汚れる仕事が多いし、力仕事も多いからなぁ…。お花が咲いた時の嬉しさや達成感は病み付きになるのに、人気無いのはそのせいなのだろうなぁ…。」
 …嗚呼、難航の予感。ミーティングを終了し、花壇のお手入れと肥料などのチェックに回ろう。昼休みと放課後は部員勧誘に割きたいから。


 …
 ……。

 おぼろげな世界。私の視界に、憧れていた幻影が映る。それは私の袖をひっぱり笑いかけくる。
 夕日の射す教室と思わしき部屋。一人で本を読んでいた私の前に現れた。
 いつの間にか、外にいた。持っていたはずの小説が一輪の花になり、幻影が私の前で背伸びした。
 重なる刹那、目が覚めた。

 …夢か。非現実的なのに、リアルな夢だった。
 AM7:30。我ながら早く起きた。二度寝は危険なので止めておこう。
 ホームルームの8時50分迄まだまだ時間がある。お気に入りの曲をかけ、鏡に向かい身支度を整える。
 学園に持っていくカバンには筆記用具、教科書とルーズリーフとバインダーの他に、お気に入りの小説と充電をキチンとし終えた携帯ゲーム機を抜かりなく潜ませてある。
「おねーさん、おはよう。きょうはおでかけはやいの??」
 不意に飼っているゆれいむに挨拶された。
「おはよう、れいむ。なんか目が覚めちゃっただけ。いつも通りの時間に登校するよ。」
 外ではあまり話さない方ではあるが、れいむとはそれなりに話す。
 学園から近い場所に住んでいる為、今出ても8時前についてしまう計算になる。それならばと大好きなゲームをプレイする。
 戦場で自分が一人の兵士となり擬似戦争を行うゲーム。最近は結構ハマっている。
 だが、このバーチャル世界もれいむには恐ろしく映ってしまうようで、“ゆっくり出来ない”と抗議を受ける。当然却下。
 軽く10人の頭をスナイプした所でいい時間になった。
「じゃあ行ってきます。」
 外に出てドアの鍵をかけて空を見上げた。抜けるような青空。冬らしからぬ暖かな日光。

 いつものように、通学中のほかの学生にまじって学園を目指し、
 いつものように、眠らない程度に講義を受けて、ノートをとり、
 いつものように、休み時間は小説を読むかゲームをしてすごし、
 いつものように、講義が終了したら帰りのHRをこない、帰宅、
 いつものように、そういう流れになるであろうと確信していた。


 …そう、昼休みまではそう思っていた。

 それは偶然だったのか必然だったのかは解らないが、廊下を歩いていたら一匹のゆっくりに声をかけられた。
 ここの学園の何たるかを知っていれば別に珍しくもなんともない事だ。いつもの様に無視を決め込もうと思ったがそのゆっくりは今まで見たことも無かったのでつい足を止めてしまった。
「おおきい!おおきい!ねえねえ、お名前なんていうの!?」
 麦藁帽子に名札があった。何処かの生徒の飼いゆっくりなのだろう。少し相手をしてみるのも悪くない。
「私はセイン。嘘か本当か信じるのはあなたしだい。」
 答えた。
「せいん!せいん!おおきい!!わたし、こゆり!!」
 名前付きか…。飼い主が余程溺愛しているのかも知れない。確かに名札には…
「やまのは…ゆりえ?」
 私に電流はしる。“もしかしたら”が脳内を何往復もした。
 よみがえる今朝の夢。恐ろしく膨らむ予感が、期待が、私を震えさせた。
「ちがう!ちがう!わたしはゆりえじゃないよ!こゆりだよ!!」
 もはや耳に入らない。…クラスは2-A、先輩さんだ。この高鳴りを抑える為にも、この子を送るふりをして確かめてみよう。幻影が傍に居るかもしれないのだから。
 昼休み、ゲームも小説も忘れて、入学の学校案内以来はじめて先輩達のクラス棟に足を運んだ。

『2-A』

 先輩達の園。勇気を出せ、私。“この子が迷子だったので届けにきました。山葉先輩の飼いゆっくりだと思うのですが?”コレだけでいい。さあ、深呼吸だ。素数を数えろ。出来ないことじゃない。たったの数文字の言葉だ。
 教室の扉を開けた、もう後戻りはできない、あとは言葉をいうd
「ゆりえ!ゆりえ!かんゆーできたよ!!」
 …ふぇ?
 あれ?かんゆう?いや聞いてませんし、てか何の?それより私の深呼吸の時間と思考した時間をかえして。


「あら、本当に?小百合、ご迷惑をかけたりしてないわよね?」


 …ありえない。予感が当たった。目の前にはあの時の緑髪。少しだけ困った表情をしながら私との距離を詰めてくる。
「ごめんね、この子が何か変な事言って連れてこられちゃったのでしょう?」
「ゆりえ!この子、せいん!おおきいよ!ひまわりくらすだよ!!」
 正直、混乱している。幻影が形をなして立っている。かんゆう?ひまわりクラスってなに?
 百合枝先輩を見ると、私の答えを待っているかのように私を見上げる。身長差のせいだが、上目遣いの彼女が同姓なのに、年上なのに可愛いと思ってしまった。
「…あ、いえ、その。迷子だったのかなと思って、名札みたらここで、それで…。」
 赤らむ顔。上手くまとまらない言葉。テンパるのは麻雀の時だけにしたい。
「…ゴメンナサイ。やっぱり何も聞いてない見たいね。…小百合、あなたも“ごめんなさい”しなさい。」
 言われるとちゃんとゴメンナサイする小百合ちゃん。
 彼女に小百合ちゃんを渡すと、もう一度お辞儀された。…ダメ、コレじゃ会話が終わっちゃう流れ…。もっと話したい。
「…あの!」
 言葉の弾丸をリロードもせずにオープンコンバット。ダメなプレイヤーかもね、私。
「なあに?セインちゃん。」
 あうぅ…。笑顔で名前で…。とりあえず何か言わなきゃ。
「山葉先輩、あの、勧誘?って一体なんですか?」
 百合枝先輩に投げかけた。
 …
 ……。

「ただいま!れいむ、元気してた!?」
 ダッシュで近づきフライング正座。
「ゆぅ!?おねえさん?朝とキャラがちがいすぎてゆっくりできないよ!!」
 激しく困惑するれいむ。でもそんなの関係ない。
「うふふ、“面白いね、気に入っちゃった♪”だって!!この!!れいむめ!!♪」
 ハイテンションで乱れ突っつきをれいむの頬にお見舞いした。
「ゆぅぅぅ!!ゆっぐりでぎないぃぃぃ!!」
 …百合枝先輩と会う口実が生まれた。園芸部に入部はしてはいないが、同じ飼いゆっくり仲間として昼休み一杯と放課後に園芸部の部室でお話してきた。

 今までの“いつものように”はもうお終い。
 楽しみは退屈だった学園生活に彩りを添えてくれるであろう。
 コレを機会に、もっとみんなとお話してみるのも悪くないかもしれない。
 暗くて素直になれない自分だけれど、気に入ったといってくれる人も居る訳だから。

                                    おしまい。


 -あとがき-
 ごべんなざい!ごべんなざい!ごべんなざい!!!!!1
 だっでおだいむずかしいんだぼん!!!あきしまいはオリキャラじゃないもん!!!!

 ド口ワ設定ってこのWikiにおける究極のオリジナルだと思ったので使わせていただきました。
 勝手に出しちゃった作者様達ごべんなざい。

 Wikiにいれない方がいいと思うけどお題消化って事でかんべんしてください。


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最終更新:2009年02月05日 23:10
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