ゆっくりいじめ系2590 おうちは誰のもの? 前編

序盤は虐待少ないです
ゲスありすとまりさ注意
そんな饅頭を虐待もの
ゆっくりは……次で虐待
お兄さん天下すぎ
ストレスマッハ注意
ストレスを解消しきれない可能性あり


こいつが書いた他SS

育児放棄? そんなもんじゃないんだぜ!! シリーズ



それでも構わないという方はどうぞ下へ











おうちは誰のもの? 前編


















「退屈で、人は死ぬのかもしれない……」

何の事はない夏の昼下がり、一人の青年がぼそりと呟いた。
青年こと、虐待お兄さんは暇だった。
彼も一応日々農作業に従事る村人だが、今日の分の仕事は午前中に済ませており、午後の時間を持て余しているのであった。

「うー♪ おにいざんあそんでほしいどぅー♪」
「おや旦那、ひどい顔ですよ?」

部屋の奥から声をかけてきたのは、彼が虐待仲間として育てている胴つきれみりゃときめぇ丸である。
この二種は彼の虐待の対象にはなっていない。正確には、ゆっくりを減らしてくれる捕食種がそれに該当する。
二人はゆっくりへの虐待などで活躍してもらうために家に置いているわけだが、れみりゃはともかくきめぇ丸は頭もいい。
そして何より『ゆっくりをゆっくりさせない』という志しを持つきめぇ丸は、大事な相方なのだ。

「なるほど、暇すぎて死にそうなのですね。おお、あわれあわれ」
「暇なられみりゃど踊るんだどー♪ かりしゅまダンスをおしえであげるどぅー♪」

きめぇ丸は口元を団扇で隠しつつきめぇ丸シェイク。
れみりゃは彼の意見も聞かずにかりすまダンス。
もし全てのゆっくりが虐待対象の鬼意山が見たら、発狂して暴れるかもしれない。
何と表現していいのか分からない光景だが、それを無言で見つめるお兄さん。
「なあ、きめぇ丸よ…」
「何でしょう旦那?」
「何か新しいゆっくり虐待というものは無いものか?」

家族を仲たがいさせて殺し合わせる。
狭い部屋に閉じ込め餓死させる。
暗闇の中、長時間五感を封じて発狂させる。
子供を親の目の前で殺す。
子供を親に食べさせる。
ひたすら殴る。
いわゆる、一般的な虐待というものはほとんど試してしまった。
彼の楽しみの為に潰されたゆっくりの数は優に百を超える。
しかし、彼は満足していない。
さらに新しい虐待を、まだ体験したことない虐待を…!
退屈に苛まれていた彼は、若い身体と精神に溜まるマッハなストレスに苦しんでいた。

「人間の旦那に思いつかぬことが、私たちに思いつくと本気でお考えですか?」
「これでも俺は、きめぇ丸というものに期待しているんだよ」

買被り過ぎですよ。青年の答えにシェイクを加速させるきめぇ丸。…もしかして照れているのだろうか。

「しかし、本当に退屈だ。白麗の巫女様や、フルーツ………山の巫女様が何かいいアイディアでも降ろしてくれないだろうか」
「………罰あたっても知りませんよ」

呆れた口調できめぇ丸が仰向けに寝転んでいた青年の顔を覗き込んだ時だ。



「ゆー! ここをまりさたちのゆっくりぷれいすにするよ!」
「すこしいなかくさいけど、とかいはなありすはがまんしてあげるわ!!」
「「「「「「「「「「ゆっきゅりしちぇいっちぇにぇ!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」



彼の愛用する虐待部屋から、大量のゆっくりたちの声が響いた。
そこはいつでも野生のゆっくりが入れるように、雨の日以外は開けっ放しにしている部屋だ。
餌やクッションなどを置いているので、よほど用心深いゆっくりでもない限り逃げることはない。
壊されて困るような物も無いため、焦って確認しに行く必要もない。そう、ゆっくり行こう。
やつらは罠にかかったらそこまでなのだ。
望み渇望した客の声を聞いて、目を輝かせる虐待お兄さんときめぇ丸。
あまあまのにおいがするどぅー♪ と声を上げたのは、今まで踊っていたれみりゃ。
この瞬間、まだ姿も確認されていない大家族に待つ未来が決定した。

「まさかこのタイミングで来るとは…」
「ご都合主義万歳……、まるで虐待の神様に監視されているようだ」
「そんな神様なんていないと思いますがね……。それこそ監視されてたら罰が当たると思いますけど」

呆れた様に呟くきめぇ丸の声を聞きながら、彼は立ちあがる。
……ん? 監視? ………見る? …………。
ふと何かを思いつき、彼は隣に立つ彼女に視線を移した。

「どうしました旦那、私に惚れましたか?」

とりあえずデコピンをしてツッコミを入れておく。

「おお、痛い痛い…」
「何言ってやがる。ちょっと暇つぶしを思いついた。今回は二人とも手伝ってもらうぞ」
「おやおや、それは楽しみです」
「うー♪ れみりゃがんばるんだどぅー♪ あまあまたべるんだどぉー♪」

完全にヤル気状態の三人。青年はれみりゃたちに呼ぶまでは部屋の前で待機しているように言うと、一人虐待部屋へと足を踏み入れた。

「へえ……、こいつは大所帯だ」

お兄さんは、虐待部屋へ足を踏み入れてその数に驚いた。
親まりさ、親ありすをはじめとして、子まりさ子ありすで合計12個の饅頭が部屋でくつろいでいた。
おそらく家族総出できたのだろう。よくもまあこれほど連れて人里まで下りてきたものだ。
呆れながらも感心していると、こちらに気づいた親まりさが青年のほうへ近づいてくる。

「ゆっ! ここはまりさたちのゆっくりぷれいすなんだぜ! じゃまなじじいはとっととでていくんだぜ!!」
「そうよ! ここはありすたちがとかいてきにつかってあげるんだから、おかしでももってきなさい!!」
「じじいはゆっくりしんでね!!」
「にんげんとはゆっきゅりできにゃいよ!!」
「おかち! おかちちょうだいね!」
「おかちをくれたらゆっきゅりちんでね!!」
「とかいはなありすにはさっさとおかしをもってきなさいよ! ばかなの? しぬの?」

………うるせぇ。しかもうぜぇ……。まあいい。お兄さんは笑みを浮かべる。
いつもなら、「ごめんねー、お菓子あげるから許してねー」と言ってから始まるのだが、今回は目的が外にある。
部屋に仕掛けておいたお菓子も野菜もたらふく食ったようで、跡形もなかった。
人間の食事と言うには役不足かもしれないが、あれ以上の食べ物は用意したくないので仕方あるまい。
今回は素手で行こうと決めていたので、道具は一切持たず近づいていく。

「残念だけどそれは違う。ここは俺の家だ。早く出ていかないと容赦しないぞ?」
「ゆっ!? なにいってるの? ここはまりさたちがみつけたんだよ! だからまりさのものなんだよ、そんなこともじじいはわからないの? ばかなの? しぬの?」
「そうよそうよ! あとからきたじじいはとんだいなかものね! そんないなかもののじじいははやくしんでね!!」
「「「「「「「「「「○△$&%$#”!」」」」」」」」」」

同じように子ゆっくりたちも何か言ったようだが、うるさくて聞き取れない。
どうせ大したこともないだろうし、無視することにした。そして大きく足を上げると………

ッバアアアン!!!!

全力で床を踏み叩いた。人間でも耳を覆いたくなる破裂音が部屋中に響く。
正直インパクトには欠けるが、ゆっくりにはこれで十分だろう。
どうせゆっくりたちも、お約束の文句しか言わないのだ。それならば迅速に虐待へ移った方が時間と手間を省けるというもの。
突如虐待お兄さんのオーラをまとった青年の行為に、ゆっくりたちは一瞬にしてふてぶてしい表情を強張らせる。
赤ゆたちは全員白目をむいて気を失い、子ゆっくりたちは全身を震わせて失禁。親ゆっくりですら目を見開いて硬直している。
普段甲高い声で騒ぐ割に、自分たちゆっくり以外の音には免疫がないらしい。
それともこの家族は、今まで恐怖や命の危機という体験をしたことがなかったのだろうか。
だとしたら実に運が良かったと言える。ただ、その悪運もここでお終いだ。

「おら、何ぼけっとしてんだよ! きったねえ饅頭の群れが…」

ずっと固まられても困るので、お兄さんはゆっくりたちの意識を戻す為、大声で恫喝する。
そこでようやく親のまりさとありすの夫婦は、こちらの言い分を理解できたようだ。

「おちびちゃんたちはきたなくないよ! そんなことよりうるさいじじいはぜんぜんゆっくりしてないね!」
「そうよ! ありすたちをゆっくりさせないじじいなんていらないわ!!」

二匹は意識を取り戻した早々騒ぎ出すが、子ゆ以下に関しては十分効き目があったらしく、睨むだけで体を竦ませている。

「ゆっ、おちびちゃんたちはゆっくりまっててね! いままりさがこのじじいをころしてあげるからね!! そうしたらゆっくりぷれいすであそぼうね!」

やはりまりさ種が父親だったかと青年は一人頷く。
レイパー度の低いありすの場合だと、たいてい体力(笑)で勝るまりさ種が父となり、知力(爆笑)に長けるありすが教育ママになるケースが多い。
となれば、一家の大黒柱が障害を取り除くのは当たり前のことであり、このまりさも家族に雄姿(呼吸困難)を見せようと奮闘するのは当然の流れであった。
だが、自ら敗北のリングへと上がっているという現実に気づけないのが餡子脳。

「おーけい、まりさがやるのか。じゃあ、すっごく手加減しよう」
「ゆっへっへっへっへ!! じじいはばかだね! すぐにころしてあげるよ!!」
「……おお、無謀無謀」

どこからかきめぇ丸の声が聞こえたが、今はこのまりさを叩き潰すのが先である。
一人と一個が向き合った瞬間、まりさは合図も何も無くお兄さんに向って飛びかかってきた。
どうやら先手必勝。相手に不意打ちをすることで、今まで勝利を収めてきたゆっくりだったようだ。
なるほど。野生に生きる饅頭としては合格だろう。それでも所詮はゆっくり。人間には十分反応できる速度だ。
バスケットボールより二回りほど大きい饅頭を、お兄さんは一歩下がるだけで簡単に避けた。
空を切る黒白饅頭。そして、床とアツいキス。

「ゆぶべっ!」
「お前、何してんの?」
「ゆっ! じじいがよけたのがわるいんだよ! よけるなんてひきょうだよ!!!」
「いや、そりゃあ来たら避……ああ、わかった。じゃあ、避けないよ」
『ゆ?』

番の二個は青年から、何の躊躇もなく避けないと断言され、自分たちの耳を疑った。
まりさにとって、自分の一撃は必殺だと信じていたし、ありすにしても夫の攻撃を受ければタダで済まないと思っていたからだ。

「そんな顔するなよ。避けないんだからいいだろ?」

対してお兄さんはへらへらと笑みを浮かべるだけ。もともとゆっくりの攻撃力など高が知れている。
よく考えれば避ける必要はないのだ。服が涎で汚れるかもしれないが、どうせこの後はもっと酷くなる。

「ゆ……ゆっへっへっへ! ほんとにじじいはばかなんだね! まりさのこうげきをくらってさっさとしぬんだぜえええええええ!!」

かつて偉い人は言いました。無知とは罪だと。
それは、ゆっくりが罪の塊と同義なのかもしれない。
ぽふっ。情けない音を立てて自分の足に体当たりをするまりさを無視して、哲学にふけるお兄さん。

「ゆ! しね! しぬんだぜ! よわっちいにんげんは! まりささまの! こうげきで! じねえええええ!!」
「まりさ! きいてるわ! もうすこしよ!」
「「「ゆっ!! おとーしゃんがんばってー!!」」」

赤ゆたちも意識を取り戻したらしい。家族の応援に答えようとする父まりさ。
実に涙ぐましい光景である。せっかくだ。まりさが力尽きるまで待っていてやろう。
美しくも決して報われない家族愛を眺めながら、彼は黙ってまりさの攻撃を受け続けていた。
そして時がたつこと5分。

「ゆっ、……ゆべ……ゆべ…ゆふっ…」
「おい、まりさ。まさかもう終わりじゃないよな?」
「まりさどうしたの!? はやくそのにんげんをころしなさいよ!!」
「「「「ころちちぇね!!!!」」」」

割と持った方だと素直に青年は感心する。
どうやら、ゆっくりの中でも身体能力がずば抜けていたまりさ種だったらしい。
まりさは今まで一方的に動いていた。守りがない分楽ではあるが、その代わり運動量も多い。
あと先を考えず全力で飛び跳ねていた父まりさの体力はとうに底をついていた。

「ゆび……ゆっ……、ぼ、…ぼう……うぼげないよ……」
「どぼじであぎらべるのおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」

だが、運動量に比例してお兄さんに与えるダメージが大きくなるかというとそうではない。
雨水も滴り続ければ石にも穴を開けるというが、ゆっくり程度ではそんなこと土台無理である。
木を倒すときは、ゆっくりを使うより自然に倒れるのを待った方が早い。という諺があるほどだ。

「どぼじでじなないのおおおおおおおおおおおおおおおお!?」
「お前、遊んでたんじゃないんだ?」
「ぢゃんどこうげぎじでだでじょおおおおおおおおおおお!?」
「痛くも何ともなかったんだけど」
「うぞだああああああああああああああああああああああ!?」
「じゃあ、なんで俺倒れてないの? まりさは何をしてたの? 馬鹿なの? 死ぬの?」
「ばりざはばがじゃないいいいいいいいいいいいいいいい!!」

まりさは自分の攻撃がきかなかったことで、ほとんど自信喪失している。
だが、そんな父の気持ちなど家族は理解してくれない。特に一番厄介なのは妻ありすだ。
愛が深いほど相手を信じているため、まりさに与えられる重圧は大きい。ああ、愛が重い。

「それならにんげんがこうげきすればいいのよ! まりさはじじいのこうげきなんてなんともないんだから!!!」

そして、愛は時に残酷である。
さすがに無茶振りすぎんだろ。思わずツッコミを入れたくなったが、それよりもまりさが気になって視線を戻すお兄さん。

すでにまりさの中では、ゆっくりは人間より強いという定義は大きく揺らいでいた。
本当にそうだろうか? 自分の攻撃を食らって全く動かない人間の攻撃を受けて、大丈夫だろうか?
まりさは体当たりしている時に、昔木の実を落とそうと頑張って大木を揺らしていた事を思い出していた。
若い頃どうしても食べたくて、丸一日中巨木の幹に体当たりした記憶。
しかし結局、幹は一度も揺れることがなく、木の実を取ることはできなかった。
もしあの大木と人間の足が同じで、それが自分に向って突っ込んできたら………。
最悪の結末がまりさの餡子に浮かび上がる。

「おい」
「ゆべひっ!?」
「お前の嫁さん、あんなこと言ってるけどどうする?」
「ゆ………、ゆっくりやるよ! じじいをころしてここをまりさのゆっくりぷれいすにするよ!!」

しかし、まりさは後に引けない。ここで逃げれば家族から非難を受けることは確実であり、父の威厳だって守らねばならない。

まだ殺すと言うか……。その様子を、お兄さんはため息をつきながら眺める。
腐ってるんだか芯が太いんだかわからない性根だ。普通のゲスなら家族も顧みないはずなんだが…。
もしかしたらこのまりさ。ゲスというよりも、ただどうしようもないバカなのだろうか。
同じバカならどこぞの三人一組の妖精や、湖の氷精の方がずっと可愛げがあるというものだ。
それに結局のところ、人の家に入った時点でゲスと判断されるのだ。饅頭に慈悲なんかありませんよ。
しかし家族の期待に応える努力はするみたいだし、敬意を表して一発K.Oはやめてやろうとは思うお兄さん。
心から楽しそうに、青年はまりさと視線を合わせる。

「じゃ、今度は俺だ。さっき俺は避けなかったけど、お前は避けてもいいからな?」
「ばがにしないでよね! じじいなんていたくもかゆくないんだが……ゆべばばばああああああっ!?」

軽く小突いた程度の威力であったが、運悪く口を開いていたまりさは歯の部分に直撃を食らい、数メートル先の壁に叩きつけられた。
お兄さんは、やれやれと深いため息をついて苦笑する。
どうしてこいつらは、一言余計なんだろう。最初のところで言葉を切っていれば、喋りも中断されずに済んだというのに……。

「ばりざあああああああああああああああ!?」
「「「「「おどうちゃあああああああああん!?」」」」」
「ゆ、べ……、ゆがっ……、ぶぇ……」

顔面は蹴りを食らい、後頭部は壁に強打。全身を痛めたまりさは、声を上げるのが苦痛になるほどのダメージを受けた。
ぶるぶると震えながら体を起こすと、その拍子に口から白い塊が落ちてきた。どうやら先ほどの蹴りで、歯が何本か折れたらしい。

「あびゃ……びゃが!? びゃりびゃのびゃがああああああああ!?」(あが? …歯が!? まりさの歯がああああああ!?)
「何言ってるかわかんねーよ。おら、次行くぞ!」

まりさが体勢を整えるまで待つつもりだったが、このままだとただのたうち回っているだけで終わってしまう。
そう判断したお兄さんは、発破をかける意味合いを兼ねて続けて蹴りつけ始めた。

ゲシッ ガスッ ゴッ ドムッ

「ゆべっ! ゆびゃ!? びゃ!? ぼっ!?」 
「おら、どうした?」

壁に向かって蹴とばしては、戻ってきた饅頭を再び蹴り飛ばす。
そのたびに、喉を奥を震わせて声を上げるまりさ。
口に出さずとも、その表情には後悔と恐怖が色濃く刻まれている。
なんということだ。弱いと思っていた人間だったが、それは自分たちゆっくりの勘違いでしかなかった。
自分が何度やっても倒せなかったのに、人間の方はたった一撃で自分の歯を砕いてしまった。
はじめは何をされたか分からなかったが、今は嫌というほど理解できる。
人間は自分たちには強すぎる。
顔が痛い、頭痛い。絶対勝てない、怖い、怖い、殺される殺される……!!!

「ぼうやべでえええええええ!! ばりざがじんじゃぶうううううううう!!」
「「「「ゆえーん! おとうしゃんしにゃにゃいぢぇー!!!」」」」

一発ごとに形を崩していくまりさに耐えられず、とうとうありすが悲鳴を上げると、それにつられて子供たちも泣き出した。

「ゆべ……、も、やべで…。ゆるじでぐだざい……」

数十発程蹴り続けていたが、やがてその合間を縫ってまりさが赦しを求めてきた。
おそらくありすの「やめろ」という言葉を聞いて、もう自分は頑張る必要が無いと判断したのだろう。
父の威厳、3割減といったとこか。
さすが自己防衛に長けた種族。生への執着はゴキブリにも匹敵する。

「だが断る」

とはいえ、ここで虐待お兄さんが止めるわけがない。

『ゆぐうううううううううううううううっ!?』

まりさもありすも子供たちも、謝れば許してもらえると思っていた。
自分たちがしてきたことがそれほど悪いことなのだろうか。
そんなはずがない。
自分たちは、あくまでもゆっくりしようとしただけだ。
それをこの人間が邪魔をして、あまつさえ自分たちをこんな辛い目に合わせたのだ。
本当ならゆっくりを邪魔した人間が謝るべきだし、こんなに痛めつけられたのだから、お菓子の一つや二つあってもおかしくない。

「おい、まりさ。お前、俺にどのくらい攻撃してた?」
「ゆ? ……ゆびぇ?」

何が言いたいのかこの人間は?
喋りたくとも、歯が折れているせいでうまく発音できない。
まりさは、相手の意図を知ろうと顔だけでもあげる。
そしてお兄さんの表情を見たとき、全身の餡子が凍るような感覚に襲われたのだった。

「だいたい、五分だよな? でも、俺はお前をまだ1分くらいしか蹴ってないんだな。だから、あと4分続けるぞ」
『ゆあああああああああああああっ!?』
「ははは。…なあに、ここで死ななきゃもう少し長く生きられるさ。ほら、死ぬなよ?」
「ゆ、ゆるじで! もうやべで! あやばりばず! ごべんばざいごべんなざびゃああああああ!?」
「ヒャッハアッッ!! 我慢できねぇ!! 虐待だあああああああああああああああ!!」
「おお、本気本気」

またも扉の陰からきめぇ丸の声。
そして、地獄の4分間がスタートした。

「ほら! まずはもう一分間蹴り続けてやんよ!!」
「やべでやべでやべでやべでええええ!! いだいいだいよおおおおおお!? づぶれぢゃうううううう!!」
「俺を信じろ、絶対につぶさない!! ただすっごく痛いだけだ!!!」
「やべでぐだざいいいいいいいいいいい!!」

一度助かると思ったまりさは、心の防御がぼろぼろに崩れていた。
心のガードが無くなったまりさの身体は、お兄さんの蹴りを同じ威力でも数倍の威力に感じとっていた。
さらに追加で数本歯が折れ、破片が口内を傷つけ、よだれと一緒に液状となった餡子が床に流れ出す。 
もちもちで自慢だった肌は、薄く餡子が浮き上がりだしている。
適度な硬さを保っていた体内の餡子が衝撃を受け続けたことで柔らかくなる、内出餡だ。
この状態で皮が破れると餡子が液状で外に流れ出し、最悪出餡多量で死亡することもある症状だ。
だがそこは虐待お兄さんのスキル。
経験によって、絶妙な力加減と蹴っても無事な場所を瞬時に見極めている。
なので、うっかりやっちゃったぜ。という事故はとても少ない。
踵で帽子が変形するように踏みつけてみたり、サッカーボールのように振りぬいて蹴り飛ばしてみたり、足の裏で893キックしてみたり。
彼の知る蹴りという蹴りを、全てまりさに叩き込む。もちろん、死なない程度に加減は忘れない。

「びゅぎゃあああああああああああああ!? びゃりじゃのおびょうじぎゃあああああああ!?」(ゆがあああ!? まりさのぼうしがあああ!?)
「よし、あと三分。今度は拳だ」
「まだあるのおおおおおおおおおおおおおお!?」

当然です。
次はゲンコツの要領で殴りつけてみるが、まりさの帽子が邪魔で上手く動けないことに気づくと、お兄さんはそれを奪い自分の頭に乗せる。
普通の布とはまた違った感触を持つ黒い帽子は、軽すぎず重すぎず、奇妙な感覚でお兄さんを包む。

「………微妙………」
「ゆあああああ!? ばりざああああああああああああああ!?」
「ばりざのおぼうじがえじでええええええ!! ありずううううううううう!?」
「うるせー。こんな微妙な帽子を被りやがって! 感想に困るだろうが!!」

大事なものを奪いさらに蹂躙。
悲鳴の中に、「おぼうぢ」という単語が混ざるようになったが、それ以外に変化はない。
残り三分間の虐待コースの開始だ。

「おらおらおらおらああああ!!!!」
「ゆびゃああああ!! いばいよおおおお!? ぼうやべでっでびゃあああああああ!!」(痛いよおおお! もうやめてってばああ!)
「アドレナリンがどっぱどっぱだぜええええええ!!」

今度はまりさの顔面だけを狙う。
奥歯のあたりの頬を思い切り殴打すると、お兄さんはまりさの口内にごろっとした感触を感じた。

「ゆびゃあああああ!! ばだばがおれだよおおおおお!?」(また歯が折れたよおおお!?)
「ははっ! ははは! あっはははははははは! ほら、もう一丁!!」

それでもお兄さんは止めない。むしろ悲鳴は虐待の際最高のスパイスとなる。
お兄さんのテンションはどんどん上がる。まりさの左半分を狙って、徹底的に殴り続ける。

「ゆぎゅびゃあああああ………」
「ふぅ、俺のストレスがマッハで解消」

最終的に歯を半分以上失い、激痛や恐怖によって顔の穴という穴から餡子入りの液体を垂れ流すまりさ。
いつの間にか床には失禁の跡があり、ずっと放置され恐怖で言葉を失っていた家族も同じように床を濡らしていた。
ぐしゃぐしゃではあるが、潰れていないまりさの髪を引っ張って持ち上げると、お兄さんはまりさを問い詰める。

「おい、クソ饅頭。お前、どうしてこんな目にあってるかわかるか?」
「ゆぶっ……、ばりざはくそばんじゅうじゃ…」

見当違いの答えに、お兄さんはまりさを床に叩きつける。
口から大量の餡子を吐き出しながらバウンドしたまりさを再び掴むと、今度は舌を掴んでぎりぎりまで引っ張りだす。

「ひはいほ! ゆっふりへひはいほ!!」(痛いよ、ゆっくりできないよ!)
「どうして、お前は、こんな目に、あってるんで、しょうか!?」

ぴり、…みぢっ…

「ゆびゃらびゃびゃびゃびゃびゃ!?」
「……ちっ、ゲスが」

少しづつ舌が千切れていることに、顔面…全身蒼白で震えるまりさ。
このままでは、精神性のショックで死ぬかもしれない。
仕方ないのでありすの方へと質問を移す。

「おい、レイパー。お前はわかるよな? 都会派だもんな!?」
「ゆひっ!?」

いきなり自分へと矛先を向けられて焦るありす。レイパーと呼ばれたことにも反応できないようだ。
子供たちは、まりさを徹底的に痛めつけている間にまた全員失神したらしい。
本当は自分たちの父の威厳が地に落ちる瞬間を目撃させてやりたいのだが、数が多く煩いので今回はやめておくことにする。
それにこれからは、もっと過酷な日々を送ることになるのだ。最後のゆっくりを十分かみしめるがいい。

「しらない! ありすたちはゆっくりしにきただけよ!! なんでそんなこときかれないといけないの!?」
「あっ、そう」

ぴち、ぷつっ……みぢみぢ……

「ひは! はりはのひは!? はへへへね!? はふへへはりふううううう!?」(舌! まりさの舌!? 止めてね!? 助けてありすうううう!?)
「やべで! とがいばなおにいざん! もうやべで!! なんでもいうごどぎぎまずがらあああああ!!」
「そんなことはいいよ。俺は、どうしてお前たちがこんな目にあっているのか聞いているんだから。答えが無いなら、止めないね」

そう言ってさらに舌を引っ張りだす。
ただでさえ長いゆっくりの舌だが、さすがにもう限界かもしれない。
まりさの舌は、すでに1メートル近くまで引き伸ばされていた。あと少し力を入れれば千切れるだろう。
さらにぷつっ、という音が部屋にいる全員の耳に届き、ありすがとうとう床に頭をこすりつけながら懇願した。

「ゆばあああああ!! ごべんなざい! ごべんなざい!! ぼんどうはおにいざんのいえでずうううううう!!」
「当たり前だクソ饅頭。他には?」
「いえにばいっでごべんなざい! じじいなんでいっでごべんなざい! じねなんでいっでずびまぜんでじだああああああ!!」
「当たり前だろうがクソボケがああああああああああ!!!!」

今度はありすの顔面に向かって、鋭い蹴りを放つ。

「ゆびゃぎゃああああああああああああああああ!?」

夫と同じように壁に叩きつけられるありす。そして同じように、口からはカスタード塗れの歯が数本転がり落ちた。
その間にお兄さんは、掴んでいたまりさを扉の隙間から様子を眺めていたきめぇ丸にパスする。
パスとは言っても壁にぶつけて気を失わせたまりさをきめぇ丸が拾うという形になるのだが。
そしてそれは、入ってこいという合図だ。れみりゃの出番はもう少し後なので、きめぇ丸から待機を続けるように伝えてもらう。
扉の開く音で気付かれては台無しなので、お兄さんはありすを何度も踏みつけて自分以外に注意を向けられないようにする。

「調子に乗ってんじゃねえぞ! この饅頭どもが!! なんなの? 馬鹿なの? 死ぬの?」
「ごべんなざいごべんなざいごべんなざいごべんなざい!!!」
「いーや、ダメだね。ひゃあ! 虐待だぁっ!! その2!!」


踏む、蹴る、殴る、衝動のままにありすを攻撃するお兄さんだが、そのどれもが重傷程度で致命傷には至らない。
実は虐待お兄さん、この段階ではまだ家族皆殺しをするつもりはない。
今の目的はできるだけ連中の体力を奪い、人間に対して恐怖以外の感情を持たせないようにすることであった。

「ゆる、ゆ、ゆるじ…ゆるじで…ゆるじ…」
「うっさいな、黙れよ。ちゃんと謝らなきゃ、まりさがむーしゃむーしゃできなくなるぞ。なあ、きめぇ丸?」
「そうですね、旦那。まあ、私としてはこれから楽しめればそれでいいのですが」
「どぼじできめぇまるがごごにいるのおおおおおおおおおおおおお!? ば、ばりざああああああああああ!?」

ありすが恐る恐るお兄さんの視線の先に顔を向けると、そこには首を激しくシェイクしながら自分を見下ろすきめぇ丸の姿。
条件反射で悲鳴を上げると、次の瞬間きめぇ丸の片手に握られたまりさの姿を見つけてさらに悲鳴。
愛しい夫であったまりさの姿は、とうに原形を保っていなかった。
顔の左半分はお兄さんからの蹴りと殴打によって異常なまでに膨れ上がり、太陽の光に溶けてしまいそうだった金髪はボロボロに傷んでいる。
夜には優しく自分に愛をささやいてくれたその口からは、辛うじて生きていることが確認できるだけの呼吸音。
その隙間から見える内側にはもうほとんど歯が残されておらず、無残にも床のあちこちに転がっている。あの爽やかな笑みと共に輝いたまりさはもう見られない。
また、子供がケガをした時や自分を愛してくれた時に優しく顔を舐めてくれた舌は、大人の腕と同じ長さまで気持ち悪いほど伸びきり、先端からは液状餡子が滴り落ちている。
いつでも自分たち家族を優しく見つめてくれたその瞳も、今は白目をむいて何も映していない。
野犬を追い払うために体当たりをしたそのたくましい体も、今では時折痙攣して餡子を垂れ流すことしかできていない。
ありすの愛した夫は、生きているのが不思議なくらい変わり果てていた。

「ゆびゃああああああああああああああ!? ばりざばりざばりざばりざばりざばりざばりざばりざばりざばりざあああああ!!」
「うっせえっての」

さらにお兄さんの蹴り。愛する夫の名を呼び続けたありすは、再び壁に蹴り飛ばされ、カスタードと砕けた歯を吐き出す。

「ゆげっ……、げれっ……」
「ありす。早くそのクサレ饅頭の代わりに旦那に謝りなさい。そうしないと、まりさの舌が……」

お兄さんとは対照的に、静かな恫喝をするきめぇ丸が掴んでいたまりさの舌をより強く伸ばそうとした瞬間……

ぶちっ

何かが千切れる音がした。

「おや? ふふふ………」
「あああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」
「ゆばあああああ!? ばりざのじだが! じだ! じ…ぐえれえれえれえれ」

あまりの激痛に、失神から目を覚ましたまりさ。
喉を震わせて悲鳴を上げるが、言葉はもう出せない。
それを見て口から一層カスタードを吐き出すありす。
にやにやと笑みを浮かべてその様子を見つめるきめぇ丸の手には、だらりと伸びきったまりさの舌。
結局、まりさの舌は根元からぶっつりと切れてしまった。

「まさかこんなに切れやすくなっていたとは。旦那も腕をあげましたね」
「お世辞を言っても何も出ないぞ?」
「いえいえ、私は本当のことしか言いませんよ。それにしても、おお、うっかりうっかり」
「なに、いい仕事してくれたじゃないか。十分だよ」
「お褒めにあずかり光栄です」

そんなこんなで、さらに盛り上がっていく虐待サイド。
対して、不幸のどん底にいるまりさとありすの夫婦。

「ああああ……、ああああー……」
「ごべんねええええ!! ありずが……、ありずがああああ!!」

舌と言葉を失い、口を開けっ放しにしたままのまりさに、泣きながら身体を擦り合わせるありす。
千切れたおかげで解放される形となり、虐待を受けて初めて夫婦は触れ合うことができた。
地獄のような中だが、少しでも愛する夫とゆっくりしたい。
ありすは涙を滝のように流してまりさの頬に自分の頬を重ね合わせる。
しかしありすの頬が触れた瞬間、言葉を失ったまりさが全身を震わせて叫び声をあげた。

「あああああああああああ!?」
「ばりざあああ!! なにをい゛っでるのおおおおおお!?」
「おそらく全身を痛めているので、自分に触るなと言いたいのでしょう。妻なのにそんなこともわからないのですか? おお、おろかおろか」

きめぇ丸は顔全体に嘲笑の表情を浮かべ、ありすを見下ろす。否、見下す。

「ゆがああああっ!! ありずだぢをばがにするぎべえばるばぢねええええ!!」(ありすたちを馬鹿にするきめぇ丸は死ねええええ!!)

人間は強くて恐ろしいが、同じゆっくりであるきめぇ丸なら倒せるかもしれない。
ゆっくり特有の打算的な考えを持ったありすは、お兄さんの相棒でもある彼女に向って飛び跳ねていく。

「ばりざのがだぎだあああああああ!!」
「身の程をわきまえない饅頭風情が……」

仇は俺だし、まりさもまだ死んではないぞ。お兄さんの呟きは誰にも届かない。
自分に対し向かってくるありすを見つめるきめぇ丸の表情は、嘲けりよりももっと酷薄な笑みが刻まれている。

「教えてあげましょう。お前たちがどれほど無力かということを…」
「ゆがあああ!! ゆっぐりじねえええええええ!!」

今まさにありすが飛びかからんとしたその刹那、きめぇ丸はおのが種族、ゆっくりにあらざる速度で自身の左手をありすに向けて振り下ろした。

べちっ!

「ゆぎゃびょ!?」

もう少しできめぇ丸の足に噛みつける。そう思ったありすだったが、次の瞬間にはお兄さんにやられた時同様、床にぶつかり横たわっていた。
また殴られたり蹴られたりしたのか? 予想しなかった状態に、混乱するありす。
お兄さんの時はまだ相手の動きが見えた。だが、きめぇ丸は気がつけば床の上。混乱状態のありすは体を全く動かせない。

「何が起きたかわからない。そんな顔をしていますね、……顔は見えませんけど。ありす、教えてあげましょう」

早く顔をあげなさい。
冷たい声を後頭部(背中)に落とされ、痛みを我慢してありすは身をよじる。
仰向けになった視界に映るのは、まりさの帽子をかぶったままにやにやと笑っているお兄さんと、口元を団扇で隠したきめぇ丸。

「相変わらず愚図で田舎者ですね。…まあいいでしょう。ほら、『これ』が答えです。『これ』で私はあなたを叩いたんですよ」

ありすと目が合ったきめぇ丸は、ゆっくりとありすの目の前に先ほど振り下ろした左手を差し出してきた。
その手に握られている物は、赤くて長い何か。だが、それは先ほど見たばかりのもの。
鈍い音を立てて、まりさの口から引きちぎられた物。気づいた途端、再びありすは悲鳴を上げていた。

「………さっきから悲鳴ばかりでうるさいですね。旦那、黙らせても?」
「いいよ、話進まないし」

では。
許可をもらったきめぇ丸は、その左手に握った赤長い物体を鞭のように振り回してありすを叩き始める。
きめぇ丸に握られたまりさの舌は、餡子の滴をまき散らして執拗にありすを襲った。

ばづんっ! びぢっ! ばづっ! べぢっ!

「やべ…ゆべっ! ごべんば…ばっ!? いだ…! いだい!! やべでぐだざいいい!!」
「ほぉら、愛しのまりさのぺーろぺーろですよ。存分に堪能なさい。隅々までやってあげましょう。ほぉらほぉら」
「ごんなのべろべろじゃばいいいい!! だずげでばりざあああああああ!」

一撃一撃が身を弾かんとするきめぇ丸の虐待にありすは悲鳴をあげ、自分よりも瀕死の夫に助けを求める。

「はーい、まりさでございまーす!」
「おにいざんばばりざじゃないでじょおおおおおお!?」
「ちぇー……」

まだ帽子をかぶっていたので、お兄さんが代わりに登場。
しかし残念ながら、ありすは帽子を奪われていたのを見ていたので成りすますことは失敗に終わった。

「自分よりも動けない相手に頼るとは、所詮レイパーですね。結局は自分ですか。おお、みにくいみにくい」
「ゆがああああ!!」
「誰が喋れと言いましたか、このクサレイパー」

無言でいても虐待。逆らえば虐待。動いても虐待。
ありすが何かをすれば、それを理由にきめぇ丸は暴力を振るう。

「ゆべっ! やべっ! ごべんばっ…ぎゃびゅべ!?」
「おやおや、そんなに夫の舌が恋しいですか? それとも舌で殴られることが楽しいんですか? ディープな趣味ですね。おお、マゾいマゾい」

それにしてもこのきめぇ丸。ノリノリである。
しばらく叩いて気が済んだのか、大きな息を吐いてきめぇ丸はまりさの舌を床へ放り投げた。
本来ならば湿った音を立てて落ちるのだろうが、空気に触れ続けたそれはぼとりと鈍い音へ変化していた。

「ぼ、ゆるじで……」

きめぇ丸に叩かれ全身をぶよぶよに腫らせたありすは、それでもまだ許しを請い続ける。
だが、それを決めるのは自分ではないと彼女は口にし、家主であるお兄さんの方へ振り返った。

「お、おにい、ざ…。ありずをだずげでぐだざい…。ありずばどでぼどがいばなゆっぐりなんでず……」
「何言ってるかわかんねえよ。……ったく。あ~、それにしても汚い部屋になっちまったなぁ…」
「ゆ…?」
「どっかの! 汚い! 田舎饅頭のせいで! 俺のゆっくりプレイスが汚れちゃったなあ!!」
「ご主人の家の床を汚すなんて、とんでもないゆっくりがいたものですね。おお、汚い汚い」

お兄さんはありすに聞こえるように、大声で話題を変える。
もちろん、その話の当事者であるゆっくりたちにもわかるようにだ。
一瞬話の内容が変わって目を白黒させたありすだが、お兄さんたちの視線の先に何があるか思い出す。
それは自分たちが傷つけられていた間、ずっと気絶している子供たち。
そして、お兄さんの「汚れ」という物をすぐさま理解する。
子どもたちは全員が気を失い、うんうんやしーしーを漏らしていた。それは垂れ流された状態で、床の上に広がっている。
普段であれば、「とかいはのあかちゃんのうんうんをかたづけられるんだからかんしゃしてね!」とでも言えただろう。
だが今は違う。そんなことを言えば、潰されることくらいありすにもわかる。
身体が壊れそうなほどの暴力を受け、この夫婦の生存本能はここにきて急速に高まっていた。
だからありすはお兄さんの真意を、ゆっくりとしては凄まじい速度で理解する。

「やっぱり部屋を汚すゆっくりは、潰さなきゃ駄目だなあ!?」

お兄さんはありすたちをまっすぐに見下ろした。
ゆっくりたちの悲劇は始まったばかりだ。













========================================
あとがき
久しぶりに書いたらこんな事に……
どう見てもまた長い話になりそうです
ただ今回は、前回よりも虐待要素を多めに入れていきたいと思います。

それでは、ここまで読んでいただき本当にありがとうございました。


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2009年05月04日 00:26
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。