- ほとんどが会話文で構成されています。読みにくさは抜群です。
- 多少人間いじめも入っています。
- 全体的にぬるめです。
- 色々と実験作です。SSとは別の、なんか変なものだと思ってお読み下さると幸いです。
「なあ、ちょっとこれ見てくれ」
「ん? 何だこれ、『ゆっくりパズル・ゲームブック』?」
「ああ。なぞなぞとか論理パズルとかに、ゆっくりを絡めた問題が載ってるんだよ。
それでさ、中でも面白かったのがこれ。『ゆっくり川渡り』だ」
「川渡り? 何それ?」
「まあ、今から問題読み上げるから、ちょっと聞いててくれ」
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広い原っぱを、ふらん、れみりゃ、親まりさ、子まりさ×2、親ありす、子ありす×2が跳ねています。
一行はとある事情で、ずっと向こうにあるというゆっくりプレイスにたどり着くために移動しているのです。
そんな時、一行の前に川が現れました。川幅が広く、流れもそこそこ急なので、まりさの帽子では渡れません。
岸には舟が括りつけられていました。しかし舟はゆっくり二匹までしか乗れず、一艘しかありません。
つまり、この舟一艘だけを使って、こっち岸と向こう岸を行ったり来たりしなければならないのです。
「うー。こまった。ぜんいん、わたれるのかな......」
一行を率いていたふらんは頭を抱えました。
何故かというと、舟をこげるのはふらん、親まりさ、親ありすの3匹だけ。
れみりゃと子ゆっくり4匹は、このいずれかの3匹と同乗して渡らなければならないのです。
さらに、加えて――
「んほっ......まりさ、さきにいってもいいわよ! とかいはなありすは、あとからゆっくりいくわぁ!」
親ありすが発情して、レイパーとなりかけていました。
ギラギラとした視線の先には、縮こまって震えている子まりさ2匹がいます。
「ゆっ! まりさはあとでいいよ! それより、ありすがそこのおちびちゃんをおいてさきにいってね!」
そんな親ありすから子まりさ達を隠すようにして立っているのが、親まりさです。
噛みつくような視線を親ありすに、そして子ありす2匹に向けています。
そのおかげで、親ありすは子まりさ達に手を出すことができません。
普通のまりさより体が大きく、力も強い親まりさは、レイパーと化した親ありすとも互角に張り合えます。
親まりさは、親ありすさえ居なければ、レイパーとなる恐れがある子ありすを噛み殺す気でいるようです。
ちなみに、親ありすは自分の子どもに手を出すつもりはさすがに無いようです。
最後に、もう一つだけ懸念がありました。
「うっうー! あまあまたべるんだどー♪」
「ゆぎゃああああ!! れみりゃいやあああ!!」
れみりゃの存在です。放っておけば、間違いなくまりさやありすを食べてしまうでしょう。
「......だめ。えい」
「う゛あっ! いだいんだどー! ざぐやー、ざぐやあああ!!」
唯一、ふらんだけがれみりゃを抑えておけます。一緒の岸にいれば、れみりゃは悪さをすることはありません。
しかし、ふらんはれみりゃを抑えるだけで精一杯で、まりさとありすの睨み合いまで止めることはできません。
「おかーしゃん......こわいかおちないで、ゆっくちしてね......?」
「みゃみゃ......すっきりーはだめだよ......」
子まりさ2匹と子ありす2匹は何も悪さをしません。子ありすがレイパー化することもありません。
状況は以上です。
あなたはふらんとなって、1匹も欠くことなく、向こう岸に全員渡れるように順番を考えてください。
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「長いわ! えーと、親まりさが......?」
「まとめるとだな......
舟は2人乗りが一艘。舟をこげるのはふらん、親ありす、親まりさだけ。
どちらかの岸に、安全条件を満たさないメンバーが揃っていたらゲームオーバー。
親まりさは親ありすが居なかったら子ありすを食う。
親ありすは親まりさが居なかったら子まりさを犯る。
れみりゃはふらんが居なかったら親とか子とか関係なくまりさやありすを食う」
「あっさり済んだじゃん! 最初からそれでいいよ!」
「まあまあ。それで、できるか? これ」
「簡単だろこんなん。まずは......親まりさと子まりさ1匹で向こう岸に渡る」
「ゆっ! まりさと、おちびちゃんひとりでいけばいいんだね!」
「ゆっくちいってくるよ!」
「んほおおおお! まりさののこったおちびちゃん! ありすのあいをうけとってねええ!!」
「やじゃあああ! やべでええええ!!」
「もうありすをとめられるのはだれもいないわあああ!」
「ゆぎゃあああ! だずげで、おがーじゃーん!!」
「んほおおお! すっきりー!」
「いやあああ!!......ずっぎりー......
もっちょ......ゆっくちちたかった......」
「うー。まちがった......」
「あれー?」
「あれー、じゃねーよ! お前俺の話聞いてた? 何なの? 餡子脳なの?
親まりさが居なくなったら残された子まりさ一発でアウトだろうが!」
「はは、ちょっと試してみただけさ。次から本気だ。
よし、ひらめいたぞ! 親まりさと親ありすで仲良く向こう岸に!
そして親まりさだけでこっち岸に帰ってくるんだ!」
「じゃあ、まりさはありすといっしょにいくよ......」
「ゆふう、ふたりきりね、まりさ!」
「こっちこないでね!」
「じゃ、まりさはもどるよ! おとなしくしててね!」
「つれないわね......」
「ゆぴいいい!! みゃみゃ、たずげでえええ!!」
「くぞありすのおちびちゃんはゆっくりしないでしんでね!」
「どぼじでえええ! いじゃいよおおお!!」
「もっじょ、ゆっぐぢ、ぢだがっだ......」
「むーしゃむーしゃ、しあわせー!」
「うー。まちがった......」
「あれー?」
「だからあれー、じゃねーんだよ!
戻ってくるときの事も考えようね! 向こう岸に行った奴はもうこっち岸には居ないんだよ!」
「え、でもじゃあこれ、どうすんだ? もう動かせる奴が......」
「居るだろ......大ヒントだ。まず、ふらんとれみりゃで向こう岸に行って、ふらんが帰ってくる」
「うー。れみりゃ、いくよ」
「うあー! れみりゃのあまあまがああ!! はなじでー!」
「じゃ、ふらんはもどるから」
「いやあああ!! ざびじいよー! ざぐや、ざぐやあああ!!」
「んほぉ......まりさ、ありすとあいをかわしましょう......?」
「だからこっちこないでね!」
「うー。まずは、ここまで」
「はい。これで、向こう岸にれみりゃが1匹だけ」
「おおー......そうか、そして親まりさを......あれ?」
「......それじゃさっきと同じだ。こっちにはふらんが居るんだぜ?」
「あっ、そうか! ふらんと、子まりさ1匹が一緒に行く! そしてふらんだけ帰ってくる!」
「うー。子まりさ、いくよ」
「ゆっ! わかったよ!」
「ふらん、まりさのおちびちゃんをよろしくね!」
「うー。じゃあ、ふらんはもどるから」
「ゆ!? まって! ふらん! このままじゃまりしゃが......」
「うぁー! ふらんがあまあまをもっできでくれたどー♪ いただきまーす!」
「ゆぎゃあああ!! だずげでえええ!」
「うー♪ あまくておいしいどー!」
「もっちょ......ゆっくちちたかっ......」
「ふらあああん!! なにやっでるのぼおおおお!! ばりざのおちびちゃんがあああ!」
「うー。まちがった......」
「......あれ?」
「だから! お前は! 何で? 何でなの? お前の頭はダメだ!」
「うるせー! じゃあこうだ! 親まりさが子まりさを口に含んで......」
「いやいや何言ってんだよ! お前は、もう......本当にダメだ!」
「うるせーよ! 大体定員ゆっくり2匹までって何だよ! 親と子じゃ重さも大きさも全然違うじゃん!
そもそもふらんやれみりゃが胴付きかどうか、とかいう情報もないし! どうなのそこんところ?」
「これはクイズだから! そんなこと言ってたら進まないよ!
ふらんと子ども1匹までは合ってるんだよ。その次だ、その次!」
「えー......? はっ! わかった!
ふらんとれみりゃで帰ってくるんだ!」
「れみりゃ、ふらんといっしょにもどるよ。子まりさはここでまってて」
「うー! れみりゃのあまあまがー!」
「わかっちゃよ! ゆっくちまっちぇるよ!」
「うぁー♪ こっちにもあまあま......いだっ! うぁー、いだいいい!!」
「うー。おとなしくしてろ......ここまで、よし」
「はい正解! ようやく気付いたな」
「よっしゃー!......って、めんどくせーよ! 子まりさ1匹向こうに運ぶのにどんだけ時間掛かるんだよ!」
「お前の解答が支離滅裂だからだ! これからスピード上げてくからな」
「尻滅裂って......ちくしょう、意地でも解いてやる......」
「今は向こうに子まりさ1匹のみ。次は?」
「んーと、とりあえず舟がこげない子ども達を向こうにやるべきだよな。
次は、親まりさともう1匹の子まりさで向こう岸に。そして親まりさだけ帰ってくる」
「おお、続けて」
「で、親ありすと子ありす......じゃだめだな。向こうで子まりさが犯られる。
親まりさと親ありすが一緒に行って、親ありすだけ帰ってくる!」
「おお! 今は向こうに親まりさと子まりさ2匹! それで?」
「親ありすと子ありす1匹が一緒に行って......親まりさと親ありすで帰ってくる!」
「......、で?」
「そして親ありすともう1匹の子ありすが一緒に行ってッ――」
「んほおおおお!! まりさのおちびちゃんたちぃ! ありすといっしょにすっきりしましょうねえええ!」
「ゆぎゃああああ!! おかーしゃんどこおおおお!!」
「まりさははんたいがわよおおお! んほおおお! きょうはさんぴーよおおお!!」
「いやああああああ!!」
「みゃみゃ、やめて! まりしゃたちにひどいことしないで!」
「ゆふうん! ありすのおちびちゃんたちもいっしょにすっきりしましょおお! きょうはごぴーよおお!!」
『ゆんやああああ!!』
「アァァァウトオォォォ!」
「ギャアアアアア!! 同じ過ちをおおおお!!」
「しかも犠牲者が増えてるな。まあ、ゲームオーバーには変わりないけど」
「え、でも、もうわからん。どうすればいい? いつ間違った?」
「親ありすと子ありす1匹目を持ってったときだな。まだ子ありすは早い」
「向こう岸に親まりさと子まりさ2匹が居るときか......
あと、こっち岸で動かせる奴と言ったら......」
「そう。ふらんとれみりゃだ」
「ふらんとれみりゃで向こう岸行って......親まりさで戻ってくるんだ!」
「うー。れみりゃ、またいくよ」
「うぁー! はやぐあまあまたべざじでー!」
「じゃあ、親まりさは、ひとりでもどって」
「ゆっ! わかったよ! おちびちゃんたちをおねがいね!」
「うぁー、あまあまああ!!」
「んほっ......まりさ、もどってきてくれたのねえええええ!!」
「しつこいよっ!」
「ゆべっ! ゆふふ、まりさったらつんでれねぇ......」
「正解!
これでこっち岸には親まりさ、親ありす、子ありす2匹。向こう岸にはふらん、れみりゃ、子まりさ2匹」
「条件は大丈夫なんだな。すげぇ、なんかすげぇぞ」
「終盤だ。一気に行ってみよう」
「親まりさと親ありすで行って、親ありすで帰ってくる!」
「ふんふん」
「親ありすと子ありすで行く!」
「よしよし」
「これで残りは子ありす1匹のみ!」
「その通り! さあ、とどめだ!」
「ふらんが単独で迎えに行って、子ありすを拾ってくればッ――」
「うー。じゃあ、さいごの子ありすをむかえにいってくる」
「いってらっしゃい! たのんだわよ!」
「これでゆっくりぷれいすにいけるね!」
「そうね! まりさ、ついたら、いっぱいすっきりしましょうね!」
「ゆぅ!? なにいってるの!? れいぱーはちかよらないでね!」
「......うー☆」
『!?』
「よーやく......よーやくあまあまがたべられるんだどー☆」
「ゆぎゃああああ!!」
「ふらん! ゆっくりしないでかえってぎでええええ!!」
「あまあまはおぜうさまにたべられるんだっどぉー! こうえいにおもうんだどー!」
「だずげでえええええ!!」
「じにだぐないよおおおお!!」
「あ゛あ゛あ゛あ......あんこざんずわないでえぇぇ......」
「ゆわあああっあああっああぁぁぁぁ......ぼっどゆっぐぢ......」
「れみ☆りゃ☆うー♪」
「ユギャアアアアアア!! 最後の最後でえええぇぇえ!!」
「横着野郎!! 何でれみりゃ放っといて行くんだよ!」
「わずれでばじだああああ!!」
「ホンットに......ダメだ! リアル餡子脳だお前は!」
「ずびばぜんんんん!!」
「ふらんとれみりゃで戻る!
れみりゃ1匹を置いて、ふらんと子ありすで向こう岸へ!
で、そこでふらんが単独で戻ってれみりゃを拾ってくるんだよ! わかったか!」
「......はい、わかりました」
「はぁー......きれいに終わるかと思ったのに......」
「......なあ、1つ思ったんだけどさ」
「何だ」
「れみりゃとふらんって空飛べるよね......?」
「......それは俺も思ったけど、突っ込んではだめだ」
「そうですか」
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「ゆっ! これでゆっくりぷれいすにいけるね!」
「おかーしゃん、いっぱいゆっくちしようね!」
「うー。ついた」
「ゆっ! ここがゆっくりぷれいすね! とかいはなたてものだわ!」
「おにーさん。かえってきたよ」
「おう、ふらん、お帰り。
おっ、すげー! れみりゃ捕まえてきたのか! やるなあ。さすがふらんだ」
「ゆっ? このおにーしゃんだれ? ゆっくちできるひと?」
「ああ、俺はとってもゆっくりできるお兄さんだよ。
そしてみんな、とってもゆっくりできる加工場にようこそ」
『ゆ゛っ!?』
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あとがき
部屋の整理中に俺が幼かった頃読んでいた本が出てきて、その内容で作ってしまいました......
こんな粗雑で分かりにくくて読みにくい作文を最後まで読んでいただいた方、本当にありがとうございました。
参考文献
「パスワード龍伝説」 松原秀行 講談社青い鳥文庫
過去作品
最終更新:2011年07月29日 02:30