迷い竹林の中、えーりん実験室の地下にはすっきりルームというものがあった
そこにはゆっくりたちが集められていた
「決めれるお部屋」と可愛らしい文字で書かれた部屋に
八意永琳は入っていく
ここはゆっくりたちの欲望に対する限度を見る施設
ゆっくりたちは地上の実験室で何かしら良い事をした事の褒美としてここに連れて来られる
「ちかのへやにはたべものがいっぱいもらえる」
ゆっくりたちの宿舎でそんな噂を少し流してやると
噂には尾が付き鰭が付き、ゆっくりたちにとって地下の部屋に連れて行かれる事は最大の喜びとなっていた
「はい、今日からあなたがここの王様よ」
永琳はゆっくりれいむをその部屋に通した
部屋は芝生が敷き詰められまるで天然の絨毯のよう
小さな小川が流れてはいるが、底は限りなく浅く水を飲むのにとても適している
天井は空を映し出し、どこからともなく風が吹く
ゆっくりれいむは"部屋"だと聞いていたが、実は外に出たのではないかと思ったぐらいだった
「さ、何か望む物はあるかしら?あなたは決める事ができるのよ」
「ゆっ?ごはん」
ゆっくりれいむがにっこり微笑む
「分かったわ。じゃあ、取って来るからあなたを降ろしていいかしら?」
「ゆっくりおろしてね」
「ええ、いいわよ。あなたが決めるんですもの」
永琳はゆっくりれいむを芝生に置くと部屋から出て行ったと思うとすぐに戻ってくる
お盆の上には細かく切られた野菜がたくさん、ふだんは硬くて食べられない芋なども蒸かしてあるので簡単に食べれる
「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー」
「足りなかったら言ってね」
「うん、わかった、おねーさん」
永琳は部屋の隅に置かれたリクライニングチェアに座り、ゆっくりれいむを眺めている
「何か決めたい事があったら、言ってね」の言葉に
「うん」とゆっくりれいむは答える。答えたらすぐに目の前の食事に向かった
ゆっくりとした時間が流れる
永琳はうどんげが作った書類に目を通す、除湿機やらの見積書を見ると頭が痛い
「おねーさん、あそぼ」
「あら、遊んで欲しいの?私でいい?ゆっくりまりさなんかも呼べるわよ」
「ゆっ?よんでよんで、まりさにあいたい」
ゆっくりまりさなら誰でもいいのかしら?と思いつつ永琳は無線で指示を出す
すると妖怪兎がゆっくりまりさを抱えてやってくる
「一匹でいい?もっと?」
「もっともっと」
ゆっくりれいむが永琳の言葉に飛び跳ねて答える
「次もまりさがいい?」
「ゆー・・・、パチュリーがいい」
妖怪兎はゆっくりまりさを置くとすぐに部屋を出てゆっくりパチュリーを連れてきた
「これでいいかしら、もっと連れてきましょうか?あなたが決めていいのよ」
それからゆっくりれいむは快適に過ごしていた
ボールが欲しいと言えばボールが用意され、眠いといえば毛布が用意され部屋が夜になった
お歌を歌って欲しいといえば永琳は進んで歌を歌った
ある日
「まりさとはゆっくりできなよ!!!」
珍しくゆっくりれいむとゆっくりまりさが喧嘩する声がした
原因はゆっくりれいむが取っておいたお菓子をゆっくりまりさが食べてしまったらしい
「れいむはもってきてもらえるじゃん。ゆっくりたのめばいいよ」
そう、ゆっくりまりさがいくらゆっくりれいむのようにお菓子を持ってくるよう永琳に頼んでも永琳は一切動かなかった
食事だけじゃない。玩具も、仲間も、天候も全てゆっくりれいむが決めていた
一時、ゆっくりちぇんがいたが、ゆっくりれいむのお気に入りにお皿をひっくり返すと
ゆっくりれいむが怒って「ゆっくりでていってね」と言うと妖怪兎にすぐ外へ連れて行かれた
ゆっくりまりさはゆっくりれいむに嫉妬していたのだ。何もかも思い通りにできるゆっくりれいむに
「まりさなんかゆっくりしね!!」
ゆっくりれいむがその言葉を放った瞬間、妖怪兎が部屋に飛び込んできた
ゆっくりまりさを押さえつけて緑色の液体を注射器で注入する
「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ」
壊れたようにゆっくりまりさが鳴きだす。妖怪兎は注射器をもって出て行ってしまった
「お、おねーさん、たいへんだよ。まりさがおかしくなっちゃったよ」
「ええ、その子はこれからゆっくり死ぬのよ」
「なんで?なんで?ゆっくりせつめいしてね」
あなたがさっき決めたじゃない。と永琳は笑うと、さきほど注射した薬の成分や効能を説明した
もちろん、そんな事、ゆっくりれいむに理解できるはずがない
「簡単に説明するわね。その子はあなたに"ゆっくり死ね"と決められた」
ゆっくりれいむの顔が青ざめる
「ここはあなたが決める事のできる部屋、その子は決まったの。だから三日間かけてゆっくり死ぬわ」
「いやだ。まりさしなないで、まりさをたすけて」
「決めていいの?」
「ゆっくりきめたよ。はやくたすけてね」
すると永琳は黄色の液体を注射器でゆっくりまりさに注入する
「すっきりー」
ゆっくりまりさはそれまでの奇声が嘘の様に理性を取り戻す
「まりさー、ごめんね。ゆっくりゆるしてね」
ゆっくりれいむはゆっくりまりさに擦り寄ろうとする
でも、ゆっくりまりさは一歩下がり、怯えるような目でゆっくりれいむを見ていた
「れいむ、ごめんね。まりさがわるかったよ。あやまるからゆっくりでいいからゆるしてね」
「ゆ?うん」
それ以来、ゆっくりまりさも傍で見ていたゆっくりパチュリーもゆっくりれいむを避けるようになった
おいかけっこでも遠慮しがちに走り、今までゆっくりまりさに勝った事がなかったゆっくりれいむだったが
その日以来、負ける事がなくなった
ゆっくりパチュリーは知識を自慢する事がなくなり、前にゆっくりれいむが自分に教えてもらった事をあたかも自分の知識のように自慢されても
すごいね。博学だね。と褒め称えた
みんな、ゆっくりれいむを恐れていた
ゆっくりれいむも自分が避けられている事を感じていた
そして、ストレスが爆発した
かろうじて理性が保たれていたのか、出て行けという命令しかしなかった
ゆっくりまりさとゆっくりパチュリーは何のためらいもなく出て行った
わざわざ妖怪兎が回収するまでもなく永琳がドアを開け出て行くように言うと喜んで出て行った
それからゆっくりれいむはずっと一人で過ごしていた
つまらない。そう考える事が多くなった
だけど、ゆっくりれいむの頭では何かいい退屈しのぎを考えられる事ができなかった
そこで、ゆっくりれいむは再びゆっくりまりさたちを呼び戻す事にした
「別の子たちも用意できるのよ?」という永琳の言葉にも
「ゆっくりなかなおりするよ!!」と笑顔で返した
そして、嫌がる二匹を部屋まで連れてきた
ゆっくりれいむはそれまでの横暴な振る舞いを謝罪し、恐れないで欲しいと願った
「う、うん、ゆっくりしようね・・・」
「むきゅん、ゆ、ゆっくりしましょう」
二匹は引きつった笑顔で答えた
結果は同じ、二匹は今までと同じようにゆっくりれいむと距離を置いて接している
ゆっくりれいむは孤独の中にいた
「ゆっくりしんじゃえ」
再び緑色の液体を注射されるゆっくりまりさ、ゆっくりパチュリーも同じようにされる
しかし、ゆっくりパチュリーはその日の夜に動かなくなり
ゆっくりまりさは三山ゆっくりれいむに罵られながら餡子を吐いて死んだ
「ゆっくりしね!!ゆっくりしね!!」
興奮が冷めないのか、死んでいるゆっくりまりさを何度も踏み潰す
そして、ゆっくりれいむは最高の暇つぶしを思いついた
「あのね。ゆっくりをつれてきて」
「あら、いいわよ。どんな子がいいかしら?今度は仲良くできるといいわね」
「だれでもいいよ」
「誰でもいいの?じゃあ、手軽な所でゆっくりまりさでいいかしら?」
「いいよ。ゆっくりつれてきてね」
妖怪兎がゆっくりまりさを芝生の上に置く
すると、ゆっくりれいむは間髪いれずに「しんで」と言う
妖怪兎は少し困惑したが、永琳に"やりなさい"と言われるとすぐにゆっくりまりさを踏み潰して見せた
キャッキャ笑う、ゆっくりれいむ
「おねーさん」
「うん」
「なんでもきめれるってたのしいね」
「そう?」
「うん!!」
それからもゆっくりれいむはゆっくりたちの命を弄んだ
肢体を?がれたゆっくりれみりゃを流れる水の中に放置したり
ゆっくりまりさの親子を共食いまで追い込んだり
今は木にゆっくりたちを吊り下げて餓死させるのに凝っている
「なんだか、あのゆっくりれいむ凄いですね」
「そう?」
「今まであんな結果出なかったですよ」
「ふぅん」
興奮気味の鈴仙に対して永琳はどこか冷めていた
「こういうのは長く続かないのよ」
そう言うと永琳は部屋に戻っていった
「つぎは・・・パチュリーをゆっくりつれてきてね」
妖怪兎がゆっくりパチュリーを連れてくる
ゆっくりパチュリーは息苦しそうに咽こむ
「こほ、こほ、むきゅん、こんにちは、ゆっくりさせてね」
ゆっくりれいむは言葉を失う
他のゆっくりと違う頬は少し扱け、ほっそりといた身体に
初めて見るような澄んだ瞳、髪は風に揺れて花の香りがするようだった
「ゆっ、ゆっくりしていってね!!」
永琳はあとで妖怪兎を叱ろうと思った。いつもなるべく元気で寿命の長いのを連れてくるように言っていたが
今日に限って、連れてこられたのはあと一週間も持たない寿命が尽きかけているゆっくりパチュリーだったからだ
「こほ、こほ、むきゅー。これが草なのね」
「や、やわらかいよ。ゆっくりころがってみてね」
コロコロとゆっくりれいむは芝生を転がってみせる
「上手ね。こほこほ、私はちょっと疲れてるからゆっくり見させてもらうわね」
"見る"その言葉にハッとした
「パチュリー、ここにいてね。うごいっちゃだめだよ。あぶないからゆっくりそこにいてね」
幸い、ここからならよく見えない
そう、この部屋の奥には最初のゆっくりまりさ、ゆっくりパチュリーを初めとした
ゆっくりれいむが殺してきたゆっくりたちの死骸が積んである
「おねーさん、アレ片付けて」
「アレって?」
「うごかなくなったゆっくりまりさとか」
「良いの?お山を作るんだ!って言ってたじゃない。ゆっくり頑張ってきたのに」
「いいの、かたづけて!!」
妖怪兎たちが何匹も入ってきて一輪車で死骸を運び出す
「楽しくなくなったの?」
「パチュリーにはみせられないよ」
「そういう自覚はあったんだ」
永琳はニコニコしながらゆっくりれいむをゆっくりパチュリーの所に連れて行く
「大丈夫よ。すぐに終わるから、見られないように二人でパチュリーの相手をしましょう」
「うん、ゆっくりごまかすよ!!」
それから妖怪兎が永琳の所に作業終了の報告に来るまで永琳とゆっくりれいむは
歌を歌ってゆっくりパチュリーを楽しませた
ゆっくりれいむとゆっくりパチュリーは仲良くなった
ゆっくりれいむは風になびく髪を綺麗だ綺麗だと良く褒めていた
外の世界を良く知らないゆっくりパチュリーは芝生や小川、木々をゆっくりれいむから教わった
二匹は自分に足りないものを埋めあうように惹かれあった
「おねーさん、おねーさん」
「どうしたの?」
「パチュリーが、パチュリーがくるしそうなの。ゆっくりできるようにみてあげて」
ゆっくりれいむとゆっくりパチュリーはしばらく一緒に過ごしていたが
次第にゆっくりパチュリーは弱っていった
ゆっくりれいむは必死に元気付けたり、顔を舐めてあげたり、食事を運んだが
ゆっくりれいむが期待していたほどの効果は無かった
「むきゅ?おねーさん、ゆっくりみなくていいわよ」
聴診器を当てようとした、永琳にゆっくりパチュリーが答える
「私はもう長くゆっくりできないのは私が知ってるよ」
「なにいってるの?パチュリーゆっくりしようよ」
「れいむ、ゆっくりできる時間は決まってるの。私はそれがれいむより少し短いの」
「いやだ。いやだよ。ゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってね!!」
「むきゅー・・・れいむ、れいむを一人にしないように私、少しでも長くゆっくりするね」
「うん、ゆっくりしよ!!ゆっくりしよ!!」
「れいむ、疲れたから少しゆっくり眠らせて、ちゃんと起きるから」
そう言ってゆっくりパチュリーは目を閉じた
「うん、ゆっくりまってるよ」
「無理よ」
「え?」
「死んだわ」
永琳は聴診器を当てて確認する
「ゆっ?!いきかえってね!!ゆっくりいきかえってね!!」
「決めていいの?」
「いきかえらせてね!!」
「いいわよ」
永琳はポケットから赤色の液体の入った注射器を取り出し、ゆっくりパチュリーに注射する
ゆっくりパチュリーは目を覚ます。自分の周りをゆっくりれいむが飛び跳ねているのが分かる
ああ、約束を守れてよかった。ゆっくりパチュリーはそう思った
しかし、数回に及ぶ薬物での蘇生は確実にゆっくりパチュリーを蝕んでいた
皮はガサガサになり、目も良く見えない。真っ赤なリボンをやっと見つけられるぐらい
髪も風になびかなくなった。もちろん前のような花のような香りはしない
「あのね。れいむ、お願いがいいの」
「なに、パチュリー。なんでもいって」
「あのね。れいむ、死にたいの」
「ゆ・・・」
「見て、あなたが褒めてくれた髪ももうガサガサ」
「で、でも、れいむはパチュリーとゆっくりしたよ!」
「むきゅー・・・お願い」
それでもゆっくりれいむはゆっくりパチュリーとゆっくりする事に決めた
「むきゅーむきゅーみきゅー」
「パチュリー、きょうもいいおてんきだね。ゆっくりできるね」
「むきゅーむきゅーむきゅー」
ゆっくりパチュリーの頬は痩せこけ、皮は所々ひび割れを起こしていた
髪はバサバサになり、蒸れてすっぱい臭いがする
喋る言葉には知性の欠片も、それどころかまともな言語すら喋れなくなっていた
「パチュリー、なにかたべる?」
「むきゅー」
「パチュリー、ゆっくりでいいかられいむのことばにこたえてね」
「むきゅん?・・・・むきゅー」
「はぁ~・・・・」
永琳は大きくため息をつくと、ゆっくりれいむが殺してきたゆっくりたちの総計を見る
「こんな結果でこの出費とは・・・」
「おねーさん」
「はい?」
「パチュリーがおかしいよ。またあのおくすりでなおして」
「もう無理よ。たぶんあの子はあなたより長生きするわ。けど、あの状態から治る事はないわ」
「じ、じゃあ、パチュリーを・・・ゆっくりしなせてあげて」
「・・・あの薬をかなり使ったから、かなりゆっくり死ぬ事になるけどいい?」
「いたくしないであげてね」
「ええ、眠るように」
永琳はゆっくりパチュリーに少量の水を注射した
「じゃあ、この子はゆっくり死んでいくから、あなたが見守ってあげて」
そう言って、永琳は部屋を出た
「鈴仙、鈴仙」
「は、はい」
「煩わしいから、あの部屋にガスを注入して」
「よろしいんですか?」
「あの部屋はしばらく封鎖よ。出費ばかりでたいした結果が出ないのよ」
永琳はイライラしているようだった
ゴオオオオオオオ
部屋の送風機の出力が上がる
「ゆっ、なんだかいきぐるしいよ」
「むきゅ?!むきゅー!!!!」
ゆっくりパチュリーが苦しみ出す、吐き出した生クリームは酸っぱい臭いがする。腐ってる
「いたいの?おねーさんやめて、パチュリーがいたがってるやめて!!」
目から口から生クリームがドロドロと流れる、髪も風に吹かれてドンドン抜ける
「おねーさんやめて、ごほっ!!」
自分も餡子を吐き出してしまう
「ゆ?ゆっくりできないよ!!おねーさんやめてゆっくりさせて!!」
「むきゅん、むきゅん」
「パチュリー、だいじょうぶ?おねがい、おねーさん、れいむきめるよ。やめてやめてね」
永琳はこの実験をやめる事にした
最終更新:2008年09月14日 08:23