• 投棄所かな、これ?判断しにくいんですがどうでしょうか?
  • ゆっくりは大根一本で一家族が3日間楽に生活できるとしてください。
  • 虐待成分薄いです。描写はあえて飛ばしました。
  • 騎馬めーりんがチョイ役で使われています。
  • た、たまには虐待お兄さん方が怒られてもいいよね!

近年突如現れた謎生物(なまもの)ゆっくり。
山林で主に数を増やしたこやつ等は人里に降りては村の畑を荒らしたりした。
野菜が生活の糧である農家にとっては洒落にならない事態であったので、即座にあ奴らは駆除すべきだ!という意見があがった。
が、しかし長は言った。
「いや、待て。あ奴らをつぶすのは容易い。だが、ゆっくり達と共存できる方法もあるはずだ」
「きょ、共存!!あ、あの野菜泥棒とぉ!?」
唐突過ぎるその発言に皆は色めき立つ。
「待て待て、あ奴らを野菜泥棒と決め付けるのは早いぞ」
と、若い農夫が声を上げる。村の長の息子だ。
「早いってどういうことだ?」
「あいつらは野菜を勝手に生えている、と思っている。それで俺達はそれを独占している、と思っているみたいなんですよ」
「なお悪いわ!」
「つぅか、人の苦労も知らずにあんたもあいつらも……」
この青年、あまり畑仕事をせずに山を登ったり、文書を遠方から送ってもらったり、と日頃汗水たらして働いている村人から見れば遊んでいるようにしか見えなかった。
「いや、だからさ。独占している、と思っているんならさ。何かと交換で野菜をやれば文句は無い、と思うんですよ」
「何かと交換~?あいつらが持ってるのはどうせ草やら葉っぱだろ?」
「だから、その草ですよ」
青年がいうには村の西にある台地に珍しい薬草があった。これは竹林に最近やってきた医師からのお墨付きを得ている。
しかし、この台地に行く細道はかなりもろく人一人通ることもできなかった。
そう人間ならば。
青年はゆっくりに薬草を持ってきてもらい、その代償に野菜を渡す、という物々交換を行うという提案だった。
「あいつらに野菜を持っていかれるのは……」
と村人は当初は渋っていたが
「だけど、ゆっくりに少量の野菜を渡すことでより高価な品を手に入れることができるんですよ?」
という青年の一言に屈した。
「まぁ、急にこうしろなんて言っても無茶な話です。ここは試しにやってみましょうよ」
青年はニコニコしながら話を結んだ。
「と言うことですから明日ゆっくりの群れにこの話してきますんで」

『まだしてなかったんかい!』

さすがにそれには皆がツッコミを入れた。

翌日のこと。ゆっくりの群れに数人の村人がやってきていた。
青年は長であるぱちゅりぃに例の薬草を見せて語りかける。
「コレを見たことはあるかい?」
「むきゅ、あのゆっくりぷれいすにあるにがいくささんね!」
「コレは人間にとっては凄く大事な草でね。それを持ってきてくれれば私達のゆっくりプレイスに生えている野菜さんを少しだけど分けてあげるよ」
「むきゅ!そ、それはほんとなの!?」
それを聞いてぱちゅりぃは顔色を変える。今までは美味しい野菜を手に入れるには命がけで、しかも手に入れることができるのは少量だった。
しかし、苦い草をある程度持っていけば、野菜をほぼ安全に一定の量が手に入る。この違いは大きい。
「ああ、本当だよ。その代わり畑からは勝手に野菜を取らないでくれ。もし盗った場合は  
 そのゆっくりが何をされても文句は言わないでほしい。 その代わり、コチラも君達を苛めたりはしない」
「むきゅぅ……」
少し、ぱちゅりぃは考えて
「わかったわ! そのじょうけんでいいわ!」
「納得してくれて何より。 じゃあ明日からお願いするよ? この草以外でも交換できるものがあるからそれは交換所においておくからね。それを持ってきてもいいよ」
「むきゅ! まかせてね!」

さっそくこの提案を群れに伝達させてもらう。反対するゆっくり達もいたが、少しずつ理解してもらうことにしよう。
「じゃ、村の外れに交換所を作るからね?そこに草を持ってきたら野菜をあげるよ」
「わかったわ!」

実をいうとこれは、かなり穴がある提案だった。
交換所の村人が強欲で目盛りに細工をすれば多めに薬草を奪うこともできるし、
ゆっくりの側でも草を自分から取りに行かずとも草を採取し、
こちらに持ってくる途中に奪って自分が採ってきたと報告すれば野菜がもらえるからだ。
村人の側は青年が細工をすることを止めさせた。
「それで大量に持ってこられても薬草の値崩れ起こしますし、第一肝心の薬草が生えてこなくなったら大変じゃないですか」
「野菜の数は数えてるんで纏まった量を持ってきたらちゃんと渡してあげてくださいね?」

断っておくが青年は別に愛護派ではない。しかし、一度決めた約束はどんな動物にでも履行すべきだ、と考えてるだけである。
ゆっくりがいなかったら別の何かを探して、別の方法で契約をしていただろう。
ゲスゆっくり対策はゆっくり達の泥棒をなんとかしてほしい、という訴えが来てから対策に着手した。
まず被害にあったゆっくりまりさを交換所にこっそり配置してそのゲスが来るのを待つ。
そして「あいつだよ!」とまりさが叫んだゆっくりを即座に確保・即刻加工所か不当に得た野菜×規程の日数分人里で働くか(生ゴミ程度だが食事は出す)を選んでもらう。
人里でゆっくりが働けるものなどあるまい、とお思いだがある程度の大きさのゆっくりならば案外いろいろ働ける。
(監視は付くが)畑の雑草取り、狭いところの掃除などで案外使えるものだ。また、こういった制裁を受けたゆっくりには飾りにそれを示すマークを付け、再犯を防止する。
一度目は人間の手で裁くが、二度目は群れで裁いてもらうことになるわけだ。

そんなこんなで体制が整ってきたら村とゆっくりは比較的他より友好になった。
畑泥棒の頻度は大きく減少し、逆に手伝うようにまでなったのだからまぁ普通そうなる。


しかし、それが面白くない者たちも当然いた。虐待お兄さんである。
「くっそぉ、長のとこの放蕩息子のせいで俺らの楽しみが無くなっちまった……」
今までは畑泥棒のゆっくりを仕置きする、という大義名分を振るってゆっくり達を思う存分虐めることができた。
しかし、今ではそんなことをしたら村八分、そんな風潮が出来上がっていた。
こちらからダメならゆっくり側から仕向けさせようと目盛りに細工をしたが青年に釘をさされてそれもオジャンだ。
「面白くねぇ……うん?」
たまたま、森ですぃーに乗った騎馬めーりんの群れを見つけた。
「そうだ……」
虐待お兄さんの唇の端がニィと吊りあがった。

数日後
「え?いつも来るはずのゆっくり達が来ない?」
「はい、この時期は冬篭りが近いですから食料は多いに越したことはないはずなのに……」
交換所のお姉さんはオロオロしている。
「う~ん、じゃ、ちょっと群れの方を見てくるよ、もしかしたら纏めて持ってくるのかもしれないし」
そうして青年は数人ほどの村人を連れて森に向かった。

「こ、これは一体……!」
群れのいた場所はコレでもかというぐらいに荒らされていた。
長のぱちゅりぃだろう遺体も殆ど原型が残っていない。
すぃーの後があった事から騎馬ゆっくりの犯行と見られる。だが、
「騎馬ゆっくりは逆方向に向かっていたはずだ……、急に方向を転換するなんておかしい」
「若ぁ、まだあいつ等この辺にいるみたいです!」
「そうか………探し出すぞ」
数十分後、すぃーを止めて、休憩をしている騎馬ゆっくりの群れを発見した。
「ジャ、ジャオ!?」「い、いきなり人間が何の用だ!?と申しています」
「君達は逆の方向に移動していたはずなのに、なぜこちらに向かってきた?」
「ジャオォン!ジャオジャオ!」「ここらで悪さをするゆっくりがいるから懲らしめて欲しい、と人間に頼まれた、といっています」
「馬鹿な!? あの群れのゆっくりと私達の村は友好関係があったんだぞ!!」
「ジャ、ジャオン!?」「そ、それはどういうことだ!と言っております」
「君達は騙されたんだよ……、その人間に」
「ジャオ……」「ゴメンなさい、と言っております」
「………子供達は残っているかい? 確か君達は奴隷制があるから子供と赤子は残しているはずだ」
「ジャオ……ジャオジャオ」「ちゃんと残っている、とのことだ」
「その子達を返してくれ、それで君達の件はチャラにする」
「若!? いいんですか?」
「いいんだ、彼等は良かれ、と思ってやっただけだ。それに子供達にも薬草採りの手伝いをしていたものがいたはずだ」
薬草と交換制度を教えれば来年もこの友好関係を続けることはできる。
「ジャォォン……」「誠申し訳ない、とのことです」
「悪いのは君達じゃない、騙した人間だ。それと悪いと思っているなら一つ頼みがある」
「ジャオ?」


翌日虐待お兄さんが捕まり村八分に処された。

後書き
どんなにいい提案でも遅かれ早かれこのプランは破綻してたんだと思います。
今回はたまたま人間側が引き金をひいただけなんです..

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最終更新:2022年05月21日 23:08