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その日、一匹の親れいむはゴミ捨て場から見つけてきた生ゴミを口の中に入れ、家路を急いでいた。
巣にしている自動販売機脇には二匹の子れいむがおなかを空かせて待っている。
親れいむには、親としての義務感があった。
二匹の子供を養うため、体も頭のリボンも薄汚れてみすぼらしい姿になるまでご飯を探した。
体を小奇麗にする暇など無いくらい、動き回った。 そうしなければご飯は殆ど手に入らない。
この街は野良猫やカラスといった外敵や競争相手は少なかったが、れいむの一家が満足に
食べ物にありつけるほどには人間はゴミ捨て場の管理を緩くしてはくれなかった。
ゴミ捨て場の大きなゴミ入れ箱はとても親れいむには開ける事の出来ない代物だったし、
親れいむが漁る事の出来る程度の、ゴミ袋を置いてネットをかけるだけのゴミ捨て場は少なかった。

そんな数少ないご飯の調達場所であるゴミ捨て場も、人間という天敵に見つかる危険が常にあった。
人間はとても恐ろしい生き物だった。
親れいむの姿を見つければ、殺されはしないもののさんさん追い掛け回され、蹴り飛ばされたり棒で殴られたりした。
そうでなくても、人間は自分より強くて逆らってはいけない存在だというのは親れいむは以前より熟知している。
というのも、親れいむはもともとは人間に飼われているゆっくりだったからだ。
ゆっくりペットショップで躾を受け、購入され、バッジも持っていた。
それが今ではとある事情により野良ゆっくりであった。

「おちびちゃん…まっててね! いまおかあさんがおいしいごはんを…」

そんな親れいむが巣の前までたどり着くと、目にした光景に思わずあんぐりと口を開けた。
生ゴミがいくつかこぼれてアスファルトの地面に転がる。
自動販売機の前に一人の人間が立っていて、その足元には二匹の子ゆっくりたちがいたからだ。
それも、人間の足に向かってポスンポスンと体当たりを繰り返しているではないか。
纏わりついているのでも、じゃれついているのでも無い。

人間に、攻撃しているのだ。

「にんげんしゃんはさっしゃとれいみゅたちに、あみゃあみゃよこしてにぇ!」

「よこしぇ~ くじゅにんげんはさっさとしんでにぇ!」

子れいむたちは二匹とも、そんな攻撃的な言葉を繰り返しながらしかめっ面をしている人間の足に
対して効いてもいなさそうな体当たりを続けている。
人間は今のところ子れいむたちに危害を加える様子は無い。
が、その表情がだんだんと不機嫌にイラついて来ているのを、親れいむは読み取っていた。

「ゆあああああああ!? おちびぢゃんだちなにやっでんのおおおおおお!?
おうちにかぐれでなざいっていっだでじょおおおおおお!?
なんでにんげんざんにしづれいなごどやっでるのおおおおおおおお!!」

親れいむは思わず飛び出し、短く跳躍するとちょうど人間の目の前に落ちるように顔面から着地した。
フライング土下座である。

「ごべんなざい! なにがあっだがわがりまぜんが、ちびぢゃんだぢをゆるじでぐだざい!
まだほんのこどもなんでず! なにもわがらないちびぢゃんなんでず! ゆるじでぐだざい!」

人間に対しては、下手に出る事だ。 どっちが正しいとか悪いとか、そんなのは関係ない。
子れいむたちが勝手に「お母さんが帰ってくるまで、誰にも見つからないように隠れている事」という
いいつけを破って人間に突っかかって行っている経緯はわからない。
だが、人間はゆっくりより強いのだ。
逆らえば最悪殺されるし、でなくても命をとられなかっただけでもマシというくらい痛めつけられる。
自分が殺されるだけなら、それでも親れいむにとってはマシだ。
大事に育てている子供達が殺されたりしたら…想像ずるだに恐ろしい。
子供たちは親れいむの生きがいなのだ。 野良として生きるれいむには少しのゆっくり出来る時間も無い。
だが、子供たちはゆっくりできる存在だ、と親れいむの本能はそう思っていた。
子供達がいるから、野良生活でも一生懸命生きていけるのだ。

「…こいつらの親はてめえか」

人間は短く親れいむに問いかけた。
その声質がかなり怒りを含んでいる事ははっきりと見て取れた。
親れいむはアスファルトに顔を擦り付けながら震え上がった。

「おい、地面にへばりついてねえで顔を上げろ」

人間がそういったので、親れいむはガバ、と全くゆっくりせずに顔を上げた。
とにかく平謝りして、素直に言う事を聞き、怒りを解いて許してもらうしかない。
でなければ、ゆっくりできない目に…

「なにクサレ饅頭の分際で人間様に物を強請りに来てんだこのボケ!」

逢わされた。

「ゆびいいいいいいいっ!?」

人間のかかとが親れいむの顔面にめり込み、餡子を押しつぶされる痛みに親れいむは苦痛の呻き声を上げた。
そのまま二度、三度と人間は親れいむを顔と言わずぽんぽんと言わず、蹴り付ける。
一発一発に怒りが込められていた。

「なにがあまあま寄越せだ! 人がジュース買って飲んでる所に『それはれいみゅのものだよ』だ!
俺が金出して買ったものが何でお前らのものだっつーんだ!? ああ!?」

「ごべんなざい! ゆぎゅっ! ごべんなじゃい!! ゆびゅっ!! ゆるじでぐだじゃい!!
ゆぎいっ!? こどもだちはなんにぼわがらないんでず!! ゆびゃあああああ!!
どうがゆるじでぐだざい!! ごどぼのやっだごどなんでずうううううう!!?
ちゃんどあどでいっでぎがぜまずがらもうゆるじでぐだざいいいいいいい……」


人間は親れいむをさんざんに蹴り付け踏み付けたあとに、ぺっと唾を吐き捨てて去っていった。
後には、前にもましてボロボロに汚れ傷ついた親れいむと、その脇でぷくーと膨れている子れいむたちが残った。

「ゆっ…おちびちゃん…けがは…ない…?」

傷ついた体で親れいむは子れいむたちを気遣う言葉をかけた。
親れいむが卑屈に頭を下げ、暴力を受けてまで守り通そうとした子供たちは二匹とも、どこにも傷も汚れも無いようだった。
良かった…と親れいむが安堵しようとしたのもつかの間、子れいむたちの口から吐き出されたのは思いもかけない言葉だった。

「ゆー! よけいにゃことしゅるおかーしゃんはゆっくちしにぇ! れいみゅたちあのにんげんしゃんから
あみゃあみゃをてにいれりゅとこりょだったんだよ!」

「おかーしゃんのせいで、あみゃあみゃよこしゃなかったんだよ!
まんじょくにかりもできにゃいくしぇに、れーみゅのかりのじゃましにゃいでにぇ!」

…事の顛末は実に単純なものだった。
二匹の子れいむたちは、自動販売機から甘いジュースが出てくることを、買いに来る人間たちを見て知っていた。
そこで、人間からあまあまを貰おうとした。
それも、『恵んでください』ではない。 ゆっくり特有の『それはれいむのものだよ!』という要求によって。
身の程知らずもいいことだ。
親れいむが這いつくばって、蹴られて、怪我を負ってまでして命乞いをしなければどんな事になっていたのか、
子れいむたちには全くわからない。
目の前で親れいむがさんざんに痛めつけられたのを見ていても、人間が振るう暴力がどんなものか目の前にしても全く理解できない。



夜、冷たい風が吹く中で親れいむは二匹の子れいむを自動販売機の裏側の隙間に入れて廃熱で暖め、
自分はその隙間を塞ぐようにして寒さを堪えながら過ごしていた。
子れいむたちは親れいむが取って来た生ゴミをお腹一杯食べて満足そうに「ゆぴー ゆぴー」と眠っている。
親れいむは考えていた。
かつて飼いゆっくりだったころ、親れいむには子れいむ達だけでなく子まりさもいた。
暖かい家とゆっくりできる美味しい食事を与えられ、とてもゆっくりした子供たちを授かり、
親れいむはとても幸せでゆっくりできていた。
だが、その子まりさはある日、飼い主である人間の機嫌を損ねてさんざんに折檻を受けた後、衰弱死した。
その理由は些細なことだ。 ほんの少し、飼い主に我侭を言っただけだ。

『にんげんしゃんはまりしゃにあみゃあみゃをよこすんだじぇ! そしたらまりしゃのうんうんでみょたべさせちぇやるのじぇ!』

人間は、ゲスの子供なんか産みやがって!! と親れいむにも折檻を加え、その日以来冷たく当たった。
親れいむは言われた「ゲス」というのがよく解らなかった。
飼いゆっくりというのは通常、人間に飼われやすいように性格や適正を振るいにかけられ、不適格なものは間引きされる。
親れいむの相手となった飼いまりさも、親れいむの飼い主の知人と通じて見合いをした生粋の飼いゆっくりだ。
ゆっくりは親の記憶や性格がある程度子世代に受け継がれる性質を持っているために、
飼いゆっくりと飼いゆっくりの番であれば、それなりに筋の良い子ゆっくりが生まれるはずである。
だが、稀に生まれつきゲスな個体が産まれる事がある。
躾けや調教によって飼いゆっくりとなるように矯正されたゆっくりでも、我侭であるとか欲求が強いとかの
資質は潜伏した状態で残ることが多い。
そのため、生まれた子ゆっくりにもそれが受け継がれれば表面に出る事もある。
そしてそういう個体は子ゆっくりのうちに処分されるか躾によって矯正され、ゲス性の強くない子のみが生き残ることを許される。
しかし親れいむの飼い主だった人間は、ゲスの子が生まれたと言う事に強いショックを受けたのか
飼いゆっくりそのものが嫌になり、ついに子れいむたち共々親れいむを捨ててしまったのだった。
処分して殺さなかったのは、仮にも一度飼っていたゆっくりを殺すのはかわいそうだという中途半端な情けが残ったためである。

親れいむは、そうしたゆっくりという生物としての性質から生まれる「ゲスの子」という物が上手く理解できなかった。
自分は幼いころから飼いゆっくりになるための躾を受けてきたし、バッジもあった。
ペットショップにいたころも、人間に我侭や悪態を向けるゆっくりなんて仲間は一匹も見たことが無かった。
仮にそんな子がいれば、厳しい折檻を受けた。
だから、親れいむは自分が産んだ子供達も、ほんのちょっと我侭なだけなんだと思っていた。
しっかし躾をして、やっていい事といけない事を覚えさせれば、素直ないい子になると思っていた。
なにしろ自分はバッジ付きの飼いゆっくりだったんだもの。
そんな自分から生まれた子供が、いい子でないはずはない。
親れいむは、そう信じながら明日も子れいむたちのために頑張ってご飯を探してこようと固く誓うのだった。



「にんげんしゃん! ここはれいみゅたちのゆっくりぷれいしゅだよ!」

「いたいみぇにあいたくなかったりゃ、さっさとあみゃあみゃをよこしてにぇ!」

翌朝…昨日受けた傷の痛みと疲労によって日も大分高く上るころになって目を覚ました親れいむの耳に聞こえてきたのは
子れいむたちが自動販売機の前の方で人間に対して要求と縄張りの主張をしているところだった。
親れいむが疲れ果てて眠っていたので起きず、揺らしても体を擦り付けても叫んでも目を覚まさない子れいむたちは
やがて空腹に業を煮やしたために自分達でご飯を調達しようと、やって来た人間にたかりに表に出て行ったのだった。

「ごめんなざい! ごべんなざい! ちびちゃんだぢがしづれいなごどじでほんどうにごべんなざい!!
がわりにれいむがおじおきざれまずがら、ちびぢゃんだちはゆるじでぐだざい!!
とってもゆっぐりじだおちびぢゃんなんでず! どうか、どうがおちびぢゃんだちだげはっ…ゆぎゅうううう!!」

「うぜえ!!」

そうしてまた親れいむは子れいむたちを庇ってさんざんに踏みつけられ、傷を負ったのだった。


親れいむにも、考える所はあった。
子れいむたちが自分に「狩りも満足に出来ない」とか言ったり、いいつけを守らないで自分達でご飯を手に入れようとするのは
親れいむがいつも取ってくるご飯が、不味い生ゴミしか無いという事を。
空腹の辛さには代えがたいものは無いので仕方なく食べているが、子れいむたちに取っては親れいむと一緒に
人間に飼われていたときに与えられていたゆっくり用フードに比べれば、天地の差がある食事の質だろう。
それに対して、ふがいないと親れいむは自分を責める気持ちがある。
子供たちは捨てられて以来(親れいむ自身もだが)ゆっくりさせて上げられていない。
一日の殆どをご飯を探して駆けずり回る時間に取られており、一緒に遊んであげたりおうたを歌ってあげる時間も無い。
子れいむたちの親れいむへの不満も溜まるだろう。 それが反抗的な態度や言葉に表れるのは仕方が無いことだ、と。
だが、生活の割合をご飯を探す時間に割かなければ親子揃って飢え死にするだけである。
だからこそ親れいむは一生懸命ご飯を探すのだ。
そして、明日こそは、いつもの生ゴミなんかよりも美味しいご飯を見つけて、子供達をゆっくりさせてあげよう。
親れいむは再び固く心に誓うのだった。




その日、親れいむはゴミ捨て場から見つけてきた、珍しく殆ど手の付かない状態で捨てられていた
甘いどら焼きを口の中に入れ、家路を急いでいた。
巣にしている自動販売機脇には二匹の子れいむがおなかを空かせて待っている。
親れいむには、親としての義務感があった。 それ以上に子供への掛け値の無い愛情があった。
二匹の子供を養うため、体も頭のリボンも薄汚れてみすぼらしい姿になるまでご飯を探した。
人間に何度も踏みつけられ酷い怪我を負った体に鞭打って、全力であちこちのゴミ捨て場を駆けずり回った。
そうして手に入れた、きっと子れいむたちも喜んでくれるだろう「あまあま」を携え、わき目も振らず巣へと向かっていた。
足をアスファルトの硬い地面が傷つけ、体が埃や自動車の排ガスで汚れるのを気にする暇も無かった。


「おちびちゃん…まっててね! いまおかあさんが、こんどこをおいしいごはんを…」

そんな親れいむが巣の前までたどり着くと、目にした想像もしない光景に驚愕で口を思い切り開き、叫んだ。
口の中からどら焼きがこぼれてアスファルトの地面に転がる。
自動販売機の前に二匹の子ゆっくりたちがいたからだ。
だが、その体はひどく平坦に…ぺしゃんこになっていて、口から大量の餡子を吐き出していた。
潰されていたのだった。
誰がそんな事をしたのかは、わかりきっていた。
子れいむたちの体には、人間の大きな靴跡がくっきりと残っていた。

「あ…あ……どおぢで…どおぢで…れいむのおちびぢゃんだぢが……だいじなおちびぢゃんだぢがあ……」





それは親れいむが戻ってくる数十分前の事だった。
自動販売機の前で飲み物を買いに来た人間の前に出てきた子れいむ二匹は傲岸不遜な態度でその人間にあまあまを要求した。
人間は、「またか」的なうんざりした表情と、そしてイラつきを態度に表していたが子れいむたちは気付く様子も無い。

「ゆゆー! ゆっきゅりちていっちぇね! れいみゅにあみゃあみゃよこちてにぇ!
よこしゃにゃいといたいみぇにあわしぇるよ!」

「ゆー! ここはれーみゅのゆっくりぷれいしゅだよ! あみゃあみゃよこしたらさっさとでてっちぇね!
いちみゃんえんでみょいいよ!」


子れいむたちは、母親と違って人間という物を全く恐れていなかった。
飼われていた時期は子れいむ達にとっては短い時間でしかなく、しかも人間は自分達にご飯を与えてくれる存在としてしか認識していなかった。
十分に人間に躾けられ、立場や力関係をよく認識していた母れいむに比べて躾けの経験もまだ少なかったのもあった。
そして、姉妹である子まりさが折檻を受けたのも目の前で見ていなかった。
ただ、人間が意地悪をして死なせたのだと思い、それが人間に対する反発・反抗的な態度を後押しした。
そして、野良になってからは、子れいむたち自身は不幸なことに認識が薄かったが常に親れいむに守られていた。
親れいむが人間に暴力を振るわれているのを見たことはあっても、自分達が痛い目に合った事は無かったのだ。
だから、子れいむたちは母親はなんら抵抗もせずに人間にへいこらしているだけのヘタレにしか移らなかった。
子ゆっくり程度の知能と危険認識能力では、それは無理からぬ事ではあった。

「お前ら…大概にしろよ…?」

その人間はこめかみに青筋を立てて、いかにも不機嫌を通り越して怒り心頭といった面持ちでゆっくりと足を持ち上げた。
そして、「ゆ?」と間抜け面をしている子れいむたちのうち、やや小さい方を足で軽く踏みつける。

「ゆみゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

「れーみゅっ!!」

「ふざけんな…俺の憩いのひと時の度にお前ら出てきて邪魔しやがって…こっちは朝から休み無く働いて
やっと一息入れようとして買いに来てんだ! 毎回毎回うぜーんだよ! 死にたいのか?
そんなに踏み潰されたいのか!? ああっ!?」

人間は、それまで「子どものゆっくりだから」とどんなにウザくても、日々の仕事のストレスを
八つ当たりするのは大人気ないからと我慢してきた怒りをその日に限って子れいむたちに顕にしてぶつけていた。
その姿は傍から見ても、あまり誉められた行為ではない。
だが、運の悪いことにその時人通りはその周辺に少なく、そしていつもなら庇って人間に土下座して
暴力を受け付ける親れいむはまだ帰ってきていなかった。

「いぢゃいよぉぉぉぉくりゅしいよぉぉぉぉぉ! れいみゅをふみゅにゃぁぁぁぁぁ!
さっさとはにゃせばきゃにんげん!」

「れーみゅのいもうちょをはにゃしぇぇぇぇぇ! いたいみぇにあわしぇるよ!
れーみゅはとっちぇもつよいんだよ! こにょくしょにんげん!」

踏まれた方の子れいむも、怒って人間の足にポスンポスンと体当たりを加える子れいむも、揃って
人間に悪態を付いたがそれは返って人間の怒りを加速するだけだった。
そして人間は、ゆっくりと踏む足に力を加え、じわじわと子れいむを踏み潰してゆく。

「ぐりゅぢぃぃぃぃぃ! おねえぢゃんだじゅげぢぇぇぇえぇぇ!? ゆびゃぁぁぁぁぁぁぁ! ぶぎゅっ!!」

「ああああああああれーみゅのいもうちょがぁぁぁぁぁぁ!!
こにょゆっくちごりょしぃぃぃ!! にんげんはしにぇ! ゆっくちしにぇぇぇぇぇ!
どおちでれーみゅがこうげきしちぇるのにしにゃないにょぉぉぉぉぉ!?」

妹だった子れいむを潰され、残った子れいむは怒りのままに体当たりを続けるが全く効いている様子が無いのに涙を流し始める。
にちゃり、と言う音とともに靴底に餡子をへばり付かせた人間の足が再び持ち上がり、そして子れいむに影を落とす。
その子れいむは、潰されてぺちぇんこになった「妹だったもの」と人間の足を見比べ、そして絶望の涙を流した。

「ゆぁぁぁぁぁぁぁ! しにちゃくにゃい! れーみゅぺちゃんこになりたきゅにゃいよぉぉぉぉぉ!
たすけちぇ! おかーしゃんたしゅけちぇぇぇぇぇぇ! いやだよぉぉぉぉぉ!!」

子れいむは生まれて初めて人間に対する恐怖という物を味わった。
妹が目の前で殺され、初めて人間に対する力の差ととうものを思い知った。
そして、自分も殺されるのだという時になって、母親が自分を今まで守ってくれていたのだという事を悟り、
身代わりに人間に踏まれ蹴られる母を求めて叫んだ。

そしてその子れいむも、姉妹仲良くゆっくりと踏みつけられて潰れてアスファルトの染みになった。







翌日、自動販売機の前には二匹分の子れいむの死骸と、賞味期限の切れているどら焼きが転がっており、
親れいむは自動販売機の角に頭を打ち付けて死んでいた。

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最終更新:2022年05月22日 10:39