注意
  • 某奇妙な冒険のまんまパロディです。
  • ゆっくり達が某奇妙な冒険の6部のラスボスの
完成した能力に巻き込まれていたら・・・というシチュエーションです。
  • まだストーンオーシャン最終巻を読んでいない方は戻りましょう。
モロネタバレです。
  • 某奇妙な冒険自体が嫌いだったり、知らない、読んだことがない、
という方も戻りましょう。
  • ちょっとゆっくり達が賢すぎる か・も?
  • 虐待描写が無いに等しいです。












ジゅジゅのゆっくりな冒険 ゆトーンオーシャン
ステアウェイトゥゆっくり~ゆっくりへの階段~






















ここはどこかの森の中。
ここでは様々なゆっくりたちが様々な形でゆっくりしながら毎日を過ごしている。
れいむとまりさとありすとぱちゅりーがすーりすーりしながらお喋りをしている。
ちぇんとらんがかけっこをしている様子をゆかりんが微笑みながら見守っている。
みょんが木の枝を咥えて一匹で黙々とけんのしゅぎょーをしている。
めーりんは俺の嫁。
きめぇ丸が木の上で物凄い速さで体を振動させている。
ゆうかりんが自分が育てた立派な花を嬉しそうに見つめている。

そんなとてもゆっくりしているゆっくり達に、ある日、とてもゆっくりしていない出来事が起こる。



「ゆっ、ゆっ、ゆっ!ゆっくりしすぎたよ!ゆっくりいそぐよ!!!」

矛盾していることを呟きながら移動しているこのれいむは、
ともだちであるまりさ、ありす、ぱちゅりーと一緒に食べ物をとったり、一緒にゆっくりしているいつもの広場へ向かっていた。
いつもなら急ぐ必要は無いのだが、「おひさまがまうえにくるまでにしゅーごーよ!」と
いつもぱちゅり-から言われていたのに、現在、いつもは青いはずの空の西の方角が微かにオレンジ色に輝いてきている。
ようするに、れいむは寝過ごしたらしいのだ。寝ていた時間は普段と変わらない気がするのに。
ちなみにゆっくり達は「眠る」ことも「ゆっくりする」と表現している。紛らわしいってレベルじゃあねーぞ!
とてもゆっくりしているまりさ達なのだからゆっくり待っていてくれるだろうとは思うが
あまり待たせるのは悪い、そう思い、普段は使わない(たまには使うけど)近道を通ることにした。
おうちからその広場まで行くまでの近道には、地面が数センチ盛り上がっている部分がある。
人間からすれば意識しないでも乗り越えれるであろうこのおやまさんは(れいむのおうちからみて)向こう側が段差になっていて、
ここを通るのはゆっくりにとっては少々怖いものでもあるようだ。降りるときに跳ねなければならないからだ。
しかし、段差を降りればそこが待ち合わせ場所の広場となっているのだ。

「ゆっ!こわいけどまりさたちをまたせたくないからがんばるよ!ゆっ、せー、のー、ゆっ!!!」

思い切り飛んだ。

「ゆ!?ゆべえっ!?」

そして転んだ。
力いっぱい飛んだれいむは、思い切り底部を強打した。
いや、底部を強打すること自体は毎回あったのだが、今回は度が違った。

自分が飛んでから落ちるまでの間が凄く短かった気がする。
凄く痛い。目を開けてられない。

「ど・・・どぼじで・・・ゆぐぐ・・・」

まあ、でも死ぬほどじゃないから気にしないことにしよう。
そう思うことにした。

「ゆ、ゆうぅ・・・それにしてもゆっくりできないおやまさんだね!ぷんぷん!」

こんな相手に威嚇してもどうしようもないのだが、

後ろにいつもの3にんがいるはずだ。
そう思い、振り向きながら叫んだ。

「ゆっくりしていってね!!!」

しかし、ともだちのみんなは誰も居なかった。

「ゆぅ・・・まりさとありすとぱちゅりーはかえっちゃったんだね・・・
しょうがないよ、きょうはひとりでたべものをさがすよ・・・」

そう寂しそうに呟き、どこを探そうかと考えていたら、

「ゆ!れいむじゃない!おそくなってごめんなさいね!ゆっくりしていってね!!!」

と声がしたので、驚いてその声の方向に体(顔?)を向けた。

「ゆゆ!?ありす!?・・・ゆっくりしていってね!!!」

とっくにおうちにかえったと思ったともだちが現れたことと、声の内容に一瞬困惑したが、いつもの挨拶を交わした。

ありすはれいむが一瞬困惑したような表情をしたことが気になったらしく、

「どうしたのれいむ?」

と訊いた。
訊かれたれいむは、確認するように

「ありす・・・いま『おそくなって』っていった?」

と言った。

「ゆ?そうだけど?ほんとにごめんなさいね!きのうのよるからいままでゆっくりしすぎたのよ!
とかいはとしてなさけないわ!」

自分と同じだ。とれいむは思った。

「まりさとぱちゅりーは?」

「たぶん、もう、ゆっくりかえっちゃったんじゃないかな?」

「ゆう・・・わたしたちがわるいわね。」

「ゆ・・・」

「でもへんなのよ!」

「ゆ?なにが?」

「ゆっくりしてたながさはいつもとおなじくらいだとおもったのよ!」

「ゆ!?ありす、れいむもだよ!れいむもゆっくりしてたながさはいつもとおなじだっておもったよ!」

「ゆゆ!?」

奇妙なことに、二匹は全く同じことを感じていのだ。

「・・・ゆ?ありす、だれかちかづいてくるよ!」

二匹が話していたら、すぐ近くから草を掻き分ける音が聞こえてきた。
その音の正体は、
れいむがもう帰ってしまったと思っていた見慣れた顔だった。

「ゆおーい!れいむ!ありす!おくれてごめんなんだぜ!ゆっくりしていってね!!!」

「「まりさ!?ゆっくりしていってね!!!」」

しかも二つ続けて。

「むきゅ、みんな、おくれてごめんなさい、ゆっくりしていってね!」

「「「ぱちゅりー!ゆっくりしていってね!」」」

そして、二匹とも先ほどのありすと同じような台詞を吐いた。
ということは・・・

「まりさも、ぱちゅりーも、ふたりともきのうからいままでゆっくりしすぎたの?」

と、れいむは訊いた。

「そうなんだぜ!すまないんだぜ!」

「ほんとにまたせてごめんなさいね、ふたりとも」

ありすとおんなじだ・・・
と、れいむは思った。

「ふたりとも、ゆっくりしてたながさはいつもとおなじくらいだっておもわなかったかしら?」

次はありすがこう訊いたら、

「ゆ!?なんでわかるんだぜ!?」

「むきゅ、そのとおりよ、いつもとおなじだとおもったわ!」

だそうだ。
今までも誰かが遅刻をすることはたまにあったが、今日のように全員がここまで遅刻をしたことは一度も無かった。
さらに、この4匹全員が「ゆっくりしていたじかんはいつもとかわらない」同じようと感じている。
いくら仲のよい4匹でも、これも一度も無かった。一体何が起こっているのだろうか?

ふと、ありすの後方から、こんな声が聞こえてきた。





「らんしゃま~、あのきのみさんがほしいんだよ~わかるよ~」

「そうか、わかった。すぐにとってやろう。」

「らん、あなた、すこしちぇんをあまやかしすぎじゃあないかしら?」

「いえ、そんなことはありません、ゆかりんさま。むしろたりないくらいです」

「やれやれだわ・・・」

ゆかりん一家がいつものように戯れている。このゆっくり達は何故かは知らないがいつもどおりの時間に広場へ来たようだ。
らんがちぇんの為に、木の枝に付いている木の実を、らんの尻尾の中身である米つぶ弾を撃って落とそうとしているらしい。
いつもやっていることなので、いつもどおり簡単に落とせるだろう。

「ちぇん、おちてきたきのみさんがみつかりやすいようにようにそのあたりにいてくれ」

「わかるよ~わかったんだよ~」

と、ちぇんが木の実のおよその落下地点に待機して、らんは

ぷひゅっ

と米粒を口から勢いよく撃ち出した。
それは見事に木の実に当たり、ちぇんの待機しているところに落ちてきて、

ちぇんの喜ぶ顔が見れる。
はずだった。

ズグゥッ

という効果音がしたのと同時に、

ブシュゥゥゥゥゥッ

と、ちぇんの中身であるチョコレートがちぇんの脳天から噴出していた。

「「え?」」


「ちぇ・・・ちぇぇぇぇぇぇぇぇん!!!」

とらんは叫びちぇんの側へ跳ねていったが、ちぇんは既に物言わぬ饅頭となっていた。

「ちょっと・・・どういうこと?」

「あ・・・ああ・・・ちぇん!しっかりしろお!!!」

木の実が深々と中枢餡にまでめり込んでいる。これはどうあっても助からないだろう。
運が悪いものだ。見事に木の実の着地点に入っていたばかりに。

「う・・・うぁ・・・ああ・・・ちぇん・・・」

「ちょっと・・・なんできのみにあたったくらいでちぇんがこんなになるのよ・・・?
いつもならぼうしにあたってもなんともないはずでしょう?」

「・・・ちぇん・・・うう・・・」

「なにがおこっているの?」

らんはちぇんのだったものの側で大量の涙を流し、
ゆかりんは何か異常なことが起こっていると感づいたようだ。

「・・・ん?」

ふとらんは、奇妙なことに気付いた。
普段、ちぇんが怪我をしたときはらんが介抱しているから分かるのだが、ちぇんの中身はチョコレートで出来ていて、
それはもちろん溶けた状態でちぇんの中に入っているのだが、もちろん外気に触れると数分で固まる。

しかし、このちぇんの死体から溢れてくるチョコレートは、既に固まっている。ものの数秒で。
こんなことはありえない。

「らん・・・」

ゆかりんが、気の毒そうな表情でらんに寄り添う。
そしてらんの顔を覗き込んだのだが、らんが悲しみだけではなく疑問を持っているような顔をしているのを見て、こう訊いた。

「らん?・・・
なにか、きづいたことでもあるの?」

らんはそう訊かれたので、さっき気づいたことをゆかりんに話した。





この一部始終を見ていたれいむ達は、

*1))

と確信した。

「むきゅぅ・・・わたしたちがおもってたことと、きのみさんがちぇんをしなせてしまうくらいゆっくりしてないこと・・・
なにかかんけいがあるんじゃあないかしら?」

「ど・・・どんなことなんだぜ?!」

「まりさ・・・それをいまからかんがえるんでしょう?」

「ゆ・・・そうなんだぜ」

「・・・ゆ!?ぱちゅりー!」

「なあに?れいむ?」

「れいむ、さっきちかみちするためにあのおやまさんからとびおりたの!」

「・・・むきゅ?」

「そしたら、たまにつかうときよりもあんよがいたかったの!めをあけてられないくらい!」

「・・・むきゅ?」

「・・・ゆぅ?どういうことなんだぜ?」

「・・・あ!きのみさんとおなじみたいだったっていいたいの!?」

「「ゆっ!!」」

ありすの言葉にれいむは頷いた。木の実がゆっくりしていないことと繋がりそうな気がする。
ひとつ答えに近づいたかも、と4匹は思った。





質問に答えたらんの言葉の内容をゆかりんは頭の中で繰り返した。
「ちぇんのなかみがかたまるはやさがまったくゆっくりしていないようなのだ」と、暗い顔でらんは言った。
その答えを聞き、ちぇんの脳天にブッ刺さった木の実の件も合わせて思案する。
だが、なかなか考えがまとまらない。こんな事態は、16年間生きてきた(と自分で言っていた)ゆかりんでも産まれて初めてだった。

モヤモヤする頭をどうにかしようと、空を見上げた。
そこでゆかりんは、違和感を感じた。

「・・・おそらのくもさんがゆっくりしていないッ!たいようさんもみあたらないッ!」

「「「「「ゆ?!」」」」」

ゆかりん自身は小声で言ったつもりだったが、その独白はらんはおろか少し離れた位置に居たれいむ達にもはっきりと聞こえた。
らんはまだちぇんから離れたくないようだったが、れいむ達はその声を聞いて急いで近づいてきた。

「ゆかりん、いまなんて?」

ゆかりんはちらりとらんの方を見たが、どうにも話を聞いてくれる状態ではないようなので
近づいてきた4匹に話した。

「ぱちゅりー、おそらをみなさい!」

「むきゅ?」

「いつのまにかよるになってるわ。それに、おそらのくもさんm」

「ゆうぅぅぅ!!!いつのまにかくらくなってるんだぜ!あぶないのぜ!!はやくおうちにかえr」

「むきゅ、まりさ、うるさいわ・・・いまはそれどころじゃないでしょ・・・」

「はぁ・・・
おそらのくもさんがゆっくりしてないでしょ?」

「・・・きのみさんもゆっくりしてなかったわ。」

「さっきれいむがおやまさんからとびおりたときもだったよ!」

「・・・むきゅ!」

「ぱちゅりー、なにかおもいついたの!?さすがはとかいはなぱちゅりーね!」

「むきゅぅ・・・たぶんだけど、




じかんさんがゆっくりしてないのかもしれないわ・・・」

「「「「「ゆ?!」」」」

「きのみさんとれいむがおちるはやさがゆっくりしてなかったことと、
おひさまがとおくへいっちゃうのがいつもよりはやすぎることと、くもさんもゆっくりしてないこと・・・」

「これをあわせてかんがえると、わたしもぱちゅりーにどうかんなの。
わたしたちがゆっくりしてないじかんさんについていけてないことがぎもんだけど、ほかにかんがえられないわ」

「な・・・なんでじかんさんがゆっくりしなくなったのぜ?!」

「むきゅぅ・・・わからないわ・・・」

「・・・ゆ!みんなおそらをみて!もうたいようさんがのぼってきたよ!」

「ゆうぅぅぅ!ほんとにゆっくりしてないのぜ!」

「でもすぐむこうへいっちゃったわよ!?ぜんぜんとかいはじゃないわ!」

森の木々の間から見えた真上の太陽はすぐさま西へ傾き、夕方のような薄暗さを作り出し、またまたすぐ夜の暗さへ戻ってしまった。
この広場にいるゆっくり達は、理由はわからないけど、「時が加速している」ということは確実だと思うようだ。

ふと、れいむは背後から嫌な視線を感じ、ちらと横目に後ろを見た。そこには、
頭に生えている羽に、口からは牙・・・胴無しの、

「れみりゃだあああぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

「「「「「ゆうぅぅぅぅぅぅぅぅ!!?」」」」」

こいつのような捕食種が怖いからみんな暗くなる前におうちへ帰っているのだ。
明るい間ならば、れみりゃ(とふらん)は紫外線に極端に弱く、長時間当たっていると皮膚が溶けてしまうので、
夜に活動し、はぐれた子ゆっくりや、見つけた巣穴や、ひなたぼっこで眠ったままのゆっくりを狩っているのだ。

「うー♪う・・・?」

しかし、様子がおかしかった。

「うあああああああああああああ!!!たいようさんはゆっくりできないどおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!」

「「「「「「「ゆ?」」」」」」

先ほど太陽が沈んで夜になったと思ったら、またもやすぐに太陽が昇ってきたので、れみりゃは慌てた。
このままでは皮膚が溶けてしまう、はやく日陰へ入らなければ・・・!?

「どぼじででびりゃのがらだがどげるのがごんだにばやぐなっでるんだどぉぉぉぉぉぉぉぉ!??
うー、うー・・・もっどゆっぐりじだがったんだどお・・・」

時間が加速しているからか、数秒しか当たっていないと思ってしまうが
実際の時間では数十分に亘って紫外線を浴びていたことになるのだ。
れみりゃは皮膚から中身の肉、さらには羽まで溶けて、帽子だけが残った。

「ゆ・・・れみりゃがきてもあんしんなのはいいんだけど、このままじゃゆっくりできないんだぜ!」

「それに、このあたりのとってもおいしいとかいはなたべものさんたちはどうなるのぉ!?」

「むきゅう・・・」

「どうしようもないわね。」

「ゆあぁ、もうたいようさんがしずんじゃったよ!!」

「いえれいむ、すぐにたいようさんがのぼってくるわ。」

こんな状況でも冷静に喋るゆかりんと、目まぐるしく変わる空に腹が立ち、
ついにれいむは耐え切れなくなり、そして叫んだ。

「ゆぅぅぅぅぅ、どぼじでごんなごどになるのぉぉぉぉぉ!!??
れいむたちゆっぐりじでだだげなのにいぃぃぃぃぃ!!」

「れいむ!?お、おちつくんだぜ!いまはおちついてあまあまさんをさがすのぜ!」

「あなたがいちばんおちつきなさいよ!このいなかものまりさ!」







(・・・くそ、うるさいぞ、ちぇんがしんでしまったというのに・・・)

らんが最も恐れること・・・それは自分の「生き甲斐」が消失することであった。
ゆかりんとちぇんに出会ってからは、その後のことはなんでも、全て覚えている。
おうちの木の入り口の変な形だとか、寝床の枯れ葉や、食べ残しの臭い。
ちぇんが跳ねる音や、ゆかりんが寝返りをうつ時のうめき声・・・
みょんやれいむ達と世間話をし・・・九つの尻尾のうちの一つの形が変だと言って笑った事・・・
全て記憶している。

だがゆかりん達に出会う以前の事は・・・
ただ生きる為に・・・「ゆっくりとはどういうことか」も知らないまま
自分の生命だけをひたすら守る・・・
それしか「記憶」にない。
一匹で何年も生きてきたはずなのに・・・ある記憶はそれだけだ。
ゆっくりするという事はきっと「思い出」を作ることなのだ・・・
らんはそう悟っていた。
それを失うこと・・・それだけが怖い。
れいむ達それぞれが友の為に行動し・・・ありすとかまりさとか信頼するゆっくりのために
自分の「ゆっくり」を懸けて行動しているのは・・・
きっといい「思い出」がれいむ達の中にあるためなのだ。それがゆっくりのエネルギーなのだ。
「思い出」がゆっくりに勇気を与えてくれるのは間違いない。
一匹の頃のらんにはなかった感覚だ。今はある!
それが「生き甲斐」なのだ!
らんはそう悟っていた。
(じゅっかんからいんようなんだよ~わかるよ~)

しかし今、その生き甲斐の一つであるちぇんの存在を失ってしまった。
ゆかりんに仕えるということと同じくらい、
いや、ひょっとしたらそれ以上に大切に思っていたかもしれないちぇんの存在を。
涙の枯れたらんは、空を仰ぎ見た。

現在の状況については、ゆかりんとぱちゅりーの言葉が聞こえたのでなんとか理解している。
理由は分からないが、時間がゆっくりしていないということを。
この状況でも、妙に頭の中は冷静だった。

空を見ていて、ふと思いついた。あのゆっくりできないあめさんはどうなるのだろうか?
そう思った瞬間、空に物凄い速さで暗雲が立ち込めてきていた。

      • !まさか!!!

「みんな、きのかげにはいれぇ!!!!」

「「「「「ゆ?!」」」」」

らん以外のゆっくり達は、今まで喋っていなかったらんが急に凄い形相でこちらに走ってきながら叫んだのを見て、
まず驚いたが、

「な、どうしたのよ!?・・・わ、わかったわ!」 「むきゅう、わかったわ」

「わかったよ!」 「わかったのぜ!」 「わかったわ!」

らんの只ならぬ様子に、すぐに行動に移ったのだが、

「むっきゅうっ!!?」

「ああっ、ぱちゅりーがッ!!!」

「ゆぅっぱちゅりーころんじゃあだめなのぜっ!?」

運動が苦手なぱちゅりーが転んでしまった!そこへゆっくりらしからぬ速度で走ってきたらんが
ぱちゅりーに思いっきり体当たりをした!

「てんこおおおおぉぉぉぉぉお!」

「むぎゅぶっ!?」

ぱちゅりーはその衝撃でれいむたちと同じ木の影へ入ったが、その拍子に中身の生クリームを吐いてしまった。

「むきゅ、むきゅ・・・ら、らん、ありがとう・・・でもなんd・・・むきゅ?」

らんは何故自分達に木の影へ入れと言ったのか疑問に思ったが、
吐き出した生クリームを飲み込み、感謝の言葉を述べつつ振り返った。
が、そこにはらんの帽子だけが残されていた。

「ら、らん?ど・・・どうして?」

ゆかりんは瞬きもせずらんを見ていたのだが、らんが一瞬にして溶けたように見えた。

「ゆ?らんはどこいったのよ?」

ありすは、なぜらんが帽子だけになったのか、理解不能理解不能!状態だ。

「ゆぅぅ~、ゆぅぅ~・・・ゆふぅ~・・・」

れいむは、先ほど興奮して暴れてしまった上で全速力で走ったせいか、息が上がっている。

「ゆ・・・?どういうことなんだぜ?
ゆ?・・・ゆかりん、どういうことかわかったのぜ!」

まりさは、らんが一瞬で消えた理由を理解したようだ。

「むきゅ?」「「ゆ?」」

「・・・
      • せつめいしてちょうだい」

まりさは普段から活発に外を動き回っている上に、まりさ種のこの帽子によって、
普通のゆっくりとは違う条件下でも動けるのだ。そして、その環境をよく観察していたのだ。
「それ」が過ぎ去った後は、絶対にこうなるのだ。

「あめさんがふったのぜ。」

「・・・ゆ?あめさんがふったかんじはしなかったけど」

「あそこにはえてる、いつもゆうかがせわしてたおはなさんのはっぱに、おみずさんがついてるのぜ」

「ゆ!」

「そのほかにも、あそこにはってるくものすさんもおみずさんがついてるのぜ。
あめがふったあとはよくこうなってるのぜ。」

「むきゅ!じかんさんがゆっくりしてないからすぐとおりすぎちゃったようにかんじちゃったわけね!」

「ゆ!・・・ゆ?もうかわいちゃったのぜ!?」

「・・・なるほど。だかららんはあめさんにあたってとけちゃったわけか。」

「ゆふぅ、ゆ、ゆかりん…ちぇんのつぎはらんまで・・・」

「・・・もう、どうしようもないことよ。」

「ゆう・・・」

「もうここからうごけないわね・・・まったく・・・なんでこんなことに・・・」

先ほどのれいむと同じような台詞を、ありすは呟いた。
そして、他のゆっくり達がしてきたのと同じように、無意識のうちに空を見上げた。
その空を見て、ありすは、目を回して中身のカスタードを吐き出してしまった。

「ゆぶぅぅぇ!?」

「ゆ!?ありす、どうしたのぜ!」

「ゆぅぅ~、まりさ・・・おそらが・・・」

「むきゅ?おそr・・・むぎゅううううぅぅぅぅ!!!」

「なに!?どおしたの!?」

「むきゅ、むきゅ、おそらが・・・」

今や太陽は、一本の光の線になっていた。

「なんなのよこのおそらさんはッ!たいようさんはどこッ!あのせんがたいようなのぉーーーッ!?
じかんのかそくはとまらないのぉーーーッどこまで!どこまでかそくするのよぉぉぉぉぉぉッ」

「ぶるぶる!さむくなってきたよ!」

「きこうもかわっているぅぅぅぅぅぅぅーーッ」

そして加速していくにつれ、れいむたちの飾りがボロボロに朽ちていく。

「ゆぎゃあああああ!ばでぃざのすてぎなおぼうじざんがぁぁぁぁッぼろぼろだよぉぉぉぉぉ」

「むぎゅうぅぅぅぅぅぅ!ばじゅりーのもぉぉぉッ!!」

「ゆあああああ!ありすのとかいはなかちゅーしゃがああああッ」

「でいぶのおりぼんがあああああぁぁぁぁぁっ」

「ゆぅぅぅっゆがりんのしょうじょしゅうたっぷりのおぼうしもおおおおおおッ」

「「「「「ごれじゃあゆっぐりでぎないぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」」」」」

れいむ達の飾りは朽ち果てて、塵になった。
全員が慌ててなんとかしようとしているうちに、地面が裂け、そして・・・


!・・・
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

次に目に入ったのは、一面の星空。上も下も、右も左も星空。
そこに、れいむ達は漂っていた。れいむ達だけではない。あらゆる生き物が、漂っていた。

「ゆ~おそらをとんでるみt・・・
なに!?ここはっ!?みんな、ぶじ!?」

「おそr・・・ぶ、ぶじだよ・・・ぶじだけど・・・」

「おぼうしがなくなっちゃったのぜええええぇぇぇぇぇ!」

「それにぃぃぃぃ!!じめんさんがなくなっちゃったわよおおぉぉぉぉ!!」

「むきゅうぅ、めがまわりそうなところだわあああっ!」

「ゆぅ!わたしたちだけじゃなくてほかにもみょんやきめぇ丸たちもみえるわ!」

「それだけじゃないよ!むしさんやおはなさん、とりさんもいるよ!」

そこまで喋ったところで、れいむ達は光に包まれた。

「ゆああぁぁあ、ぐるじいぃぃぃ!」「いぎができないわぁぁぁ!」「むぎゅうぅぅぅぅぅ!」

「ゆぐっ!ゆぐっ!」 「どぼじでごおなr・・・」

ゆかりんが叫びかけたとき、

ドサァッ

と、全員は何かに叩きつけられた。

「じ・・・じめんさん?じめんさんだわ!」






先程、裂けて崩れ去ったハズの地面が、今はしっかりとゆかりんを支えていた。
れいむ、まりさ、ありす、ぱちゅりーも、無事に着地したようだ。そこは、いつもの広場だった。
それぞれのゆっくり達の側に、塵になったはずの飾りや帽子が落ちている。それを急いで取り付けて、まりさが口を開いた。

「ゆう…も、もうだいじょうぶなのぜ?」

「たいようさん・・・もうゆっくりしたみたいだよ!」

「おそらのくもさんも、とってもとかいはにもどったわね!」

コツン、とぱちゅりーの頭の上で音がして、横に落ちたそれを見た。木の実だ。

「・・・じかんさんがゆっくりしたみたいね。」

「おお、ゆっくりゆっくり」

木の上で、いつもどおり高速で震えながらきめぇ丸は言った。
全員が木の上のきめぇ丸を見た。そのとき、ゆっくり達は妙な考えが浮かんだ。

*2)))

(あれ?ひょっとしてわたしこれからかぜでここからおちる?
      • おお、ようじんようじん)

何故こんな考えが浮かんだのか?ゆっくり達は分からなかった。
そして、風が吹いた瞬間、

「お、おお?!おうっ!おちた!おお、やっぱりやっぱり」

きめぇ丸は強風に吹かれ木の上から落ちた。

「おお、どうしてどうして?」

「むきゅ・・・ふしぎねぇ・・・ぱちゅりーはきめぇ丸がおちるのがさいしょからわかったきがするわ・・・」

不思議に思っていると、ゆかりんは背後から楽しそうな話声がするのに気付き、振り向いた。その先には…

「ゆう!?ちぇん!らん!」

「「「「ゆかりん?」」」」

「こん?」「ゆー?わからないよー」

いた。ちぇんとらんが。しかし、

「ゆぅ?・・・にてる。すごく。・・・でもちがう・・・?
ちがう・・・わたしのらんとちぇんじゃあない・・・」

「ゆー?らんしゃまー、ゆかりんはなにいってるのー?わかんないよー」

「こん?・・・ちぇん、きにしなくていいぞ」

似てはいる。似てはいるのだが、微妙に違う。
ちぇんとらんは、ゆかりんが何も言わないので、再び一緒に遊び始めた。

時の加速の果てに、一体何が起こったのか?

その時、遠くの茂みからガサガサと、大きな動物が近づいてくるような音がした。
その正体は、人間だった。黒い肌をしている人間だ。
先程のきめぇ丸が木の枝から落っこちることは事前に分かったのに、なぜか人間が近づいてくるのは分からなかった。
ゆっくり達は身構えた。
「いいにんげんもいるけどいじわるなにんげんさんもいるからきをつけろ」と、
いつもゆかりんから聞かされていたのだ。

その人間は、そんなゆっくり達の態度を気にすることなく、いきなりこう言った。

「時の加速により!加速の行き着く究極の所ッ!
宇宙は一巡したッ!新しい世界だ!ゆっくりは一つの終点に到着し夜明けを迎えたのだッ!
らんはもういないッ!ちぇんも消滅したッ!『死ゆっくり』は来れないのだ!

例えばこれからゆうかりんは自分の育てた花の許へ行こうするとしよう。
その過程で何が起ころうとゆうかりんがそこへ行くことは『決定』されている。『運命』だからだ!

未来を一巡して『新しい宇宙』が始まった!運命も同じように繰り返される!
ゆっくり達は未来の全てを体験してこの世界へ到達した!
                  ・・・・・・・・・・・・・・・・
例えば『五日後の未来』何が起こるか?ゆっくり達全員がそれを知っている。
「加速した時』の旅で自分がいつ病気になりいつ永遠にゆっくりするのか?
既に体験してここに来た。
他のゆっくりといつ出会い・・・そして別れるか?
自分が誰を恋ゆっくりとし、どのゆっくりを憎むのか?
自分はいつにんっしんっし、子はどんな成長をするのか?
餡子脳やゆっくりの肉体ではなく精神がそれを体験して覚えて知っているのだ!

そしてそれこそ『ゆっくり』であるッ!
一匹ではなく全員が未来を「覚悟」できるからだッ!
「覚悟したゆっくり」は幸福であるッ!
悪い出来事の未来も知ることは「ゆっくりできない」と思うだろうが、逆だッ!
明日「永遠にゆっくり」するとわかっていても「覚悟」があるから「ゆっくり」できるんだッ!
「覚悟」は「絶望」を吹き飛ばすからだッ!ゆっくりはこれで変わる!
これぞ私が求めたもの!「ステアウェイトゥゆっくり」だッ!」
(さいしゅうかんからいんようなんだよーわかるよー)

そう言うと、その人間は広場から去っていった。なかなかシュールな光景である。

(でも、どうしてちぇんたちがしんだことをしってるの~?)
(このけんについてはきにしないでほしいんだちーんぽ!)


「・・・あのにんげんさんが、じかんさんをゆっくりさせなくしたの?」

「・・・そうみたいなのぜ。
でもそれより、えぇっと・・・なんていってたのぜ?」

「むきゅ、じかんさんがゆっくりしなくなったけっか、
わたしたちはみらいになにがおこるのかがわかるようになったってことじゃあないのかしら?
みんな、さっきのきめぇ丸がきのえだからおちるのがわかったでしょ?」

「うん」

「それとおなじように、わたしたちはさきになにがおこるのかがぜんぶわかるようになったってことじゃないかしら?」

「なかなかとかいはね!」

ぱちゅりーの解説にありすはこう言ったが、
それに対してゆかりんはこう訊いた。

「そうかしら?あのにんげんさんがいってたけど、『かくご』がひつようらしいわよ。
ありす、あなたはあした「えいえんにゆっくり」するってことがわかったとしても、
それをうけいれられるの?」

「ゆ!?」

そうだ。そこが問題なのだ。
ちょっとしたことでも「これじゃあゆっくりできない」だの、
気に入らないものに対しすぐ「しね!」などと言ってしまうゆっくり達に、
果たして『覚悟』が出来るだろうか?
ありすの心に不安が広がっていく。
ありすだけではない。ゆかりんの質問を聞いた、
そこの広場のちぇんとらん以外のゆっくり全員が、不安を感じた。

「ゆ、ゆゆー!で、できるのぜ!まりさはつよいのぜ!
かくご、できるのぜ!ゆっくりしてみせるのぜ!」

まりさはこう言ったが、それが虚勢であることはどのゆっくりの目にも明らかだった。
ゆかりんは再び口を開いた。

「・・・わたしにはもう、わかっちゃったわ。
あのちぇんはあたまにおもいきのみにつぶされて、
あのらんはあめさんからにげおくれてとけてしぬ。
それがわかっちゃったわ。それはもうきまってることらしいわ。
わたしは・・・かくごなんてできないわ。」

「・・・」

「まったくもって、ゆっくりできないわよ。こんなの」

それっきり、ゆかりんは口を開くことはなかった。
他のゆっくり達も、何も喋らなかった。
そのうちゆっくり達は、それぞれのおうちに帰っていった。
これから、全くゆっくり出来ない生活が待っている。全員がそう思った。

自分のこれからのゆん生においての全ての出来事が先に分かること。
そんなもの、ゆっくり達には要らなかった。


先に幸福が待っていると知ってしまっては、それは喜びを生まない。
先に不幸が待っていると知ってしまっては、それは不安を生むのだ。
なにより、ゆっくり達の精神はどんなことにも『覚悟』出来るほど強くできてはいない。

わたしのらんとちぇんはもういない。

そのことを考えても、悲しくなかった。涙も出なかった。
ただ、ひたすら虚しかった。
自分がいつ死ぬかが分かる瞬間に怯えながら、これからはゆっくりできないまま生きていくしかないのか。
そんなことを考えながら、巣の中のゆかりんは、一匹、夢の中へ落ちていった。


夢の中では、ちぇんとらんがかけっこをしていたら、
ちぇんが転んでしまい、泣いているちぇんを、
予想外の出来事に驚いた顔をしつつもらんが介抱している。
その様子を見ていると
いつものことなのに自然と笑顔になってくる自分がいた。それは、とてもゆっくりした光景だった。










あとがき
以前のあとがきにどうしてあんなことを書いてしまったのか・・・
今になってみると自分でも分からない 色んな人が見るのだということを思慮に入れてなかったかもしれない
マジ黒歴史 死にたい

不快な思いをさせてしまい、申し訳ありませんでした



初SSだぁぁぁっ後半ダレてgdgdになった気がするぜぇ~~っ
とりあえずゆっくり達が「饅頭」ではなく「ナマモノ」として扱われた場合の話でした。

一巡前ちぇん「わかるよ~」→一巡後ちぇん「わかるよー」
一巡前らん「てんこー!」→一巡後らん「こん!」

あんまりにもジョジョが好きすぎて書いてしまった。反省はしている。
こんな稚拙な文を最後まで読んで頂き、ありがとうございます。楽しんで頂けたなら幸いです。
矛盾点があったら指摘をお願いします。

書いているうちにゆっくり達がジョジョの世界に食われていくんだよォ~・・・
俺にはオリジナルでは無理だし、ジョジョパロでしか書けないから簡便して欲しい

俺は、自分の身の回りで現実に宇宙が一巡して『覚悟こそ幸福』な世界になっても
「明日俺は死ぬ」って知ってしまっても覚悟なんてできるわけがないッ!と思うので、
ゆっくり達はそんなことになったら発狂するだろうな~と思うのですよ。人間ですらこうなんだから。


時の加速は実はゆっくりさくやがこーまかんを失った悲しさから暴走して発動させた能力で
一巡後にれいむ達の前にプッチみたいに現れてれいむ達に潰されるってのを
書き終えてから思いついた


それと、めーりんは俺の嫁。


次は何を書こうかな~
「スターダストゆっクルセイダース~れみりゃの世界~」←書きかけ

「究極ゆっくり、かぐやの誕生」
「ゆトーンオーシャン 悪魔のゆっくり~ヘビーれいぱー~」
「吉良ゆし影は静かに暮らしたい」
「吉良ゆし影の新しい事情」
「ちぇん(らん)は吉良ゆし影が好き」
「ゆっくりボールラン~ゆっくりへの条件、友情への条件~」
「ゆっくりボールラン~ゆっくりへの資格~」

なんとか書けそうなのはここまで思いついた。


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最終更新:2022年05月22日 10:51

*1 ((やっぱり、なにかがおこっている!

*2 (((あ・・・きめぇ丸、きのえださんからおちるよ