まりさの誕生 1~5
ドスまりさの誕生 番外編1~5
ゆっくり達が夢見た理想郷
と設定上に繋がりがあります。
長年の夢 の続編です
虐待はありません
虐待が無ければ嫌だという人は戻る事をお勧めします





ゆっくり達がケージに入る。それを持って団体員が歩き始める。
「ねえおじさん、これからどこにいくの?みんなゆっくできるの?」
「あぁ、君達にはこれから加工所に行って貰うんだ」
一瞬の沈黙
「かこうじょいやあぁぁぁ!!」
「ここからだして!!おうちかえる!!」
さっきまでのピクニック気分は一転して阿鼻叫喚の地獄みたいな状況になる。中身を吐き出しているゆっくりこそ居ないが、ショックで白目をむいて気絶した奴も居る。
「あぁ、あぁごめんごめん、別に加工所に連れて行って君達を虐めようってわけじゃないんだ!」
ゆっくり達が騒ぎ出したのを見て、団体員があわてて訂正する。
「ゆ?」
「実は加工所の近くにふぉーとれすについて勉強できるところがあるんだ、そこで私達と一緒にふぉーとれすの勉強をして欲しいんだよ!」
ぴたっ・・・という効果音がしたんじゃないかというぐらいに、一瞬でゆっくり達が静かになった。
「それならあんしんだよ!!ゆっくりー!!」
ゆっくりたちは皆、いつものゆっくりした表情に戻った。
「おじさん!とかいはならもうちょっとはつげんないようにきをつけてほしいわ!!」
何匹かは非難の声を上げた。
「はっはっは、ごめんごめん」
一瞬カチンと来たが、さっきのは自分が悪い。彼女達にちょっとしたミスで死の恐怖を味あわせてしまったのだから・・・おじさんと呼ばれた団体員はそう思った。

加工所
ゆっくり達にとっては、恐怖の代名詞でもある。
何故加工所なんか見た事も無いであろう野生のゆっくりまで「加工所」と聞いただけで恐怖するのか?それは未だにわかって居ない。
ゆっくりには群れを越えた情報網があるのではないかという説が一般的だが、現在わかっているのは加工所が本格稼動をしてからしばらく経つと、
加工所の名前を出してゆっくりを怖がらせるという虐待方法が生まれたというだけだ。
だが、そんな加工所も日夜ゆっくりを探しまくって片っ端からお菓子に加工しまくっているというわけではない。
ゆっくりの生態調査・研究、ゆっくりペット用品の製造・販売、ゆっくり虐待用品の製造・販売など、おおよそゆっくりにかかわるあらゆる事をやっている。
その加工所の敷地内の一角に在るのが「ゆっくり博物館」である。
ゆっくり博物館ではゆっくりの習性、生態等の解説や、ゆっくりと人間の関わりなどが紹介されている。その隅っこにゆっくりふぉーとれすのコーナーがあった。
過去にゆっくりふぉーとれすに関わった人たちがふぉーとれす消滅後に加工所に投資して作らせたそのコーナーにはふぉーとれすについての説明の他に。
ふぉーとれすに使われた石塁や、道具の一部が展示されている。
「このゆっくりふぉーとれすは、昔に居たドスまりさが群れのみんなに命じて作らせたんだ、みんながゆっくり出来て、怖い動物や人間が入って来れない安全なゆっくりプレイスをね」
文字を少ししか読めないゆっくり達のために団体員が多少大げさに説明をする。
声が大きいからか、団体とは関係ない客が何人か怪訝な顔をするが、彼らはお構い無しに話を進める。
「ふぉーとれすのなかのゆっくりたちはみんなで協力してお野菜を作っていたんだ」
「おやさいはかってにはえてくるんだよ?」
「はっはっは、その事はまた明日説明するよ、でも今はお野菜は実は誰かが生やそうとしないとはえてこないという事を覚えておいて欲しいんだ」
だが、ゆっくりと言えど自分の中の常識を簡単に捨てる事は出来ない
「おじさんがなにをいっているかわからないわ!?」
「ばかなの?しぬの?」
「まってありす、まりさ、ぱちぇはお野菜を生やすほうほうがあるときいたことがあるわ!!」
「ゆゆっ!?ほんとうなの?ぱちゅりー!!」
「あぁ、そのぱちゅりーの言っている事は本当なんだ、だからおじさんとぱちゅりーの言っている事を信じて欲しいな」
「ゆっくりりかいしたよ!!」
さすがゆっくり、話が早い。

「すごい!」
「これならみんなゆっくりできるね!!」
「しそぱちゅりーってすごかったんだねー!わかるよー!」
一通り説明をした後、帰りのケージの中でゆっくりたちはさっきまでおじさん達に教えてもらっていたふぉーとれすについて回りのゆっくりと話し合っていた。
(もしもふぉーとれすができたら、きけんなかりをこどもにさせなくてすむね!)
子育ての最中のれいむは、昔自分の姉妹が狩りの途中に死んだ事を思い出し、そのようなゆっくりがいなくなる事を願った。
(もしもゆっくりがんやゆっくりたんくがあればれみりゃからにげまわるひつようもなくなるんだぜ)
過去にれみりゃに襲われた際、家族を見捨てて生き延びたまりさは思った。
(もしもほんとうにおやさいがつくれたら、ふゆごもりであんなくるしいおもいをしないですむわ)
過去二度の越冬経験で何度も死にそうな思いをしたぱちゅりーは冬でも飢えるゆっくりが居なくなる事を夢見た。



その後、ゆっくり達は一日毎にふぉーとれすについての勉強と、野菜をはじめとする植物の育て方を交互に教わっていく。
途中から教育に参加するゆっくり、教育がつまらなくなってやめるゆっくりなども居たが、多くのゆっくりは
今まで以上のよりよいゆっくりを求め、団体員の話を真に受け、夢のようなフォートレスを見てみたい、作ってみたいという活気にあふれていた。

そして二ヵ月後、何個かのゆっくりの家族が、期待と不安を胸に保護区から外へ出て行った。

彼らのほとんどは保護区の外で生まれ育ったから、この外には怖いれみりゃや人間がわんさかと居るだろうという事はわかっている。
しかし、他のゆっくりの群れを見つけ、そこのゆっくり達にフォートレスの事を伝える。そこでゆっくりとした、これまでに無いほどにゆっくりとした生活を送っていこう。
ゆっくりの大半は不安より期待のほうが多く、不安のほうが大きかったゆっくりも家族に説得され、保護区の外に出て行った。
彼女達、個体の事を考えれば保護区の中に閉じこもっていたほうが幸運だったのだが。



建物の窓の外から、森の中に入っていくゆっくり達の背中を見送る。
恐らくあのゆっくり達の9割はきっと目的を果たせないだろう。われながら馬鹿な計画を立てたものだ。
もし、この団体に入ったばかりの自分がこの計画、そしてこの計画に成功の見込みが無い事を知ったら、きっと今の自分を殴るだろう。でも仕方ない、大きな事を成し遂げるには犠牲が付き物なのだ。
「会長、第一陣のゆっくりの見送り、終わりました」
会長と呼ばれた団体のリーダーが振り返ると、団体のNo.2が居た。
「そうか、ありがとう、引き続き森のゆっくりたちへの聞き込み調査、及び第二陣のゆっくり達の教育の準備を行ってくれ」
「本当に成功するのでしょうか?」
No.2が「いかにも心配です」といった表情で質問してくる。
「無理だろうな、せいぜい一部のゆっくりの記憶の奥底にふぉーとれすの単語を残すだけさ」
「・・・」
「だがな、これしかないのだよ、これを繰り返すしか・・・ゆっくりが人間に駆除されず、人間のパートナーとして共存していく道は」
今まで沢山のゆっくりが人間に殺されるのを見てきた。害獣という正当な理由だったり、下等な生物だからという正統性のかけらも無い理由だったり・・・
ならば、ゆっくりが人間に害をなさず、下等生物とはいえない程の文化を持てば?
「おそらく、私が生きているうちにふぉーとれすは完成しないだろう・・・しかし、このまま続けていればいつかきっと、人類とゆっくりの明るい未来が来ると思っているのだよ」
やはり昔の自分が知ったら私を殴るだろうな。 と、会長と呼ばれた男は思った。
夢幻としか思えない計画のために軽く1000を越えるゆっくりを意図的に犠牲にしようとしているのだ。
しかし犠牲なくして勝利なし。多数のゆっくりを犠牲にするこの方法でしかゆっくりと人間の共存は不可能なのだ。

ゆっくりを人間から隔離するのは不可能だ、恐らく隔離したとしても数十年たてばゆっくりは暮らしやすい人里に戻ってきてしまうだろう。
人間がゆっくりを排除しないように働きかけるというのも現実的ではない、実際にゆっくりの被害に合っている人たち無視するわけにもいかないしだろう、
未来永劫その被害を変わりに補償できる組織など存在しない。
人間から遠ざける事も、人間を変えることもできない、どちらかを滅ぼすのは本末転倒だ。なら、ゆっくりを変えるしかない。
団体員を使ってふぉーとれすの事を野生のゆっくりに伝え回るという案もあったが、野生のゆっくりの群れは本質的に人間を受け入れない。
質問に答える程度の事はしてくれるだろうが、人間の言うゆっくりプレイスを作ろうとするとは考えにくい。失敗する事は目に見えていた。
人間がゆっくりを変えれないなら、ゆっくりにゆっくりを変えてもらえばいいのだ。



まさか、自分達が捨て駒、あるいはそれ以下の扱いをされているという事に気づかないゆっくりの家族たち。
彼女達はそれぞれ、より多くの群れにふぉーとれすを伝えるため、お互いお別れを言いながら別々の方向に進んでいった。









続きます



あとがき

前作の長年の夢を投稿した際、続きを書く予定があること、虐待描写が無い事を書き忘れ、一部の読者様に迷惑をかけた事をお詫びします。
本当にすみませんでした。

ゴミ箱じゃないところにごみがあったら? ゴミ箱に捨ててください。



7月8日 2243 セイン

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2022年05月03日 21:59