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ゆっくりいじめ系109 まんじゅうころりんすっとんとん」(2022/04/13 (水) 23:16:52) の最新版変更点

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&font(i,red){東方地霊殿の新キャラが登場します。} &font(i,red){未プレイでネタバレがいやな人はゆっくりもどっていってね!} ここは、広大なゆっくり平原。 あらゆるゆっくりが思い思いにゆっくりできる平原。 他にも虫や鳥、さらにリスなどの小さな哺乳類や蛇などの爬虫類も暮らしているとはいえ、ここ以上にゆっくりできる場所はこの世には無い。 今日はとあるゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙の話をしよう。 その二匹がいる場所は、池に並んでゆっくり名所とされている林だ。 かなりの年数を生きた木々が鬱蒼と茂っているので、適度に湿気ており、苔むした土は餌にもなる。 背の高い木が持つ多くの葉に選りすぐられて大地に降り注ぐ陽光はとても幻想的だ。 さらには死んだ木があれば、その洞に巣を作ることも出来る。 木の実もとれるので、餌に困ることは一年を通してほとんどない。 そんな場所で、二匹は今日も健やかに遊んでいた。 「あ、うさぎさんだ!」 「ほんとうだ!」 ゆっくり魔理沙の視線の先には一匹の兎がいた。 するとそれを追いかけだす二匹。 脱兎! 「う~さ~ぎ~おーいし」 「か~のーやーま~~~」 よくわからないことを言いながら追いかける。しかし兎は早い!ぐんぐん引き離されていく。 「まって!もっとゆっくりして!」 「ゆっくりしていこうよ!」 だが、兎はゆっくりしない。 そろそろつかれてきたから、ゆっくりしようかな。と二匹が思ったとたん、浮遊感が襲う。 落とし穴だ。 いや、意図して作られたものじゃない。ここに人間はいないのだ。 ただ単に穴ぼこがあるのを見つけられなかっただけ。 とはいえ、それは落ちた二匹にはなんの慰めにもならなかった。 うさぎをおいかけてあなにおちるなんて、アリスのやくめだよっ! と二匹が思ったかどうかは分からないが、二匹ともころころと穴を落ちていった。 「ぶぎゅっ!」「ぶげっ!」「いだいっ!」「いたいよ!やめてね!」「ゆっくりさせて!」「わかんないよー!!」 石や硬い土にぶつかりながらもころころと転がり落ちていく。 「めがまわるよー」「う、うげぇっ!」「ままままりさっ?」「えれえれえれえれっ」「きちゃないきちゃないきちゃない!」 阿鼻叫喚の地獄絵図が展開されているようだが、暗いからよく見えない。 いったいどれほど転がり落ちただろうか、もはや二匹からは何の反応もない。 ただ物言わぬ塊となって穴を転がっている。その姿はまるで幼児の泥遊びでこしらえられる泥団子のようだ。 やがて、その転落劇も終わりに近づいてきたのか、明かりが差し込んできている。 だが、二匹は気を失っていて何の反応も無い。 そして── ゆっくり霊夢は体中をこすられている感触で目を覚ました。 夢から覚めるように目を開くと、しばし視界がぼやけていた。幾たびか瞬きをする。 「あら、目が覚めたの?」 「ゆぅ~~」 その金髪の少女は濡れた手ぬぐいでゆっくり霊夢の体を丁寧に拭いている。その美しさに思わず見惚れるゆっくり霊夢。 視線に気づいたのか、話しかける美少女。 「どうしたの?」 「ゆっ!ゆ~~、そうだっ!おねえさん、もうひとりみなかった?くろくてまぁるいれーむのおともだち!」 「黒くて丸い」で、少女は近くに住んでいる土蜘蛛の末裔を思い浮かべたが、ゆっくり霊夢の隣を指差す。 「まりさ!」 「まだ寝ているわ。起こさないように静かになさい」 隣にはゆっくり魔理沙がゆっくりと寝ていた。こちらもゆっくり霊夢と同様に綺麗にされている。じつにゆっくりと寝息をたてていた。 道中で中身を盛大に吐き出したので、若干頬がこけていたが、この程度ならば安静にしていればよくなる。 「おねいさんがたすけてくれたの?」 「ええ、貴方たちが突然穴から落ちてきたから驚いたわ」 「ゆ!ありがとう!まりさもたすけてくれてありがとう!」 「そう、随分と仲が良いのね。……嫉ましいわ」 彼女の緑色をした綺麗な瞳が昏く光った気がした。 「そうだ!れーむは、ゆっくりれいむ。れーむってよんでね!」 「れーむって言うの。私は水橋パルスィ」 その金髪の少女は「地殻の下の嫉妬心」とまで呼ばれる橋姫だった。 忌み嫌われた妖怪の一種で、地下に追いやられたと言うことはゆっくりたちは知る由もない。 ただ、自分たちを助けてくれた親切で綺麗なお姉さんとしか認識できなかった。 しばらく談笑するパルスィとゆっくり霊夢。 「それでねっ!きれいなちょうちょはすごいおいしいの!」 「そうなの。私は蝶々は食べないけど、知り合いの子が食べるだろうから教えておくわ」 「うん!それでねっ!れーむのおうちはすっごくゆっくりできてね!まりさとすんでるの!」 「……貴方たちは恋人なのかしら?」 「ゆ?こいびと?なに?」 「ああ、つがいなのか?ってことよ」 「ゆっゆゆゆゆっ!ゆっくりぃ~」 瞬時に顔を真っ赤に染め上げて体を揺するゆっくり霊夢。その反応だけで火を見るより明らかだ。 翡翠の瞳が妖しく煌く。 「ゆ。れいむ~?」 「ゆゆっ!まりさ!おきた?だいじょーぶ?」 「ここどこ?ゆっくりできる?」 「ゆっくりできるよ!」 ゆっくり魔理沙が目を覚ました。あたりを見回し、パルスィが目に入ると、やや警戒する。 「ゆ?おねえさんはだれ?ゆっくりできるおねえさん?」 「まりさ!おねえさんはれーむたちをたすけてくれたんだよ!ゆっくりできるひとだよ!」 「ゆゆゆ!おねいさんありがと!ゆっくりしていってね!」 朗らかに言うゆっくり魔理沙。だが、やはり消耗しているのか、いつもよりも精彩を欠いている。 「おねえさん!まりさになにかたべものをあげて!おねがい!」 「……いいけど、上に戻れなくてもいいの?」 「? そんなことよりもまりさをげんきにするのがさきだよ!ゆっくりしないで!」 「……もう一度聞くけど、食べ物を持ってきてもいいのね?」 「ゆっくりしないで、はやくもってきてよ!」 上に戻れないだなんて、何を言ってるのだろう?とにかく今はまりさを治さなければいけない。 ゆっくり霊夢はゆっくり魔理沙の、かさかさになっている肌を潤すようになめる。 やがてパルスィが戻ってくると、すぐさままりさに食べさせた。 噛むのがつらいと見るや、れいむが食べ物を噛み砕いて口移しで食べさせた。お互いの頬が赤いのはご愛嬌か。 パルスィはそんな一見心温まる様子を、痛ましげに見つめていた。 それから三日ほどゆっくりすると、ゆっくり魔理沙もすっかり元気になっていた。 その間、食料を持ってくるのはパルスィだった。 ゆっくり魔理沙は安静にしていなければならず、ゆっくり霊夢はその看病にかかりきり。 だが、パルスィは別にそんなことはどうという事でもないという風に食料を集めていた。 ゆっくり魔理沙のげっそりとこけていた頬も今ではみつしりとしており、ぷりぷりと中身が詰まっている様子がよくわかる。 「おねえさん!ありがとう!ゆっくりできたから、げんきになったよ!」 「たべものをくれてありがとうね!おねえさん!」 「別にお礼を言われることじゃないわ。それでどうするの?」 「ゆゆっ?」 「まりさたちはおうちにもどるよ!いままでありがとうね!」 「やっぱり知らなかったのね……」 困ったように目を閉じ、ため息をつくパルスィ。再び目を開いたとき、その緑には憐憫の色が混じっていた。 ゆっくりたちと目を合わせるように屈むと、噛んで含めるように言い聞かせた。 「いい?よく聞いて。この黄泉比良坂にある食べ物を食べた地上の生き物は、どう足掻いても二度と地上には戻れないの」 「うゆぅ?」 「なにいってるかわかんないよ!もっとゆっくりいってね!」 「ふぅ。つまり、おうちには帰れないってことよ」 「!」 「!?」 衝撃を受ける二匹。目を思い切り見開き、さらに徐々に口も大きく開いていく。 そのままわなわなと震えながら息を吸い込むと声と共に吐き出した。 「うそだっ!うそだよ!おうちでゆっくりできないなんて、どうしてひどいこというの?」 「ゆっくりできないよ!おねえさんはほんとはゆっくりできないひとだったの!?」 「私はきちんと言ったわ。戻れなくなるけどいいの?って」 「!」 「?」 二匹の文句を意に介さずに言うパルスィ。 ゆっくり霊夢はその時のやりとりを覚えていたのか、硬直した。 「どうしたの?れーむ。おなかいたいの?」 「れ、れーむのせい?れーむのせいなの?」 「?」 「まりさがしにそうだったがら、ごはんたべざぜだれーむのぜい!?ゆぅうぅうぅうぅぅぅ」 「なにいってるの?れーむ、ゆっくりして!ゆっくりしてよぉっぅ!!」 大粒の涙を撒き散らしながら泣き喚くゆっくり霊夢を、抑えつけようとするゆっくり魔理沙。 暴れるゆっくり霊夢に弾かれて、傷だらけになりつつもゆっくり霊夢を落ち着かせる。 「うぅうぅ、ごめんね!まりざぁ。ごべんねぇ!れーむが。れーむがぁあぁぁぁ」 「れーむのせいじゃないよ!ぐあいがわるくなったまりさがわるいんだよ!」 「うっ、ゆっ、ゆぅうぅえぇぇぇぇえぇぇぇぇぇっ!!」 「なかないで、れいむ。おうちにもどれなくても、ふたりでいればゆっくりできるよ!」 「うっうっうっ、おごってない?ひっぐえっぐ。ゆぅぇぇえぇぇ」 「おこらないよ!れーむはおともだちでしょ!」 「うぅうぅっ!ま、まりさぁ!まりさぁあぁぁあ!」 「れいむぅ!れいむぅ!」 二人で抱き合って泣いている。確かな友情がここにあった。 微笑みながらそれを見ているパルスィ。だがその笑みには剣呑なものが含まれていることに気づくのは誰もいない。 緑色の目はきらきらと輝いている。 「あらあら、仲が良いのね。ふふふ。ああ、嫉ましいわ」 しばらくすると、泣き止んだのか、二匹そろってパルスィの足元によってくる。 ゆっくり魔理沙がパルスィに向かって声をあげる。 「おねえさん!まりさたちはここでゆっくりすることにきめたよ!」 「そう。ただし気をつけて。ここは地上ほど優しくないわよ」 「だいじょーぶだよ!れいむといればどこでだってゆっくりできるもん!」 「……そう。じゃぁ私はもう行くわ」 「ゆっ?おねえさん、もうかえるの?」 「ええ。貴方たちもこれからが大変でしょうしね。がんばって」 「ゆ!ゆっくりがんばるよ!」 「うん!おねえさんも、ゆっくりあそびにきてね!」 パルスィが振り返ると、二匹は友愛の証である頬擦りをしていた。 四日後。 パルスィが二匹のもとを訪れるとそこには六匹の小さなゆっくりたちがいた。 地下に落ちてから一週間で友人からつがいへと発展したらしい。 「あ、おねえさん!いらっしゃい!ゆっくりしていってね!」 「ゆ?おかーさん、ゆっくりできるひと?」 「そうだよ!このおねえさんはゆっくりできるひとだよ!」 「ゆ!ゆっくりちていてね!」 「ゆっくり~」 小さなゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙が三匹ずついる。まだ幼いからか言葉遣いもたどたどしい。 あたりを見回してもゆっくり魔理沙の姿が見えない。 「まりさはどうしたのかしら?」 「ゆ!まりさはたべものをとりにいってるよ!れーむはおかーさんだから、こどもたちをみてるの!」 「そう。しっかりしてるのね」 「ちがうよ!ゆっくりしてるんだよ!」 その返答に思わずくすりと笑ってしまうパルスィ。和やかな空気で満たされている。 しばらく小さいゆっくりたちで遊んでいると、ゆっくり魔理沙が帰ってきた。 「ゆ!おねえさん!いらっしゃい、ゆっくりしていってね!」 「おかえりまりさ!」 「まりさおかーさん、おかえりー!」 「ゆっくりちていてね!」 「ごはんー!おながずいだよー」 「たくさんあるから、ゆっくりたべてね!」 なかなかどうして仲睦まじい家族愛を見せ付けてくれるじゃあないか。 ふつふつと湧き上がるどろどろとした感情。 宇治の橋姫は夫に裏切られたから、鬼と化したのだ。 和気藹々としたゆっくりたちの様子は、パルスィの翡翠の瞳を深く鮮やかに輝かせるのに十分過ぎるほどだった。 水橋パルスィは、嫉妬と言う名の緑色の目をした怪物。 これ以上ここにいてはいけない。 我慢できなくなる。 「ゆ?おねえさん、かえるの?もっとゆっくりしていってよ!」 「…………」 「? ゆっくりかえってね!」 その夜。 ゆっくり霊夢たちの巣だ。もう子供たちはぐっすりと眠っているのか、規則正しい寝息が聞こえてくる。 親である二匹は何をしているだろう? 二匹は子供たちからあまり離れていない場所にこしらえた自分たちの寝床で体中をこすり合わせていた。 顔が上気し、目は蕩けたように薄目になっていて、熱い息を荒くしている。 よく見ると熱を持っているのかじっとりと汗ばんでいるのがわかる。 「はぁ、れいむ。れいむぅ!」 「んっ。ふぅん、まりさっ!ああ、まりさぁっ」 お互いの名前を呼びながら口を啄ばみ、桃色の舌でお互いの顔中によだれを塗りたくっている。 それは汗と交じり合って、すぐにねとねとした粘液になった。さらにそのまま体中をこすり合わせ続ける。 しゅるしゅると音がたっていく。こすり合わせている音が早まっていくにつれて、二匹の声はだんだんと意味を成さなくなっていく。 「ゆっ!ゆふん!ふぅ~!っくり!ゆん!」 「ゆんゆんっ。ゆひゅっ!ゆぅうぅ~~ん!ぅん」 「ゆ~~~~ゆ~~~~」 「ゆゆゆゆゆ」 「ゆっ!?」 ぱっと離れるゆっくり霊夢。荒くなった息をゆっくりと整えていくにつれて、赤い頬もいつもの色に戻っていく。 たまらないのは中断されたゆっくり魔理沙だ。 いまにも泣きそうな顔で信じられないというように驚愕している。 「どうしたの?もっとゆっくりしようよ!」 「だめだよ!ゆっくりできない!」 「どうしてそんなこというの?まだまだいけるよ!もっとゆっくりしようよ!」 「だめだってば!こどもたちがいるし、もうゆっくりねようね!」 「ゆ、ゆっくりぃ……」 か細く鳴くゆっくり魔理沙はどこか寂しげだった。 次の日。子供たちの世話はゆっくり霊夢に任せて、ゆっくり魔理沙は餌をとりに出かけていた。 ここには地上のゆっくり平原では見られないものがたくさんあり、ゆっくり魔理沙は好奇心のままに飛び跳ねていた。 だがその跳躍はどこか心ここに在らずといった感じだ。 「あ、おねーさん!」 「あら。こんなところで奇遇ね、どうしたの?」 パルスィだ。手には籠のようなものを持っている。彼女も食料調達だろうか? 「まりさ、ごはんをあつめてるんだよ!」 「そう、家族のために偉いわね、ふふっ」 「……うん」 「元気がないのね。いったいどうしたのかしら?」 「…………」 ゆっくり魔理沙は意を決したようにパルスィに目をあわす。 そこには、出会ったときから変わらぬとても綺麗な緑色の宝石があった。 「あのね」 ゆっくり魔理沙は語った。 大好きなゆっくり霊夢と子供が出来たけど、子供にばかりかかずらって自分にあまりかまってくれなくなったこと。 昨晩の行為もこれからというところで、一方的に中断されたこと。 ほかにも以前とは変わってしまったことを口にした。 涙ぐみながら話す様子を、酷く艶っぽい微笑みで見守る緑色の目の怪物。 ゆっくり魔理沙は自覚していなかったが、パルスィには滲み出る感情がはっきりと理解できていた。 「嫉ましいのね?」 「ね、たましい?なに?わからないよ。ゆっくりおしえてね!」 「そのうちに捨てられてしまうかもしれないわね」 「ゆっ!?そんなことないよ!れーむはそんなことしないよ!」 「子供たちだけを見て、もう貴方のことなど見てもくれない」 「いやだよっ!まりさもみでほじぃよぉっ!!」 涙ぐむゆっくり魔理沙。パルスィはそれを見てか見ざるか続ける。 「やがて声をかけても返事をくれるどころか、振り返りもしなくなるわ」 「いやだぁっ!いやだよぅ!!れーむとおはなししたいよぅ!」 「貴方はただただ餌を運ぶだけの都合のいいものになるのね」 「ゆっぎゅりぃいぃっ!!!」 いやいやと体を左右に振り乱しているゆっくり魔理沙を両手ではさむと、パルスィは顔の高さまで持ち上げて目を合わせる。 ゆっくり魔理沙は、パルスィの目が見たこともないくらいに鮮やかな緑色になっていることに気づいた。 地下に落ちてからずっと、パルスィに会うたびにその綺麗な目を見ているが、その中でも極めつけに美しかった。 「……どうすればいいのか、貴方ならもうわかっているはずよ……」 「わ、わからないよ。ゆっくりおしえてね!」 「いいえ、分かっているわ。……貴方は、ただ、認めたくないだけ」 「ゆ、ゆっくり……」 「まぁいいわ。もうお帰りなさい。貴方の家族が帰りを待ってるわよ。ご飯を持っていってあげないといけないのでしょう?ご飯を、ね」 「ゆ、ゆぅ……。おねえさん。まりさはゆっくりかえるね。さよなら」 「ええ。御機嫌よう」 とぼとぼと去るゆっくり魔理沙を、パルスィはゆっくりと見送っていた。 夜。 ゆっくり魔理沙の集めてきた食べ物を食べて、毛繕いも終えた六匹の子ゆっくり達はすでに夢の花園へと入り込んだ。 その様子をゆっくりと慈愛に満ちた表情で見つめているゆっくり霊夢。 もはや母の貫禄を身につけつつある。 そんなゆっくり霊夢にもじもじとにじり寄るゆっくり魔理沙。 「れ、れいむ」 「なぁに?まりさ」 「ゆっくりしようね!」 「? ゆっくりしてるよ?」 そのまま頬擦りし始めるゆっくり魔理沙。 ゆっくり霊夢もとくに拒むことはしないで、同じように頬擦りをする。 すりすり。すりすり。 やがて二匹ともじっくりと体をこすり合わせるようになり、息も短く荒くなっていく。 お互いの体が汗ばむころにはゆっくり魔理沙は出来上がっていた。 「ゆっ!ゆっくりしちゃいけないよ!」 「ゆゆゆっ!?」 昨晩のように拒絶されるゆっくり魔理沙。何かを我慢するような顔のゆっくり霊夢。 対してゆっくり魔理沙は何かを悟ったような表情だ。その目に幽かな翡翠の閃きが垣間見えたのは気のせいだろうか? 「ま、まりさ。ごめんね。でも、こどもたちがおっきくなったらゆっくりできるよ!」 「きにしないでねっ!こどもたちががおっきくなるのがたのしみだね♪」 「そうだね!たのしみだね♪」 「ゆっくりおやすみなさい」 翌朝、ゆっくり魔理沙はいつもより早起きした。 眠る前に聞いた、ゆっくり霊夢の「子供達が大きくなれば」という言葉を思い出す。 うん。今自分がすることはたくさんの食べ物を集めること! ゆっくり魔理沙は自分のやるべきことをやるために動き出した。 しばらくしてゆっくり霊夢が目を覚ます。 隣を見ると、いつも自分が起こすまで眠っているゆっくり魔理沙の姿が見えない。 どこに行ったのだろうと思い、いつもより急いで外に出る。 ゆっくり魔理沙はゆっくり霊夢にとってかけがえの無い存在だ。もしかすると一番大事かもしれない。 そんなゆっくり魔理沙が目を覚ますといなくなっていた。ゆっくり霊夢は不安を覚えた。 だから、いつもよりも少し急いで巣から出た。ゆっくり出ようとは思いもしなかった。 「まりさっ!?どこ?」 「ゆっ?おきた?おはよう、れーむ」 そこにはいつもと変わらぬゆっくり魔理沙の姿があった。一安心するゆっくり霊夢。 ゆっくりと近づいていくと、何か良い匂いが漂っていた。 「いなくなってたからびっくりしたよ!はやおきなんてめずらしいね♪」 「ごめんね。れーむにごはんをつくってあげようとおもったの」 「ゆっ、ごはん?ほんとに?ほんとにめずらしいよ」 「れーむのことだいすきだからねっ!がんばったよ」 「ゆっ、ほんと!うれしい!うれしいよ!れーむもまりさだいすき!!」 二匹で満面の笑み。お互いがどれだけ嬉しいのか、見ているだけでも伝わってくるような笑顔だ。 朝一番の太陽のような笑顔。 地下では太陽は見えないけれど、知らない人にはこの笑顔を見せれば想像できるかもしれない。 「そうだ!こどもたちは?いなかったよ?」 「みんなははやおきしてあそびにいったよ!」 「ゆっ!どうしておこしてくれなかったの?れーむもあそぶ!」 むくれるように言うゆっくり霊夢。ぷくぅっと膨れているのがとても可愛い。 「ごめんね。でもつかれてたみたいだから、ゆっくりしてほしかったの」 「ゆっくり!ならしかたないね♪」 「さ、たべて。れいむのためにつくったから、ゆっくりあじわってね!」 「ゆっくりいただきます♪」 ゆっくり霊夢は並べられた六つのごはんにむしゃぶりついた。白くて黒くてひらべったくて、見たことが無いけど美味しそうだった。 その様子を微笑ましそうに見つめるゆっくり魔理沙もすぐに自分の分を食べ始める。 「うわぁ、おいしい!あまいよっ!うんっ!うめぇ!!めちゃくちゃうんめぇ!はぐはぐっ」 「ほんと?うれしいよ♪てれりこてれりこ」 ゆっくり霊夢に褒められて照れたのか、頬を桜色に染めるゆっくり魔理沙。 そのままがつがつと食事を進める二匹。 「えふっえふっ!けぷっ」 あまりの美味しさに慌てたせいでむせるゆっくり霊夢。 咳き込むと餌がばらばらと散らばる。 「びっくりしちゃったよ!ゆっ!?」 「どうしたの?れいむ。たべないの?」 裏返しになったそれは、れいむとまりさの子供だった。 まりさが食べているのも、よく見ると自分達の子供だった。 その表情はいつもの顔と変わりない。だがそれがくるくると変化することはもう無いということは、ゆっくり霊夢にも瞬時に理解できた。 「ま、まりさ!それこどもだぢだよっ!!れいむとまりざのっ!」 「そうだね♪おいしいね!」 「なっ、まま、ま、まりさ!なにいっでるのぅ!!わだじだぢのがわっ、がわ゛いいごどもなんだよ!?」 「むーしゃむーしゃ、しあわせ~♪」 「うっ、うわっ!うあッ!!」 ぺろりと平らげるゆっくり魔理沙。その口元は二匹の愛し子の血肉で汚れていた。にっこりと微笑む片親。 「う゛あ゛あ゛ぁあ゛ぁぁぁあ゛ぁぁぁぁぁッ!!」 「これでふたりっきりだね!れいむ♪」 終わり。 O, beware, my lord, of jealousy ! It is the green-ey'd monster which doth mock The meat it feeds on; お気をつけ下さい、将軍、嫉妬というものに。 それは緑色の目をした怪物で、ひとの心をなぶりものにして、餌食にするのです。 (『オセロ』第3幕第3場) 東方地霊殿では、作中で舞台が「根の国」であるとは言われていません。 ゆえに、パルスィがいた場所が黄泉比良坂というのは、この作品だけの設定です。あしからず。 食べ物を食べたから戻れないという展開のためにつけただけですね。 かわいいよ、パルスィ!かわいいよ! 水橋パルスィ:地殻の下の嫉妬心:嫉妬心を操る程度の能力 著:Hey!胡乱

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