注意書き
 初投稿ですので、文章が読み難いと思います。
 一部ゆっくりの頭がかなり良いです。
 ぶっちゃけ、虐待じゃない気がします。
 色々と展開に無理があります。
 貴重な時間を無駄にする恐れがあります。
 それでも良いという方はどうぞよろしくお願いします。





 ある森の中の洞穴で、二匹のゆっくりが寄り添っていた。
 ゆっくりまりさとゆっくりぱちゅりーの二匹である。

「ゆぅっ!! ……ゆっゆっゆー!! ……ゆっゆっゆー!!」
「ゆゆっ!! ぱちゅりー、ゆっくりがんばってね!!」

 今まさに出産の真っ最中であった。
 このぱちゅりーは、ゆっくりにしては珍しい胎生型妊娠をしていた。

「ゆっ……ゆっくりうまれ……ゆぶぅぅぅぅ!!」
「ぱっ、ぱちゅりいぃぃぃぃぃぃ!!」

 だが、運が無かったのか必然だったのか、ぱちゅりーは難産に陥ってしまった。
 元々ゆっくりの中で体の弱いぱちゅりーは、母体となるのにリスクが伴う。
 それでもこのぱちゅりーは健康であり、伴侶であるまりさのおかげで餌の貯蓄も豊富であった。
 そのため、ゆっくりと胎内で赤ちゃんを育てることが出来た。
 だが、念には念をいれてあまりにもゆっくりと育てすぎたために子供が大きくなった事が災いし、
 ぱちゅりーにとって負担の大きいものとなってしまったのだった。

「ゆぅぅぅぅ!! ゆうぅぅぅ!!」
「ばぢゅりぃ!! じっがりじでぇぇぇぇぇぇ!!」

 涙目になりながらも痛みに耐えて頑張るぱちゅりー。
 伴侶であるぱちゅりーの辛い姿を見て、泣きながら応援するまりさ。
 そんな二匹の願いが通じたかどうかは知らないが、遂に赤ちゃんが生まれた。

「ゆぶううぅぅぅん!!」

 すぽーんと飛び出した赤ちゃんの姿は、黒い帽子を被り、金色の髪をしていた。ゆっくりまりさである。
 ゆっくりまりさは無事着地に成功して、後ろを振り返っておなじみの言葉を叫ぶ。

「ゆっくりしていってね!!」
「ゆっくりしていってね!!」

 赤ちゃんまりさの呼びかけに親まりさの方は答えることが出来たが、親ぱちゅりーはそれどころではなかった。
 長時間出産の影響で疲労は元より、出産の反動で体の一部が破損していた。

「ぱちゅりー!! ゆっくりうまれたよ!! すごくゆっくりしたあかちゃんだよ!!」
「むきゅー……、よかった……」
「ぱちゅりー? ゆっくりおきてね!! ゆっくりこえをかけてね!!」
「おかーさん、ゆっくりしていってね!!」

 子供が無事に生まれた事に安堵したのか、ぱちゅりーはゆっくりと目を閉じていく。

「ばぢゅりいぃぃぃぃいぃぃぃぃ!!!!!」

 そしてそのまま、二度と目覚めることは無かった。






「むきゅー、きょうもあずかればいいのね」
「ゆっくりおねがいするね、まりさ、ゆっくりここでまっててね」
「ゆっ、まりさ、ゆっくりりかいしたよ」
「「「「「「「「ゆっくりきをつけていってきてね!!」」」」」」」」

 あれからしばらく経ったが、親まりさと子まりさは元気に暮らしていた。
 親まりさは狩りにでかけ、その間子まりさは一時的に他のゆっくりに預けられるというスタイルが成り立っていた。

「むきゅん。きょうはたべもののせつめいをするわ、しっかりべんきょうしなさい」
「「「「「「ゆゆーっ」」」」」」
「ゆっくりがんばるよ!!」

 このぱちゅりーは亡くなったぱちゅりーの姉であるが、既に6匹の子供がいる。
 しかし、亡くなった妹の形見である子まりさも、我が子のようにしっかりと育てているようだ。
 最も、預かっているお礼として分けてもらえる食べ物の分もあるかもしれないが。


「ゆっ、ゆっくりかえったよ」
「むきゅ、おかえりなさい」
「「「「「「おかーさん、おかえりなさい!!」」」」」」

 太陽が高く昇った頃、ここのぱちゅりーの伴侶であるれいむが狩りからゆっくりと帰ってきた。

「まりさ、こんにちは!! きょうもゆっくりしていってね!!」
「れいむおかーさんこんにちは!! ゆっくりさせてもらってるよ」

 れいむとぱちゅりーしかいないはずの光景にまりさがいても、れいむは驚くこともなく受け入れ、挨拶をした。

「ゆっ、ごはんのじかんだよ。まりさもいっしょにゆっくりたべてね」
「「「「「「ゆゆーっ、わーいわーい!!」」」」」」
「ありがとう、ゆっくりたべるね!!」

 そうして子供たちは親の出された餌に群がっていく。
 それを微笑ましく見ているぱちゅりーにれいむはそっと声をかける。

「ぱちゅりー、ちょっと……」
「むきゅ?」

 れいむに連れられて巣の奥に移動する。
 子供たちは餌に夢中で気づいていないようだ。

「むきゅ、どうしたの?」
「……ぱちゅりー、いつまであのこをあずかるつもりなの?」
「むきゅ……? たのまれたらずっとひきうけるつもりだけど……?」
「でも、あのこがいるとゆっくりできないよ……?」

 れいむは内心まりさを快く思っていなかった。
 最初のころは、子供たちにも友達が出来たと喜んでいた。
 だが、それから毎日家族にまりさがいる光景が多くなり、せっかくの家族水入らずでのゆっくりプレイスが、
 まりさによってゆっくりできないと感じていた。

「むきゅ、なにをいっているの? まりさはとてもゆっくりできるこだよ?」
「でも、わたしたちのこどもじゃないよ、まりさはまりさのこどもだよ」
「そうだけど、まりさはわたしのいもうとのこどもでもあるのよ、いもうとのぶんまでわたしがめんどうみるのよ」

 れいむには関係ないゆっくりでも、ぱちゅりーにとっては亡き妹の忘れ形見である。
 自分が育てなければいけないという使命感に捕らわれてもいるのだろう。

「それに、あのこがいることで、こどもたちもよりゆっくりできてるみたいよ、ほら」
「ゆ?」

 ぱちゅりーが子供たちのほうに注意を向けさせると、そこには子まりさが一匹の子ぱちゅりーにご飯を咥えて持っていった。
 ぱちゅりー種はゆっくりの中でも力が弱い。そのため硬い食べ物はなかなか食べることが出来ない。
 食べ難そうにしている子ぱちゅりーを見かねた子まりさが、柔らかい食べ物を子ぱちゅりーのために差し出したのだった。

「ゆっ、こっちのごはんのほうがゆっくりたべれるよ。かたいほうはまりさがたべるよ」
「むきゅ……まりさ、ありがとう……」

 そんな微笑ましい光景を繰り広げていた。

「むきゅ、あのこはやさしいし、かしこいわ。こどもたちもあのこをかぞくのようにおもっているわ」
「ゆー……」
「それに、たべものだってもらっているわ。こどもたちもおおきくなるし、たべものはすこしでもおおいほうがいいわ」
「ゆー……」

 確かにそうだ、子供達はゆっくりしてるし、これから必要な食べ物が多く手に入るんだ、何も問題ないじゃないか。
 れいむはそう判断した。

「ゆっ、そうだね、ぱちゅりーはかしこいね。ゆっくりりかいしたよ」
「むきゅ、わかってくれてよかったわ」

 それでもれいむは、どこか心に引っかかる物を感じていたが、気のせいだろうと判断した。






 さらに時が経過し、子ゆっくりは狩りができる程度の大きさまで成長した。
 そろそろ狩りを教えてもいいだろうと考えた親まりさは、子まりさを連れてぱちゅりーとれいむの家族に狩りに連れて行くのでもう預けないことを話した。
 それを聞いて親ぱちゅりーやその子供達は悲しんだ。
 特に子まりさに優しくしてもらった一匹の子ぱちゅりーは、まりさ親子が狩りに出かけるまで、子まりさのそばを離れようとはしなかった。

「ゆっ、まりさのじゃましちゃだめだよ、まりさはまりさのおうちのこどもだよ」

 親れいむがそう言って子ぱちゅりーを引き止める。その顔はとても穏やかだった。






 まりさ親子が狩りをするようになって数日、ぱちゅりーとれいむの家族も狩りを教えることにした。
 まずは狩りのお手本をとばかりに親れいむが張り切る。
 親れいむが虫が隠れていそうな場所を探している間は、ぱちゅりーは狩りの仕方、虫の隠れそうな場所、食べれる木の実等を子供達に復習している。
 親れいむが虫の居場所に目星をつけたら、見学タイム。お手本とばかりに親れいむが芋虫をとらえる。

「「「「「「おかーさんすごーい!!」」」」」」
「ゆっ、つぎはみんなのばんだよ。ゆっくりがんばってね!!」

 親の真似をしようと張り切る子供達。
 だが初めてということもあり、上手くいかず虫に逃げられてばかりだった。

「ゆっ、むしさんまってよ、ゆっくりしていってね」
「むしさん、あきらめてれいむにたべられてね」

 初めてだし、仕方がないよね。そう親れいむが思っていると、他のゆっくりが近づいてきた。

「ゆっ、ぱちゅりーにれいむ!! ひさしぶりだよ!!」

 そういってゆっくりは声をかける。よくみるとそれはあのまりさ親子だった。

「むきゅ、おひさしぶりね。ゆっくりしてた?」
「ゆっ、まりさ、ゆっくりして……」

 そうして、親れいむは見る。まりさ親子が大量に餌を持っているのを。

「むきゅん、ずいぶんとたべものをあつめたわね」
「ゆっ、まりさのこがとてもがんばってくれたよ」
「おかあさんのおかげだよ、あとぱちゅりーおかあさんがいろんなことをおしえてくれたからだよ」
「むきゅ、ちゃんとおぼえていたからよ、さすがまりさだね」

 そこでぱちゅりーとれいむの子供達もまりさ親子に気づく。

「「「「「「あ、まりさだー!!」」」」」」
「まりさーひさしぶりー」「げんきだったー?」「わーすごーい」「これまりさがとったのー?」「ゆっくりー」
「みんな、ひさしぶりだよ!!」

 皆まりさ親子にあえて喜んでいた。
 ただ親れいむ一匹だけ、取り残されていた。

「ゆっ、そうだ、ぱちゅりーにこれあげるよ!!」
「むきゅ?」
「まりさがとったばったさんだよ、ぱちゅりーにぷれぜんとだよ」
「むきゅ、いいの……?
「もちろんだよ!!」

 子まりさが、自分のとった餌の中で大きなバッタを子ぱちゅりーに渡す。
 それを見た他の子は口々に、いいなー、ぱちゅりーばっかりずるーいと文句を垂れた。

「ゆっ、じゃあまりさのたべものをぜんぶあげるよ、みんなでなかよくわけてね」
「いいの?」「まりさだいすきー!」「じゃあこれはれいむのー」「ずるーい! それならこれはれいむのー」「ゆっくりー」

 そうして食べ物を全部分けてしまった。これを見た親ぱちゅりーは止めようとしたが、
 親まりさが子供の好きなようににさせて欲しいと言われたため、結局止めなかった。
 子供達が食べ物を分け終えた後、まりさ親子は去っていった。

「むきゅん、よかったわね、これでたくわえがふえるよ」
「ゆ゛っ……、 そ、そうだね、ゆっくりできるね!!」

 家族皆が喜んでいるのに、何故か親れいむだけが素直に喜べないでいた。






「ゆっ、これくらいでいいかな?」

 そう独り言を呟いたのは子まりさである。あれから時が過ぎ、成体の一歩手前まで成長していた。
 そろそろ巣立ちの時期でもある。どこかにいい住処がないか探しつつ、子まりさは一匹で狩りを行っていた。

「ゆぅ、すこしきゅうけいするよ」

 そうして子まりさはゆっくりとしだした。新たな住処を見つける目的もあり、今日は少し遠出をして疲れていた。
 ゆっくりとして疲れを癒す子まりさに、一匹のゆっくりがやってきた。

「ゆゆっ、みかけないまりさだね、ゆっくりしていてね!!」
「ゆっくりしていってね!!」

 話しかけて来たゆっくりはれいむのようだ。子まりさは振り向いて挨拶をした。

(ゆゆゆゆゆっ!!!!!)

 れいむは驚いた、見知らぬまりさが大量の食べ物を持っているのだ。普通のゆっくりならばこの半分も集めればいい方であろう。

「まりさはすごいね、かりがじょうずなんだね。れいむにもたべものちょうだいね」
「いいよ、すこしならわけてあげるよ」
「ゆっ、ありがとうまりさ!! まりさはやさしいね!!」
「おれいはいらないよ、こまったときはおたがいさまだよ!!」

 そういってまりさはれいむに自分のとった食べ物を分けてあげた。

 れいむは思った。このまりさはどこか他のゆっくりとは違う気品があると……。
 それに、このまりさはとても格好良かった。栄養事情の良いゆっくりはどうやら他のゆっくりから格好良く見えるらしい。
 出会ったばかりであるというのに、れいむは恋に落ちた。

「ゆっ……まりさ、とってもきれいだね……」
「ありがとう、そういうれいむもとってもきれいだよ!!」

 れいむにとってこの反応は当然だった、このれいむ、なかなかの美ゆっくりであるらしい。
 普段から他のゆっくりに物をもらう生活をしていたのだろう。
 そして思い浮かべる。美ゆっくりの夫婦、なんと絵に描いたような光景であろうか。
 生まれてくる子供も美ゆっくりに違いない。そして皆から羨望の眼差しを受けるのだ。
 そんな幸せ生活を思い浮かべながら、れいむは告白した。

「ゆぅ……もしよかったら、れいむといっしょにずっとゆっくりしようね……」

 れいむは告白が成功すると確信していた。いままで自分に言い寄ってきたゆっくりは沢山いた。だが綺麗な自分には釣り合わない。
 綺麗なゆっくりは綺麗なゆっくり同士で結ばれる。そうれいむは信じていた。だが──

「ゆっ、ごめんね、れいむとはいっしょになれないよ」

 帰ってきたのは拒絶の言葉だった。

「どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉぉぉぉぉ!!?? れいぶのごどぎらいなのぉぉぉぉぉぉぉ!!??」
「ゆゆっ? きらいじゃないよ?」
「じゃあどぼじでぞんなごどいうのぉぉぉぉぉぉぉ!!?? もうだれがどいっじょなのぉぉぉぉぉぉ!!??」
「ゆっ、だれともいっしょじゃないよ」
「じゃあいっじょになっでもいいでじょおぉぉぉぉぉぉ!!??」
「まりさはもうこころにきめたあいてがいるんだよ!!」



「──だれなの……?」



「ぱちゅりーだよ、とってもかわいいよ。そろそろかえらないといけないから、またね」

 そういって、まりさは餌を持って去っていった。
 残されたものは、ただそっと呟いた。

「──ぱちゅりー……」






「ゆぅ……むしさんみつからないね……」
「おかーさん、おなかすいたー!!」
「「「「おなかすいたー!!」」」」

 そう話すのは、あのぱちゅりーとれいむの一家である。だが今回狩りに出かけているのは、れいむ種だけらしい。
 ここまで餌である虫が見つからない、もしくは見つけても逃げられてしまっていた。既に太陽は西に傾き始めている。
 そろそろ帰らないと夜になってれみりゃが活動してしまう。そうしたらゆっくり出来なくなってしまう。
 親れいむはそう考えた。

「そうだね、かえってごはんをたべてゆっくりしようね!!」」
「「「「「わかったよおかーさん!!」」」」」

 そうしてれいむ達は住処に戻っていった。まだお家には蓄えがあったはず、それを食べればゆっくりできる。
 無くなってしまったら、明日いっぱい見つければいい。そんなことを親れいむは考えていた。
 そうして自分の住処付近に辿り着いたが、自分の住処の方向から何か聞こえてきた。
 れいむ達はなんだろうと思い、茂みから覗いて見ると──

「「「「「「ゆゆーっ!?」」」」」」

 そこには沢山の食べ物が入り口の前に積まれていた。
 その餌の周りには家族である親ぱちゅりーと子ぱちゅりー。
 そしてもう一匹──

「ゆっ、これくらいでよかった?」
「むきゅん、じゅうぶんすぎるわよ。ほんとうにいいの?」
「だいじょうぶだよ!! まだたくわえはおうちにいっぱいあるし、きにしなくていいよ!!」
「でもこんなにもらったら、なんだかわるいよ……」
「ぱちゅりーやみんながゆっくりできなくなるほうがしんぱいだよ!!」
「むきゅん、もらえるならもらっとくわね。ありがとうまりさ」
「まりさありがとう!!」

 まりさである。先程少し分けたにも関わらず、まだ大量と呼べるほどの食べ物を持っていた。
 それを、ぱちゅりーに全て分け与えたのである。
 その光景をみた子れいむ達は、お腹が空いていたこともあり、我先にまりさの方に向かっていった。
 親れいむはそんな子供達の後を追うように、近づこうとするが──

「「「「「まりさだー!!」」」」」
「まりさー」「ひさしぶりー」「げんきだったー?」「これくれるのー?」「ゆっくりー」
「みんな、ひさしぶりだね!!」

 何処かで見たような光景に、思わずその足を止める。

「これぜんぶまりさがとったのー?」

 どうしようもない不安に駆られて。

「そうだよ、なかよくみんなでわけてね!!」

 このままじゃ、ゆっくりできなくなると。

「まりさすごーい!!」

 そんな言い知れぬ予感が頭を駆け巡る。



「おかーさんよりもたくさんだね!!」



「おかーさんよりすごいね!!」



「まりさがおかーさんやおねーちゃんだったらよかったのにね!!」



「ゆっ、まりさはほんとうのかぞくじゃないけど、みんなかぞくのようにだいすきだよ!!」
「れいむもまりさのことだいすきー!!」
「れいむもー」「れいむもー」「だいすきだよー」「ゆっくりー」






 どれくらい時間が経ったのだろうか。、気が付いたらまりさの去っていく姿が見えた。
 子供達は食べ物を住処に運んでいるようだ。何故か子ぱちゅりーの顔がいつもより赤い気がした。
 とりあえず住処に戻ろうと歩みだすと、伴侶であるぱちゅりーが此方に気づいてやってきた。

「むきゅ、おそかったわね。どうだったの?」

 そう問いかけてきて親れいむは、問いかけてきた意味が即座に理解できなかった。

「むきゅ? みまわりにいってきたんじゃなかったの?」
「ゆ゛っ!! ま、まだはんぶんしかしていないよ!!」

 言われてれいむは、普段住処の周りに危険な物がないか見回ることにようやく気づいた。
 そして思わず嘘をついてしまった。

「そう、さっきまりさがきてたべものをわけてくれたの。いまみんなではこんでいるわ。わたしたちではこぶから、れいむはのこりのみまわりをよろしくね」

 そういってぱちゅりーは、残っている餌を運ぶために巣に引き返していった。






「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛!!」

 一匹残された親れいむは、親ぱちゅりーに言われたとおりに見回りをしていた。
 しかし辺りを見渡すような行為はせず、ただただ巣の反対方向へと歩いていくだけであった。

「ゆ゛か゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!! ゆ゛っ゛く゛り゛て゛き゛な゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!!!!」

 そう言うと、勢いよく跳ねてその辺りに生えていた一輪のお花に体当たりした。その勢いに耐え切れず、儚くもお花は散ってしまった。

「ゆ゛ふ゛ーっ、ゆ゛ふ゛ーっ」

 物に当たって気が晴れたのか、少し落ち着いてきた。だがその表情は険しかった。
 もしこの表情を家族が見たら、思わず逃げ出してしまうだろう。
 しかし、そんなれいむに近づく一つの影があった。


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最終更新:2022年05月18日 21:55