制裁ものじゃないと罪悪感を感じる方は注意
ある日の昼下がり、ゆっくりれいむは博麗神社の縁側でお昼寝をしていた。このゆっくりれいむは以前神社の中のおせんべいを
勝手に食べてしまって、巫女である博麗霊夢に叱られ、追い出されそうになったゆっくりであった。
その際にゆっくりれいむが行く当てもなかったところを見かねた霊夢によって飼われることとなった。
今では神社の中でゆっくりする居候またはペットとなっている。
「れいむ~。おやつよ~」
「すぐにゆっくりいくね!!おやつ♪おやつ♪」
今ではおやつを一緒に食べる。
「れいむ、こっちにいらっしゃい。一緒に食べよう。」
霊夢がれいむを膝の上に招く。
「ゆっくりできるね♪れいむのおひざやわらかくてきもちいい♪」
縁側で霊夢はれいむを膝の上に乗せて、おやつを食べることにした。日向でお昼寝をしていたれいむはほかほかと日の光を吸収して暖かい。
このゆたんぽのような暖かさが心地よい。ちなみに夏には冷やして冷やし饅頭になるので、これがまた気持ち良い。
「ほら、こぼしそうになっているわよ。しょうがないわね。」
そういう霊夢は普段他者と接する時と違って柔らかい物言いだった。
「ゆぅ?れいむ、ありがとね!!ゆっくりたべさせてね!!」
れいむは食べるときにこぼしてしまうので、霊夢が手をそえてゆっくり食べさせてあげるのだ。
最初は掃除の手間を省くためにこうしたのだが、今ではこの位置が一番しっくり来た。
霊夢にとってはれいむの暖かさと柔らかさを感じることができ、安らかな気持ちになれる。
そう、ゆっくりできるのだ。霊夢は元々面倒くさがりなところがあり、暇さえあればお茶を飲んでいた。
暇な時間を一人で満喫することは確かに味わい深い。しかし、れいむが来てからは、
だれかと一緒にゆっくりすることをより楽しめるようになっていた。
今では毎日のお茶の時間が本当に楽しみである。
「れいむ、れいむ、おやつありがとね!!おれいするね♪」
そう言うとれいむは縁側で霊夢を招いた。そうすると霊夢が寝転がる。れいむは霊夢の枕になった。
「あ~、ふわっとしてあったかい。れいむ、気持ちいいわよ。ありがとね。」
そういうとれいむは満足げな表情をした。それはどこかふてぶてしくて偉そうだ。
けれども霊夢はそんなれいむをみてほほえましく思った。すこし背伸びがしたい、
かまってほしいと思っている妹がいるとこんな感じなのかと思った。
そうすると、友人の霧雨 魔理沙が尋ねてきた。何でも異変の兆候があるらしい。霊夢は身支度を整えると、
「これから出かけてくるからね。おみやげもってくるからいい子にしてまっているのよ。」
「うん!ゆっくりいってらっしゃい!!」
れいむは満面の笑みで霊夢を見送った。本当はもっと霊夢と一緒にゆっくりしたかったが、
異変解決が巫女の仕事なのだから仕方がない。れいむは仕事で疲れた霊夢が帰ってきたときに
たくさんゆっくりしてもらうためお手伝いをしようと思った。口を使ってちりとりをくわえ、器用に掃除をしている。
霊夢が帰ってきたときにほめてもらいたい。なでてもらいたい。れいむは霊夢の事が大好きだった。
そのとき、
神社の上空より鳥がれいむ目掛けて急降下した。れいむは鈍重な動きと警戒心の少なさから、以前より目をつけられていた。
そして巫女がいないところを狙われたというわけである。
あっというまにれいむは鳥に捕まえられ、空高くに連れ去られることとなった。
「ゆぅ?おそらをとんでる!!たかい♪たかい♪」
れいむはまだ現在の状況を把握していないようだった。
霊夢の愛情に守られていたれいむには、これからどのような地獄が待っているのかまったく理解ができていなかった。
だんだん神社が遠ざかってくる。さすがにおかしいと感じたのか、れいむは
「ゆっくりれいむのおうちにかえしてね!!れいむのおてつだいおわっていないの!!」
と催促するが、鳥に言葉がわかるわけはない。
しばらく飛んで、れいむは鳥の巣に落とされた。鳥はそのまま次の獲物を求めて飛び去っていく。
れいむの目の前には鳥の雛達がいた。目の前にはぴぃ、ぴぃと雛たちが自分目掛けて擦り寄ってくる。
よちよちとゆっくりしたペースだ。
「ゆっくりしてる~♪」
野生から遠ざかったれいむは自分に向かってくる雛達を何の警戒心もなく近づけてしまった。
雛たちを可愛いと思ってしまっていた。あるものを忘れていたためにこのような愚行を犯してしまった。
野生の法則
弱肉強食
「いたい!いたいよ!とりさんやめて!!」
雛達はれいむのことを食料としてしかみていなかった。抵抗手段を持たないれいむは雛達についばまれていく。
小さなくちばしによるついばみは、ひとつひとつはたいしたことはなかった。しかし大量の雛、
それもとても飢えているので、久しぶりのご馳走にありつこうとみな必死にれいむをついばんでくる。
「ゆっ! ゆ゛う゛う゛うううううっ!!!やだよ!れいむはおいしくないよ!!」
生態系の最下層、動く食料のゆっくりにはあるまじき発言である。くすぐったさといたみとかゆみが同時に襲ってくる。
「れいむたすけてよ!れいむー!!!」
しかし霊夢は助けに来ない。異変解決に向かっているので当然である。
ひなのくちばしがついに中の餡子に届いてしまった。あふれ出す餡子。そしてそこに群がる雛達。
地獄の蹂躙劇がついにクライマックスへと突入しようとしていた。
しかし親鳥がいなかったことが幸いした。れいむは巣から転がり落ちることによって、うまく雛達から逃れることができた。
れいむはまた逃げていた。神社へとたどり着くことを願っていた。
しかし神社がどこにあるのかはわからなかった。
それでもまったく動かなければ餡子におびき寄せられた虫達の餌食となってしまうのである。
先ほどついばまれたところがかゆいと思ったら、蟻がたかっていた。れいむはあまりの気持ち悪さにどうにかしてしまいそうであった。
転がって蟻をふりはらうとすぐに逃げる。しかし蟻達はしつこく追ってくる。
「れいむじにたくないっ、れいむじにたくないよっ!!!ゆっぐりじたいよぉ!!」
れいむはゆっくりできなかった。蟻達は大群をかたどって襲い掛かってくる。一匹でも再び侵入を許せばそれまでだった。
はやく、はやく跳ね、少しでも遠くへと逃げようとした。それがれいむの餡子をこぼし、より多くの蟻をおびき寄せることとなっていた。
「ゔわ゙ああああああん!な゙んでえええええ!!な゙んでづいてぐるのぉぉぉ!!」
れいむは逃げる。
餡子がこぼれる。
逃げる。
こぼれる。
こぼれる。
こぼれる。
ついてくる。
しかしなんという幸運か、目の前には浅い水溜りが道を横切っていた。
れいむは全身全霊の力を使って飛び跳ねた。蟻達は追ってこない。上手く逃げ切ることに成功したのである。
「ここどこ・・・。おうちかえる・・・。れいむにあいたい・・・」
もはやどこが神社か完全にわからなくなっていた。しかし幸運にも目の前には民家、そして畑があった。れいむは民家を尋ねた。
しかし誰もいなかった。何か食べたい。ご飯をもらいたい。れいむはたいりょうのあんこを失っていたため、早く栄養を取る必要があった。
それなのに長い間飼われていたれいむはえさのとり方を忘れてしまっていた。
ふと目の前の畑に目が行った。たくさんの野菜がある。れいむはこれを食べれば傷がふさがるかと思った。
しかしそのとき霊夢の顔が頭に浮かび、以前しつけられたことが思い出される。
「今度からは勝手に人のものをとっちゃだめよ。悪いことなんだから。いい子にしていたら私がごはんをあげるからね。」
霊夢に嫌われたくない。今まで霊夢と過ごしてきた思い出が蘇る。
かまってほしさにいたずらをして怒られたことがあった。
逆に霊夢にいたずらをされたこともあった。頭からダンボールをかぶせられた。すねていたら、
霊夢が謝ってきてその後一日中遊んでもらったことがあった。
一緒に外に遊びに行ったこともあった。霊夢の友達にほっぺたをつねられたことを覚えている。
喧嘩をしたこともあった。あのときは何が原因だったのか覚えていない。れいむは都合の悪いことはすぐに忘れる。
しかし寂しくなって霊夢の布団にもぐりこんでしまったことは覚えている。喧嘩した後なのに霊夢は抱きしめて寝てくれた。
れいむは泣きながら謝った。
ひとりでゆっくりしていても楽しくはない。霊夢といっしょにいたい・・・。
「ゆ"っ・・ゆ"っ・ゅっ・・・・・ゆ"・・・・・ゅっ・・・・・・・・・ゅ゛・・」
体の中の餡子の3分の1がなくなってしまったためか、意識が朦朧としてきた。
目の前の野菜を食べないと決めたことで一気に今までのダメージが押し寄せてきたらしい。
もう動くことさえできない。
蟻達が追いついてきた。別の道を通ったのだろう。れいむの体内へと侵入し餡子をむさぼってくる。
もはや助からないことはれいむにもわかっていた。霊夢には二度度会えないと。
最後にいってらっしゃいと言ったことを後悔した。もっとわがままをいえばよかった。
少しでも霊夢と一緒にいたかった。こういうべきだったのだ・・・
ゆっくりしていってね、と
「今戻ってきたわよれいむ~。どこに行ったの~。おみやげ持ってきたわよ。いっしょにたべよ~。」
最終更新:2022年05月23日 21:47