※虐めが殆どないよ
※むしろ俺設定やどこかの作品にあった設定の垂れ流しだよ
それでも良ければどうぞ
ある昼下がり、青年は前の日にスーパーで買った加工場産『赤
ゆっくり饅頭』を食べることにした。
商品だとゆっくり達は死亡しているので反応は楽しめないが、本当に上品な甘みがありとても美味しい。
と、青年はふと思った。
―――ゆっくりってこんなに美味いなら野生で生きていけないんじゃないか?―――
考えたらそうだ。自然界でとても貴重な甘味が目の前を通っているならどんな獣も襲うはずだ。
どんなに繁殖力が強いといっても所詮ゆっくり。間違いなく餌になる側だ。そのうち消えてもおかしくない。
にもかかわらずゆっくりが激減したなんて聞いた事がない。
「よく考えりゃ不思議だな」
「その疑問にお答えしますよ」
「うわっ!!! なんだアンタ!?」
突然青年の後ろから声が聞こえて彼は吃驚した。見ればそこにいたのは白衣を着たおっさんだ。
「申し遅れました。私、ゆっくりをはじめとした様々な生物に詳しいDr,Nです」
「意味わかんねえよ!! つか、アンタ何処から入ってきたんだよ!!?」
「ちゃんとドアからですよ」
「もういいや。それより疑問に答えるって言ったよな、アンタ」
「ドクターって言って下さい。そうです、ゆっくりが何故大自然で生きていられるか、それを御教えしましょう」
そういいながらDr.Nは、何処からともなく白い小さな箱を出してきた。
「まずはこの赤ゆっくりを食べてみてください」
Dr.Nが箱を開けると、中には一匹の赤ゆっくりがいた。静かに寝息を立てている。
「じゃあ、遠慮なく」
青年は赤ゆっくりを口に入れた。一瞬、「ゆっ!!」という断末魔が聞こえたがどうでもいい。
「いかかですか?」
「不味くはないんだが、甘味が殆どないな」
「では次はこちらを」
取り出されたもう一つの箱にも赤ゆっくりがいた。勧められるままに赤ゆっくりを頬張る。すると、
「くぁwせdrftgyふじこlp;!!!!」
青年は何かを言いたいのに言葉が出ない。本能に従い水を求めてよろめきながら台所へ向かった。
数分後、彼はなんとか落着きを取り戻しDr.Nに詰め寄った。
「何食わせんだアンタ!!! 渋くて食えたもんじゃねぇよ!!! 渋みで舌が痺れるなんて初めてだわ!!」
「ちなみに、あなたが感じた渋みは一般的な山菜の100倍とも言われています」
「先に言えよ、そう言う大事なことは!!!」
「そして、それがごく一般な野生ゆっくりの味です」
「えっ、つまり……」
Dr.Nはいそいそと箱を何処かへ片付けながら説明を続ける。
「目の前に渋柿があっても食べようとする猿はいないでしょう? それと同じようにゆっくり達はこの渋みで外敵から身を守っているのです。
更に、この渋み成分がゆっくり達の免疫機能も担っている事が発見されています」
Dr.Nの説明では、この渋みはまさにゆっくり達にとってヤドクガエルの毒と同じなのだそうだ。
ちなみに、全てのゆっくり達はこの渋みに耐性がある為、山菜や渋柿、捕食種だと通常種も難なく食べられるのだとか。
しかし、青年には新たな疑問が生まれた。
「ちょっと待ってくれよ。最初に貰った赤ゆっくりは特に渋くもなかったぜ」
「実は植物型出産の場合、赤ゆっくりは生まれた直後から渋みを生み出せるわけではありません。出産の後、母ゆっくりは赤ゆっくりの付いていた茎を食べさせますが、
この茎に渋みを生み出す酵素が豊富に含まれているのです。コアラの赤ん坊が母親からユーカリの毒を分解する微生物を与えられるのと同じです。
もっとも、動物型出産だと母体の中にいる時点で既に与えられていますが」
「あぁ、そういうことなんだ」
更に、とDr.Nは続ける。
「ゆっくりが痛みを受けた時に彼らの中で麻薬物質が分泌されますが、これが糖類に非常に似ています。
なので、ゆっくりに痛みを与えると甘くなったり、菓子類に対して異常な依存性があるのです。
もっとも、体内に渋みを作る酵素がある限り甘くなるのも一時的です。なので加工場では酵素がないゆっくりに加工をするのです」
「茎を与えないことでか。なんか俺、今までゆっくりの事知らないことが多かったんだな」
「分かって頂ければ幸いです。では、私はこれで」
そう言い残し、Dr.Nは何処かへ消えてしまった。
(一番疑問なのは、お前の正体なんだけどなぁ)
青年はそう思いながら再び赤ゆっくり饅頭を食べ始めた。
あとがき
Dr.Nにモチーフなんていないよ。勝手に出来ちゃったんだ。
ポリフェノールに免疫機能はあるのかって? ゆっくりの渋みは不思議物質なんだよ。
最終更新:2009年01月07日 01:14