ゆっくりいじめ小ネタ507 嘘つき!

「なあ、まりさ?知ってるかい?今日は嘘をついて良い日なんだよ?」
「そうなのおにーさん?」
「ああ、だから今日はどこかで誰かが嘘をついてるかもね。」
「ゆん?それじゃあおにーさんもいまうそをついてるの。」
「……あー。一本取られたなこりゃ。」












「なあ、れいむ?知ってるかい?今日はこの村の中心にある大きな桜の木の下に
伝説のあまあまが現れる日なんだよ?」
「ゆ!ほんと?」
「ああ、ほんとさ。森を抜けた先の大きな杉の木の下に現れるんだ。」
「ゆー!ゆっくりできるねー!」
「ああ。そうだね。」





れいむはピョコンピョコンと森の中を跳ねている。
先程、森の中で友達のおにーさんに聞いたのだ。伝説のあまあまの話を。
れいむはさっそく友達のまりさ達に知らせようとした。
森の中に急に大きな広場が見えた。ここがいつもみんなで遊ぶ広場だ。




「むきゅん!それはうそよれいむ!」
「そうだぜれいむ!それはあやしいはなしなんだぜ?」
「そんないなかくさいはなしをしんじちゃだめよ!」
「れいむはまだこどもなのよ。じゅうななさいのゆっかりんをしんじなさい。」
「うまいはなしはないんだよねー。わかるよー。」
「ゆーん。れいむはだまされてるよ。まりさがかわりにはちみつさんをとってきてあげるから
きょうはここでゆっくりしようね。」




れいむは泣いていた。友達に責められたからではない。
友達のおにーさんを嘘つき呼ばわりされたからだ。
おにーさんはそんな人じゃないのはれいむが一番知っていた。
ずっと前に出会ったおにーさん。
れいむのおうたを「綺麗な声」だとほめてくれたおにーさん。
一緒にごはんを拾ってくれたおにーさん。
おにーさんはれいむと居るとゆっくりできると言ってくれた。



そんなおにーさんが嘘をつくはずがない。
嘘はゆっくりできないからだ。



れいむは跳ね続けた。
森を抜け、砂利道を抜け、村にたどり着いた。




「おい!ゆっくりだぞ!」
「また畑を荒らしにきたのか。帰れ!」
「石なげよーぜ石。」



他の人間さんがよくわからないことを言いながら石を投げてくる。
でもそんなことより、はやくあの桜の木に行かないと。
あまあまを持って行っておにーさんの無実を証明しないと!




「こら!またこんなとこに来て!」
「さっさとおかえり!」
「こら!近づいちゃいけません!」




何を言われようともれいむは前へ進んでいった。
体は傷つき、リボンも破りている。
だが構わず進んでいった。





村の中心にある桜の木。
去年、おかーさんに連れられてここに来たのをうっすらだが覚えている。
あの時は……確かおやさいさんでおはなみをしたはずだ。
その木の下に見覚えのある顔を見つけた。
間違えるはずもなく、おにーさんだ。
おにーさんの手には初めてみた美味しそうな物がいっぱいあった。
きっとあれが、伝説のあまあまなんだ!




「ゆ……ゆぅー!」
桜の木の下へへ勢いよく飛びこむ。
痛みなどすでになかった。
それよりもはやくおにーさんの元へ行こうとして
行こうとして







ブチ








「やっぱ駄目じゃねーか。このほら吹き。」
「せっかく冬越したばっかの饅頭で花見だと思ったのに。」
「結局一匹じゃねーか。群れなんか連れてきてないぞ。」
おにーさんと呼ばれた男の傍にいた人々から次々に文句が飛ぶ。
男は顔色を変えることもせず


「しゃーないだろ?まさかそこまで無能とは思ってなかったんだ。
来るのはわかってたけどさ。まあいいよ。これでも十分美味いし。」
もぐもぐと口に物を含みながら喋っていた。


「ってもよー」
「こまけえこたぁ気にすんな。それとも俺の酒はいらないと?」
いたずらっ子が見せる笑顔だった。



男は自分の手に持ってるものを見た。
最後の最後まで裏切られた事に気づかず、ただ訳のわからないといった表情のれいむ。
それをパクリと口にして、男は酒をあおった。






【後書き】
四月馬鹿ネタの予定だったがなんだかんだでホニャラララ

by バスケの人

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最終更新:2009年06月04日 02:39
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