ミコスリさんからのお題『汗疹』
「うっうー♪うあうあー!」
この糞を何回つけても足りないぐらい糞熱い熱帯夜。
れみりゃがうー♪うー♪唸っている。
うぜぇ。
こちとら明日の祭りの準備で忙しいというのに。
もうどうしてやろうかと考えながら作業に没頭していたら
なにやら袖をくいくい引っ張る感触が
「う゛ー!ぜなががゆ゛い゛ー!」
そういって短い手を背中へむけて思いっきりぎゅーっとしている。
しかし悲しいかな。背中へは届いていない。
背中の痒いところまで後3cm。しかしその3cmが届かない。
たぷたぷな手とあまり動かない関節ではどうやら限界のようだ。
棒でも使えよと言いたいが思いつかないらしい。
必死な形相で「うあー!ゆっぐじできないどぉー!」などと言いながら
ひたすら背中へ手を伸ばす無駄な努力をしている。こっちから見る分には実に楽しい。
最初は可愛さアピールだった「うー!」も、だんだん気合いを入れる為の叫び声に代わり始めていた。
それでも届かない。
しかし、痒みが我慢できないらしく、遂には手足をバタバタさせながら
地面に倒れて駄々をこね始めた。
「う゛ー!ざぐざー!!!ぜなががい゛でー!」
無論来るはずもない。そして俺もこいつの背中をかいてあげるほど暇でもない。
しかしそのまま放置するのもなんなので、アドバイスをしてやった。
「そのまま地面に背中擦りつければいいんじゃねーの?」
「う゛ー?うー!やってみるどぉー!」
れみりゃは意気揚揚と背中に地面を擦り始めた。
やっとこれで作業に没頭できる。
そうして作業終了。しかし自宅に帰るまでが作業である。
そうしてテクテクと自宅へ帰ろうとした時、先ほどのれみりゃの姿が見えた。
気持ちよさそうに背中をこすっている。
「うー!うあうあー!きもちいどぉー!かりしゅまだどぉー!」
ご機嫌である。しかしいいのか?大切なお嬢様の洋服が汚れを通り越してボロボロになってきている。
その上、背中の羽も削れて大変なことになってるが、あの機嫌をを損なうのもかわいそうだ。
俺はそのままれみりゃを放置して帰宅した。
「ぜな゛がい゛だい゛ー!!!ざぐや゛ー!」
最終更新:2022年01月31日 02:27