むかしむかしあるところに、まりさとありすがすんでおりました。
まりさはむれでいちばんのかりじょうずで、ありすはむれでいちばん
のきりょうよし。ふたりはむれでもひょうばんのつがいでした。
そんなふたりのところに、たびの
ゆっくりありすがやってきました。
たびの
ゆっくりがきょうのねどこをさがしているというと、ふたりは
そろってこういいました。
「「まりさとありすのおうちでゆっくりしていってね!」」
「ありがとう!
ゆっくりしていくわね!」
あいさつをすませて、さんにんはおうちのなかにはいります。
なかにはいると、よくかたずいたこぎれいなおへやがたびのありすの
めにとびこんできました。
おうちのありすはほこらしげなかおでいいました。
「どう! すごくとかいはでしょ!」
「ゆっ、そ、そうね。とってもとかいはだわっ」
たびのありすはすぐにそうかえします。しかし、どうもはぎれがわる
いのをおうちのありすはかんじました。
「ひょっとしてじぶんのほうがおうちをとかいはにできるっておもっ
てる?」
「ゆゆっ?! そんなことないわ! こんないなかすぎてはえもたか
らねぇおうちなんかくそだめよりはましってていどだとおもうなんて
そんなしつれいなことおうちにとめてもらうみのうえでくちにだせる
わけないなんておもってないわ!」
「どぼじでぞんなごどいうのー?!」
「うっかりー!(口が滑った)」
いままでいきてきたなかでもっともひどいぶじょくをうけたおうちの
ありすはおおごえでなきはじめました。たびのありすはひたいをじめ
んにこすりつけてなんどもなんどもあやまります。ちなみにまりさは
ゆーすかとねていました。
「ごめんなさい! わるぎがあったわけじゃないの! ただうっかり
おもってることがくちからでちゃっただけなの!」
「どぼじでぞんなごどいうのー?! あぎらがにあやまるぎががんじ
られないでじょー?!」
「ゆっ! ごめんなさい! ありすったらしょうじきものなの! い
なかてきなものをみるとついいっちゃうの!」
「ありずのおうぢはいながじゃないわー! ぞんなにいうならありず
がどがいはのおでほんをみせでねー?!」
とめどないなみだをあふれさせながらおうちのありすがいいます。
「ゆ、ゆぅ……」
おうちのありすのそのことばにたびのありすはこまったようなひょう
じょうをうかべます。
「その……いいの? おうちをとかいはにして」
「ずぎにずればいいじゃない! やらないっでいうならあなだのほう
がいながものだってみどめるのよ!」
「
ゆっくりりかいしたわ! ひさしぶりのとかいはびふぉーあふたー
よ!」
たびのありすはふっきれたようなすがすがしいかおでおうちのりふぉ
ーむにとりかかりました。
そして、よくあさ。
「
ゆっくりとかいはになったわ!」
「「ゆ、ゆひゃー!」」
なんということでしょう。あんなにつちくさくてせまっくるしかった
おうちが、とてもきらびやかでひろびろとしたおうちにはやがわり。
さっぷうけいきわまりなかったげんかんはきらきらしたいしやきれい
なひらひらでかざられ、ひょうさつがわりにまりさとありすがほっぺ
をあわせて
ゆっくりしてるえがほられています。
まりさとありすをくるしめていた、あのうっすらふしゅうのただよう
しょくりょうほかんこも、おそとへとつうじるくうきあなをひとつつ
くることでにおいがこもるのをふせぐだけでなく、かぜとおしがよく
なったおかげできおんがさがりものもちがよくなりました。
わらにはっぱをしきつめただけだったふたりのあいのすも、そのわら
をいっぽんいっぽんていねいにあみかさねられてすてきなべっどには
やがわり。
これにはおうちのあるじもだいまんぞくで、ただひたすらゆひゃーと
よろこびのこえをあげるだけでした。
「ゆっ! じゃあありすはもういくわね! おうちにとめてくれてり
がとう! これからはとかいはなおうちでゆっくりしていってね!」
まんぞくげなかおでそういって、たびのありすはふたりにせをむけて
ふたたびたびにでました。
しばらくしてふたりはしょうきにもどると、あのありすがいないこと
にきづきました。
「ゆぅ、まだおれいもいってないのに」
「どうやったらこんなとかいはなおうちにできるのかききたかったの
に……」
ふたりはややおちこんだようなかおでそういいますが、さんふんくら
いしたらすっかりわすれてあたらしいおうちでのせいかつをまんきつ
しはじめました。
と、そのときぴんぽーんというおとがなりひびきました。これもあの
ありすがとりつけたらいきゃくをしらせるよくわからないそうちです。
ふたりはそろっておそとにでました。そしてまんめんのえみでこうい
います。
「「ゆっくりしていってね!」」
「おぉ、やっぱり
ゆっくりの巣だった」
おそとにいたのは、
ゆっくりできないことにていひょうがあるかこう
じょのにんげんさんたちでした。
えがおのままぱーふぇくとふりーずしたふたりをみおろしながらその
にんげんさんたちはしゃべりつづけます。
「なんでこんな目立つように作ってあんだろうな」
「とりあえず袋詰めようぜ」
「他にも巣があるはずだ。探し出せ」
「ラジャー」
そのままふたりはひめいすらあげるひまもなくふくろづめにされてし
まいました。
そのころ、もうおうちがみえなくなるほどとおくまであるいていった
ありすは、ふたりのおうちがあったほうをふりむいてこういいました。
「ゆぅ、ちょうしにのっちゃったけどあのふたりのおうち、はですぎ
てれみりゃやにんげんさんにみつかったりしないかしら……
まさかね!」
こうして、まりさとありすはむれのなかまたちといっしょにいちもう
だじんにされてしまいましたとさ。
「「「「「どぼじでごんなごどにー?!」」」」」
めでたしめでたし。
おしまい
れいむ:けっかいでおうちを隠す
まりさ:まほうでおうちを隠す
ぱちぇ:まりさと同じ
ありす:とかいはコーディネートでおうちが目立つ
↑のれすをみてびびっときたのでかきましたとさ
最終更新:2022年01月31日 02:55