ゲスの制裁を眺める
「れいむ、あそこの畑から野菜を取って来い」
「ゆゆ、そんな
ゆっくり出来ない事はしたくないよ!」
れいむは頬を膨らませ、拒絶の体勢を取る。
すると男は右手に掴んだ子ゆっくりを見せつけた。
「おかーさん……」
「じゃあこのおちびちゃんは木っ端微塵の刑だな」
「ゆぐっ!?」
男が右手に力を加えると、子れいむの顔が波打ち状に歪んでいき、ゆっくりしていない苦悶の表情をあげた。
「お、おぎゃーじゃぁ、ぁ、ぁ、あ……」
「まってね、やめてね!おちびちゃんに酷い事をしないでね!」
「じゃあ……わかってるな?」
「ゆっ……ゆぅ」
ある農村の畑
れいむは男に言われた事を思い出していた。
- 畑に入ったら野菜を一口だけ齧っては次を食べる事。
- 人間が来たらおうち宣言をする事。
- 人間に対して威嚇を行い、罵倒する事。
実行すれば自分の末路はどうなるか想像だに容易い。
しかし断ったり、指示に背けばおちびちゃんはずっとゆっくりさせられるだろう。
れいむは意を決して畑に入り、野菜を齧り始めた。
「ゆっ……むーしゃむーしゃ、ふし…………しあわせー……」
味は最高、すぐにでもしあわせーと叫びたいれいむであったが、野菜を食べると言う事がどう言う事か理解しているため、しあわせにはなれない。
しかししあわせーと叫ばなければならない、そうしないと子供が潰されるから。
(ちっともしあわせーっ!じゃないよ、こんなのゆっくりできないよ……)
食べると殺されるのもそうだが、人の物を盗む事がどんなにゆっくりできないか、れいむのゆん生はそれを覚えるに十分なゆん生だった。
「そんなのゆん生の末路がこれなんだね……ゆっくりしてなかったよ」
野菜を齧りながら今までのゆん生を思い出す。
姉妹はれみりゃに襲われ、一匹も残っていない事。
一匹だけ残ったために両親の期待、可愛がりは普通のゆっくり以上で、その重圧に耐えかねた事。
「れいむはゆっくりしたいんだよ、どうしてれいむにかまうの!このくそばばあ!」あまりの過保護に耐えかね、唯一の母親を罵倒した事。
その母親に謝る前に、ゲスに襲われて、謝罪する事すら出来ずに母はずっとゆっくりしてしまった事。
「せめて……お母さんに謝りたかったよ……」
れいむの頬を一筋の涙が流れる。
野菜が美味しいからではない、ただ一言、お母さんに謝りたかった。
そんな時、れいむの背後から地響きが起こった。
「何やってやがるこの饅頭がぁぁぁぁぁ!」
「ゆゆっ!?」
畑の持ち主が鍬を振り上げて走ってきた。
その形相は何を言っても聞いてくれはしないだろう、いや聞いてくれないのは謝罪だけ、これからのれいむの発言だけはしっかりと聞こえるだろう。
怒っている人間とはそんなものだ。
「こ、ここは……れいむのゆっくりぷれいすだよぉ……ゆっ、ゆっくり、ゆっくりしな、しないで……」
「あぁん!?」
ごめんね、おちびちゃん。
お母さん、あの時は酷い事を言ってごめんなさい。
きっとれいむは罰が当ったんだね。
畑のお兄さんもごめんなさい、おやさいさんを勝手に食べてごめんなさい。
「でていってね!!」
「死ね」
れいむのゆん生は、ただの一振りによって終焉を迎えた。
畑から離れた木陰にて。
「ふぅ、やっぱりゲスの制裁なんて見てても面白くねーな」
「ゆっ、ゆっ、おきゃぁさぁぁぁぁぁぁぁぁああああん!!」
「ああ、ここにゲスの子供もいたな?」
「ゆっ!れーむもおきゃーさんも、げすなんかじゃないよ!げすはおにーさ、ゆぴッ!!」
「あーあ、手が汚れちゃったよ、勘弁してくれや……」
最終更新:2011年07月28日 03:58