ゆっくりいじめ小ネタ563 れいむ、れいむ

『あれ?お前のゆっくりどこ行ったんだ?』

『昨日の夕方から見てないわ、いきなり消えちゃったのよ』

『ふーん… ゆっくりらしいな』









午後8:00、○○市内にある薄暗い公園、その唯一の入り口に2台のバイクが停まっている。
高い位置にあるハンドル、段つきのシート、けばけばしい色合いの車体、
こんなバイクの持ち主が溜まる公園に人はまず近寄らないだろう。警察と同族以外は。
その公園の中、冷たく光る電灯の下で3人の男が何かを囲んでいる。
男が茶色の酒瓶を使ってそれを軽くつっつき、囲まれた何かが喚く。

「いたいよ! やめてね!」

「何なのコレ?きもー」

男達が公園を訪れた時、公園のど真ん中でゆっくりしていってね、と叫ぶ生き物がいた。
まん丸に近い球体の体、黒く長い髪の毛、地味な公園に映える鮮やかな赤のリボン。
まるで人の生首の様なものだが、鼻は無い。
その目つきは挑発する様に真っ直ぐ人を見つめ、口元は自信ありげに微笑んでいる。
『ゆっくり』と呼ばれる、3人の男達が今まで見た事も聞いた事も無い生き物である。
驚いた事に言葉まで喋っている。

「ゆっくりしていってね!」

とまた叫ぶが、こんな不可解な生き物と共にゆっくりする気にはあまりなれない男達。
2時間後の某所での集会もあり、公園でいつものように仲間だけとだべっていたいのだ。
よく分からんが出ていけ、と眉の無い男が言う。

「やだよ!れいむはここでゆっくりしてるよ!
れいむのゆっくりは誰にもじゃまさせないよ!ふふん!」

それを聞いて金髪の男がギャハハと笑う。
以前に自分の単車を蹴られた時と同じ、口だけが笑う笑い方だった。
彼は自分の空間に異物があるのを我慢出来ない男だった。
そして、ビールで少し酔っていた。

「いーじゃんいーじゃん、よくわかんねーけど集会までコイツで遊ぼうぜ
れーむちゃんだっけ?僕と遊びましょーね!」

そう言って立ち上がり、キッと睨みつけるゆっくり霊夢の頬に向かって、
すこしだけ手加減した蹴りを放った。
それでも尖った靴のつま先から入る、非常に危険な蹴りだった。







 『いきなり消えた?どこに?』

 『知らないわよそんなの、どうせその辺ブラついてるんでしょ』









「いたい! れいむにいいつけてやる!」

「あぁ?」

ゆっくり霊夢の頬に、痣の様な黒い傷が出来た。
攻撃されたゆっくり霊夢にとっては最早、目の前の男達は敵同然。
最高に有効な脅し文句を叫ぶ。これで退かない者はいない。

「何言ってんだコイツ、誰に言いつけるって?」

「っつーかタカちゃんさー、馬鹿でしょマジで
こんなワケの分からないのイキナリ蹴っ飛ばすとかさ」

「れいむは強いんだよ!おまえたちなんて簡単にやっつけちゃうんだよ!」

「そォ?じゃやってみろや」

ゆっくり霊夢は飽くまで退かない。強気の態度を崩さない。
自分には強い味方がいるのだから。今に自分を助けにくるのだから。
だから金髪の男を睨みつけるのを止めない。
強い意志を込めて、怖がらずに男を睨みつける。
男は、そんなゆっくり霊夢に更なる攻撃を加えんと
白いダブダブのズボンを履いた脚を振りかぶった。
吹っ飛ぶゆっくり霊夢。
男は、今度は本気だった。

「あーあ…、タカちゃん程々にね
遅刻したらまたミッチーに殴られちゃうよ」

「俺ちょっとビール買ってくるわ」

夜の公園内にドスッ、ドスッと砂袋を叩く様な音が響く。
男はそろそろ手加減を始め、白いズボンを脱ぎ始めた。
「オイオイ…」それを見て頬を引きつらせながら笑う男の仲間。
ゆっくり霊夢は力なく横たわり、薄目を開けたまま、
時折ピクッ、と震えた。もう叫ぶ事も、動く事すら出来なかった。
それでも希望は失っていなかった。
自分のヒーローは直ぐに助けに来てくれる。
ぶっきらぼうな態度がゆくりしてない奴、でも大好きな自分のヒーローが助けに来てくれる。
男はスボンを足首まで下げ、それを蹴り飛ばす様に砂場に放った。
タカちゃんと呼ばれた彼だが、彼は死んだ蝶々に
小便を引っ掛けるのが子どもの頃から好きだった。
そしてその嗜好は今でも変わっていない。

彼はゆっくり霊夢の上に、お尻を乗せる様にしてしゃがみこんだ。
仲間の一人が最寄りのコンビニに向かう為にバイクをふかせた。
彼はもう一本ビールが飲みたいな、と思った。
勘弁してよタカちゃん、と仲間の男が笑った。






『ふーん、ゆっくりらしいな』

『……』

『心配にならないのか?』

『何がよ』

『お前のゆっくりがお前に何も言わずに
どっか行くなんて今まで無かったろ?』

『……』

『探しに行こうぜ、どうせ暇だしさ』










「オラ、残ってんぞ?」

ゆっくり霊夢は男の便器になっていた。
口はを閉じられない様に酒瓶が突っ込まれ、
金髪の男の尻から出ていったものは全て口内に流し込まれた。
ベンチの上にあった新聞紙で尻を拭く男、それを見て噴く男。

「ギャハハハハ!!タカちゃんマァジパねェ!」

ゲラゲラと笑う仲間。彼が初めて、友人のこの癖を見た時は
衝撃を受けたものだが、今ではもう慣れっこである。
初め薄目を開けたまま、ゆっくり霊夢はピクリとも動かなくなっていた。
あまりに酷い現実に思考が半分停止しているのだった。
昨日まではゆっくりお煎餅を食べていたのに、ゆっくりしていたのに。
またゆっくりしたいよ、助けて。

そう思ったところで、ゆっくり霊夢はまた吹っ飛んだ。
男は気が済んだと言わんばかりに、ゆっくり霊夢を蹴り飛ばしたのだ。
口の中に入りっぱなしだった酒瓶は破裂し、歯は砕け散り、
ガラス片はゆっくり霊夢の口内を滅茶苦茶にしてしまった。

4m程も吹っ飛び、ブランコの近くで朦朧とするゆっくり霊夢。
ゆっくり助けて、れいむはゆっくりしたいよ、またれいむとゆっくりしたいよ
朝起きて、ねぼすけなれいむを起こして、怒られて、でも一緒にご飯を食べて、
お膝の上でゆっくりお昼寝して、れいむのお友達とまりさと遊んで、
一緒においかけっこして、れいむが迎えに来て、夜は一緒のお布団で眠って、
れいむがれいむのお布団をとっていって、取り返そうとしたら怒られて、
れいむ、れいむ、れいむ、助けて









『どうする?行くか?』

『大丈夫よ、危ないところは教えてあるし
どうせそのうちひょっこり出てくるわ』

『そうか』

『そうよ、だって癪じゃない
あいつを心配して探しまわったなんて知られたら』

『あいつすぐ調子にのるし、むかつくニヤニヤ笑いする…
ちょっとなに笑ってんのよ』









「れーむちゃん動かなくなっちゃったね…死んじゃった?」

「タカちゃんのウンコ臭過ぎたんじゃね?
ヨシキ帰ってきたし、もう行こうよ」

「おぉ、最後に生きてるかどうか確かめようぜ
ヨシキ、お前ジッポのオイル持ってるだろ?アレ貸せ」

「オオ、いいね!花火だよ!夏だね!」





      おわり。


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最終更新:2011年07月29日 18:16
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