突然、目の前の壁が削り取られた。一切の音もなく、一切の気配もなく、一切の前触れもなく、壁に丸い穴が開いたのだ。その不可思議な現象を敵のスタンド攻撃と判断した
空条承太郎は、すぐさまその場から逃げるかのように飛び出した。そしてその判断の正しさを証明するかのように承太郎が立っていた床に再び穴が開き、それに続き周りにあった机や椅子、黒板をも次々と削り取られていった。僅か一瞬の間で、学校の教室は随分と空虚なものになってしまった。もうそこには平日の学校の授業を思い起こさせる余地はない。その圧倒的な破壊力に承太郎はズれた帽子を直すのも忘れて、一筋の冷や汗を流した。
「
DIO様に刃向かおうとする思い上がった考えは正さねばならん。空条承太郎、キサマは必ずこの
ヴァニラ・アイスが殺し、その死体をDIO様に捧げると約束しよう」
空中のある一点からいきなり人の上半身が現れて、悠然とそんなことを告げてきた。その男は癖のある長髪を垂らし、精悍な顔つきをしている。一見して、紳士のような落ち着きさえ感じた。だが何よりも目を引くのは、そのその瞳だった。承太郎を見ているようで、見ていない。その視線はもっと闇の奥深くを見つめるようなドス黒い目。宿敵であるDIOよりも、なお暗澹たる双眸に承太郎は思わず深い溜息をもらした。
「やれやれ……まだDIOの手下が残っていたとはな。だが、今はてめーに構っている暇はないんでな……さっさとブチのめさせてもらうから、覚悟しな」
「図に乗るなよッ! 虫けらがッ!」
ヴァニラ・アイスはすぐさま承太郎に怒りの鉄槌を下さんと、自らのスタンド――クリームの作り出す暗黒空間に身を沈めようとした。その空間にひとたび入り込めば、如何な攻撃も受け付けず、それに触れるものはヴァニラ・アイス以外全てが粉微塵となって消え去ってしまう恐るべき力だ。まさにそれは無敵の能力と言っていい。だが、彼が暗黒空間に全ての身を隠そうとするその瞬間――
時は止まった。
「スタープラチナ。時は止めさせてもらった。悪いが、手っ取り早く終わりにさせてもらうぜ」
時が止まり全てが静止した世界を、何事もないように動き回る承太郎は、ヴァニラ・アイスの首根っこを掴むと、そのまま暗黒空間から引きずり出した。そしておもむろに目の前に彼の姿を持ってくると、大きく息を吸い込み、自らのスタンドを一切の容赦もなく動かした。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラッッオラーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!!!」
怒涛のラッシュ。承太郎のスタンドであるスタープラチナは、数あるスタンドの中でもその力はトップクラス。その一撃一撃はコンクリート塀を容易く打ち砕く威力だ。そしてその破壊の権化が、ヴァニラ・アイスに吸い込まれるように余すところなく全て命中した。
「時は動き出す」
その言葉の終わりと同時にヴァニラ・アイスは全身から血を振り撒きながら、吹き飛んでいった。大砲のようなスタープラチナの拳を数えるのも馬鹿らしいくらいに受けたヴァニラ・アイスの衝撃は、勿論それだけ終わるはずもない。教室を隔てる壁にぶつかり、それでも止まることなく壁をぶち破り、更にその奥の教室の壁に転がりながらのめり込み、そこでようやくヴァニラ・アイスは停止した。リタイアは確実の攻撃とその惨状。承太郎はヴァニラ・アイスの無残な姿を見届けると、その場を後にしようとした。だが、その承太郎の足はただ数歩進んだところで止まることになってしまった。
「これは……まさかDIO様と……同じ……能力……?」
後ろからヴァニラ・アイスの声が聞こえてきたのだ。下手したら、年単位での病院生活が必要になってくるほどのダメージを受けて、普通の人間なら喋れるはずもない。もし口を動かせるとしたら、それは人間以外の何か。そう、それは例えばDIOのような吸血鬼。その考えに思い至った承太郎は、すぐさまスタープラチナで床を思い切り蹴り上げて、ヴァニラ・アイスの方に弾丸のようなスピードで向かっていった。
「スターフィンガァーーーーッ!!」
スタープラチナの指が伸び、ヴァニラ・アイスの首を切り裂かんと迫る。だが、今回はヴァニラ・アイスの方が早かった。僅かに首に傷を残すのみで、暗黒空間に身を潜めることに成功したのだ。そしてそれは同時に彼の反撃の時間をも意味する。それを悟った承太郎はヴァニラ・アイスの攻撃を避けるべく、素早く横に転がった。
「野郎……4万円もする学ランを」
承太郎は自分の姿を省みて、思わず愚痴をこぼした。避ける際に僅かにその場に留まってしまった承太郎の学ランの裾が、キレイに削り取られてしまったのだ。お気に入りの服を台無しにされたその怒りを早速ヴァニラ・アイスにぶつけてやろう。そう思った承太郎だが、周りの状況を見てすぐにそれを諦めた。ヴァニラ・アイスは姿を現さず、やたらめったら周囲のものを削り取っているのだ。幾ら力を誇れる承太郎のスタープラチナであれど、さすがに暗黒空間に入ったヴァニラ・アイスを殴る勇気は持てない。なので、承太郎は大人しく逃げることを選択した。
「オラァーーーッ!!」
承太郎は窓ガラスをスタンドでぶち破り、すぐにそこから校庭へ飛び降りた。振り返ってみれば、学校の校舎は既に穴だらけ。崩壊の予兆を思わせる音が、そこかしこから聞こえてくる。その圧倒的な破壊力に改めて恐ろしいスタンドだと思い知らされる。だが恐ろしくはあるが、このまま逃げることは可能だと承太郎は判断した。自分の方へ向かわずに無作為な軌道を辿ったことから、あの状態では目が見えないことが容易に見て取れた。また時を止める能力に感ずいてたことからも、簡単には本体の姿を現すこともない。以上のことから、逃げることはできる。だが、それでは何の解決にもならないことを承太郎は知っている。
「やれやれ、学校ってーのは前から気に食わない場所だったから、どうなろうと知ったこっちゃねーが……さすがにアイツをあのままにしとくってわけにはいかねーか」
ひょっとしたらDIOよりも凶悪かもしれない敵のスタンドを思い浮かべて、承太郎は再び深い溜息をもらした。
【一日目 深夜】
【現在地 D-5 学校】
【空条承太郎@ジョジョの奇妙な冒険】
【状態】健康、
【装備】裾が削り取られた学ラン
【道具】武器支給品、ランダム支給品、支給品一式
【思考】
基本 DIOとバーンをぶちのめす
1. ヴァニラ・アイスをぶちのめしたいが……
2. ジョセフのじじいとポルナレフを探す
【ヴァニラ・アイス@ジョジョの奇妙な冒険】
【状態】全身複雑骨折(回復中)
【装備】なし
【道具】武器支給品、ランダム支給品、支給品一式
【思考】
基本 DIO様にはむかう者は皆殺し
1. 空条承太郎を殺す
2. ジョースター一行を皆殺し
【備考】
※スタープラチナの時を止める能力に気がつきました
最終更新:2012年04月13日 00:43