軍事
この時代においては国の在り方が変化しているため、従来の軍隊という形式は薄れています。
都市国家群における軍は規模も小さく警察と区別がつきにくくなっており、都市外の活動は民間警備会社に委託することも多くなっています。
多数の民間警備会社が存在しており、その規模も個人の探偵や警備員クラスから、装甲車両や航空機を所有するほとんど従来の軍隊に近い装備を持つものまで幅広くなっています。
民間警備会社が乱立した原因としては、都市運営が企業に渡るケースが多かったことと、人型の自動機械や自動人形が普及し、訓練コストが削減できたことなどが挙げられます。しかし、最も大きな理由としては都市外に発生した汚染生物の駆除という都市内の人間がわざわざ危険を犯してまでもしたくない仕事が有り余るほどにあったからです。また、報酬も比較的高額だったためでもあります。
そのため、小規模な一発中てたい新興警備会社が犠牲になり、他の警備会社の仕事を増やすという事態も起こっています。
航空戦力
人工知能による自律化で最も恩恵を受けたグループであると言えます。
しかし、この時代においても無人化はあくまで人を航空機から降ろしただけのものと大して変わりなく、在り方を根本から変えるには至っていません。
ただ単純に飛行するだけであるなら、現代のわたしたちからは想像のつかない機体形状や空中動作も可能ですが、通常、機能として求められるのは〝飛行〟だけではありません。そういった制約から見慣れた形に落ち着いているとも言えます。もっとも、いくら性能が良くともあまりにも奇妙な形状は現場から忌避されるだろうことは想像に難くありません。
まとまった空軍を持たない代わりに、多くの都市は警戒網や対空設備を整備しており、無人機もその一つとして数は決して多くはないものの要撃機として配備されるケースも増えています。また航空専門の民間警備会社にアグレッサー業務や一部では要撃任務を委託していることもあります。
海上戦力
この時代において海軍的な組織だった戦闘集団は限られた勢力しか保有できていません。
海賊の重武装化が問題になってはいますが、少数ながら戦闘艦を保有し船団護衛を専門にする警備会社もいることや、沿岸部の都市は沿岸警備用の艦艇や航空機を保有・運用しているため、海賊が全くの野放しという状況は避けられています。
また、およそほとんどの艦艇は現代のものよりもその装備はより高性能化しているほか、かつての戦艦クラスのような強力な火力投射能力と防御性能を持つ大型艦の復活の兆しが見えています。
他の分野と同様に無人化・自動化が進められていたこともありましたが、自動化による装備の大型化と増えた重量、それによって削減できた人員が釣り合っておらず、無人化・自動化は時期尚早と判断され開発はさほど積極的ではありません。
完全な無人化が困難である以上、無人化や自動化に多くのコストを割くよりも装備の高性能化と軽量化、確実性を図ったり、乗員の育成や福利厚生を充実させる方が効果的だからです。
艦艇に搭載する偵察・攻撃用の航空機の無人化には比較的積極的ですが、海難救助などを行うことが多い部門ではあまり無人化には積極的ではありません。
とくにまとまった空軍、海軍に相当する戦闘集団を保有しているのは、鉄血連合やNCS、ラストリゾートなどごく限られています。
陸上
現代の私たちの知るような形から大きな変化はありませんが、ただいくつかの目立つ変化があるとするなら、無人化が進んでいたり、多脚の装甲兵器や人型のいわゆるロボット兵器がある程度普及している点です。
軽量かつ硬い新しい装甲素材が開発されたことで機体デザインの自由度は高まりましたが、いくら防御力に優れた新素材だとしても単体で装甲材化した場合、広く砲に用いられているAPFSDSには弾体の侵徹原理上無力です。そのため戦車などの装甲車両に用いられる装甲は従来と設計上の考え方は大きく変わっていません。一部では非接触型の電磁シールドが限定的ながら実用化されているようです。
戦車砲に関しては、技術的にレールガンを搭載することも可能ですが、信頼性の面から従来のような装薬を用いた方式がほとんどです。レールガンにすることで同じ重さでより多くの弾を搭載できるとされていますが、それは弾薬だけを見た場合で、システム全体を見ればむしろレールガンの方が大掛かりになってしまいます。
人型の装甲兵器の特徴は、その機動性とモジュール化されたシステムです。
防御力は戦車に比べると低く、特に関節部や武器ユニットの弾倉などは露出した弱点でもあります。しかし防御力が低めと言っても、装甲戦力の中ではというだけで、歩兵にとっては大きな脅威で対処は困難です。正面や背面の防御は比較的弱い部類に入りますが、側面などに関しては腕などのパーツが被弾箇所によってはダメージを肩代わりする結果となり却って生存性が上がっているとも言える部分が存在します。
構成によっては、極めて高い防御能力や航空機に匹敵する飛行能力、主力戦車や航空機を一方的に撃破できる攻撃力を得られます。
(物語内の時代では)一時期、ブレードや杭を装備した近接機がトレンドになったこともあります。
多脚兵器の特徴は、走破性能の高さと射撃姿勢の柔軟さにあります。戦車に比べ、高い位置で武装を使用できます。この背の高さは優位性でもあり大きな弱点でもあります。
また、射撃姿勢の柔軟さを得られる代わりに反動制御の難度も増してしまい、搭載できる兵器に制約が生まれてしまっています。もちろん、目に見える利点である姿勢の柔軟さを捨ててあくまで自走できる砲としての性能を追求したものも多く存在します。
足が機能喪失した際の生存性の低さから、基本的に輸送や後方警備、限定的な即応展開的な運用が中心になっています。
歩兵
歩兵の武器弾薬は、現代のものと大きく変化はしていません。
実用的な樹脂製薬莢が開発され重量問題も多少は改善されましたが、未だ金属薬莢を用いた従来型の弾薬が優勢です。弾薬の寸法などの規格はほとんど現代のものと同等ですが、弾頭や装薬は改良されており現代のものと比べ高威力化しています。そのため、物語内の時代において戦前(つまりは現代)の銃の多くは新しい弾薬は使えません、しかし弾薬のサイズは同じものもあるため、古い銃器で新しい弾薬を使用し負傷するという事故も起こっています。
ケースレス弾薬も実用に耐え得るものが開発されていますが、その多くは車載や固定の機関銃用途や特殊な用途に用いられるに留まっています。
歩兵用のライフルにケースレス弾薬を用いることも検討されましたが、弾薬の重量削減に対して銃本体、特に機関部の重量増加と複雑化が釣り合っていないと判断され大きな潮流にはなりませんでした。
また特に携行できるサイズの武器において、ケースレス弾薬特有の放熱問題は物語の時代においても完全には解決に至っていません。
自動機械や自動人形
人型機械や自動人形などの自律あるいは遠隔操作型の機械が普及しても、人間の人員をすべて置き換えることにはなっていません。
自律、遠隔操作問わず機械のみで構成されたグループも存在しますが、それはこの時代においても稀なケースです。
最も多い人型機械運用方法は、人間よりも重武装を施したり運搬など人間の補助、あるいは人間の盾とする方法です。
特に自己メンテナンスのできない人型機械がその性能を発揮できるのは局地的・短期的な作戦かつ補給が可能な状況に限られています。
自動人形は比較的積極的に軍や警察系の組織や民間警備会社に採用されています。
軍事用モデルがメーカーから販売されているものの、専用モデルに比べれば安価な民間の汎用モデルに必要なソフトウェアを導入し、編成に組み込むことが非常に多くなっています。
民生用と言っても、肉体労働などにも用いられるため、余分な仕様が付いていない限りは十分な運動性能と耐久性があります。
また、あえてスペックを人間と同程度にすることで、装備や運用を人間と統一でき、無用の混乱をさけるという意図も少なからず介在します。
これは戦争と災害によって減少した人的資源を自動人形によって埋めようとした、という過去からきており、この時代において人の足りない枠は自動人形で埋めるというのはありふれた考え方でもあります。
企業
- E&W
- Ernst&Wegener(エルンスト・ウント・ヴェーゲナー)総合的な銃器メーカー。
- Harper Defense Arm Tech
- ハーパーディフェンス社。銃器だけでなくミリタリー、セキュリティ、ハンティングなど様々な分野の装備の開発、製造、販売を行なっている。
- EMT
- Ellis Machine&Tool。銃器だけでなく工業機械、アウトドアや狩猟用品も扱っている。また高品質な弾薬メーカーでもある。
- SHM ARMS
- SHMはSteiner、Herrmann、Mullerの頭の一字からつけられたもの。SHMARMSはSHMグループの武器関連部門。比較的安価で高性能な照準器メーカーとしても有名。
- Seidel&Thon
- ザイデル&トーン社。銃器の設計、開発、製造を行なっている。銃器以外ではサプレッサーは特に有名。
- LH Manufacture
- 軍、警察向けの高品質で信頼性の高い製品を作ることに定評のある銃器会社。銃器や関連製品の開発・製造をメインに活動している。弾薬メーカーとしても有名。
- FWRC
- Future Warfare Resources Corporation。銃器メーカー。PMCや警察などに向けた高品質高級品なども多く手がけている。
- Carnap Precision
- 拳銃を主力製品とするメーカー。銃器の他にアウトドアや狩猟用品も質が高く評判が良い。
- MAKISE
- 銃器を始めとした様々な工業製品のメーカー。子会社に高品質な光学機器メーカーがある。
- TreLancia
- 幅広い銃器を手がける総合的なメーカー。
- SHDProdukt
- MoonLake Tech社
- ブルパップスタイルのライフルが主力商品。
- LeafRiver Tactical
- アサルトライフルとして売り込んだライフルのセールスはいまいち振るっていないが、マークスマンライフルやDMR向けのパーツは高品質かつ比較的安価として一定の評価を得ている。
- Beresford Armory
- Löwlein
- Bringer Technologies
- Storch Logistik
- Ehrlich
- 化学製薬関連企業。
- ZMI Systems
- Zion Military Industries Systems
- ZWI
- Zion Weapon Industries
- ID Robotics
- Freedlich Equipment
- SEALED A/Z TEK.LABによるアパレル、装備品ブランド。
この世界における狩猟用銃は単にそのままの意味で狩猟用途という以外に規制逃れの一面もあります。
最終更新:2019年08月26日 14:57