イオ


  • オウィディウス『変身物語』巻一によれば、
   ユピテルに見初められて契るも、ユノーへの発覚を恐れて雌牛に変えられる。
   その後、ユノーが遣わした百の目を持つアルゴスに見張られるも、
   ユピテルの遣わしたメルクリウスがアルゴスを殺害、最終的に元の姿に戻り、
   エジプトで尊い女神として崇拝されるようになった、と記されている。

  • エジプトの女神イシスと同一視されており、上記『変身物語』の記述はその事を指しているとされる。
   同書の巻九、テレトゥーサの元にイオが現れた際には、
   アヌビスブバスティスアピスハルポクラテス、そしてオシリス
   従えて登場している。

  • アポロドーロス『ギリシア神話』によれば、イオはナイル川の河辺で息子のエパポスを産んだが、
   ヘラの差し金によってその子がどこかに隠されてしまい、イオはシリア中を歩き回って息子を見つけ出し、
   後にエジプト王テレゴノスと結婚したという。
   イオはエジプトにデメテルの像を建て、エジプト人はデメテルを、またイオをもイシスと呼んだという。


   牛に変えられたイオがこの海峡を渡渉したという伝説があるという。


  • ヘロドトス『歴史』巻一では、ペルシアの学者の説として、フェニキア人が交易品を持ってアルゴスへ来た際、
   品物を見に来た女たちの中にいたイオと他数名をこっそりと連れ去ってしまい、エジプトに連れ去ったとする。
   (また、この報復としてギリシア人がフェニキアのテュロスから王の娘エウロペを連れ去り、
    さらにその報復としてアレクサンドロス(パリス)ヘレネを奪い取ったのがトロイア戦争
    遠因であると記述している。)

  • また同じくヘロドトスによれば、フェニキア人の側では、イオはアルゴスにてフェニキア人の船長と関係を結んでおり、
   結果妊娠してしまった事を恥じて自らフェニキア人の船に乗船し出奔したのだとしているのだとか。



      参考文献
『歴史(上)』ヘロドトス
『変身物語(上)』オウィディウス
『変身物語(下)』オウィディウス
『ギリシア神話』アポロドーロス
『プリニウスの博物誌 Ⅰ』


最終更新:2016年03月03日 03:20