アルゴス平野の東側にヘラの聖域があり、これに対して平野の西側にポリスの中心市が存在した。
そして祭礼の際には、ヘラの聖域から中心市までパレードが催されていたとか。
一段低い土地に新しい神殿が建設された事が判明している。
- アルゴスの、ヘラの主神殿ヘライオンに関しては、次のような伝説が知られている。
クレオビスとビトンという兄弟がいて、女神官だった母を載せた牛車で祝祭の場に向かうはずだったが、
牛車を引く牛の到着が遅れた。そのため、クレオビスとビトンが牛の代わりに牛車を曳いて
母親を時間通りに社に送り届けた。母親がふたりの孝行息子にふさわしい褒美を与えるようヘラに祈ると、
兄弟たちはたちどころに永遠の眠りに落ちた、という。
クセルクセスはこれを信じていたので、
ペルシア戦争における
ギリシャ遠征の際に
アルゴスに使者を出し、父祖の地にあたるアルゴスを攻撃する意思はないのでそちらもギリシャ側に加担せぬよう
求めたという。そのためアルゴス側は
スパルタからの援助要請に対し、全軍の統帥権という
無理難題をわざと求めて断る口実にした、とする。
(敵対する
スパルタからの潜在的圧力に晒され、いつ屈してもおかしくないという
地政学的な理由もあったであろうとの話)
アイスキュロスは『アガメムノン』の中で、その居城をアルゴスに移している。
- プリニウス『博物誌』第七巻に、井戸の発明はエジプトから「水無しアルゴス」へやってきた
ダナオスであった、という逸話が載る。つまり、その説によればアルゴスは世界(ギリシャ)で最初に
井戸が作られた土地だったことに。
参考文献
『図説ギリシア』周藤芳幸
『古代ギリシア 11の都市が語る歴史』ポール・カートリッジ
『歴史(中)』ヘロドトス
『歴史(下)』ヘロドトス
『プリニウスの博物誌 Ⅱ』
最終更新:2016年03月22日 02:59