ヒッポリュトス



  • テセウスの後妻、ヒッポリュトスにとっては継母にあたるパイドラに恋心を抱かれ言い寄られ、
   これをはねつけた事からやがて破滅する、という筋の伝説があったらしく、
   後にエウリピデスの悲劇『ヒッポリュトス』、ソポクレス『パイドラ』などに描かれている。

  • ヒッポリュトスとパイドラの伝説は、テセウスの父アイゲウスが王をつとめたアテネと、
   テセウスの母アイトナの出身地であるトロイゼンとの双方に残っていた事が知られており、
   アテネでは、エウリピデス『ヒッポリュトス』劇中でパイドラがアテネ滞在時代に作ったとされる
   アプロディテの神殿が実際にかつて存在し、その近くにヒッポリュトスの塚があった事が知られる。
    (ただし、その後ローマ時代に音楽堂が建ったため、現在は痕跡も残っていない)。
   またトロイゼンにはヒッポリュトスを祀る社があり、終身職の神官がこれを維持して毎年犠牲を捧げ、
   さらに町の娘たちは嫁ぐ日を前に自身の髪の毛を切ってこの社に供える風習があった、と
   パウサニアス『ギリシア案内記』にあるとか。


  • エウリピデス『ヒッポリュトス』では、ヒッポリュトスは敬虔な性格で、アルテミスの狩りの供を
   していた旨の記述がある。

   さらにアルテミス(ディアーナ)によってニンフの元に隠され、ウィルビウスと名を変えたという。
(ただし、ウェルギリウス『アエネイス』第七巻では、ウィルビウスはヒッポリュトスの息子であるとされている)


      参考文献

『ヒッポリュトス』エウリピデス
『アエネーイス(上)』ウェルギリウス


最終更新:2016年01月28日 05:26