- 日本での古名をクイ、クグイともいう。一説にクチナワ(蛇)を好んで食う習性からついたとか。
上代の発音では「ククヒ」。鳴き声からついた名という説もある。
- アリストテレス『動物誌』に、ハクチョウは死期が近づくと最も美しく歌うという俗信を載せる。
転じて後世、芸術家の遺作を「白鳥の歌swan song」というようになった。
死の間際に一際美しく歌うのはそのみもとへ向かうことを喜んでいるためで、
決してその死を嘆くからではないと言及している。
- 一方、プリニウスは『博物誌』第十巻で、この白鳥の歌に関して
「わたしのいくつかの経験を頼りとする判断によればそれは作り話だ」と否定している。
- ギリシア神話では、ゼウスがレダの元へハクチョウの姿で通って交わり、
- ほぼ全世界に分布する昔話、白鳥処女の話が有名。 →白鳥処女説話
- 日本では、ヤマトタケルの霊が「八尋白智鳥(やひろしろちどり)」となった話が有名。
初めて口をきいたという記事がある。
これにより、出雲国では国造新任の際は、この鳥を生きたまま朝廷に献じる儀式が生まれたと云々。
同地方では白鳥の羽に触れただけでも手が赤いミミズ腫れになると信じられている。
また『吾妻鏡』には、
前九年の役で
源頼義に抵抗した東北安倍氏の英雄、
白鳥八郎(
安倍宗任(むねとう)またはその弟
安倍則任(のりとう)とされる)が
奮戦むなしく奸計にかかって敗れた際、その残党が東北の寒村に隠棲し、
祟り神として白鳥明神を信仰したという話が載る。
参考文献
『世界大博物図鑑 鳥類』荒俣宏
『変身物語(下)』オウィディウス
『パイドン』プラトン
『プリニウスの博物誌 Ⅱ』
『新編日本古典文学全集 神楽歌・
催馬楽・梁塵秘抄・閑吟集』
最終更新:2016年05月17日 23:54