当時は
テミスが神託を与えていたが、神託を守護する蛇
ピュトンにより地の裂け目に
近づくのを遮った際にこれをアポロンが退治し、以降デルポイの神託を我が物としたという。
- また、ティテュオスが情欲に駆られてレトに迫った際、母に請われてティテュオスを射倒したのも
アポロンであるという。
- 『イーリアス』などでは、「銀の弓持つアポロン」などと表記される。
アポロンの銀の弓で放たれた矢に当たった者は疫病に倒れるとされ、
『イーリアス』第一歌では祭司クリュセイスが
アガメムノンに辱めを受けた事からアポロンに祈り、
その結果アポロンの矢に射られてアカイア勢(ギリシャ軍)に疫病によるおびただしい死者が出たとする。
- また、男性が急死した場合、特に安らかに息を引き取った場合にも「アポロンの矢に撃たれた」という言い回しを使う。
「この桜材の投げ槍にかけて誓おう」と述べるセリフがあり、
サクラ材で作った槍を持っていると見られていた様子。
- アポロンに冠される尊称のひとつに「イエー・パイアーンの君」というのがあり、
これはアポロンを称える合唱詩の中で病や災難を除去してもらった感謝の言葉として、
あるいは
ピュティア競技に際して歌われる「パイアーン」という歌の中に
「イエー、イエー、パイアーン」という囃子言葉があり、これがそのまま尊称になったものだという。
また「パイアーン」は「癒す者」の意味。
- 『ホメロス風讃歌』所収「アポロン讃歌」に、アポロンがクノッソスから来た船に乗り込み、
その乗員を
デルポイの神官にしたいきさつを載せる。
またその際、アポロンは
イルカ(デルピス)の姿で船に乗り込んでおり、
これにちなんでアポロン自身を「デルピニオス」の名で祈るように、またその祭壇は「デルペイオス」と
呼ばれるだろうとアポロン自身が述べており、この讃歌中にデルポイと言う地名自体は出て来ないものの、
事実上デルポイという地名の起源説話となっているように読める。
- また、実際クレタ島には「デルピニオス・アポロン」の崇拝が存在しており、また
イルカの姿を刻んだ彫刻も発見されているとのこと。
- ローマ神話においては、太陽神として現れ、まばゆい光を放つ冠をかぶり、天の道を馬車に乗って移動するとされる。
その馬車は鍛冶神
ウルカヌスから贈られたものであると『変身物語』にある。
(ギリシャ神話では、太陽神は
ヘリオスであって、アポロンではない)
- オウィディウス『変身物語』巻一に、洪水後の泥から生まれたピュトンを弓矢を以て退治し、
その事を
クピード相手に自慢したところ、クピードに恋の矢を射られて
ダプネに焦がれて追いまわし、
ダプネがその結果
月桂樹へと変身する、という話が載る。
以降、アポロンは必ずその黒髪に月桂樹の冠をかぶるようになったとか。
- また『変身物語』では、アポロンの屋敷に「日」「月」「年」「世紀」、それに等しく並んだ「時」、
さらに「春」「夏」「秋」「冬」などの女神たちが共にいる様子を描いている。
(zsphereコメント:つまり、時間や暦を太陽神が統括している形になっているという事、だろう)
- なお、古代ギリシャにおけるアポロンの聖鳥はカラスとされる。
- プリニウス『博物誌』第十二巻に、プリニウスの時代になっても人々がアポロンに月桂樹の木を捧げている、とある。
参考文献
『イリアス(上)』ホメロス
『イリアス(下)』ホメロス
『四つのギリシャ神話』
『変身物語(上)』オウィディウス
『ギリシア神話』アポロドーロス
『歴史(中)』ヘロドトス
『プリニウスの博物誌 Ⅲ』
最終更新:2016年06月04日 03:09