ホロウナイトのストーリー
ここでは、難解な作品「ホロウナイト」のストーリーを簡潔に説明する。
- 第一に、この記事でストーリーを学ぶよりも、「ホロウナイト ストーリー」で検索し、一番上に来るNote( HOLLOW KNIGHT考察きじ(あごぶろぐ)) を参照するのが一番良い。ゲーム内のセリフなどを引用してわかりやすく、深い考察が行われている。
- 次に、ホロウナイトは断片的な情報を少しずつ集めてストーリーを推察するのが一つの楽しみでもある。決して解釈は1つではなく、語られていない部分も多い。そのため、ここに記載する考察は断定的な物ではない。
- 最後になるが、ホロウナイトのエンディングに言及する部分もある。ネタバレには要注意である。
時代
ホロウナイトはプレイヤーが探検をする「現代」と、かつてハロウネストが栄えた「過去」と、ハロウネスト建国前の「原始」に分けられる。現代、過去、原始の呼び方は簡単のためここで導入したオリジナルであることに注意。
原始の時代
- 原始の時代はラディアンスの支配する世界であった。このことは先見者(夢見の釘を強化してくれる蛾)が明言している。おそらく夢見の釘を使う蛾の一族は原始の時代からハロウネストに住んでいたと思われる。
- ラディアンスに関しては各地のムシの言葉や石碑などで「光」として表現されている。
- ラディアンスはハロウネストとムシたちの命を創造した。
過去の時代
- そんなラディアンスの治世も終わりを迎え、”もう一つの光”である王ウィルムが現れる。
- 王ウィルムは石碑などで「蒼白なるもの」と表現されることが多い。
- 王ウィルムは当初巨大なムシであったが死(脱皮)を繰り返すことで他のムシと同じサイズになった。
- 王ウィルムはムシたちに精神を与えた。自らの意志を持ってムシが行動するようになったのはウィルムの「光」の影響である。
- 精神を得たムシたちは文明を築き上げ、王の下でハロウネストを建国した。
- 一方で文明化には否定的な一族もおり、緑の道の石碑で当時のムシたちの抵抗を垣間見ることができる。
- カマキリの一族はハロウネストと敵対関係だったが、獣の道のクモに対抗するべく同盟関係を結んでいる。
- 王ウィルムの発する光に魅了されたムシたちはハロウネストの起源を主張し、ラディアンスは忘れ去られていった。
- ところで、栄華を極めたハロウネストであったが、王ウィルムは来たるべき滅亡を見据えていた。
- その滅亡を回避するために王ウィルムと教師モノモンが目を付けたのは忘れ去られた神ラディアンスだった。
- だが、試みは失敗する。ラディアンスの光に触れたものは永遠を手に入れて精神を失ってしまう。
- それだけでなく、王ウィルムによって忘れ去られ、しかも利用されたラディアンスは怒った。ラディアンスは人々の夢に語りかけ、精神を汚染し、王国を滅亡させようと行動を始めた。
- この精神汚染は伝染し、作中で敵が発するオレンジの液体が汚染の証である。
- 夢見の戦士たちは夢を介してラディアンスに汚染され、あるものは王に楯突いた。
- こうしてハロウネストはラディアンスの怒りによって危機を迎える。
- こうした状況を王ウィルムは黙ってみていたわけではない。何とか対策しようと王ウィルムとソウルの師(死亡直前にダイブ攻撃してくるボス)がそれぞれ「影」と「ソウル」の研究を介してラディアンスの封印を画策する。
- しかし、ソウルの師はソウルの力に溺れ、王ウィルムに見放されていく。ソウルの師が暴走した理由は明言されていないが、ソウルの力が比較的ラディアンスに近いものだった可能性がある。
- 王ウィルムはソウルの研究をあきらめ、アビスで影の研究を続ける。この際におびただしい数のムシたちが失われ、数々の器が設計された。
- そして完成した器に影を閉じ込めてラディアンスの封印に動き出す、この時選ばれた器が純粋なる器ことホロウナイトである。
- アビス最深部のイベントで王ウィルムについていった器が、後にホロウナイトとなる器である。
- ホロウナイトはラディアンスをその身に封じ込め、さらにホロウナイトそのものを夢見の守護者3人で封印した。
- だが、封印前に王ウィルムはホロウナイトに愛着を持ち、またホロウナイト自身も成長し、成熟した精神を持ってしまった。ラディアンスはこの精神に干渉し続け、封印が弱まることとなった。そもそも1体分の影でラディアンスを封印することは無謀だったのである。
- この封印が失敗することを見抜いていたのは夢見の守護者の1人である教師モノモンだった。事実、クィレルはモノモンの封印の解除を使命としていた。
- だが、封印前に王ウィルムはホロウナイトに愛着を持ち、またホロウナイト自身も成長し、成熟した精神を持ってしまった。ラディアンスはこの精神に干渉し続け、封印が弱まることとなった。そもそも1体分の影でラディアンスを封印することは無謀だったのである。
- 王ウィルムもまた、ラディアンスの封印が破れることを予見しており、王宮を夢の世界に隠して白い宮殿とした。
- 王ウィルムは突如姿を消し、ハロウネストは滅亡した。
現代の時代
- かつてのハロウネストは失われ、統治するものはなく、弱まりつつあるラディアンスの封印から汚染が始まっていた。
- 主人公は王の道で目覚め、ラディアンスを完全に亡き者にするべくハロウネストを探索する。
- ハロウネストの住人達は大半が汚染されている。スライも夢(ラディアンス)に汚染されつつあったところを主人公に救われた。
- カマキリの一族は強い精神によって汚染を免れていたが、あるカマキリが汚染によって造反者となる。カマキリの王の玉座は3つだが、右側に壊された4つ目の玉座が確認できる。
- 主人公は探索を続けて力を蓄え、王の印を得る。
- さらに主人公は白い宮殿の王ウィルムの亡骸と白いレディから白い破片を手に入れて王の魂を得、アビスで虚無(影)と結合することで虚無の心を得る。
- 虚無の心で影と結合するようになった主人公は影を従えてホロウナイトの夢を汚染する、ラディアンスを消滅させる。
- 主人公とアビスの影は消滅し、主人公の割れた仮面だけが残った。
主人公の正体
謎である。
- 謎ではあるが、正体を仄めかす断片が各地にある。
王の行方
- まず、主人公の正体に触れる前に、王ウィルムの行方について考察する。
- 王ウィルムは姿を消した後、白い宮殿内の玉座に朽ち果てた姿で鎮座している、この王ウィルムの死体に夢見の釘を当てると「大きすぎる代償はない…」と話す。
- 夢見の釘が反応することから、この死体は脱皮の殻などではなく本物の死体であると考察できる。
- つまり、王ウィルムは白い宮殿内で朽ち果てたのだ。
- しかし、ただ朽ちただけではない。王ウィルムは魂を二つに分け、一方は自身の死体に、一方を妃の白いレディに隠した。
- 王の印もまた、王国のはずれの自らの殻に隠した、ホーネットはこの印を守護する役目を持っていた。
開始前の主人公
ゲーム開始前の主人公の動向について考察する。
- まず、主人公はアビスにいたはずである。アビスの影が器に乗り込み、主人公は誕生した。
- だが、ゲーム開始時の主人公は王の道で目を覚ましている。この間に何があったのだろうか?
- 王の道のすぐ上には風鳴りの崖がある。ここの石碑にヒントがある。
- 石碑には、ざっくり「これ以上進むと精神を失う」と書かれた場所がある。
- 精神とは、王ウィルムの光によって与えられた意思のことであろう。
- 王ウィルムの光はハロウネストに広まっており、逆に言えばハロウネストから出てしまうと光の影響が消えて意思を失ってしまう。
- 主人公はこの風鳴りの崖で精神を手放したのではないだろうか?
- ラディアンスは精神を汚染する、だから主人公は精神を手放し、感情も言葉も持たないからこそ、ラディアンスを打ち倒すことができたのだろう。
- しかし、もし精神を手放したのならば、手放す以前の精神は何者だったのか、という疑問も生じる。
主人公の正体
- 正体に迫るヒントはムシたちの言葉にある。主人公は名を持たないため、他のムシに「矮小なるもの」や「蒼白なるもの」と表現されることが多い。
- ところで、ラディアンスの「光」に対応する王ウィルムの呼び名は「蒼白なるもの」であった。
- 王ウィルムの死はバードーン(王国のはずれにいる巨大なムシ)の言うように"さらなる変化"でしかない。では、王ウィルムはいったい何に変化したのであろうか?
- 王の言葉「大きすぎる代償はない…」大きすぎる代償とは一体何だったのだろうか。
- ここからは完全に推測にすぎないが、王は影に変化して、器に宿り、風鳴りの崖で精神を手放したのではないだろうか。
- そうして誕生したのが主人公なのではないだろうか。
- そう考えると王ウィルムと獣神ヘラーの子であるホーネットが主人公に王の印を託したことに納得できるかもしれない。
- 王ウィルムの言う「大きすぎる代償はない」とは、多くのムシの命を失ったうえで自らの命さえ捨ててすべてを終わらせようとした決意とも受け取れる。失ったものはあまりにも大きいが、彼にとって代償が大きすぎることはなかった。
- 作中では一切の明言が避けられており、上記の考察も一説に過ぎない。だが、「高貴な魂を持つ」主人公がかつてハロウネスト、王ウィルムと因縁のあるものであったことは間違いないだろう。
つまり?
ラディアンスがハロウネストを作ったけどウィルムがやってきてハロウネストを開拓した、やがてラディアンスは忘れ去られるけどウィルムは利用を試みる、でも失敗してラディアンスとハロウネストは敵対した、ラディアンスは夢を支配してムシを汚染した。ウィルムはホロウナイトを作ってラディアンスを封印したがもう手遅れ、ハロウネストは滅び王は去りラディアンスはホロウナイトの中で怒りと力を蓄えていた。封印が破られそうになると主人公がやってきた。主人公は影を率いてラディアンスを滅ぼした。
- 以上がホロウナイトのストーリーと考察である。大部分を始めに記した HOLLOW KNIGHT考察きじ(あごぶろぐ) から引用した。あごるん氏に感謝。
大きすぎる代償はない
考える心はない
破られる意思はない
苦しみに無く声はない
神と虚無より生まれし物
彼らの夢を毒するまばゆい光を封印せよ
お前は器だ
お前は空洞の騎士、ホロウナイトだ
―ウィルム