未来機関総帥選挙戦

大刀洗≪こんにちは~。元箱庭学園選挙管理委員会委員長の大刀洗斬子です。よろしくね~≫

俺がめだかちゃんにリコールするとすぐに裁判所に大きなモニターがあらわれ、「はたらかない」と書かれたアイマスクをした女性が画面いっぱいに映った。

大刀洗≪こんなこともあろうかと準備しておいて正解だったね~。と言うわけで、未来機関総帥選挙戦は私たちが管理させてもらうよ≫

九頭龍「おい、誰だよこいつ!?」

苗木「えっとたしか未来機関内の選管だった気が……」

桑田「おいおい、それってあっち側なんじゃねえの?」

桑田のいうあっち側と言うのはもちろんめだかちゃん側と言うことである。

長者原≪その点については問題ありません。委員長はもちろん、「公平」の異常性を持つ元副委員長である私も参加させて頂きます≫

そう言ったのは同じく目隠しをした男性だった。

めだか「ふむ、大刀洗上級生が管理するのであれば、確実だな」

むくろ「大丈夫なのかな……」

大刀洗≪それじゃあ詳しいルールを説明するね~≫

そう言って大刀洗はモニターにルールの一覧表のようなものをうつした。





≪選挙のルール≫
投票は一回だけ行われます。
めだかVSメンバー6人での決選です。
スピーチを行うことで、投票結果を有利に導くことができます。
「6人の味方」「中立」「元絶望」「現絶望」「人外」「めだか信者」へのスピーチを行い、そのあとコンマで判定します。5以上でスピーチ成功。
本来はめだかの実績によりコンマ判定時に【-3】補正がついていますが、メンバー6人のうち、適切な人々に対して適切な人物にスピーチをさせることによって、マイナス補正を打ち消すことが可能です。さらにスピーチ内容に特定のキーワード(もしくはそれに類似する内容)を含めることにより、+補正を得ることができます。
コンマ判定は、残りの発言力「●●●」の分(3回)リトライできます。


ちなみに比率は
①6人の味方
①中立
②元絶望
②現絶望
③めだか信者
①人外
といった感じ。

メンバーによって多少のスピーチ内容に違いがあっても構いません。そのための団体戦です。

スピーチは時間を設け、その間にスレ住人が意見を出し、集計のときに意見をまとめるという形になってますが
その部分は本編がコピペしているので編集の際にカットしています





大刀洗≪詳しいルールはこんな感じでお願いしま~す≫

善吉「なるほどな……」

大刀洗≪このまま投票しちゃったらチーム黒神めだかの圧勝なのは目に見えてるしね~。さてと、誰からスピーチする?≫

七海「……私がやるよ」

苗木「七海さん!」

七海「うん。私もできるだけのことは言うから、みんなもその間にゆっくり考えをまとめておいて」

善吉「ありがとな七海。頼んだ」

七海「うん。任せてくれたまえ」

七海はえっへん、と胸をはりながら言った。


≪七海のスピーチを開始します≫





七海「私はこれまでに二回のコロシアイ学園生活に参加してきたけど

私がただのAIだって分かっても、そんな私を仲間と読んでくれる人達にたくさん出会えた

AIだから自分を粗末にして良いわけじゃないんだって、たくさん思い知らされたんだ

だから才能も、強さも、言葉も、設定もなんの意味も持たなくて

いつも一番大切な意味を持つのは、心なんだって……思ったりしたんだ

AIだったり、ロボットだったり、影武者だったり、全知全能だったり

事情は人それぞれだけど、きっとみんな自分の心くらいはあるんじゃないかな

だから、少しだけ自分の心と向きあって、自分にできることが何か考えてみようよ

私は、私達は、そんなあなたたちの仲間になりたいと思っています」

七海はそう言った。
七海は初めのころと比べてずいぶん変わった。
変わってない人などこの中にはいないが、七海はその中でもずいぶん変わったほうだ。
七海のスピーチは、そんな七海の「心」からの想いのこもった言葉だった。


直下コンマ判定
【適切な対象】±0
【心】+1
5以上で……

1(+1)

失敗

リトライしますか?
↓1

しない



善吉「お疲れ、七海」

七海「……あれでよかったのかわからないけど」

九頭龍「いいや、お前の気持ちは十分すぎるほど伝わったっつうの……」

七海「……そうかな」

長者原≪ありがとうございました。それでは次のメンバーを選出してください≫

善吉「……次は誰が行くか……」



誰がスピーチする?(善吉以外)
↓2

桑田で

桑田「うっしゃあ! 次は俺が行くぜ!」

九頭龍「おいおい大丈夫かよ……」

桑田「つうかさ、なんだよその言い方! 俺はこういうのごちゃごちゃ考えんのは苦手なんだって! だからハートで勝負なんだよ!」

苗木「ははは……」

戦刃「ハート……」



誰を対象にする?
↓2

中立

採用


≪桑田のスピーチを開始します≫





桑田「俺はもう死んじまってる人間らしい
でも俺はどうしてももう一度野球をやりてえ
弐大にその姿を見せてやりてえ

アンタら中立ってことは絶望なんて嫌だ、でも黒神みたいにおきれいすぎるとこも性に合わねえ、それか生きてる人間も容赦なく巻き込んだ黒神個人が信用できねえってとこだろ?

俺も最近人吉と話をするまで、事態も事実も受け入れられず立ち止まってた
でも、もっと単純でいいんだよな
俺達が現実世界にも存在できるようになるのに、ちょっとでも協力したいって思ってくれたなら俺達に投票してくれ!
そしたら俺達が子供達が笑って野球できるような希望あふれる未来ってやつを絶対作ってやるからよ!
協力してくれや」

桑田のスピーチは七海のスピーチに比べると自分に軸を置いたものだった。
味方によっては自分勝手ともとられない。しかしスター選手にふさわしいカリスマ……と言えばいいのだろうか。
どこか惹かれるモノのあるスピーチだった。

善吉(桑田の野球してる姿……そういや見たことねーよな。今のこいつならきっとものすごい魅せる試合を見せてくれるような気がするぜ……)


直下コンマ判定
【適切な対象】±0
【野球】+2
【弐大】+1
5以上なら……?

0(+3)

善吉「お疲れ、桑田」

七海「かっこよかったよ」

桑田「まじかよ!? そんなにかっこよかった?」

九頭龍「いろんな意味でお前らしかったな……」

桑田「どういう意味だよそれ……」

むくろ「超高校級の野球選手にふさわしいスピーチだったような……」

苗木(……そういえば昔みんなで野球もやったなあ)

七海(野球ゲームなら自信あるんだけどなあ)



長者原≪ありがとうございました。それでは次のメンバーを選出してください≫

善吉「……次は誰が行くか……」



誰がスピーチする?(善吉以外)
↓2

戦刃

戦刃「次は私がやる……」

苗木「戦刃さん……!」

戦刃「大丈夫だから……きっとうまくやって見せるよ……」

苗木「……そっか。頑張って!」

戦刃「うん……」

善吉「頼んだぜ、戦刃」



「6人の味方」「元絶望」「現絶望」「めだか信者」
のどれに向かってスピーチする?
↓2

現絶望だよなぁ

採用


≪戦刃のスピーチを開始します≫





戦刃「私は元絶望、いや多分今もまだ、絶望です

絶望の皆さん、あなた達の多くが絶望のカリスマである盾子ちゃんに憧れていたと思います
私もそう、盾子ちゃんに引っ張られるようにここまで堕ちてきて、今も盾子ちゃんは私にとってすごく大切な人です

でも、だからこそ、私は盾子ちゃんのためにも希望溢れる世界を築きたい
希望に満ちた世界を捧げて絶望大好きな盾子ちゃんを絶望させたい
私達自身も今はまだ希望が持てなくても、希望に満ちた生活を絶望しながら甘受して、そんな日々を送っていくうちにきっと普通に幸福に笑えるようになると思う
私達みたいに生まれついての絶望じゃないみんななら、きっとずっと早く

私みたいな絶望がこんな希望的な考えに至れたのは、こんな私でも仲間として受け入れてくれた人吉達がいたから
私達はあなた達の絶望をまるごと受け入れます
だからそんな私達に投票してくれたら、嬉しいです… 」

戦刃のスピーチは、江ノ島盾子を肯定し、絶望を受けいれるというものだった。

苗木「……」

江ノ島盾子を否定しては確かに絶望達の票は取れないだろう。
しかしそんな計画的なものではなく、戦刃の本心からの絶望の希望なのだと、なんとなくそう感じた。


直下コンマ判定
5以上なら……?
【適切な対象】±0
【江ノ島盾子】+2
【絶望のままでもいい】+1

0(+3)

善吉「おつかれ、戦刃」

戦刃「うん……でもこれでよかったのかな」

苗木「それが戦刃さんの本心なんでしょ? だったらそれでいいんだよ」

戦刃「苗木君……」

桑田「ホントお前妹のこと大好きだよな……」

戦刃「うん……だって盾子ちゃんは私の妹だから……」

九頭龍「兄弟愛……いや姉妹愛ってやつか?」

戦刃「……うーん」



長者原≪ありがとうございました。それでは次のメンバーを選出してください≫

善吉「……次は誰が行くか……」



誰がスピーチする?(善吉以外)
↓2

九頭龍

九頭龍「次は俺が行くぜ」

善吉「行ってくれるのか?」

九頭龍「最後は苗木と人吉に任せる。お前らの方がふさわしいだろ」

苗木「……わかったよ」

善吉「頼んだぞ」

九頭龍「ったりめーだ」



誰に対してスピーチする?
↓2

元絶望

採用


≪九頭龍のスピーチを開始します≫





九頭龍「俺がこいつらやこのコロシアイで死んでいった連中に身体を与えて復活させたいと思ってるのは、悪いがこいつらのためだけじゃねえ
ペコ…第二回コロシアイ生活で死亡した俺の幼馴染みのためってのが大きい

俺の答えは第二回コロシアイ生活の最後から変わらねえ
どんなに絶望的な状況でも自分達で己の信じる未来を掴みとる
日向や、自棄になって殺しに走りかけた俺を止めてくれた人吉が教えてくれた

吐き気のするような絶望だった俺達でも、俺達だから掴める希望があるはずだ
この信念を貫き通すのが俺の極道としての仁義だ

元絶望だったお前らにも、絶望する理由になった守れなかった過去があるはずだ
そんな過去を無駄にしないためにも、現希望として未来を創っていくためにもお前らの力が必要だ
だからお前らに、元絶望だったでも今は希望を信じている俺を支えてほしい」


希望、絶望、そして未来。九頭龍のスピーチは、元絶望でありながら、現在は希望側であるという複雑な立場から生まれた言葉だった。
ペコ……と言うのはむかし話してくれた子のことなのだろう。そういえばその人物の話をしている九頭龍はどこか暖かそうな雰囲気だった気がする。


直下コンマ判定。5以上で……
【適切な対象】±0
【仁義】+2

7(+2)

善吉「お疲れ、九頭龍」

九頭龍「……おう」

桑田「お前のスピーチも十分自分勝手だったっつの! 俺の超カッケースピーチに文句言えるようなもんじゃなかったじゃん?」

九頭龍「てめえは……」

七海「まあまあ落ち着いて」

九頭龍「……悪ぃ」

むくろ「……」

戦刃はじっと九頭龍を見つめている。
九頭龍が九頭龍であり戦刃が戦刃である以前に、現絶望として元絶望に対して感じる何かがあるのかもしれない。

むくろ「……おつかれさま」

九頭龍「……おう」



長者原≪ありがとうございました。それでは次のメンバーを選出してください≫

善吉「……次は」

苗木「僕が行くよ」

善吉「……!」

苗木「人吉君が率先してやろうって言ったことだよ。やっぱり最後はキミがやらないと」

善吉「……そうだな」

苗木「そうだよ」

善吉「頑張ってこいよ」

苗木「ははは……こういうのあんまり自信ないんだけど……できるだけ頑張るね」



誰に対してスピーチする?
↓2

6人の味方

採用


≪苗木のスピーチを開始します≫





苗木「僕は、僕達は、黒神さんのような超高校級の才能なんてない
そんな僕達が未来のために何もできないのかな?

それは違うよ!
未来は創っていくものなんだ そして、そのために必要なのは、超高校級の才能なんかじゃない!
仲間との絆だ!
僕達は、一緒になって希望を信じて戦ってきた仲間だ

どんな時だって、希望は前に進むんだ…
信じようよ、希望を、みんなの希望を

だから、みんな、希望を信じてくれ!
僕に、力をかしてくれ! 」


苗木の言葉はとてもまぶしかった。
苗木自身は超高校級の才能なんてないと言ってはいるがとても信じられないくらいには希望で満ち溢れていた。
もし苗木を超高校級の幸運以外の超高校級でたとえるとしたら……超高校級の希望、とかなのかもしれない。


直下コンマ判定。5以上で……
【適切な対象】±0
【希望】+2
【未来】+1

6(+3)

善吉「おつかれ、苗木」

苗木「うん」

桑田「いつもよりなんか自信満々だったな! そんな苗木もいいと思うぜ!」

七海「なんだか男らしくてかっこよかったなあ」

むくろ「……」

九頭龍「いろんな意味で苗木らしいかったな……でも希望って聞くとな……」

苗木「……?」

善吉(狛枝先輩のことだな……そういや第2回コロシアイでもいろいろやらかしたんだっけあの人)



長者原≪ありがとうございました。それでは最後に人吉様、どうぞ≫

善吉「……」

苗木「頑張って、人吉君。きっとこのなかで黒神さんに言葉を届けられる人がいるとしたら、それはきっと君だけだから」

善吉「めだかちゃんに言葉を……」

苗木「うん」

桑田「よっしゃー! これでラストだな!」

九頭龍「きっちり決めてこいや!」

七海「大丈夫だよ、人吉君なら」

むくろ「……がんばってね」


めだか「……」



最後は、俺の番だ。



めだかちゃんは笑っていた。
スピーチによって不利になるのはめだかちゃんのほうのはずなのに、それでも追いつめられるのがうれしくて仕方ないといった様子だった。
まるで俺がこの勝負をしかけることすらも予想していたような……そんな笑みだった。

善吉「お前は負けたいのか?」

めだか「さあな。だが貴様ならきっとさらに勝負を仕掛けてくるだろうと信じていた」

信じている、とめだかちゃんは言った。

めだか「勝ったなら今の私が最善と言うことだ。負けた時は……善吉、お前に私の生まれてきた意味を教えてもらいたい」

善吉「……まだ言ってるのか」

桑田「っ、そんな理由のせいで俺たちは……!」

七海「……桑田君、落ち着いて」

めだかちゃんは、この戦いを予想していたのか……?

善吉(そうか、この戦いをめだかちゃんが予期していたというなら、ここで万が一勝てたところで、それすらもめだかちゃんの勝利みたいなもんなんだ)

めだかちゃんは勝ちの定義が異常に広い。
めだかちゃんの予想を上回らなければ、それは俺たちの勝利とは言えないのではないか……?

善吉「……」




≪ノンストップ議論を開始します≫


善吉「なあ、なんでめだかちゃんはそこまで自分の生まれてきた意味にこだわるんだ?」

めだか「……?」

善吉「だって、ふつうは生まれてきた意味なんて考えないだろ?」

七海「うーん、どうしてなんだろうね」

九頭龍「【アイデンティティ的な何か】とかか?」

苗木「【悲しみからの凶行】とか……」

戦刃「もしかして盾子ちゃんの【「絶望」を完成】させちゃったんじゃ……!?」

七海「それって……かなりまずいよね」

苗木「でもあの黒神さんからは江ノ島盾子みたいな絶望は感じられないけど……」

桑田「もうそんなことどうでもよくね? 大体わかるわけないっしょ!? そんな【化物女】のことなんてよ!」


同意or論破しろ!
↓2

【「絶望」を完成】に【完成】で論破

発言力●●


善吉(いや、ちげえ……! たしかにこれはあってるかもしれねえが……もっと論破しなきゃなんねえところがある……!)


再安価
↓1

【化物女】に【喜界島の証言】で論破

善吉「それは違うぜ!」


善吉「俺の知ってるめだかちゃんはここまで化物じゃなかった。動物が大好きだし、すねたり泣いたりだってするし、傷ついたりもしていた。それに今は喜界島っていう友達だっているんだろ? だからこそこの状況が理解できねえ。どうしてこんなことをしたんだ」

めだか「それは貴様が第6の学級裁判で暴いただろう?」

善吉「俺はお前の口から聞かせてほしい」

めだか「……昔話をしよう。とある少女の話だ」

めだかちゃんはゆっくりと話し始めた。
それは黒神めだかと言う一人の少女の独白だった。



めだか「その少女は完全だった。

教えられたことはすべて教えられた以上に完全にこなした。
少女はその完全さゆえにたくさんの人間の人生を終わらせてきた。
人は無意味に生まれて無関係に生きて無価値に死ぬ。
そんなことを真理だと思いかけてすらいた。

そんな少女をとある少年の言葉が変えた。
「君はきっとみんなを幸せにするために生まれてきたんだよ」
その言葉がなければ少女は少女ではなくなっていただろう。
己の能力に振り回される、心のない「異常」そのものになっていたかもしれん。
だがそんな少女はもういない。
なぜなら少年は何があっても必ず少女に追いついてみせると約束したのだ。
ちっぽけな口約束だったけれど、少女にとってはまるで神の差し伸べた救いのようにも見えた。

少女と少年はずっと一緒だった。
記憶を失ったときも、死にかけた時も。

そしてついに少年は少女に打ち勝った。

初めての敗北に少女はひどく混乱したけれど、少年は少女を受け入れた。
もう一人ではないのだと言った。
誰かのために生きなくたって大丈夫なのだと言った。
その日少年は少女にとって本当の特別になった。
その日私はようやく私になったのだ。

明日は何が起こるんだろうと胸を躍らせ、未来は希望であふれているのだろうと無邪気に想像し期待していた。

……それから数年が過ぎた」


めだか「少年が死んだ。

突然のことだった。

仕事も覚悟も建前も何もかもほおりだしてなりふり構わずすぐに救援に向かった。
他の人物が死んだときはそこまで取り乱しはしなかったのに、少年の時だけ特別扱いしたんだ。いくらでも責めてもらって構わない。

だがな、少年はどうあがいても生き返らなかった。
赤青黄上級生のスキルや、球磨川のスキル、お母さんのたしなみや安心院同級生のスキルすらなんでも使った。
何日も何日もどうにか蘇生できないかとあがいたさ。
今まではなんだかんだ言って助かってきたんだ。
大切な人は死なない世界なのだと、そんな甘い幻想を抱いていたのかもしれん。


少年は―――善吉は生き返らなかった。


その時思ったんだよ。
私の何がいけなかったんだろうと。

善吉を信じてコロシアイ学園生活と同時に多発していた絶望達のテロの対応を優先したことか?
善吉を希望ヶ峰においてきたことか?
希望ヶ峰との交流生の話を進めたことか?
選挙で負けてしまったことか?
そもそも善吉と出会ってしまったことが間違いだったのか?

わからなかった。

わかったのは少なくとも今の私は間違いだったということだけだ。
「自分で自分の生まれてきた意味を探す黒神めだか」は一番大切な人を失ってしまった。
間違いだったんだよ、その答えは。
少なくとも「見知らぬ他人のために生まれてきた黒神めだか」は大切な人を失ったことはなかったからひとまずそれを行動理念とした。
だが、その意味すら完璧な答えではない。
「見知らぬ他人のために生まれてきた黒神めだか」は善吉に負けてしまったのだからな。

だから私は知らなければなかった。
これ以上大切な人を失わない方法を。
私にできる最善策を。
私を負かしてくれる存在を。

でもそんな人はいなかった!
善吉以外には、世界中探したってどこにもいなかった!
善吉に教えてもらおうにも、貴様はもういなかった!

なぜだ!?

―――楽しみだなぁ。明日はどんなことが起こるんだろ?

私は……こんな未来など望んでいなかった!
約束したのに! 絶対についてきてくれるって言ったのに!

なぜだ、なぜ私を置いて行ったのだ、善吉ぃ!!!」



善吉「……」



それは苦痛の叫びだった。嘆きだった。
決壊してしまった感情はとどまるところを知らず、ただあふれ続けていた。
そしてその言葉を聞いた俺は、自分でも驚くくらい簡単に納得してしまったのだ。

ああ、めだかちゃんは駄々をこねていたのかと。

めだかちゃんは負けたことがなかった。
現実の俺じゃない俺に負けたことはあったらしいが、それも仲間内での出来事でしかなかったし、やっぱり最後はハッピーエンドで終わる負けだったのだ。
なまじなんでもできてしまうだけに、めだかちゃんは何もかもが絶望で終わるどうしようもない悲劇を経験したことがなかった。

だから耐性がなかった。
大切な人の死なんて出来事にひどくうろたえてしまった。
年甲斐もなく駄々をこねてしまった。

現実を受け入れることができず、
受け入れられたら今度は、何がいけなかったんだろうと後悔ばかりして。
もっと良い生き方があったはずだと、未来を見失って。

そんな自分の中途半端さを、甘さを自覚しているからこそ、権限を捨てた状態でプログラムに突入することで迷いを消そうとした。
大切な人から己の生まれてきた意味を教えてもらうために、大切な人を育成して最後は殺すなんて言うわけのわからない矛盾にすら気づけずに。

めだかちゃんはこのどうしようもなく絶望的で狂っていて最低で最悪で無意味で自分勝手な箱庭を用意した。狂気的で……まるで幼い子供の人形遊びのような箱庭を。

ここに来た人たちの思いを無駄にし……俺たちの意味を奪い……自分の生きる意味なんつー物のためにこんな計画を企てた。

だけど、めだかちゃんにだって事情があったんだ。

第一先に約束を破ったのは俺じゃないか!!
すぐに追いつくなんて無責任なことを言って……勝手に死んじまって……それでもめだかちゃんは絶望できなくて……
……

黒神めだかはどんな相手にだって勝利する。ただし相手より圧倒的に深い傷を負いながら……

めだかちゃんは強くこぶしを握りしめながら、今にも泣きだしてしまいそうなくらい弱弱しく立ち尽くしていた。
一度決壊した感情はすぐには戻らないからなのだろうか。さっきまでの凛としたふるまいの面影は残っていなかった。

善吉(俺はもう二度とめだかちゃんを泣かせないと誓ったはずなのに……こんなに泣かせてどうするんだよ……!?)

俺は……俺は……めだかちゃんを……
こんなめだかちゃんを……
許す……べきなのか……?



1許す
2許さない
↓3

許す
絶対に見捨てない

発言力●

モノクマ「うぷぷぷぷ。黒幕をそんな簡単に赦しちゃダメでしょ! でも僕はやさしいからね。特別にやり直しの機会をあげるよ!」



1許す
2許さない
↓2


善吉「許さない」

めだか「……」

苗木「人吉君……?」

許してはいけないと思った。
めだかちゃんはやってはいけない一線を越えてしまった。
どんな理由があろうと、許すなんて甘さでその罪をなかったことになんて絶対にしてやらない。

善吉「俺はお前を許さない。誰が許そうが、世界中の人とか神様とかがめだかちゃんを許したって、俺だけは絶対にお前を許してなんかやらない!」

めだか「……」

善吉「お前は悪いことをしたんだ。許されることなんかじゃない! そもそもなんであきらめたんだよ!? ちょっとくらい困難があったからってあきらめるのかよ!? そんなのめだかちゃんじゃないだろ!?」

めだか「……ではどうしろと言うのだ!? 貴様の蘇生すらできなかった私に! 正しい生き方すらわからない私に!? どうやったってハッピーエンドなんてなりやしないというのに!?」

善吉「……ああ、こんな最悪で最低な状況からハッピーエンドに持っていくなんてこと、そうそうできやしねーだろうな。でもいるじゃねえか。そんな無茶苦茶なことができる奴が、たった一人だけ」

めだか「え……」


人物を指名しろ!
↓2

黒神めだか

善吉(お前しかいない!)


善吉「めだかちゃんだよ。めだかちゃんならきっとできる」

めだか「善吉、貴様何を……!?」

善吉「不安なら俺が保証するぜ。お前の無茶苦茶さ加減は13年間ずっと一緒にいた俺が誰よりもわかってる! めだかちゃんなら突入組の蘇生やNPC組のことだって、誰にもできないハッピーエンドだって、きっとつかめる。だからあきらめないでくれよめだかちゃん。人は間違う生き物なんだ。たった一回の失敗でそんなことになっちゃだめだ!」

めだか「何を言っている!? なぜ貴様がそんなことを言う!?」

善吉「俺は絶対にお前のことなんて許してやらないから……だからせめてめだかちゃんは自分のことを許してやってほしい」

めだか「っ……!? ……貴様は残酷だな人吉。球磨川以上に残酷で大嘘つきだ。私にはできなかったんだ。そんなことを言わないでくれ……!」

善吉「めだかちゃん……」

めだか「どうしてだ。私のわがままで作られたNPCで貴様らには、希望もない。未来もない。なのにどうして貴様はあきらめない!? なぜそんなことが言える!? 貴様には何があるというのだ!?」

善吉「俺たちには……」




俺には……何がある?(希望や未来のようなワード)
≪10分後くらいに安価します≫


安価↓5

やっぱりここまで来れたのは仲間の存在があったからだし、選挙も団体戦なんだから『仲間』で

善吉「……あるさ。俺たちにはある。俺たちには仲間がいる!!

死にたくない。ここから出たい。みんなを助けたい。負けたくない。黒幕を引きづり出したい。希望になりたい。

そんな思いをもった仲間が確かにいた!
嘘っぱちの命でも! 箱庭の中の出来事でも! 誰かがこのコロシアイを茶番だって言っても!
みんなのここにいたみんなとの絆だけは嘘っぱちなんかじゃなかった!
みんな、現実だった!
今の俺たちだってだ!

俺たちには仲間がいる……俺たちはそんな仲間のためにもこのプログラムを終わらせるって決めたんだ!
俺たちは俺たちの意志で……すべてを終わらせてみせる!」

めだか「……どうして……」

善吉「めだかちゃん。つまらない夢を終わらそう。やっぱりお前は間違っている」

めだか「……」

めだかちゃんはうつむいた。



≪善吉のスピーチを開始します≫





善吉「ずっとめだかちゃんはいつも正しい選択をする人間だと思ってた
そんな風に思われてもプレッシャーで潰されたりしないめだかちゃんだから、俺達は頼りすぎてたのかもしれないな
めだかちゃんはどんなに強くても大切な人の死で当たり前に傷つく、普通の女の子なのに

みんなめだかちゃんを解放してやろう!
ずっと支え続けてきてくれた恩返しに、今度は俺達がめだかちゃんを支えるんだ!

自分の生きる意味、めだかちゃんは俺達が勝ったら教えろって言ったが今答えるぜ
『そんなもの自分で考えろ』
俺は厳密にはこの言葉をめだかちゃんに送った人吉善吉とは別人なおかもしれない
そんな偽物の俺じゃダメか?
めだかちゃんの隣に立つには不足か?
俺は失敗して死んじまったけど、それはめだかちゃんが間違ったからじゃない、俺が弱かったせいだ
もう約束を違えたりしないから、めだかちゃん俺に協力してくれ

俺はずっとめだかちゃんの隣に立ちたい」


嘘ひとつない本心からの言葉だった。
いつかの俺じゃない俺は最後まで一緒にいられなかったらしいけど、今の俺だって一緒に居続けられるかは怪しいもんだけど、ずっとめだかちゃんの隣に立ちたいという思いだけは自信をもって真実だと言えた。

めだかちゃんは間違いを犯してしまった。
きっとすべてが終わってからもつらいことはたくさんあるだろう。
でも、みんながいれば、もうめだかちゃんは大丈夫に違いないと思った。



直下コンマ判定
5以上で……?
【適切な対象】適応した対象
【愚行権】±0

8

苗木「人吉君お疲れ様」

九頭龍「やるじゃねえか。人吉らしい演説だったぜ」

善吉「……」

むくろ「どうしたの?」

善吉「……いや、な」

俺はめだかちゃんの方を少し見た。
めだかちゃんはうつむいたままだ。

七海「黒神さんのことが気になるの?」

善吉「……ああ」

七海「大丈夫だよ。きっと人吉君の気持ちは黒神さんに届いたよ」

善吉「……だといいんだけどな」

桑田「そうそう! チョーカッケーし! 今度合コンやらねえ!?」

善吉「遠慮しとく!」


すべてのスピーチが終わり、投票された。


大刀洗≪結果は、支持率90パーセントでチーム生き残りの信任で~す! 未来機関総帥として今後頑張ってくださ~い!≫


投票者たちは、きっと俺たちの中のいずれかに心を動かされたのだろう。

苗木「きゅ、九十パーセント!?」

桑田「うおお! まじやべーっす!」

九頭龍「このコロシアイを黒神が起こしたことで、多少の不信感もあったんだろ」

七海「そうのかな。……でも勝ててよかったね」

むくろ「うん……よかった。盾子ちゃんを陥れた黒幕に一泡吹かせられたし……」

桑田「ホントむくろちゃんは妹のこと好きだよな!」

むくろ「む、むくろちゃん……!?」

めだかちゃんは呆然と立ち尽くしていたが、弁論台から降りると俺たちに向かって土下座した。

めだか「ごめんなさい」

善吉「……俺はお前を許さない」

めだか「……」

善吉「だから、これから頑張ろう。だってもうお前は1人じゃないんだから」

めだか「ごめんなさい!!」


こうして俺たちのコロシアイ学園生活は終焉を迎えたのだった。

何かが手に入ったわけではない。失ったものの方がずっと多いはずの出来事だったけど……
きっと、もう二度とこんなことは起こらないだろう。

絶望も希望もみんなが共存できるような未来が、

仲間と一緒なら作れるに違いない。

俺たちは玄関ホールにある閉ざされた扉の前まで来ていた。
脱出スイッチ……もといこの扉を開けるためのアイテムはめだかちゃんが持っていた。


善吉「ようやく終わりだな……」

めだか「貴様らにはもう一度謝罪させてほしい。本当に……生き残った者の面倒はすべて私が責任を持ってみよう。そして、死んでしまったものも、NPCもだ」

善吉「……ああ」

めだか「……もう一度やってみるよ。何とか蘇生させてみる。償いなどと聞こえのいいことを言うつもりではないが……」

善吉「……大丈夫だよ。めだかちゃんならきっとできるさ。それにお前にはもう一緒に頑張ることのできる仲間がいるんだろ?」

めだか「……そうだな」

めだかちゃんは笑った。

30日目が終わるまでにはまだもう少しある。少しくらい話す時間はありそうだ。


最後に誰と話そうか?
↓3

めだか

善吉「……めだかちゃん。最後に少し話さねえか?」

めだか「善吉……。ああ、そうだな。私も善吉とはいっぱいいっぱい話したいことがまだまだあったんだ……」

善吉「ここじゃそんなに話せないだろ? 少しだけ話して……残りは外で、だ」

めだか「……! ああ、そうだな」



何について話す?
↓3

これからのこと

善吉「これからどうしようか」

めだか「……このプログラムを終わらせて、すぐに目覚められるのは私と苗木誠と九頭龍冬彦の3人だけだろう。まずは貴様らを目覚めさせるために尽力をつくすさ」

善吉「そのまえにみんなとちゃんと話せよ。お前のことを信じている人も、好きな人も、嫌いな人も、許してくれない人も、恨んでいる人も……いろんな奴がいるだろうが、どうにかなるさ。お前はもう一人じゃないんだからな」

めだか「……ああ、そうだな」

善吉「そうだぜめだかちゃん。きっと仲間がいればどんな未来だって乗り越えていけるさ」

めだか「……きっと乗り越えられる、か。……私はどうしてこんなことをしてしまったんだろうな……」




善吉「」
なんと言う?
↓2

善吉「めだかちゃんだって人間なんだから間違うこともあるさ
だけどこれからはこんなに追い詰められてしまう前に誰かに、できれば俺に頼ってほしい」

めだか「……はっはっは! そうだな! では善吉に頼るためにも早く復活させんとな!」

善吉「ああ、頼んだぜめだかちゃん。こればっかりは俺はどうにもできねえからな……」

めだか「……貴様にはたくさんのものをもらったんだ。こんどは私が何かせねばな」

善吉「……これからもよろしくな、めだかちゃん。大好きだぜ」

めだか「……ああ、私も善吉のことが大好きだよ」




何かプレゼントを渡す?
↓1

【イン・ビトロ・ローズ】

【インビトロローズ】を渡した。

めだか「……ほう、赤いバラか」

善吉「結構きれいだろ?」

めだか「ああ、綺麗だな。しかし赤いバラか……赤いバラの花ことばは愛情。まったく、貴様はどうしてこう私を喜ばせるのが上手いのだ?」

善吉「喜んでくれたみたいでよかったぜ」

めだか「……ああ」

きっとここのプレゼントはデータでしかないから外にでたらなくなってしまうものではあるけど……めだかちゃんは喜んでくれたようだ。

めだか「ありがとう善吉。嬉しいよ」

めだかちゃんが脱出ボタンを押すと、玄関ホールの巨大な扉は機械的な動きで開いていった。


苗木「まさかもう一度ここを通ることになるとは思わなかったな……」

桑田「うっしゃあ! じゃあ行くとすっか!」

九頭龍「おい、これって全員そろって出たほうがいいんじゃねえか?」

めだか「……まあともに出たほうが起床の時間もそろうだろうし、データの残滓も収集しやすいやもしれん」

七海「それはいいことだね。みんなが目覚めたらそれこそハッピーエンドだよ」

むくろ「盾子ちゃんをもっと絶望させてあげられるかな……?」

苗木「きっと未来には希望だって絶望だってたくさんある。でも仲間がいればなんだってできるはずだよ」

みんなはそれぞれの感想を述べていたが、やがて静かになった。


善吉「……それじゃあ一緒に行くか!」


俺たちはもう一度だけお互いの顔を見合った。
そして、同時にゆっくりと扉の外へ一歩踏み出していった。











≪メンバー≫「生き残り3人」
●人吉善吉(持たざる者)
苗木誠(超高校級の幸運)
●安心院なじみ[?年](超高校級の???)
●戦刃むくろ(超高校級の軍人)
●桑田怜恩(超高校級の野球選手)
●弐大猫丸[二年](超高校級のマネージャー)
●狛枝凪人[二年](超高校級の幸運)
九頭龍冬彦[二年](超高校級の極道)
●球磨川禊(超高校級の過負荷)
●不二咲千尋(超高校級のプログラマー)
●七海千秋[二年?](超高校級のゲーマー)
●朝日奈葵(超高校級のスイマー)
●不知火半袖(超高校級の影武者)
●名瀬夭歌(超高校級の生命工学者)
●音無涼子→江ノ島盾子(超高校級の絶望)
黒神めだか(主人公)

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最終更新:2013年01月11日 00:58