霊具

霊具(れいぐ / Glicial Artifact)とは、グリシーなどによって生み出された魔法の力を内包した物体のことである。単にアーティファクトとも呼ばれる。

その大半は武具の形をしているが、特に有意な形をしていないものもある。



概要

霊具は通常の物体と異なり、何らかの魔法能力を持っている。それは単なる身体強化や幻覚を見せるに留まるものから物理法則に干渉するものまで、千差万別である。
霊具は持つだけでは何も起こらない。持った者が自分の霊力を霊具に注ぎ込むことで霊具側のスイッチが入り、魔法を起動する仕組みになっている。このとき消費される霊力はある程度霊具側から供給されるため、使用者が単身で魔法を使うより負担が少なく済む。その代わり、使える魔法の種類は霊具によって制限される。

魔法を使うたびに霊具が保持していた霊力は失われるが、完全に失う前に魔法が使えなくなる(それでも使おうとする場合使用者の霊力が失われる)。霊具は時間経過によって周囲から霊子を集めて自己回復を行う擬似魂魄的な働きを持つため、物理的に破壊して霊力の貯蔵能力を失わせない限り半永久的に使える。

また、霊具はもともと物質に存在する物体に霊力を込めたものと、ゼロから霊力のみによって具現化されたものとが存在し、前者は魔法媒体とも呼ばれ、壊れても修理することができる。後者は破損して霊具としての機能を失った時点で消滅する。


種類

霊具はその成り立ちによって3種類に分けることができる。

ギフト

グリシーが気まぐれに生み出す霊具。アーク・イリスにころがっている霊具は大半がこのタイプである。天からの授かり物という意味でギフトと呼ばれる。神霊具もこれに分類される。
グリシーが霊具を作る明確なメリットは判明しておらず、なぜこれが大量に存在するのか分かっていない。
基本的に無から具現化されたもので、破壊されると消滅する。その際霊具を作るのに使われた霊力は造り主であるグリシーのもとへ還る。長い目で見ればグリシーにとって損失にはならない。

魔法媒体

主に人間によって作られる霊具。人間の霊力で全体を具現化するのは難しいので、基本的には既存の物体に霊力を注入する形で作られる。このタイプは魔法媒体と呼ばれ、魔術師が杖を持つのは魔法媒体として使うためである。
魔法媒体として作っておくとそこに霊力を貯めこんでおけるため、例えば魔術を使うときにその威力を補助するのに使える。魔法媒体の杖を持っておくことは単純に魔術の威力を増幅させる効果がある。当然ながら魔法媒体として強力であればあるほど魔術の威力も上がる。魔法を使うには(名前に反して)魔法媒体では不足気味となることが多いが、ランタンの代わりに明かりを灯すとか、火打ち石の代わりに火花を起こすといった軽度の魔法を使うのには非常に役立つ。
生物は死んだ状態であっても霊力を溜め込みやすく、従って魔法媒体は植物(木)や動物の骨を素材とすることが多い。ゆえに加工が楽な杖の形状が好まれる。しかしながら貴金属や宝石にも比較的高い霊子伝導性があり、見た目も良いためこれを魔法媒体とする場合もある。特に宝石に霊力を込めたものは魔晶石と呼ばれる。
魔法媒体は人間が作ろうとしなくても、自然に霊力を集めて霊具となる場合が少なからず存在する。そもそも太古にはそういった成立過程の媒体が多く、現在の"造られる"魔法媒体はそれを人工的に再現しようとした結果であるともいえる。
魔法媒体は単に霊力を注入した物体ではなく霊子回路となっていることが多い。媒体に回路を予め組み込んでおくことで、特定の魔術や魔法を高速・効率的に使えるようにするのが目的である。

伝承物

特定の誰かの意思に依らず、しかし偶然に成立したものではない霊具を伝承物(でんしょうぶつ)と呼ぶ。グリシーでいうところの伝説級に相当する。すなわち、数多の意識によって霊子が凝縮され、具現化されたものが伝承物である。
伝承物は無から創造される場合もあるが、例えば聖剣と呼ばれるような、元々単なる武器であったが、それに幾多の伝説が付加されることによってしだいに霊具としての能力を獲得したものが多い。伝承が失われると存在も消える伝説級グリシーに対して、こちらはひとたび成立すれば破壊されない限り消滅しない高い安定性を持つものの、そもそも成立するまでに必要な霊力が膨大であり、数年噂された程度では具現化しない。


最終更新:2015年07月07日 17:36