霊素(れいそ、Element)とは、
霊子の種類を示す概念であり、"原子に対する元素"という概念が、"
霊子に対する霊素"に対応する。
概要
霊素は以下の7種類あるとされている。カタカナ表記の後ろのアルファベットは
テイメルのラテン文字転写である。
- 赤(イグナフィア、Yignafia)
- 黄(ヴォルテジア、Voltezia)
- 緑(シルハディア、Silhadia)
- 青(アーケティア、Arketia)
- 紫(テルロギア、Terlogia)
- 白(ミスティニア、Mistinia)
- 黒(ダスポヴィア、Daspovia)
以上の7種類の霊素により
魂が構成される。一般に組成比には偏りがあり、7霊素が均等に含まれることはない。霊素の組成比によってその魂が
どんな属性を持つか(どの属性の魔法を得意とするか)が決まる。これは人格形成にも影響する。
また、霊素と関連する概念として次の2つの根源霊素がある。
- 冥(クロディエナ、Xrodiena)
- 虚(ニュリーヴァ、Nyuriva)
これらは魔法などの文脈で通常の霊素と同列に語られることもある。この場合霊素は9種類あることになる。
これらの霊素には、色から連想される物事や性格など、様々な概念が関連付けられている。以下に表でまとめる。
分類 |
色 |
機能 |
属性 |
感情 |
行動 |
五感 |
状態 |
自然霊素 |
赤 |
増幅 |
火 |
情熱 |
憤怒 |
成長 |
混沌 |
嗅覚 |
エネルギー |
黄 |
伝達 |
雷 |
自信 |
憎悪 |
才気 |
衝動 |
味覚 |
プラズマ |
緑 |
分解 |
風 |
楽観 |
諦念 |
自由 |
淘汰 |
視覚 |
気体 |
青 |
鎮静 |
水 |
平穏 |
不安 |
秩序 |
埋没 |
聴覚 |
液体 |
紫 |
結合 |
地 |
慈愛 |
悲哀 |
知性 |
束縛 |
触覚 |
固体 |
精神霊素 |
白 |
放射 |
光 |
歓喜 |
狂乱 |
正義 |
盲信 |
- |
波動 |
黒 |
吸収 |
闇 |
冷静 |
恐怖 |
懐疑 |
背信 |
- |
魂 |
根源霊素 |
冥 |
時間 |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
死 |
虚 |
空間 |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
誕生 |
- 「機能」は、その霊素が引き起こす物理現象を表す。基本的に、魔法ではこの列にある性質を利用して様々な奇跡を起こしている。
- 「属性」は、主に魔術の文脈において霊素の"色"と想起される事象の関連付けを表す。詳細は後述。
- 「感情」は、その霊素が魂に多く含まれるときに発生しやすい感情や人格の傾向を表す。
- 「行動」は、その霊素が象徴する行動や現象を表す。特に「感情」欄と合わせて"その色らしい行動指針"を表す。詳細は後述。
相関図
7つの霊素はそれぞれ相関性を持っている。相関性を端的に表したのが以下の図である。
中央の五芒星の各頂点に、上から時計回りに赤、黄、緑、青、紫が配置されており、右上に白、左下に黒が置かれている。
位置的に近い霊素どうしほど似た性質を持ち、離れた霊素どうしは対となる性質を持つとされる。中央の5霊素は
自然霊素、白と黒は
精神霊素と呼ばれることがある。これらの呼び名はあくまで便宜的なもので、白と黒の霊素も自然界には存在するし、白と黒以外の霊素も精神(
魂)には含まれる。
魔術との関係
魔術におけるイメージの基礎として7つの霊素から派生した
7属性という考え方がある。それぞれ、
- 赤は火
- 黄は雷
- 緑は風
- 青は水
- 紫は大地
- 白は光
- 黒は闇
と関連付けられ、例えば
魂に赤の霊素を多く含む人は火属性の魔術が得意であるとされる。
厳密にいえば、霊素が持つ本来の性質は前述の表における「機能」欄のそれであって火や水などの具体的な現象とは無関係なのだが、
この世界の長い歴史の中で
魔法や
魔術が研鑽される中で、
霊素と
属性の両者は混じり合いあまり厳密に区別はされなくなった。
冥と虚を含む9つの霊素にはそれぞれ化身となる
神がいるが、彼女らも霊素本来の"機能"に由来する能力と魔術的なイメージである"属性"由来の能力をそれぞれ持っている。また彼女らの名に付く冠詞も色ではなく属性名となっている(
フラムティは
赤霊神ではなく
火霊神、など)。
詳細
ここでは前述の"霊素本来の性質"と"魔術的イメージ"は特に区別せず記述する。
赤(イグナフィア/Yignafia)
増幅を司る霊素。火炎、マグマ、エネルギーなどを想起させる。
司る人格は
情熱と
憤怒。行動指針は、原初の
混沌、そしてとめどない
成長。
紋章は飛び散る火の粉を表す。
化身は
フラムティ。
隣接色は黄と紫、対抗色は緑と青。
赤の魂を持つ人は情熱的、直情的、短気になりやすい。
- 黄と比べると、自分自身の感覚に従い、個の力で何かを成し遂げようとする点で似ているが、その根底にあるのが黄は自信、赤は情熱であるという点で少し異なる。
- 紫と比べると、情に厚く、理屈よりも感情に従って行動しがちという点で似ているが、その根底にあるのが紫は他者への思い、赤は自分を奮い立たせる心という点で少し異なる。
- 緑と比べると、緑は感情よりも理屈を優先する合理主義的で、感情を優先する赤とは対照的である。
- 青と比べると、青は変化を嫌い何事に対しても慎重に振る舞うところが、混沌へ向かおうとする赤とは対照的である。
緑青の混色と赤は純粋な対立関係にある。この2つは理性的・合理主義的といった点で似ている。
赤の魔法は増幅に関する奇跡を起こす。熱量を増幅すれば火を点けたり爆発を起こすといったことが、筋力を増幅すれば身体能力の強化ができる。運動そのものを増幅することで物体を加速するといった使い方も可能。
魔術では
火属性に関連付けられ、敵陣を炎で包むとか、灼熱の火の玉を相手にぶつけるなどといった攻撃イメージを持つ。攻撃範囲が広く威力も高い傾向にあるが、そのぶん
霊力の消費も激しく詠唱にも時間がかかる。
黄(ヴォルテジア/Voltezia)
伝達を司る霊素。電流、プラズマ、金属などを想起させる。
司る人格は
自信と
憎悪。行動指針は、溢れる
才能と抑えきれぬ
衝動。
紋章は電撃で破壊される物体を表す。
化身は
ジーナヴェッタ。
隣接色は緑と赤、対抗色は青と紫。
黄の魂を持つ人は自信家、利己的、身勝手になりやすい。
- 緑と比べると、周囲を気にせずありのままの自分を受け入れようとする点で似ているが、その根底にあるのが緑は楽観、黄は衝動であるという点で少し異なる。
- 赤と比べると、自分自身の感覚に従い、個の力で何かを成し遂げようとする点で似ているが、その根底にあるのが赤は情熱、黄は自信であるという点で少し異なる。
- 青と比べると、青は積み上げた知識や工夫を使おうとし、生まれ持った資質や才能を重視する黄とは対照的である。
- 紫と比べると、紫は他者への慈しみや愛情を重視するところが、自分の内から湧く衝動を重視する黄とは対照的である。
青紫の混色と黄は純粋な対立関係にある。この2つは個よりも全体を優先しがちという点で似ている。
黄の魔法は伝達に関する奇跡を起こす。大量の電子を一気に移動させて放電を起こす他にも、壁を貫通する攻撃や、遠隔位置への攻撃なども可能である。他にも、声の振動を遠くに伝達させることで遠距離通信が可能だったりする。
魔術では
雷属性に関連付けられ、落雷で貫いたり、電撃で痺れて動けなくさせたりといった攻撃イメージを持つ。効果自体は強力で射程も長大な反面、影響範囲が狭く、戦闘に使う場合はほぼ一対一専用となる。
緑(シルハディア/Silhadia)
分解を司る霊素。旋風、風化、崩壊などを想起させる。
司る人格は
楽観と
放棄。行動指針は、何者にも縛られない
自由、適応できない者への容赦無い
淘汰。
紋章は絡み合う2つの竜巻を表す。
化身は
ティヴァーチェ。
隣接色は青と黄、対抗色は紫と赤。
緑の魂を持つ人は楽観的、合理的、無気力になりやすい。
- 青と比べると、自分の感情をあまり出さず合理的に物事をこなしていく点で似ているが、その根底にある求めるものが青は秩序、緑は効率であるという点で少し異なる。
- 黄と比べると、周囲を気にせずありのままの自分を受け入れようとする点で似ているが、その根底にあるのが黄は衝動、緑は楽観であるという点で少し異なる。
- 紫と比べると、紫は自分より他者を優先する博愛主義的で、他者への関心が薄く個人主義的な緑とは対照的である。
- 赤と比べると、赤は理屈よりも感情に従って行動しがちで、合理性を優先する緑とは対照的である。
紫赤の混色と緑は純粋な対立関係にある。この2つは情や愛といった感情を大切にする点で似ている。
緑の魔法は分解に関する奇跡を起こす。主に任意の物体を問答無用で切断する魔法が使われるが、化学結合を分断して例えば水から酸素と水素を作り出すといった芸当も原理的には可能である。
魔術では
風属性に関連付けられ、大気を操って風の刃で相手を切り刻むような攻撃イメージを持つ。攻撃魔術としては威力も範囲もそこそこといったところだが、風魔術は全般的に詠唱が短く設定されており瞬発力が高い。
青(アーケティア/Arketia)
鎮静を司る霊素。静止、粘性、氷などを想起させる。
司る人格は
平穏と
不安。行動指針は、整然たる
秩序と無個性への
埋没。
紋章は凝固される水を表す。
化身は
ウルガーシャ。
隣接色は紫と緑、対抗色は赤と黄。
青の魂を持つ人は温厚、悲観的、全体主義的になりやすい。
- 紫と比べると、個人の利益より全体的な幸福を優先しがちな点で似ているが、その根底にあるのが紫は博愛、青は全体主義であるという点で少し異なる。
- 緑と比べると、自分の感情をあまり出さず合理的に物事をこなしていく点で似ているが、その根底にある求めるものが緑は効率、青は秩序であるという点で少し異なる。
- 赤と比べると、赤は成長を求めて自ら混沌へ突き進もうとするところが、変化を嫌い慎重に振る舞う青とは対照的である。
- 黄と比べると、黄は生まれ持った資質や才能を重視しがちで、積み上げた知識や工夫を使おうとする青とは対照的である。
赤黄の混色と青は純粋な対立関係にある。この2つは個の力を重視するという点で似ている。
青の魔法は
鎮静に関する奇跡を起こす。物質に対して使えば温度を下げることになり、
霊力さえ足りればあらゆる物質の熱運動を完全に止める
絶対零度を生み出すこともできる。興奮した人を落ち着かせるなどといった使い方も可能。
魔術では
水属性に関連付けられ、水流を操ったり、氷の塊を生み出してぶつけるといった攻撃イメージを持つ。純粋な攻撃力よりは相手の動きを鈍らせるなどの妨害効果が優れており、
霊力の消費が比較的少ない。
紫(テルロギア/Terlogia)
結合を司る霊素。生命、重力、大地などを想起させる。
司る人格は
慈愛と
悲哀。行動指針は、確固たる
知性と独占欲からくる
束縛。
紋章は物体が重力に引き寄せられる様を表す。
化身は
アンティナヤ。
隣接色は赤と青、対抗色は黄と緑。
紫の魂を持つ人は博愛的、理知的、嫉妬深くなりやすい。
- 赤と比べると、情に厚く、理屈よりも感情に従って行動しがちという点で似ているが、その根底にあるのが赤は自分を奮い立たせる心、紫は他者への思いという点で少し異なる。
- 青と比べると、個人の利益より全体的な幸福を優先しがちな点で似ているが、その根底にあるのが青は全体主義、紫は博愛であるという点で少し異なる。
- 黄と比べると、黄は自分の内から湧く衝動を重視するところが、他者への慈しみや愛情を重視する紫とは対照的である。
- 緑と比べると、緑は他者への関心が薄く個人主義的で、自分より他者を優先する博愛主義的な紫とは対照的である。
黄緑の混色と紫は純粋な対立関係にある。この2つは他者より自分を優先しがちという点で似ている。
紫の魔法は結合に関する奇跡を起こす。特に、何らかの形状を構築することが多い。物質を超圧縮することにより極小のブラックホールを生み出ことも可能。精神を結合しテレパシーのような交信もやろうと思えばできる。
魔術では
地属性に関連付けられ、地形を操ったり大質量の塊をぶつけたりといった攻撃イメージを持つ。威力や範囲は平均的だが、全身を固めてしまう石化の魔術など強力な妨害能力もある。
白(ミスティニア/Mistinia)
放射を司る霊素。知覚、神聖さ、波動などを象徴する。
司る人格は
歓喜と
狂乱。行動指針は、純然たる
正義と潔白なる
盲信。
紋章は光線の放出とそれを制御する鏡を表す。
化身は
セライトーン。
対抗色は黒。
白は善を表す霊素であるが、それが良であるとは限らない。秩序に従うことや、変異を矯正することを意味し、それが結果として破滅をもたらすこともあり得る。結果が良ければそれは正義と呼ばれ、結果が悪ければそれは盲信と呼ばれる。
白の魂を持つ人は、正義感が強く、規律や秩序を重んじる傾向が強いが、規律や指導者に盲従しがちな欠点もある。
- 秩序を重んじるという点で青に似た性質を持つが、その根底にあるのは正義感なので、その点では感情に従う赤や黄にも近い。
- 秩序に従えない者は切り捨てるべきという緑に近い思想を持つが、正義のためには滅私奉公も厭わないという点ではむしろ紫に近い。
白の魔法は放射に関する奇跡を起こす。主に他者に自分の力を分け与えるために使われ、攻撃に用いられることは少ない。しかし、生物に有害な波長の電磁波を放射すれば、それは極めて強力な武器にもなりうる。
魔術では
光属性に関連付けられ、全般的に神聖なイメージを持たれている。回復を始めとする味方の補助に特化しており、攻撃魔術はあまり多くない。ただし攻撃魔術の威力自体は高い。全体的に
霊力の消費量が多め。
黒(ダスポヴィア/Daspovia)
吸収を司る霊素。精神、意識、魂などを象徴する。
司る人格は
冷静と
恐怖。行動指針は、信ずるべき主への
背信と固定観念への
懐疑。
紋章は中央の塊が周囲の存在を吸収しようとする様を表す。
化身は
ラクシャス。
対抗色は白。
黒は白に対して悪を象徴するが、それは"悪意"という言葉で使われるような"悪"であって、絶対的に悪いものを示すわけではない。主流への対立や現状からの変化を意味し、その結果以前より優れたものが得られる可能性もある。
黒の魂を持つ人は、いつでも懐疑的で体制を嫌い、自分のために行動する。他者と衝突することも多いが、時に物事の本質を見抜き全体により大きな利益をもたらすこともある。
- どちらかといえば個人主義なので黄に近い性質を持つが、自分自身さえ信用せず俯瞰的に考えるという点では、知を重視する青や紫にも近い。
- 変化を好み何者にも縛られたくないという緑に近い思想を持つが、流れに身を任すより流れを壊して混沌を招こうとする点ではむしろ赤に近い。
黒の魔法は吸収に関する奇跡を起こす。それは物理学的なエネルギーの吸収であったり、霊力の吸収であったり様々だが、吸収したそれを自らの力として利用するなど補助的な使い方が主である。
魔術では闇属性に関連付けられ、目くらまし、魔力吸収、身体能力低下など数多くの妨害をこなす。反面直接的な攻撃力はあまり高くない。相手の攻撃魔術のエネルギーを吸収して自分を強化するなど、守備方面ではめっぽう強い。
冥(クロディエナ/Xrodiena)
根源霊素の一つで、
時間を司る。
世界の根幹を成す
因果の象徴であり、全ての事象に終わりをもたらす。
紋章は現在という時間の壁に隔てられた過去と未来を示す。
化身は
ネクルーエル。
他の霊素になぞらえて色で表現される場合、
灰色となる。
冥は霊素の一つとして数えられるが、その本質は
時の流れそれ自体であり、空間に満ちているというよりは、全ての事象に変化をもたらす究極の根源である。少なくとも
人類は冥の霊子を認識できず、直接操作する術を持たない。
魂が"灰色の"性質を持つ場合、7色の霊素がほとんど均等に含まれることと等しい。冥の化身であるネクルーエルの魂は完全に均質な7種類の霊素から成る。
八霊神の他の面々が単一の霊素で構成されるのと対照的である。
霊的な素粒子(
霊子)として存在する他の7色と違って、冥霊素に霊子としての姿はない。魂を構成する要素ではなく、霊子自体のエネルギーの伝達や変質に関わるもので、魂の構成要素にはならない(
環境霊力にも含まれない)。人類はこの霊素を操れないが、もし操れた場合、時の流れに干渉し、物事の因果を操ったり、時を巻き戻したりといった魔法が可能であろうと予想される。
虚(ニュリーヴァ/Nyuriva)
根源霊素の一つで、
空間を司る。
世界の根幹を成す
存在の象徴であり、全ての事象の始まりをもたらす。
虚は
空間そのものを司る霊素であり、魂の構成要素となることはない。
紋章は広く"無属性"として使われた紋様の転用である。
化身は
ニルイェンティア。
虚の霊素はその名の通り
存在しないことの象徴であり、冥と同様
人類がその姿を認識することはない。しかしながら、物理的に"何もない空間(真空)"があるのと同様に、
霊的な真空も存在し、虚はそこに満ちている霊素として定義される。
もし人類が虚霊素を操ることができるなら、無から物質を生み出したり、そこにあるモノを素粒子レベルで無に変えたりといった、物理法則を根底から覆すかのような魔法を使えるであろうと考えられている。
最終更新:2020年03月20日 00:24