重工業


「私は今、初めて常識人間を捨てられた気分だよ ハハハハハハハ!」

NHK製作の特撮ドラマ『TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇』に登場する奇獣。別名「ロボット奇獣」。
本放送*1第18話「捨てる主義のすすめ」に登場。
岡本太郎氏が1949年に製作した「重工業」の作品要素をモチーフとしており、無機質な銅筒の頭部・機械的な胴体からネギが尻尾のように生えている。

奇獣対策のため「ネギ(有機的)」と「歯車(無機的)」といった相反する存在から発せられる『対極主義のエネルギー』を研究中だった五里博士*2が、
実験の最中に宇宙からの隕石衝突に見舞われ、実験で使っていたネギや歯車といった諸々と合体し奇獣化。
街で暴れ回り、巨大なビルを容易に引っこ抜く超パワーを見せ付けた。
そこへ「自分の方がもっとべらぼうに持ち上げられる」と妙な対抗意識を持ってしまった元祖・ビルを壊す巨人タローマンが登場。
自身もビルを引っこ抜いてチャンバラ合戦を繰り広げる。
このまま激しい戦いが続くかと思われた矢先、タローマンは偶然目に入ったクラッカーボールみたいな重機のスチールボールに興味を惹かれ戦いを放棄。
水を差された五里博士こと重工業は「もっと気軽なお遊びでもいいから続けよう」と食い下がったものの、
真剣に、命がけで遊ぶという信念を持つタローマンの逆鱗に触れてしまい、「芸術は爆発だ!」で爆殺され帰らぬ人となった。
必死に救出に向かうも五里博士を救えなかった高津博士は、


と決意を新たにするのであった。

……この重工業の亡骸は高津博士が改造し、第27話「ゆきづまっているからこそ、ひらける」にて「重工業T」として再登場するのだが、
大人の事情で今後当時のフィルムが見つかることはまず無いであろう。
ちなみに、『TAROMAN』以前にパイロットフィルムとして作られたアニメ『重工業T』が存在するという設定がある

また、本放送版の発掘再放送以前に復刻版が再販された『タローマンなんだこれは入門』という、
児童書籍の体裁を取ったでたらめだらけのファンブックに「テレビ絵物語」と称した同話のノベライズ版が掲載されているが、
黒幕として河童星人が登場する、五里博士が生存するなど細部が異なる。
同じことを繰り返すくらいなら、死んでしまえ」。そう、岡本太郎も言っていた


MUGENにおける重工業

奇獣と言えばこの人、カーベィ氏の製作したキャラが公開中。
ドット絵も恒例のふうりん氏による提供となっている。

主な攻撃は巨体とパワーを生かした体術で、もちろんビルを引っこ抜いて振り回す技も実装されている。
劇中で一瞬だけ見せた頭部からスモークを吹く演出も、ヒットした相手のパワーゲージを減らす飛び道具として実装された。
名前や容姿の重厚なイメージからは鈍重なパワーキャラという印象を受けるが、動きはそれなりに速く、高速で突進する技も持っている。
ビルをはじめ様々な奇獣やタローマンをランダムに持ち上げて投げ付ける超必殺技は必見。
AIもデフォルトで搭載されている。

出場大会

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*1
「本放送」としたのは『TAROMAN~』自体が過去に放送されていた番組の映像資料を公開している、いわば再放送の体裁を取っているため。
本エピソードを含む『帰ってくれタローマン』放送分についても、
劇場版『タローマン大統領』共々幸いにもクランクアップフィルムが見つかったため公開と相成った。
それまでは展覧会『タローマンまつり』でデザイン画のみが先行公開、続けて特番『タローマンヒストリア』で当時のスチールが発表され、
樋口真嗣氏が当時視聴したお気に入りエピソードとして、感想という名のでたらめなトークを語ってくれたのだった。

*2
五里(ごり)博士という名、ゴリラマスクの風貌から想像できる通り、リスペクト元は宇宙猿人ゴリと思われる。
放送前のスチールでは本当にゴリラの顔の合成だったが、流石にそのまんますぎると判断したのか、
本放送では顎も稼働するもう少し猿顔寄りのデザインに変更された。

なおゴリラというモチーフ自体は、恐らく「太陽の塔」内部に存在する「生命の樹」に展示されたゴリラの像がモデルと思われる。
現在の「生命の樹」の動物像としては唯一となる万博当時から現存する品であり、破損したまま内部機械が剥き出しになっている。
この見た目が有機物と無機物の混合した対極主義を象徴する奇獣に相応しい事から、博士のモデルとして採用されたものと推測される。


最終更新:2023年09月07日 23:27
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