ウルトラマントレギア

「私の名はトレギア。君の願いを叶えにやってきた。



君の夢はなんだ?」

円谷プロの特撮作品『ウルトラシリーズ』に登場する悪のウルトラ戦士。
初出は『劇場版ウルトラマンR/B セレクト!絆のクリスタル』。
後の『ウルトラマンタイガ』でもメインヴィランとして登場した。
かつて数々の大事件を起こし、ウルトラマンジードとの激戦の末に戦死したウルトラマンベリアルに次いで現れた、
数々の作品を跨いで暗躍する悪のウルトラマンである。
名前のトレギアは古代ギリシャ語の「狂った好奇心」から由来
(作中設定として彼の故郷でも「狂おしい好奇心」という意味合いの言葉で、少々珍しい名前のようである)。
担当声優はトレギア大好きおじさんこと 内田雄馬 氏。

数多の宇宙を行き来しつつ、突如として異空間から姿を現し、夢破れて行き詰ったり悩み事を抱えたりしている者を言葉巧みに誘惑。
心の弱さに付け込んで悪の道や絶望に誘い込み、破滅に追いやる事を好んでいる。
目を付けた相手に最終的に見合った二択の選択肢を突き付け、どちらを選ぶか相手に決めさせるまでが手口であり、
大抵の場合どちらも後悔する選択肢だったり、トレギアの介入により望まぬ末路となり
その顛末を見て見て嘲笑いながらその様子を楽しむ卑劣漢。
しかもトレギア本人はあくまで「夢を提供しているだけ」と言って憚らない。

口調は至って紳士的で、表面上は物腰柔らかな態度を取っているが、その本性は狡猾にして残忍。
劇場版のシナリオを担当した中野貴雄氏曰く、
「ベリアルが帝国を率いる魔王なら、トレギアは人々の心に隙入る悪魔」との事で、
力押しのやり方を好んでいたベリアルとは対照的に、謀略家かつ愉快犯的な行動が目立つ。
戦闘スタイルも自らの力で敵を直接叩きのめしていたベリアルとは対照的に、
挑発や幻覚、罠を巧みに使い、相手の力をフルに発揮させない戦い方を好んでいる。
一方でジードの最強形態ウルティメイトファイナルや合体戦士ウルトラマングルーブとまともにやり合えるなど、
攻撃能力自体は非常に高く、戦いそのものを苦手としているわけではない。
どう考えても死んだとしか思えないダメージを負って敗北しても平然と再登場するという不可解な生命力もある。

外道かつ残忍だが、目を付けた戸井ゆきおが自分がデザインした怪獣に「スネークダークネス」と名付けたセンスを「中々の中二病」と称したり、
(声を担当する雄馬氏の お姉さん が演じたキャラの 代表的存在 が中二病属性な事もあってネタにされがち)
ガピヤ星人アベルと握手した際に、相手がサイボーグだったせいで手に油のようなものが付いたのを嫌がってハンカチで手を拭いたり、
色々あってタイガを闇へ堕とす事に成功した際は「闇は気持ちいいだろぉ…」「君と僕とで、バディゴー…」と、
妙にねっとりした声色でタイガの頬を撫でる生理的にキモすぎる行為など、
本人的にはふざけているつもりではないのだろうが、コミカルな部分もちらほら見られる。

『タイガ』では霧崎(演:七瀬公)という地球人の姿に擬態しており、仮面型の変身アイテム「トレギアアイ」により本来の姿に戻る。
この姿がセブンのように特定の人物をモデルにしたのか、ただ漠然と地球人の姿を真似ただけなのかは不明。
上記の性格のため、いろんな人物を誘惑したり怪獣を暴れさせたりして、タイガたちに倒させたり、最悪自分がトドメを刺している。
そのため『ウルトラマンタイガ』は、タロウの息子の物語と思えないほどゲストキャラや善玉怪獣が犠牲になる展開が多い
(後半は死亡しないレギュラーキャラが襲撃されるといった展開も出てきた)。

その目的をウルトラダークキラーに尋ねられた際は、
「光も闇も、正義も悪も、等しく同じ価値しかない事をウルトラマン達に証明したいだけ」と語っているが……。

+ その来歴(ネタバレ注意)
実はベリアル同様M78星雲出身であり、ブルー族のウルトラマンにしてウルトラマンタロウの親友だった男
幼い頃から知的好奇心旺盛な性格をしており、ウルトラ小学校在籍時にそれが原因で招いた過ちをタロウに庇われた事が親友となるきっかけであった。
以降太陽のように眩しい彼と共に並び立つ事がトレギアの目標となり、タロウと多くの時を過ごした。
ただ、この頃から好奇心のあまり他のウルトラマンが知ろうとしない暗黒宇宙大皇帝・エンペラ星人や光と影の関係など、
光の国に無い概念を学びたがる傾向にあった。

やがて進路を考える時期になった時、タロウは父と同じ宇宙警備隊への入隊を志願し、トレギアもタロウと同じ進路を望んだ。
トレギアは学問においては同世代のウルトラ戦士より遥かに優秀だったが、他のブルー族同様にフィジカルに難があり、本人も自覚していた。
だが、それでもタロウと同じ場所に立ちたかったトレギアは、自身の体力面の低さを改善するため血の滲むような特訓を重ねた。
しかし結果はギリギリ点数が足りず不採用で、タロウは問題無く入隊が決まった。
プライドの高いトレギアにとってこれは初の挫折であり、自分の至らなさに悲観する彼にタロウは科学技術局を薦めた。
「前線で戦うだけが光の使者じゃない」というタロウの励ましを有難く思いながらも、
「タロウのようになりたい」という幼き頃からの夢が破れたという事実が、トレギアの心に深く刻まれた。

科学技術局に入ったトレギアは、ウルトラマンヒカリにその才能を見出されて技術・開発顧問に抜擢された。
スターマークシンボルを授けられるほどの功績を残したヒカリは、タロウとは別のベクトルで尊敬に値する存在であり、
そんな彼の期待に応えるべく働き続けたトレギアだったが、ヒカリの開発した技術を巡りバット星人との戦争が起き、
自責の念のあまりヒカリが辞職した事で、またしてもトレギアは気を落としてしまう。
トレギアが開発中だったシステム「アストラル粒子転化システム」に必要な外宇宙に派遣された戦士のデータも得られず、
無為に過ごす日々が続いていたが、やがて光の国に帰還したタロウの協力を得てシステムは完成。
この際、何度脅威に見舞われても折れずに立ち向かう地球人の素晴らしさをタロウに説かれ、
アーカイブで戦争や犯罪や過ちを何度も繰り返す地球人の負の面を学んでいたトレギアは共感はできなかったが、
「物事や相手の明るい面を常に信じるのもタロウの良さである」と納得し、
昔の頃よりも落ち着きを備え、光の国からも地球からも認められ成長を続けるその姿に親友として喜ばしく思う反面、胸の奥に痛みを感じていた。

ヤプールの暗躍を察知したタロウが再び光の国を去った後も防衛のための開発を進めるが、
光の国が護りを固めれば固めるほどに攻勢を強める侵略者との戦いを目の当たりにし、「そもそも光の国における「光」とは何か」という疑問を抱く。
そしてアーカイブに引き籠もり、時間を光の国の歴史研究に費やすようになる。
そこで闇に魅入られたウルトラマンベリアルの記録に目を付け、その内面について調査を進めていた折、
高次元捕食体ボガールによる惑星アーブ襲撃事件により、尊敬するヒカリが復讐鬼ハンターナイトツルギと化したという衝撃の報せが届く。
元々知的好奇心のせいで物事の暗い面に執着してしまう傾向があったトレギアの思考は、
「結局光と闇は表裏の存在に過ぎず、延々と終わりのない戦いを続けていくだけなのでは」という疑惑と恐怖で埋め尽くされ、
茫然自失・発狂しながら光の国から姿を消した。

ウルトラマンとしての自分すら信じられなくなったトレギアは、ゴミの惑星チュッオラに辿り着く。
たまたま見付けた生命の土壌となるゴミから生命を生み出し、チビスケを意味する「スナーク」と名付け、自覚も無いまま孤独を癒やす友とするが、
星間連盟が持ち込む無限とも言えるほどに膨大なゴミによってスナークは暴走してしまう。
戦闘能力の低いトレギアでは手に負えず、やむを得ず制作時仕込んでいたDNA情報のバグを作動させる事で、何とか暴走を食い止める事に成功。
自分が産み出した命さえ救う事ができない無力感に苛まれつつチュッオラを後にしたトレギアだったが、
その道中、風の噂でタロウに「タイガ」という息子が産まれた事を知り、
かつて自身が導き出した「光と闇に上下は無く、表と裏の関係である」という結論から、
「タロウが光を極めるなら、自分は闇を極めてみよう」という発想に至り、混沌そのものである邪神グリムドを探す旅に出る。
邪神を求めるため深淵を覗き続ける孤独で過酷な果てなき旅によりトレギアは正気を失い、
やがて「光も闇も等しく価値が無い」という幻想まで抱き始めた。
ようやく辿り着いた宇宙遺跡ボルヘスで探し求めた邪神の力をその身に宿したトレギアは、
光も闇も超越する混沌の力を手に入れ、「たとえ肉体が滅びても並行世界から同じ意思を持った自身が現れる」という生死を越えた境地へ到達。
内なる邪神が囁くままその力で別の宇宙へと赴き、心弱き者に夢や希望という甘味を与え、絶望と破滅という悲劇や喜劇に導くようになる。
さながら、夢を尊重し絆を重んじるタロウの影のように

なお、トレギア登場以前の映画『劇場版ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします!』の黒幕である、
宇宙魔女賊ムルナウは生物を宝石に変える力を持っていたが、後年この力はトレギアにより与えられたものである事が発覚している他、
『R/B』のラスボスであるルーゴサイトも本来は宇宙に害を及ぼす存在を排除する白血球のような存在だったが、
トレギアの遺伝子操作によって暴走して生きる災厄と化した怪獣である。
また、『エックス』に登場したグリーザにも干渉しようとしたらしいが、規格外過ぎて断念したという。

なお他人の心の隙をつこうとするタイプ故に、既に人格面で完成されているゼロやタイタス、フーマといった面々には興味を示さず、
非常にポジティブなウルトラウーマングリージョや、
同じくポジティブで青い体色で頭はよくないが、宇宙警備隊に入隊できるくらいフィジカルは優秀という、
トレギアのコンプレックスに触れまくっているウルトラマンゼットとの相性は非常に悪い。

トレギアが闇に魅入られてしまった原因は、
元々好奇心のせいで忌避される知識や出来事も積極的に調べる癖が高じて、物事の悪い部分に目を向けがちな人格が形成された事、
禁忌とされている事は「やって確かめる」という少々危なっかしい習慣があった事、
これらが祟り、タロウに抱いていた憧れと自分がその領域に至れないコンプレックスを拗らせ、誤った手段で暴走させてしまった事にある。
ベリアルが「羨望」により暴走したのであれば、トレギアは麒麟児であるタロウと自分を比較した事で抱いてしまった「自己嫌悪」により暴走したと言える。
演者の内田氏は「トレギアはトレギアなりの正義を持っている」「宇宙警備隊に入れなかった劣等感を持ち続けて力に取り憑かれた」
「タロウみたいになりたいという意識が大きすぎた」「自分なりに光のために戦いたいという希望があったのに宇宙警備隊に入れず迷いが生まれた」
と称して、タロウがこうしたトレギアの弱い部分に気付くか、トレギアがもっと本音を晒していたら、違う未来があったのではとインタビューで語っている。

「タロウ、私は君が生きられなかった反面だ。

 ようやく私は君の「影」になれたんだ」

+ その末路
『タイガ』において偉大な父にコンプレックスを感じていたタイガに目を付けて闇に引き込もうとするが、
土壇場でヒロユキに盤石を引っくり返されてしまい、タイガも自分のコンプレックスを自己肯定するという、
自己否定ばかりのトレギアとは真逆の道を選び、戦いでも精神面でもトレギアは完全敗北した。

これに対してトレギアは、策謀を以って邪神グリムドとタロウを融合させて傀儡とし、
自分の誘惑に乗らなかったタイガに「父のタロウを殺して絶望と引き換えに平和を守るか」「悪の手先と化したタロウを見逃して被害を拡大させるか」
という最悪の二択を突き付け、更に第三の案として「タロウから離れたグリムドがタイガに取り付く」という三重の仕込みをかけるも、
タイガはウルトラダイナマイトの打ち合いでタイタス、フーマ、ヒロユキの協力も得て、
火力勝負で父に打ち勝ってグリムドを引き剥がし、上記二択のみならず、更にヒロユキ達のおかげで自身が乗っ取られる事も回避と、
「犠牲を出さない」決着を付け、トレギアを再び完全敗北へと追い込んだ。
この結末を認められないトレギアは、グリムドを再び自身に取り込んで強化しようとするも、
タイガに敗北して満身創痍だった事が仇となり、逆にグリムドに取り込まれてしまう。劇中の描写を見るに自我はバッチリ残っていたようだが
最終的にタイガ達が合体したウルトラマンレイガに敗れ去り、グリムド共々爆発四散した。

……しかし、時系列的に『タイガ』の後らしい『DARKNESS HEELS』の世界に力を失ったという青い影が登場しており、
(惑星テリオの技術で蘇った闇の巨人達と異なり)グリムド由来の力は失ったが未だ健在のようである。

+ 『大いなる陰謀』では
上記画像のアーリータイプのトレギアが登場し、光の国にいた頃の話が語られる。
本作では歴史改変によって本来の歴史と異なる人物である「並行同位体」という概念が登場し、本作のトレギアもそれにあたる。
当初は正史で語られたようにタロウに憧れとコンプレックスを持って日々を過ごしていたのだが、
ある時ヒカリが出奔し、正史と異なり直接ヒカリを追いかけ、ハンターナイトツルギと化した彼に攻撃を加えられるという正史以上の悲劇に遭ってしまう。
話を聞いたタロウから「僕が君を守る」と、対等の立場でいたいトレギアにとって望んでいない言葉をかけられた事で、
ウルトラマン……「光の使者」への不信感を募らせる。
その状態でタロウと共に調査に赴くも、そこに現れたナイトファングによって悪夢を見せられ、
アブソリュートタルタロスの甘言にのって、タロウの目の前から姿を消した。

なお正史と異なり自身が堕ちる直接の原因となったヒカリには、当然と言うべきか色々と思う所があるようで、
次作『運命の衝突』では正史世界のヒカリに、アブソリューティアンの軍門に下った事で説教され、
更には敢えてハンターナイトツルギの姿で挑んできた彼には明らかにキレていた。そりゃそうだ

後々正史のタロウの前に姿を見せるも「老いたな、光の使者ウルトラマンタロウ」と蔑んだ発言をするなど、
タルタロスに力を与えられた事で、正史のトレギアの最大の特徴であったタロウへの執着は失っているような言動を見せており、
このためよくも悪くもタロウをリスペクトしまくりの正史のトレギアとは、絶対に相容れないとファンからは言われていた。

ところが『運命の衝突』で視聴者と同様に「自分達の知るトレギアとは別物」という見解を抱いたタイガから、
もう一度「光の使者」として共に戦うように説得され、一度は無下にするも、
タイガの名がタロウと自分の発明を由来とするというタイガの言葉に、本編最終回で同じような発言を聞いた時の正史のトレギア以上に狼狽。
そのまま「お前らエリートには私の気持ちはわからないよ」と吐き捨てるように呟いた後戦闘を放棄して去った。
上記の発言はタロウと同類の麒麟児扱いされる事に悩んだタイガに対する評価としては全くの見当違いなのだが、
裏を返せばタイガの持つタロウの面影を過敏に感じている証明でもあり、タロウへの執着や劣等感は完全に払拭できてはいなかったようである。

ソーシャルゲーム『ウルトラ怪獣バトルブリーダーズ』でも実装されている。
シリーズを跨いで登場するヴィランである為、チームに1体しか編成できない「レジェンド怪獣」という扱い。
ステータスは攻撃と回避、移動力が高く、継承スキルもレジェンド特有のステータス強化に加えて状態異常耐性を備える。
固有スキル「策略と断絶のダンス」は、ターンが経過するごとに敵全体へ様々なデバフをかける能力で、1ターン目では敵リーダースキルの無効化、
2ターン目では敵全体の防御力低下(大)、3ターン目では敵身代わりスキルの無効化、
4ターン目では敵リーダーの従属(スキル無効化、操作不能、味方への攻撃)が発動する。
また、スキル覚醒で2ターン潜伏(敵攻撃対象から外れる)しつつ攻撃力がアップする効果も追加される。
必殺技「トレラアルティガイザー」は使用すると敵全体の必殺技攻撃力が40%低下。光属性必殺技の場合は更に30%低下する。


「私はみんなに夢を提供しているだけさ。
 悪が欲しければ悪を。正義が欲しければ正義を。するとどうなる?

 みんな他人の夢が許せなくなる。
 他人の贅沢、他人の美貌、他人の幸福が許せない。
 人と人、国と国とが争い合う。


 君達の言う『絆』は簡単に壊れる……!」


MUGENにおけるウルトラマントレギア

BlackCat & Woz氏の製作したキャラが公開中。
地雷による設置技やグリムド憑依状態のタロウをストライカーとして呼ぶ攻撃を備え、
ネチネチと相手の体力を削る嫌らしい戦い方が得意なキャラとなっている。
また、ライフが1割以下の時限定で、即死技が解禁される。
AIもデフォルトで搭載されている。
DLは下記の動画から

出場大会

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最終更新:2024年03月30日 23:49