幸徳井佳乃

に――――近寄らないで。



【銘】 幸徳井佳乃(かでい よしの) 
【性】 女 
【齢】 十七 
【種】 人間 
【職】 レイリスフィード学園高等部三年生 
【躯】 身長百五十九/体重四十九 
【人】
過去の経験から他人との肉体的接触を極端に忌避しており、特に初対面の人間には必ず警戒をもって接する。
他人とは常に一定の距離を置き、触られでもすると速攻で手が出る。その様子は、まるで警戒心の強い獣のようだ。
しかし最低限の礼儀は弁えており、こちらから他人に話しかけることは殆どないが、向こうから善意で近寄ってきた場合はそれなりに親しく話すよう心がけてはいる……ようだが、中々体がついてかない模様。
また、普段の口調こそ落ち着いているが、高名な家に生まれて周りに尽くされながら育った影響か、実はかなり高飛車な性格。プライドもかなり高く、挑発的な態度や上から目線な言動が多い。
自分の力にも大きな自信を持っており、普段のお嬢様じみた印象とは裏腹に喧嘩っ早くて戦闘好きな一面も。
若いながらも勝敗に関係なく相手の力に敬意を示す「武人」としての矜持も持っているため、もし彼女と仲良くなりたければ、まだるっこしい話し合いよりちゃっちゃと模擬戦でも仕掛けて「拳で語る」のが恐らく一番手っ取り早いだろう。



姿

【白い肌とうっすら紅に染まった頬、短く切り揃えられた眉に枝垂れるように長い睫毛が特徴的な少女だ】
【やや長めの前髪、顎までで揃えられたもみ上げ、胸までの長さの後ろ髪と、そのすべてが一直線に揃えられた髪型】
【髪の色は漆で染めたような黒だが、よく見れば日に焼けてほんの少し赤紫色を差している】
【もし彼女に近寄ったなら、そこに何か不思議な雰囲気を感じることが出来るかもしれない】
【ただそこ佇んでいるだけなのに、場の空気を塗り変える"神聖さ"のようなものが――――するりと、滲み出している。それはそんな印象か】




◆神気

神気とは、強い"聖"の属性を持つ神の力。
扱いとしては光属性の魔力と同じようなものだが、精神に作用するタイプの呪いや祟りに対しては耐性があり、力を防御に回せば効果軽減を行える。
ある程度集合させると硬度が発生し、これをぶつければ物理衝撃による攻撃が可能。
体表に纏わせて結界を作れば、鉄製の鎧程度の防御力も発揮される(防御中は神気を攻撃に使うことは出来ないが)。

この神気には、使う相手によって効果が変動する特性がある。
人間や動植物などの生物相手に使うと、治癒や身体機能活性化などの良い効果をもたらす。
治癒に能力をすべて割けばかなり傷の治りを早められるものの、安静状態と長い施術時間が前提なため、戦闘中には使用できない。
出来たとしてもせいぜい軽い止血と痛み止め程度。
逆に、『種族として闇の属性を持つ妖魔』に対しては浄化作用が発生。対象となるのは妖怪、吸血鬼、幽霊、ゾンビ(ミイラ)、悪魔など。
これらに神気をぶつけると当たった部位が場所が灼け、強い痛みと火傷のような追加ダメージが発生。
ただし、特定種族に対する完全優位性はないが、代わりに多くの種族に対して効くという特徴を持つのが神気である。
そのため、吸血鬼に対する太陽の光のような「一発喰らっただけで致命的」というまでの力はなく、効果はあくまでダメージの増加に留まる。

攻撃時の作用をまとめると、
生物相手なら『物理衝撃-治癒作用(痛覚軽減)』となりダメージが落ち、妖魔が相手なら『物理衝撃+浄化作用(激痛&火傷)』となってダメージ上昇
といった感じ。例外として、サイボーグなどの機械生物には物理衝撃分のダメージしかない。

また、神気が特別な効果を発揮するのは「相手の肉体」だけであり、相手の「力」そのものに対しては単純に拮抗・反発する
この「力」とは魔力や気などのことだが、例えその力の属性が闇や呪い、邪気だったとしても同様。優位性は発揮されず、ただ物量や威力の高いほうが勝つ。
攻撃成功時にダメージがプラスあるいはマイナスされるというだけで、敵の戦闘能力そのものに対して優位に立てるわけではない、ということである。
ただし、稀に存在する「呪いや闇そのものが自我を持った存在」に対しては、妖魔に使った場合と同じ浄化効果を発揮できる。
どうやら「自我があるか否か」がキーになっているらしく、こういったものは「力」ではなく幽霊や妖怪に近いカテゴリとして扱われるようだ。

最後にいくつか補足すると、混血の場合は妖魔でない血の割合だけ浄化作用が軽減。
獣人などの亜人、単に闇属性や呪いを扱えるというだけの人間(獣)なら浄化対象にはならず、治癒作用の方が発生する。
魔物や魔獣の場合も同様で、悪魔などの血が入っていたりしなければ、例えそれがどんな異形であっても治癒作用が働く。

◇身体能力

身体機能活性化の効果を持つ神気を十数年間にわたって使用していることで、佳乃の身体能力は常人を超えて強化されている。
あくまで副次的な効果であり、実際は常人を「若干」超えているという程度の出力でしかないものの、全体の性能が上がることである程度無理は利くようになっている。
――しかし、真に特筆すべきはそちらではなく、同じく神気の身体機能活性化効果によって得られるもうひとつの力の方だろう。
その身体能力と合わさった薙刀使いとしての技量も中々のものだが、やはり若さ故か、達人級の腕前ではない。




◆白刃龍紋流

自身の「気」を練磨するとともに、それを通して「神気」の操作をより効果的に行うことを目的とした討魔の武術。
陰陽術と薙刀術が組み合わさった体系を取り、佳乃もまた陰陽術による神気の制御と薙刀による物理攻撃の二種類の攻撃を扱うことが出来る。
特に、この流派には零~拾の数字になぞらえた十二の奥義が伝わっており、戦闘中はこれらを駆使して戦うことが多い。
この奥義はそれぞれ神気の使用方法のバリエーションとなっており、切れ味の強化から結界、式神の使役など、内容は非常に多岐にわたる。
基本的に奥義の同時使用は出来ないが、組み合わせによっては相性がいいものがあり、二つの奥義を〝襲(かさ)ねて打つ〟合体技も存在するようだ。
より詳しい沿革や奥義の性質などはこちらのページへ。
 

◇白刃龍紋流・零の太刀――『零露』

神気の基本能力である「身体機能活性化」のさらに一歩先、「精神を活性化する」という効果をもたらすとされる、「零」の名を冠する白刃龍紋流原初の奥義。
その効果は「反射神経の強化」。奥義の発動によって常人を遥かに凌ぐ超反射能力を発現させられる。
これにより、敵の行動にいち早く反応して瞬時での対応が可能に。防御や回避における「初動」を大幅に早めることができる
根本的に「反射」なので外部刺激を受けてからでしか発動せず、あまり攻撃の役には立たないが、それでも十分強力な奥義だといえるだろう。

しかし逆に、反射神経の加速によって「認識」から「行動」までの時間が速くなりすぎ、そこに「判断」を押し挟む余裕がないという欠点もある。
高速の攻撃か不意打ちの攻撃を受けるとこの現象は頻発し、冷静に考えれば動くべきでない時でも、考えるより先に勝手に体を動かしてしまう。
つまりは、フェイントを交えた攻撃にかなり引っかかりやすいということである。

それ故、本来であれば使いどころを弁えていくべきなのだが…………。
佳乃はとある事情でこの反射強化状態を自力で解除できないため、これらの欠点も常時むき出しの状態にある。




◆薙刀『地幻』

全長六尺(1.8m)程度の美麗な薙刀。
浅い反りと波打つ刃紋、散りばめられた金剛石の破片が輝く玉鋼製の刀身に、赤い縄による意匠と金箔で描かれた紋様を持つ柄で構成される。
柄に描かれた紋様と刀身の金剛石は陰陽術によるもので、これらを媒介にして神気の通りやすさを格段に上昇させている。
これによって拳銃程度ならものともしない強度を得ると同時、佳乃の神気操作をサポートする、いわば指揮棒のような役目を果たしている。

◆言符

神気を自らの気と混ぜ込んで墨に浸透させ、和紙へ文字と紋様して書き込むことで特殊な効果を持たせた符。平時は各種二枚ほど常備している。
符の発動方法はごく単純で、口元に人差し指と中指を合わせて持ってくるだけの簡単な印と掛け声をキーとして効果を発現する。
この掛け声は符ごとに異なり、現象を召喚するものと物体に干渉するものは「発(ハツ)」、固形物を召喚するものは「招(ショウ)」の掛け声が必要。
「火」や「雷」など、書かれている漢字によってその効果は様々だが、破壊されたり落書きされたりして書かれたものが意味を無くすと無力化してしまう。
紙自体は見た目も強度も単なる和紙に過ぎないが、磁力のような不可視の力を帯びており、材質に関わらず貼り付けることが可能である。
ただ、貼り付く力自体は一般的なマグネット程度で、魔力や気などの何らかの力が通っている場合などはうまく貼り付けられないことも。

ただし、術式としては簡易的な部類なのでそれほど強大な力は発揮できず、神気の効果の薄い人間や動物に対する補助用として使われることが多い。
その代わり、本来白刃龍紋流には五行属性の符の作成方法しか伝わっていなかったところを、本人の努力でオリジナルの符が多数開発されている。
種類も効果も多岐に渡り、非常に多くの場面で使っていける他、符自体に力を篭めておく形式なので佳乃以外の人間にも使用可能である。
詳しい種類などはこちらのページへ。

◇棒手裏剣

貼り付く力はあっても飛翔する力の無い言符を敵にぶつけるための、補助道具の補助道具。単体として使うより刀身に言符を巻きつけて使われることが多い。
スカート下の太股にホルスターが取り付けられており、平時はそこに左右十本ずつ程度保持している。
長さは15cmほど、太さは鉛筆より一回り大きい程度。重さも50g程度なのでそれほど威力は出ず、飛距離と投擲のし易さに重点が置かれている。
……ただ、今のところ本人の投擲技術は低く、あまり狙ったとおりには飛ばない。目下練習中。




――櫻の国の奥地に、辰羽(たつばね)山という霊山がある。
太古の昔、"聖"を司る龍神が空より出でてこの地で眠りについたとされている場所で、そこにある小さな村落「白座(しらくら)村」が佳乃の出身地。
辰羽山は神が発する膨大な力が満ちるパワースポットであると同時に、それを目当として妖魔の類がこぞって押し寄せる魔窟でもある。
かつて龍神と契約を結んだ者達の末裔である村民は、龍神より授かった聖なる力「神気」と共に、そういった妖魔から山を守る使命を代々受け継いできた。
その中でも直接龍神と契約した「白刃龍紋流」の開祖の直系である幸徳井家は、代々巫女・神官の家柄として村を治め、同時に妖怪狩りの主要戦力として第一線で活躍してきた歴史を持つ。
佳乃はその幸徳井家の第十三代目当主であり、同時に隔世遺伝によって、開祖に近い類い希な才能を持つ希代の巫女だった。
薙刀の腕も親譲り、神気を操る力は歴代でも一、二を争うほど。さらに、数世代ぶりに龍神の声を聞く力も持っていたとあって、彼女はたいそう重宝された。

……だが、十一歳の冬。佳乃はとある出来事がきっかけで家族や村民と決定的に破局し、家出同然に村を出た。それ以降、一度も村に戻ってはいない。

現在は、一緒に村を出た幼馴染の祖母を頼って居候生活中。その祖母のツテと好意で、中学からはレイリスフィード学園という学校に通わせてもらっている。
ただし、家族との破局がきっかけで陥ったある種の対人恐怖症のせいで交友関係は非常に希薄。元々の高飛車で近寄りがたい雰囲気や、最近学園の教育方針に背いて天下一武道会へ参加したこともあって、周囲からは学内でもトップクラスの〝不良〟として扱われ、嫌悪と忌避、時々憧憬の対象になっているようだ。

だが私生活では、幼い頃から世話をされる側だったからか家事スキルが軒並み壊滅的、長年の田舎生活のせいで機械にも弱いなど、抜けた面も多い。
コミュニケーション能力が欠如しているのでバイトも出来ず、それでも自警団の依頼などを通じて学費や生活費はちょくちょく還元しているものの、普段の衣食住を全てまかなってくれている祖母にはやはり頭が上がらないらしい。

また、最近になって佳乃の中に時折〝別の人格〟が見られるようになった。詳しくは以下に記載。




【銘】 天限(てんげん) 
【性】 女(?) 
【齢】 数千年以上 
【種】 〝龍神〟 
【躯】 不明
【人】
佳乃に神気の力を与えている張本人であり、辰羽山に眠る龍神その人。司る属性は、つまりは癒しの神である。
人間には非常に好意的であり、世界や文化には大変な興味を示す。神として人を愛する想いも深く、特に佳乃の事は本当の娘のように可愛がっており、佳乃にとってももう一人の母親のような存在になっている。
長い間眠っていた上、たまに起きても辰羽山の祭壇から全く動かずにいたせいでかなりの世間知らずであり、箱入りのお嬢様のようなお茶目な性格をしているものの……同時に神としての厳粛な面も持ち合わせており、自身の持つ強大な力による影響を危惧してか人間世界への大きな干渉は決してしようとしない。
これは例え佳乃が窮地に陥ったとしても同じであり、余程の異常事態でない限りはただ黙って見ているだけである。

◆概要

佳乃に力を与えている龍神。本体はとうに力を失って眠りについており、巫女である佳乃の体を介してしか現世に顕現できない状態である。
力の欠損ゆえに不定期に眠りについてしまう不安定な存在であるが……西方に強い力の目覚めを感じ取り、久方ぶりにはっきりと目が覚めたようだ。
現在は二重人格のような状態で佳乃の体に同居しており、たまに佳乃に頼んでは体を借りて現世を楽しんでいるらしい。

――――風の国にて佳乃と他数名の能力者たちがガルマ=ハド=ラジャルードと戦った際、彼の理を逸した力に反応して具現。
身内の恥は身内で拭う、ということなのだろう。白い呪刻をガルマの体に刻み付けて彼の力を束縛し、能力者たちが攻撃する隙を作った。
以降も、あの戦神が起こす事件に限っては人間に協力すると宣言している。









これまで - 回も私の事が……? そこのあなた、見ているなら答えなさい。何が目的?


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最終更新:2015年04月24日 00:31