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お題 待つ
開催期間 2005/08/05~2005/09/09
参加作品数 18
審査員 4人
本スレ 15の86-181?
議論スレ 11の644-671?


【チャンプ】

【準チャンプ】

作品一覧


No. タイトル 作者 点数
87-88 待つ まぁ 3
95 所以 - -
96 狂歌 2
98 想い - 1
101-102 遠鳴り いぷ 5
127 偽証罪 やわらかい蟹 4
130 死産 - -
131-133 無題 - 1
142 無題 - -
145-146 待つ - 1
147,149 ◆Wani6uvhK. -
150-151 ロマンス - -
154 衝動 - 2
155 人を待つ者への誌 - -
156 まちあう土地 - -
157-158 列車 - -
159-160 ヨネコといっしょに Canopus 4
163-164 君の膝小僧 ねむい -

【審査員】
  • 雨 ◆L4LyBSss3w
  • 葉土 ◆Rain/1Ex.w
  • Canopus ◆DYj1h.j3e.
  • P ◆4E06PLWg1E

【採点レス】

166 名前:雨 ◆L4LyBSss3w [] 投稿日:2005/09/08(木) 07:44:44 ID:DkB6kKP3
【3点】:なし

【2点】:>>101-102:遠鳴り
      >>159-160:ヨネコといっしょに

【1点】:>>87-88:待つ
      >>127:偽証罪
      >>154:衝動

170 名前:葉土 ◆Rain/1Ex.w [] 投稿日:2005/09/09(金) 11:11:14 ID:6G3iV3IS
2点
>>159-160 ヨネコと一緒に

1点
>>87-88 待つ
>>101-102 遠鳴り

173 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. [ ] 投稿日:2005/09/09(金) 20:27:34 ID:rEbW/M1/
3点 なし。
2点 >>101-102 遠鳴り
    >>127 偽証罪
1点 >>87-88 待つ
    >>96 狂歌
    >>131-133 無題

177 名前:P ◆4E06PLWg1E [sage] 投稿日:2005/09/09(金) 22:53:32 ID:C56Nu1Ug
【1点】
96、狂歌 98、想い 127、偽証罪 145-146「待つ」154、衝動


作品





待つ



赤い花の咲く 道の先に
僕の全部を 置いて参りました
ただ ただ 今は
空っぽのまま 石段にぽつんと
ひとりきりで 座っております
今は
空っぽのまま 石段の
いつも座っていた 下から十一段目に
お尻を ひんやりさせながら
僕は ぽつんと座っております
風が吹くのは 寒くて、辛いのですが
雨が降るのは とても、喜ばしく思います
貴女がまた、赤い傘を差し上げて
僕の一番好きな笑顔で
どうぞ、と、おっしゃるんじゃないかと
びしょ濡れの頭で、そんな風に考えるとき
僕は石段の ひんやりとした
素っ気無ささえ、好ましく思えるのです
おかあさん
僕は全部を 置いて参りました
ただ、心の臓の、卑しく浅ましい場所だけは
ひっそり持ったままでおります
そして貴女のお宅のよく見える
二人でいつも座っていた石段から
夕餉の煙を眺めております
いずれ雨が僕を押し流し、
赤い花の咲く 道の先にある
貴女のお宅の玄関先に、
くたりと 横たえてくれるのを
石段の上で ぽつんと 待っております


87-88 名前:待つ[sage] 投稿日:2005/08/05(金) 21:46:56 ID:pNLEwIqr


【コメント】

122 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. [ ] 投稿日:2005/08/19(金) 01:08:01 ID:a865ejWb
>>87-88 ライトな擬古調の叙情詩ですが、ことばの流れには瞠目すべきもの
があります。かいつまんで言えば、「すげえうまい」。綺麗なことばに流され
て、作者の本当に書きたかったものが曖昧になってるきらいはありますが。

170 名前:葉土 ◆Rain/1Ex.w [] 投稿日:2005/09/09(金) 11:11:14 ID:6G3iV3IS
1点
>>87-88 待つ
     少々、少女趣味的な感傷に囚われているような気もするんだけど、うまいので。。

644 名前:雨 ◆L4LyBSss3w [] 投稿日:2005/09/08(木) 07:34:50 ID:DkB6kKP3
87-88:待つ
石畳のひんやりした感覚が全体に染み透る、美しい文章だと思います。
何だろう、死よりも「熱の無い希望」を感じさせる、不思議な感触です。

647 名前:リーフレイン[sage] 投稿日:2005/09/09(金) 08:43:31 ID:6G3iV3IS
>>87-88 待つ
上手いなあ。。古風な雰囲気、味わいのある独白スタイルが
幽霊譚の本来秘めた恐ろしさを どこか諧謔の漂う明るさに変えてます。
感じるのは、愛情のこもった執着心。胎内回帰の憧れかもしれないと思いました。

670 名前:まぁ[sage] 投稿日:2005/09/11(日) 23:46:30 ID:yvY4Zft9
チャンプの方おめでとうございます!

87-88 「待つ」を書きましたまぁと申します。
Canopus様、リーフレイン様、雨様、評価ありがとうございました~!m(__)mペコ
自分が一番待っていた思い出に、ちょと手を加えてみたのですが、
私の詩には何だかいつも何か訴えるものが足りないみたい…>< ふに
これを励みに精進します~!m(__)m


【得点】 3点
  • 雨 ◆L4LyBSss3w:1点
  • 葉土 ◆Rain/1Ex.w:1点
  • Canopus ◆DYj1h.j3e.:1点





所以



いつの日か母の胎内の情感。波に乗せてページをめくるように蘇る。

何も認める必要のなかった、暖かいまどろみに鼻を啜る我の姿に、

遠い原始の記憶の底が揺すぶられ、涙が溢れ零れる。

すべては思念の彼方で想像される生命の故郷から溢れ零れる。

黄昏ていた漂白の思いが、旅支度を始める。

我等の後から来るものよ、夜を徘徊し森羅万象の彼方に

星が明滅するとき、おまえが生まれて来るを知る。

立ち並ぶ偶然の仕置き、暗黒を掻い潜り、おまえが生まれ来る。

渦を巻く星雲の彼方より、ほうき星が大地に突き刺さり、

静寂に包まれながら大爆発を起こすとも、我はそれを聞く由も無い。

足音はジリリジリリとただただ沖へと向うのみ。

ああ、なんという夢、幻の、子宮峠の頂で、光彩離陸の儚さや。

後から後から生まれ来る者たちよ、必ず我等はおまえの誕生を待つ。


95 名前:所以[] 投稿日:2005/08/09(火) 06:48:04 ID:p5QOVR6F


【コメント】

122 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. [ ] 投稿日:2005/08/19(金) 01:08:01 ID:a865ejWb
>>95 1行めが、すごい好き。その後の展開は、ゲーテが生誕した時の占星の
ような、大仰さを感じます。「金星がどこそこに位置して祝福し云々…」てヤ
ツです。感動までは行き着いていない印象。

644 名前:雨 ◆L4LyBSss3w [] 投稿日:2005/09/08(木) 07:34:50 ID:DkB6kKP3
95:所以
生命誕生のスペクタクル…なのは理解しますが、大上段に構え過ぎでしょう。
壮大なイメージを支えるべき現実感をこそ書いて欲しかったな。

647 名前:リーフレイン[sage] 投稿日:2005/09/09(金) 08:43:31 ID:6G3iV3IS
>>95 所以
まず 気になっちゃったのが、”漂白の思い”漂泊の間違いなんだろうなあとおもったんだけど
つい突っ込みを入れたくなるのでここで詩の美しさから気がそれた。
で、改行位置が微妙にしんどくて、我等の後から来るものよ、ーーーの行なんだけど。。
でこの後も偶然の仕置き、ほうき星、大爆発、沖 光彩離陸、子宮峠と 華々しいイメージが
散乱してるんだけど、もうなんかどうでもいいやって気になってしまって読み進んで、最後の
必ず我等はおまえの誕生を待つ にいたりました。
それらしい劇的な雰囲気の中でテーマが上滑りしてしまってるよな気がします。





狂歌



私は待っている
君が不死鳥になって帰ってくるのを
世紀の脱出マジックだ
ああ、しかし心配だ
そろそろ火を止めないと死んでしまうのでは?
皆、固唾を呑んで見守っているが……
何の音沙汰も無く、静かに燃えている
声も聞こえてこない

否、
私には聞こえる
呼んでいるような気がする
「助けて」と

なんてことしてくれているのだ
早く窯から取り出し給え
特製の木箱から、ほら、早く早く
あなた達は皆気違いか、又は白痴か
このまま放置して何が良いと言うのだ
見殺しにする気か?
帰って来なければ意味が無いだろう!
馬鹿
馬鹿
馬鹿!
燃えるべきは貴様らのほうだ!
死ね
死ね
死ね!


96 名前:名前はいらない[sage] 投稿日:2005/08/10(水) 16:29:24 ID:bE9dQuWf


【コメント】

122 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. [ ] 投稿日:2005/08/19(金) 01:08:01 ID:a865ejWb
>>96 『狂歌』というと、どうしても五七五七七のアレを連想します。前半の
展開は、しずかな異世界っぽい葬送も感じて、かなり面白いです。途中から、
文字どおり展開が狂っちゃうんですが、結構楽しめる違和感でした。

644 名前:雨 ◆L4LyBSss3w [] 投稿日:2005/09/08(木) 07:34:50 ID:DkB6kKP3
96:狂歌
火葬(ですよね?)の場を描いた、一見して乱暴にさえ見える言葉。
「狂歌」の意に気付いた時にこそ哀しみが理解出来る、仕掛けの上手い詩です。

647 名前:リーフレイン[sage] 投稿日:2005/09/09(金) 08:43:31 ID:6G3iV3IS
>>96 狂歌
遺骸って、なんかの間違いで今にも目を開きそうな気がするよね。
10日でも1月でも横で待っていたいなって思う。
火葬って終わると骨だけになってしまって、「ああ、もう本当に終わりなんだ」
って心が収まる儀式なんだと思うよ。

654 名前:し ◆FCXRNaWgHs [sage] 投稿日:2005/09/10(土) 00:54:11 ID:uzRDBOHh
梁山泊初参加です
>>96「狂歌」書きました
ニ点も貰えたので良かったです
ありがとうございました

いぷ優勝おめでとう
ポエ大と同じく初投稿で初優勝かよw
もしかして地下メss(ry


【得点】 2点
  • Canopus ◆DYj1h.j3e.:1点
  • P ◆4E06PLWg1E:1点





想い



待ちわびて 待ちわびて

待ちわびて

待ちくたびれて、何を待っていたのか忘れたころに

深紅の薔薇が咲いた。

私はすでに この花が咲くのを待っていたのかどうかわからなくなってしまっていたので

うっかり花を摘んでしまい、

摘んでしまってから、途方もない後悔に襲われた。

花は私と会話を交わすために咲いてくれたのだった。
私は長い間、彼女が話してくれるのを待っていたはずだったのに
彼女が話を始める直前に摘み殺してしまったのだ。


98 名前:想い[sage] 投稿日:2005/08/13(土) 15:24:36 ID:HZxrtYK5


【コメント】

136 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. [] 投稿日:2005/08/27(土) 19:50:20 ID:0dtdsnIy
>>98 初読では、失礼ながら、しょーもないと思ってたんですが、何度か読む
うちにシンプルな美しさに気付き、ビックリしました。ことばの選択に違和感
があるかなあ。シンプルでも印象的なことばを探したいですね。

644 名前:雨 ◆L4LyBSss3w [] 投稿日:2005/09/08(木) 07:34:50 ID:DkB6kKP3
98:想い
濃度の高いねっとりした文章が、とても味わい深いです。
最終連の転調は計算の上、だとは思いますが、少し説明的に感じました。

647 名前:リーフレイン[sage] 投稿日:2005/09/09(金) 08:43:31 ID:6G3iV3IS
>>98 想い
最終段はいらない。


【得点】 1点
  • P ◆4E06PLWg1E:1点





遠鳴り



20時35分
その個人タクシーは池袋の喧騒を抜け
明治通りと早稲田通りの交差点付近で停車した

「空車」から「回送」へ
つまらない意思表示だと初老の男は笑った

夕立過ぎて湿度が増した空気を肺へと送り込む

雨の匂い
夏の匂いだ

遠雷は男の霞んだ意識の中にもあって
今や捉えきれない面影を浮かび立たせた

何度同じ夏を繰り返しただろう
毎年、毎年、この時間、この場所で

ラジオも消した
文庫本も閉じた
報われないであろうことは承知で
それがもはや自虐行為であることも承知で
心の嗚咽をを表情筋で誤魔化して
男は只々待ち続けた

不意に後部座席からノックの音が聞こえた
男は驚いて振り向いたが
立っていたのは派手な服装の女を連れた中年の酔っ払いだった

運転手さん、大塚まで頼むよ

時刻表示は21時01分だった
男は笑顔を作って頷いた
車内表示を「賃送」に切り替え
その個人タクシーは明治通りを池袋方面へと引き返していった


101-102 名前:遠鳴り[] 投稿日:2005/08/16(火) 03:57:22 ID:DaDPvlSH


【コメント】

136 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. [] 投稿日:2005/08/27(土) 19:50:20 ID:0dtdsnIy
>>101-102 内包するストーリーや登場人物の感情を極力抑えて、情景描写と
いうか、ほとんど状況説明のみで構成された詩。夕立ち後の遠雷と待つ男の構
図がいい味だしてるだけに、その味を持続させたかったところ。

644 名前:雨 ◆L4LyBSss3w [] 投稿日:2005/09/08(木) 07:34:50 ID:DkB6kKP3
101-102:遠鳴り
「待つ」、と言う行為自体の虚しさをしっかりと捉えた、重い手応えの詩です。
「雨の匂い 夏の匂いだ」このモノローグの鮮烈さに惹かれました。

648 名前:リーフレイン[sage] 投稿日:2005/09/09(金) 08:44:36 ID:6G3iV3IS
>>101-102 遠鳴り
おしいなっと思ったのは 20時35分という設定時間。
この時間でイメージされる暗闇(早稲田通りの交差点付近という場所からも
都市の夜の人工照明がフラッシュされてしまう)と詩の本来がもつ黄昏とがミスマッチしてる気がする。
夕立、雨、夏の匂い がうまく入ってこない。(この雨の匂いだ の段の展開は見事。)
すごくよくできていて、上手い。

665 名前:いぷ ◆7zgDGO8wqM [sage] 投稿日:2005/09/10(土) 16:27:43 ID:RnyjxpIz
「遠鳴り」書きました。初投稿でした。優勝できるなんて微塵も思ってませんでした。選んでくださった皆さん、どうもありがとう。
次のお題は「免許」でお願いします。って、ここに書いてもよかったのかな。。
>654
やぁやぁ。どもども
またしばらくセン5でがんばるよ


【得点】 5点(チャンプ作品)
  • 雨 ◆L4LyBSss3w:2点
  • 葉土 ◆Rain/1Ex.w:1点
  • Canopus ◆DYj1h.j3e.:2点





偽証罪



隈失せた十六夜の光を込めて 土よ 骨王よ 黄金の汀を歩け 俺は耐え
た 鐘楼に重なる両眼の洞に 運命とでも呼ぶべき無が宿る時 美しく偽
証された 生と非生の鋭い韻律を 胸を破る鼓動のさざなみを 全ての偽
証を その痛みだけが明らかにする お前と橡の木の間の 裂傷は 闇を
恐れた夜が 黄色い毛糸の赤児を食べた
                    俺はお前を待つだろう
                               お前は
俺であっただろう
         知っている お前とお前は 捉われるものを失うことを
   もはやあらゆる映像の中に 
                お前は普遍の無であるのだ
   星散る川面は再び 言葉の無い叫びを放つ 亀裂のような五本の指を 
俺の眉間へと伸ばし 過去が俺を 時を 貫いてゆく 人の形をした雨
が 熱い苦しみを寄せて いや 雨音に似た膿んだ裸体が 墨色の時の 
奥底で静かに待つ 何を? 精緻に 若しくは貪婪に濡れた無を なお耐
えねばならないのか 恐らくこれは 供物なのだ 祈りとは 虚無に捧
げる信仰であり 
         お前はただ待つことで 血を流し
                         指折り数える
                      未明の播種を落とす地平と
                           鏡合わせの曝れ髑髏を


127 名前:偽証罪[] 投稿日:2005/08/21(日) 01:41:46 ID:hsYkftab


【コメント】

167 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. [ ] 投稿日:2005/09/09(金) 05:25:47 ID:rEbW/M1/
>>127 このスタイルの詩は書き慣れてる、て感じ。安定味を感じます。「何
もない」ってことを、さも「ある」ような世界の偽証、なんだろうな。ただ作
者でも未整理の部分があるんだろう、もう少しイメージが浮かび上がるもので
あってほしい。必死な描写は好感の持てるものではあるが。「何を?」の一言
は、腹がたつ。自分でグチャグチャにしておいて、それはないだろう。

645 名前:雨 ◆L4LyBSss3w [] 投稿日:2005/09/08(木) 07:36:06 ID:DkB6kKP3
127:偽証罪
書道家の「書」を連想させる、奔放に見えて計算されたバランスを持つ詩です。
言葉を部品として扱う、高すぎる程の技術がむしろ読みを妨げるのかも。

648 名前:リーフレイン[sage] 投稿日:2005/09/09(金) 08:44:36 ID:6G3iV3IS
>>127 偽証罪
丁寧にイメージを追っていて、かなり生硬な感触もあるんだけど(単語の選択が古風かつ難解)
復古調のタナトス がしっかり描かれていると思いました。

668 名前:やわらかい蟹 ◆6P3vWUZtcI [sage] 投稿日:2005/09/11(日) 01:13:18 ID:oY9FcWaQ
ちわ
「偽証罪」書きました

Canopusさん、リーフさん、雨さん、寸評ありがとう。
いぷさん おめでとう!

今回は「俺もお前も偽証罪で死ねよ」って作品ばかりでしたが
俺が一番マシだと思ったのは142です。

そのうちまた冷やかしに来ます。
よろしく。


【得点】 4点(準チャンプ作品)
  • 雨 ◆L4LyBSss3w:1点
  • Canopus ◆DYj1h.j3e.:2点
  • P ◆4E06PLWg1E:1点





死産



死が待っているのだろうか
いや違う
死に追いつくのだ
待ち受けているのはいつも言葉だった
生まれた時も
生まれる前も
生まれた後も


130 名前:死産[] 投稿日:2005/08/23(火) 20:28:41 ID:fnxPmM2q


【コメント】

167 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. [ ] 投稿日:2005/09/09(金) 05:25:47 ID:rEbW/M1/
>>130 「ぼくら、生まれた時から、すでに死んでるようなものだった」て概
念自体を詩にしたのかな。それだと確かに待ってるのは言葉、だろう。タイト
ルに強い違和感があります。

170 名前:葉土 ◆Rain/1Ex.w [] 投稿日:2005/09/09(金) 11:11:14 ID:6G3iV3IS
>>130 死産     (内包する概念)

645 名前:雨 ◆L4LyBSss3w [] 投稿日:2005/09/08(木) 07:36:06 ID:DkB6kKP3
130:死産
死生観として見た時、「言葉」が持つ意味の曖昧さが残念です。
追い付く「死」に対抗出来るだけの強固なリアルを、その言葉が紡いだかどうかが鍵なのに。

648 名前:リーフレイン[sage] 投稿日:2005/09/09(金) 08:44:36 ID:6G3iV3IS
>>130 死産
死に追いつく という言葉はいい。
言葉を待つというのも いいなあ。 死産という題が示す暗さとインパクトがかえって饒舌に感じられた。





まだ僕がベルリンの壁だった頃
世界は何一つとしてまとまってなどいなかった

僕の片側では日は昇り
たくさんのコスモスやガーベラを愛でていたけど
もう片側では
日が沈み
花を愛でる暇など無く
ただただ無骨な彫刻を彫る人たちで埋め尽くされていた

ちょうど正午に僕の頭上には太陽があって
僕は片側だけに強く影を投げかける
その影の下で
まだ幼い恋人たちが手を握り合っていたのを
僕は静かに見つめていた

僕はいつもすべてのあらゆる物事の中心いたはずなのだけれども
僕には悪人であるとか善人であるという言葉はあたえられなかった

僕は境界線なのだから
すべての物事の真ん中にいて横たわっている


ある朝、僕がコーヒーの香ばしいにおいを嗅ぎながら
目を覚ますと
僕の片側では大声で誰かの名前を呼んでいる
もう片側では誰かがそれに答えている

片側のにいたのは少年で
彼はオレンジを皮ごと噛んで
それをもう片側にいる娘に投げた
娘は少年が齧ったオレンジに軽くキスをして
それを少年に投げ返す

二人はそれから何日もりんごや梨を使って同じことをした

ある日
少年が投げた手紙が僕の壁の上に落ちてしまい
僕はとても悪いことをしたと思ったのだけれども

少年が大声で何かを叫ぶと
彼女は泣きながら少年と同じ言葉を叫んだ


それから二人は僕の前からは姿をけしたのだけれども
だけど僕に近づいてくる人は絶えなくて中には落書きを
していく人もいたし、僕の体に詩を書く人も
時には怒りをぶつける人も

いくつかの正午が僕の上を通りすぎた後
僕は夜の歓声の中で目が覚めた
僕の周りには人だかりができていて
僕の上に上った人が僕の頭を強く小突く

僕が崩れ去った後、僕と同じように石でできた
彫刻の同胞たちも次々と壊されていった

僕が語れる話はここまでて
ここから先の話は
あの二人の少年と娘が話してくれるだろう

そうそう僕が崩れ去った後
少年が書いた手紙はよっぱらいの親父に拾われて
今は恐らくその人に家にあると思う


131-133 名前:無題[sage] 投稿日:2005/08/23(火) 23:48:01 ID:zVQ7Gjtt


【コメント】

167 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. [ ] 投稿日:2005/09/09(金) 05:25:47 ID:rEbW/M1/
>>131-133 都市を隔てる普通の壁、の方がよかったんじゃないかな。旧東ド
イツでは、ベルリンの壁に近づく人間は、問答無用で射殺されてたんだから。
作者は多分若い人なんだと思う。ストーリーの運びは上手い。

170 名前:葉土 ◆Rain/1Ex.w [] 投稿日:2005/09/09(金) 11:11:14 ID:6G3iV3IS
>>131-133 無題  (短編として)

645 名前:雨 ◆L4LyBSss3w [] 投稿日:2005/09/08(木) 07:36:06 ID:DkB6kKP3
131-133:無題
最初から「ベルリンの壁」って書いてしまうと、この詩を読む人が独自に拡げる筈の想像を
現実にあった「壁」の周囲に固着させてしまう。それでは只の記号と変わりが無いです。

648 名前:リーフレイン[sage] 投稿日:2005/09/09(金) 08:44:36 ID:6G3iV3IS
>>131-133 無題
最初の131だけで完結した詩だと思ってしまいました。ここで終わってしまってもなんら問題なく
いい詩ですね。
2,3のエピソードは短編小説として読めるできで、それはそれでとてもいい。
ただ、最初にもう包括してしまっているので、あわせてよむとどちらかが蛇足のように思われて
構成として惜しいなあと。。


【得点】 1点
  • Canopus ◆DYj1h.j3e.:1点





街角の隅に横たわる猫
大きな欠伸をしながらユルリユルリと暮らしてる
人間の厳かな考えに大きな疑問を持ちながら。


142 名前:名前はいらない[] 投稿日:2005/08/31(水) 17:57:52 ID:wR9RoJGl


【コメント】

167 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. [ ] 投稿日:2005/09/09(金) 05:25:47 ID:rEbW/M1/
>>142 ほんとかどうかはしらないけど、そんな時のネコって、「あー、生き
てるー」って満喫してるらしい。ヒトとネコの精神構造は違うから、「何やっ
てんだろう」という疑問は持ってるだろうね。ネコの擬人化、あるいは神格化。

645 名前:雨 ◆L4LyBSss3w [] 投稿日:2005/09/08(木) 07:36:06 ID:DkB6kKP3
142:無題
では、何を待っているのか?そこに言及が無いのは残念です。

648 名前:リーフレイン[sage] 投稿日:2005/09/09(金) 08:44:36 ID:6G3iV3IS
>>142 無題
人間の厳かな考え  に吹いてしまった。すまん。




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最終更新:2006年09月07日 14:29