一月の別離酒

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一月の別離酒 - (2011/12/14 (水) 18:12:03) のソース

&bold(){概要}
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一月の別離酒とは、[[アルファ]]706年、[[ロードレア]]国の主要な将軍が、[[ベルザフィリス]]国、[[ロー・レアルス]]国に亡命した事件。
[[ロードレア]]国滅亡の原因の一つとして知られる。

&bold(){ヴェリアの堕落}
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[[ヴェリアの大遠征]]は、彼にとって生まれて始めての真の敗北であった。大遠征に失敗した[[ロードレア]]国軍は、軍としての統率も失ったまま本国へ戻ってゆく。
[[ヴェリア]]は、[[アレス]]戦死を聞いた日から酒量が目に見えて増え、酒に逃避しはじめたのは明らかだが、2月7日に街角で一人の少女と出会う。
その少女こそ、皮肉にも[[ヴェリア]]がかつて[[ロードレア]]国国主を巡って争った[[デイズ]]の娘で、[[ヴェリア]]の策により親を失い孤児となっていた[[ルフィ]]である。
この後、[[ヴェリア]]は酒と[[ルフィ]]に溺れ、彼女の言うことを真に受けて実行することとなる。
[[ルフィ]]は最初から[[デイズ]]の旧臣、または[[ルフィ]]自身の意思により、[[ヴェリア]]を惑わすために意図的に近づいたという説である。
その説の真意はわからないが、[[ルフィ]]が稀代の悪女として歴史に名を残すことだけは紛れもない事実である。

&bold(){一月の別離酒}
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706年1月1日、例年通り新年の宴が行われていたが、この時[[ヴェリア]]は、これまでの乱れた生活が祟って宴の最中体調を崩し、[[ルフィ]]に寄り添われて席を立つ。
その姿を見た[[バイアラス]]は、一つの決意を胸に秘め、1月4日、自宅に[[シルヴァス]]、[[グローリヴァス]]、[[リディ]]、[[ザロ]]といった個人的に友誼のある有力将軍を招いた。表向きは新年の宴であったが、これが後に「[[一月の別離酒]]」と呼ばれる事件となる。

この席で[[バイアラス]]は、[[ロードレア]]国を脱出する事を皆に打ち上げた。
[[バイアラス]]は天下統一よりも、自分を一兵卒から引き上げてくれた[[ラディア]]の敵討ちしか興味を持っていなかった。今の[[ロードレア]]国、堕落していく[[ヴェリア]]の下では、それはもう望めない。それならば、[[ロッド]]国と戦う為に[[ベルザフィリス]]国へ行くと彼は述べた。
しばしの沈黙の後、[[グローリヴァス]]が最初に同意し、それに[[シルヴァス]]、[[ザロ]]も続いた。最後まで沈黙を守った[[リディ]]は、[[バイアラス]]の前に膝を付くと、この瞬間より自分は[[バイアラス]]直属の[[隠密]]になると告げた。
[[隠密]]は、国ではなく個人に忠誠を誓う。[[アレス]]死後、自らの主を持たなかった[[リディ]]は、[[バイアラス]]を新たなる主とした。
こうして4人は家族と自分に忠誠を誓う部下を連れて国境を突破するが、この裏切りに怒った[[ヴェリア]]が討伐隊を派遣、盲目の娘を守るために一行からはぐれた[[グローリヴァス]]のみ[[ロー・レアルス]]国へ向かうが、[[バイアラス]]たちは、1月26日に[[ベルザフィリス]]国へ到着する。

この頃[[ディルセア]]は、[[ルーディア]]の眼帯を貰い、二代目独眼竜という名を継いでいた。[[ルーディア]]は、志を息子[[ガイヴェルド]]に、名を軍師[[ディルセア]]に継がせ、自らが隠居生活を送っていた。
その[[ルーディア]]が、[[バイアラス]]と[[リディ]]を突如自宅に招く。降伏を認められ、[[ベルザフィリス]]国の将となっていた彼らだが、何しろ彼らほどの人材である。「降伏は偽りであり、[[ヴェリア]]の奇策」を警戒する者は多く、未だ猜疑の目で見られる日々を送っていた。
互いの存在だけが唯一の支えとなっていた[[バイアラス]]と[[リディ]]は、この招きに応じて[[ルーディア]]の元へと赴く。
僅かな供と山奥の館に静かに暮らしていた[[ルーディア]]は、二人を手料理もてなすと、昔話に花を添えた。直接関わったことはなくとも、同じ時代を生きた者同士、[[バルディゴス討伐連合軍]]時代から話は盛り上がっていた。
この時[[ルーディア]]は、もし[[ガイヴェルド]]に将来皇帝となるべき器があれば彼を補佐してほしい、しかし権力という波に飲み込まれる様な器なら、息子を殺してほしいと二人に告げたという。
[[ルーディア]]の影響力は絶大であり、「[[ルーディア]]が認めたのならば…」と、諸将も、次々と[[バイアラス]]達への警戒を解いた。

&bold(){それぞれの理由}
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彼らが亡命を決意した理由は、以下の様に推測されている。
-バイアラス
--前述の通り、[[ラディア]]の仇である[[ロッド]]国と戦う為。
-リディ
--この頃、[[ルフィ]]の矛先は、[[リディ]]にも向けられていた。彼女の無表情さが[[ルフィ]]を苛立たせ、私用といえる不条理な命令を何度もされていた。彼女自身はそれに耐え続けていたが、[[バイアラス]]が見かねて、何度か守っていた。その為、[[ルフィ]]は[[バイアラス]]も敵視、このままでは彼に危害が及ぶと考えた[[リディ]]は、[[バイアラス]]の直属[[隠密]]になることで、「貴方が国を出るのなら、無条件で自分もついていく」という状況を作り出した。
-グローリヴァス
--彼は、世代的に直接[[ラディア]]と接することはなかったが、それでも[[バイアラス]]と同じく、[[ロッド]]国に対する嫌悪感を抱いていた。その為この脱出に同意するが、結果的に[[ロー・レアルス]]国に流れることとなる。
-ザロ
--[[バイアラス]]と同じく、[[ラディア]]、[[アリガル]]の仇である[[ロッド]]国に対して、激しい怒りをもっていた為、彼の説得に心が動かされ、脱出を決意した。
-シルヴァス
--[[ルフィ]]が国内で作りつつあった派閥と、[[シルヴァス]]達武断派は、水面下で激しい派閥争いを行っていた。[[ルフィ]]による武断派の追い落としは日に日に増し、彼自身の立場も苦しくなっていた。

&bold(){忠臣の亡命}
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[[蜉蝣戦記]]、というより、この時代の[[ロンドーナ大陸]]東部における特徴として、「元々同じ国だったものが分裂している」、という考えがある。
その為、「国」を名乗っておきながら、「文化も歴史も違う他国」ではなく、「同じ国の別の区」という考えが、この大陸の人々の心の底に根付いていた。
[[バルドの国替え]]がその一例で、国替えといいながら、移動したのは[[ボルゾック]]を代表とする上の人間だけであり、民衆はそのまま動くことがなく、民からすれば、あくまでも「上司が入れ替わった」という感覚に近かったという。
また、[[サリーア]]や[[フィリス]]といった国主が、簡単に国を託しているのも、彼らにとっては他国に併合されるというより、同じ国内における「都市合併」に近い感覚があった為である。

[[ベルザフィリス]]国は、[[ルディック]]帝国の区ではなかったものの、この思想は大陸そのものに根付いていた為、彼らの亡命は、他の時代、他の大陸でいう「亡命」とは、若干意味合いが異なる。

&bold(){関連項目}
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-[[蜉蝣戦記]]





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