+ 始まりの森と精霊の泉
気が付くと龍みたいな人と旅人風貌な人と知らない小川のそばで寝ていた。
聞くところによるといつの間にか荷物にあったこの石のせいらしい
危険な特性だなと思ったけど、持っていれば同じように巻き込まれた人を助けられそうだな・・・
どうやら巻き込まれた人たちは、長月さんとリンドブルムさんという人たちだった。
少し変わった人たちだけど悪い人たちではなさそうで良かった。

とりあえずPTを組んで森を散策していたけど、この人たちのやり取りを見ていると
なんだかすごく和ごむ、あまり他の人とPTを組んだことはないからかもしれないけど
私たちと雰囲気というかやり取りの具合がかけ離れていた(どっちが普通なんだろう・・・)

まだ馴染んでいない力が反発をおこして詠唱を失敗した、そのせいでリンドブルムさんが倒れてしまった。
幸い無事でよかったけど、最悪死んでいたかもしれなかった・・・二度とないようにしないと・・・。

森で出会ったトレントさんの話を頼りに不思議な湖にたどりついた。
水浴びをすれば力を授かるらしいけど、遠慮した。
(なぜか長月さんにふんわりと理由を見抜かれていたそんなにわかりやすかっただろうか・・・?)
体の傷もあったけど、何より穢れきった体と力を持った私がこの湖に入ることで
穢れに敏感な妖精たちがいやな思いをしそうでなんとなく入ることに抵抗を覚えてしまった。

色々と気遣ってくれた二人の提案を断ることに少し罪悪感を覚えたけど
そうやって気遣ってれた二人のやさしさが少しうれしかった。

+ 力がないという事、力があるという事
砂漠とその近くにある洞窟に夢験石で呼ばれました。
リムさん、魔神の詠さん、エルフのケヴェンさんの三人と洞窟の探索をすることになったんですが・・・
レッドキャップの人の案内を頼りに置くに行くと、ディアボロに出会ってしまい戦闘中ケヴェンさんが
死にかけた、間一髪のところで一命を取り留めてくれた。詠さんとリムさんが何かしたのがなんとなく二人の雰囲気からわかったが、私はその時ただ無事を祈るだけで二人がいなければきっと彼を目の前で失っていた。

そんな悔しさと不甲斐なさを感じていた私の前に現れたのがスフィンクスドレイクと
コボルトスコーピオンだった、死者同士を組み合わせたコボルトさんは神官から見たら到底許されない見た目と存在だったが、今の私から見た彼は生き返って自身の境遇と寿命を乗り越えて幸せを手に入れていたように見えた。

力が欲しい、だれも死なない為に・・・代償がいるならいくらでも払うから・・・
体でも寿命でも、また魂を穢れさらすことになっても!!
私以外だれも泣かないならなんだって差し出すから・・・

+ 名前と約束
ある日月明りの小舟の上でプログという妖の人と、なんだか少し無機質・・・?な少女と出会った。
その子は神になるべくして作られた子供らしくて、なんだかその危うさというか在り方が放っておけずに
プログさんと一緒に話をしていたら、名前が欲しいと言われ少し考えてプログさんと一緒に
「セリーニ・ルクス」と名前をあげた。
求められたことに応えたけれどそれに伴う責任も意味もわからず・・・。
彼女は私を好きだと言ってくれた、正しいと・・・。
けれど私は私の歪さ、間違いをわかっている。だからそんな私を正しいと思ってほしくなかった
これを正しさと良いことだと思ってほしくなかった。これは弱くて力のない私の精一杯の抵抗でしかないんだから。

洞窟と遺跡を超えた最奥に魔神と精神を同化させられてしまった、妖の男性がいた。
何者かの悪意によって人生を弄ばれたその人が記憶を取り戻して、自身の最期を受けれてしまったその人を
私は・・・止められなかった。

人生を弄ばれた、大事な人とも引き裂かれたそんな人の最期がこんなのなんて悲しすぎて、なんとかしてあげたかった。けれど・・・今の自分じゃどうしようもなくて
「なんとかするからそれまで苦しみながら待っていてほしい」そんなことも言えなくて私はただ死のうとする
その人を何も言えず見送るしかできなかった。
けれど、プログさんはそんな苦しみも全部ひっくるめて背負って助けることを決めていた。
救うことの難しさを知らないのかもしれない、無謀な約束をしているのかもしれない。
だけどそれでも今この人はきっと、プログさんに救われていると私にはそう思えた。

そんな時に出会った魔神が対価として願いをかなえるという話に私は・・・力を願った。
みんなは自身を大事にしろという、でもそれで誰かを救えないなら意味がないんだ
私が欲しいのは未来に救える100人より、目の前にいる1人を救いたい。
どれだけ代償を払っても、目の前の「みんな」を救えない力に私に価値なんてないんだ。
魔神が信用できない相手なのも、自身が禁忌に手を出していることも理解しているけれど
いつかメアが言った「力に善悪はない」といって召異術で世界を救った言葉を信じた。
後は私が力の使い道を、間違わないように、あの日の悲劇をまた・・・繰り返さないように。

+ 暖かい場所
目が覚めると空気の澄んだ遺跡の外にいた、ひぐらしの鳴くそんな場所でゼファーという天使の人と出会った。
守護存在を守るのが天使のはずなんだけど、どうやら英雄の器を探して育成するのを目的として旅をしているらしい。
簡単な自己紹介を済ませて、周りを調べていたら遺跡から魔神が飛び出してきた
その戦闘の中で初めて自分の手を使って相手を傷つけた。
手から伝わる感触と血に濡れた手を見た時に・・・お父さんを刺し殺してしまった時のことを思い出した。
呆然としそうになった時、リリィの声で意識が引き戻された。
誰かを傷つけて、殺して、誰かを守る。
ずっとみんなが私達を守る為にしてきたことなんだ・・・
リリィの言葉とその事実、そしてなにより無事だったゼファーさんの声が今の私を支えてくれた。

暗い穴の下にあった遺跡は6か所の道が続いていてそれぞれ

1.綺麗な地底湖で海岸沿いで穏やかな場所だった、何かあるかな?と調べていたら急に・・・すごく・・・安心した。
後でわかったけど古代妖精がこの地底湖(ラグーン、というみたい)の良さを知ってもらうためにここに居つかせようとする行動だったらしい
幸い1日~一週間程度で解いてくれるみたいだったけどゼファーが助けてくれなければしばらく逃げられなかったかも。だってあの時感じたのはずっともう感じられなかった安心感だった。
座って目を閉じたときに・・・
彼女が本を捲る音であり、彼がガメルを数える音だったり、柔らかい光を放つ彼が言ってくれる優しい言葉
そんな安心できる懐かしい私の居場所あの場所を感じさせてくれたから。
すごくうれしかった。

2.扉の向こうは円状の遺跡になっていてそこにはノーブルエルフ?だと思う人がいた。
長い時間を生きている人らしくて別れを経験し続けて、別れをもう経験したくないみたいだった。
一人で生きて、過去の思い出と語りあって生きていくのは全部理解できるとは思えないけど
みんなを無くして大事な人を作らないようにしようとした私も理解できることだった・・・。
お節介かもしれないけど、このままには絶対したくない。

3.転移魔方陣を超えると蛇とメデューサが飾られた遺跡に近づくと、身に着けている全てを石化させられた
少し困惑したけど、体は大丈夫そうだし周りをゼファーと調べていたらリザードマンが来てマズイと思って
ゼファーさんをかばったけれど、どうやら悪い人じゃない・・・?みたいどうやら色々な種族で住んでいるらしいけどそのせいで困っていることが多いみたい、ゼファーと二人で助けることを約束したらすごく感謝された。
どこまで私にできるかわからないけど私にできる事を精一杯やってみよう。

4.通路でプラチナムバジリスクのコークルバックさんと出会った。最初は少し警戒をしていたけど話を聞いて
いるとなんだか真っ直ぐな少年みたいで、その真っ直ぐさが少し昔の私とタブった。
自分の領地で人族が困っているらしく、その助けをしてほしいと言われたけど先にこの島の人たちを助ける約束をしていたので少し待ってもらうことに、この島の人もコークルさんも本当に私を必要としてくれてこんな私でも誰かの役に立てるのが嬉しかった。

5.長い水路があって途中の小部屋に衰弱した男の子がいた。ヤスマサという名前らしくあゆたや?というところから転移したみたいだったけど、夢験石で飛ばされてきたみたいですぐに帰っていった。
ただ帰る前に寝言、多分現実の話をしている内容が少し不穏で心配だった。

6.迷宮の中にケルベロスがいた。三つの首でそれぞれ性格が違う人で門番をしているけど、長い時間の結果門番に飽きているみたいだった。悪い人(?)ではないと思うんだけどリリィ達はどうして会いたがらなかったんだろう・・・?

水路の先には神秘的な遺跡と4つの試練だった、その先にある扉をゼファーさんと抜けると大きな椅子や食器皿や大きな魔力を蓄える魔晶石などが並ぶ石道にでた、私の不注意で襲われた魔動機を倒したはいいけど不穏な空気を感じて扉に戻ろうと思ったら。石道が赤色に光り安全を確保しようと先に確認してくれたゼファーさんが
消えてしまった。しばらく待っても帰ってこないので周りを調べていたらマザールームの一つにたどり着き
そこの管理者のⅫさんによるとアンドロスコーピョンがこの遺跡をハッキングして荒らしているらしい
ゼファーさんはそれに巻き込まれて行方不明になったみたい、Ⅻさんのほうでも探してくれるとの事なので
私はまだ見ていない道の先へ、雷鳥やタイガーやヘルハウンドなどが徘徊している場所だったが覚悟を決めて
ヘルハウンドの近くを隠れて通ったら・・・「わー」って驚かされた・・・。
普通のヘルハウンドの個体ではなく、「ルハ」という名前で頭もよくいい子だった。
ゼファーさんの事を聞いたら助けられるというので力を貸して欲しいと言ったら結婚してほしいと言われた。
ちょっと、ううんすごくびっくりした、どうやら少し話をしたけどすごく気に入ってくれたみたいで
本当に好きなのかはわからなかったけど、でも気に入った私をずっと助けようと思ってくれているみたいだった
気持ちがすごくうれしかったけど、この子の為にも私の為にも中途半端な事をしないようにちゃんと向き合って
二人で約束をした。一緒にいて、二人で悲しみを減らして、お互いの事をよく知る。
恋愛や結婚はまだはっきりとしないけど、こういう関係が愛なら恋なら・・・最終的に一緒にいようと思うなら
その時はこの子をきっと私も好きになってるんじゃないかもと思えるそんな気がしたんだ・・・。

ゼファーさんを助けて無事に入口まで戻った時に彼女の様子が少し変だった。
今日だけで色々あったからそのせいだと言っていたけど、今度は私が助けるとそういって羽をくれた
その彼女の笑みと目は、私の知っているゼファーさんのモノではなくて、知らないけれどどこか知っているようなそんな怪しさと危うさを持ったものだった。


リリィとルハと誓いを立てた。
ゼファーさんに頼ると言った。
ガンシュさんとコークバックさんを助けると約束した。
ノーブルエルフさんを助けたいと思った。

背負うものが増えた、破れない約束が増えて行った、助けてあげたい人が増えた
何もないと思った手のなかに大事なものが増えていく・・・
怖いけど、もうなくさないように大事にしていかなくちゃ・・・。


+ 過去に至る選択肢と未来へ向かう約束と
また、知らない場所にでたハイヘンシャンタという町らしいが、ずいぶんと人が多い・・・?
人混みから逃げるように「賢木の木陰亭」に入った。奈落ちゃんという不思議な雰囲気を持ったマスターが
招き入れてくれたのだが、マスターだからなのかなんとなく色々見通しているそんな気がした。
偶然再会したリムから知り合いがいると紹介されたけど、そこにいたのはクリエイターという人だった。

昔、ボロクの街やヴァルハラで会ったみたいなんだけど、なんだかよく・・・思い出せない・・・?
言われてみれば会ったような気がするんだけど・・・こんなに印象的な人の事がどうしてこんなに
思い出せないんだろう。

リムさんとクリエイターさんで「時浸りの迷宮」という場所へ
様々な空間で区切られた迷宮みたいでみんなで協力して色々な試練を乗り越える、そんな印象を受けた。
リリィの力を借りて前衛も少し出ることは出来る様になったけど
まだ今の私じゃ余計な心配と迷惑をかける部分も多かった。

色々な部屋があるなかで入った瞬間にわかった、あの山で情景だと。
その部屋で鎮座するスフィンクスが二人に問題を出している間少し下がって休もうと思った。
フラッシュバックのように思い出が、声が、聞こえてくる
二人が言っていることが微かに聞こえるクリエイターさん達は何かをみている・・・?
耳から入ってくる言葉の意味を本能が塞いだ。

聞きたくない!!見たくない!!!
一番大事な思い出は一番私を傷つけるようにいつだって一番側にいて
思い出すたびに温かくて・・・苦しくなる。

それにリムさんにもクリエイターさんにもなんとなく何があったか悟られてしまった気がする。
知らないでほしい、気づかないでほしい、何も知らないでただ幸せでいてほしい。
私の事でみんなが悲しい思いや、煩わしい思いをしないでほしい。
一方的な我が儘だけど・・・私が隠れて泣いてても、みんなが笑顔ならそれでいいじゃない。

部屋を出る時ふと・・・振り返った、何がとかではなく未練のような何かに駆られ
すると「私」と目が、あった。理解できないという顔、私も同じような顔をしているのだと思う
手を伸ばした・・・

(みんなを止めて)(私の力を持って行って!)(みんなと会わせて!!)(あとあとあと!!!)

ガシッ!!
胸から出た手に体を止められ、リリィの言葉に気持ちを止めてもらった。
この迷宮で自分の成長を実感してた、できる事も増えたし助けられる範囲も大きくなっていた。
けど強くなったのは力ばっかりで、心は成長できてないのかもしれない・・・。


無事迷宮から帰ってきた後、一人街の外へ
また一つあの頃から遠ざかる感覚を受けながら、それでも必要だと言い聞かせ
私が気兼ねなく守ってもらえる存在を、死霊聖騎士を作り上げた。
到底彼とは違うけれど、彼になって欲しいわけじゃないけれど、その騎士に「コトハ」と名前を付けた。
私が一番信頼できる前衛の名前、いつだって私達を守ってくれていたその名前を。

そんな想いを抱いていると、急に人の気配がした。
フードを深く被ったその人は、私達を異端者かどうかを調べにきたらしい
自分がやっていることはまともな人から見れば異端だと見える部分が多くあるし、少し後ろめたい所もある。
そう思って大人しく会話していたら、急に様子が変わった。

声も口調も何もかもがガラリと変わり、私を英雄だと言い始めた。
私が英雄なわけない、今での道のりを見ても、資格という意味でも。
けれどなぜこの人は私を英雄になって欲しがるのだろう・・・?
そういえばゼファーも英雄を守るっていっていたけど、なんだかこの人は少し違う気がする。

そんな異様な雰囲気に押されていると、頭の片隅にあった選択肢を突き付けられた。
今の私にはまだどの可能性も選択肢も選べずにいる・・・。

呆然と彼(彼女)を見送っていると、突然空間から巨大な剣をもった手がその人の腕を切り落とした。
反射的にその人を癒したが、それと同時にあの大きな手になぜか懐かしさを感じた。
もう、何が起きたかわからないことだらけだ・・・
リリィに聞かれた「マリーツィア」という名前にも私は覚えはないんだけど・・・

あの日から2年たった、今になってどうして急に向こうの事柄がこんなにも現れてくるのだろう・・・

+ 様々な世界と私の世界
自分の表情なんてあまり気にしたことはなかったけど、周りの人は思っている以上に私を見ているみたいだ。
誰かを笑顔にするとき自分が笑っていたほうがいい、そんな風に思って笑顔を振りまいてみた。
水連さんをすこし真似して、明るく振舞ってみたけど会う人みんなになんだか少し怪訝な反応をされた。
どうやったらあんなに自然に笑顔を振りまけるんだろう・・・

プログさんと水連さんと一緒に依頼の為に向かった森で、大きなクインマンサさんに会った
それが始まり、首のない騎士の人やピンキーさん?という水連さんの世界から来た人たちが現れ始めた。
森の中がいろんな場所や世界に繋がっているのを感じながら進んでいると
奇妙な・・・生き物が・・・・いた。
全身を襲う嫌悪感や危機感から反射的にプログさんを逃がし、水連さん二人で倒すために戦ってみたけど。
敵の攻撃が激しすぎるし、こちらの攻撃が通じていない・・・
それに水連さんの存在が少しずつ奪われて行っている・・・?このままいったら水連さんはどうなるの・・・?
「逃げて!!」と水連さんが言う、リリィも同じことを言ってる。
自分でもわかってる、これは私達じゃどうすることもできない相手だって。
だけど声がしたんだ、私の声だ、幻聴なんだろうけど聞こえた・・・。

マタ、ワタシダケ、イキノコルノ?

無理だった、二度はもう生き残れても私はきっと耐えられない・・・

自分の中にあった最後の可能性に賭けて、攻撃に耐えてみたけど・・・
あぁダメだった、目の前に迫る異形の手を前に、私の意識は、途切れた。

真っ白な世界で、ふわふわとした感覚の中で、プログさんが必死に戦っているのがなんとなく見えた。

目を覚ますとプログさんと水連さんがそこにいた、思わず抱きしめた。
私はまた、失ったのかと守れなかったのかと思った。

安心した最中現れたもう一体を水連さんと倒し、森から出ようとしたけど出れない・・・
行く当てもなくなってしまったので、地図で見えた人のところへ。

森の中の小屋を訪ねてみたら、女の子が出てきた。
年齢が全然違うけど、表情や仕草が彼女とダブった・・・

「アシェル・・・?」

「何よ、無月」と平然と返された。
その一言で息が詰って、思わず何もかもを捨てて、縋りつきそうになった。
すると厳しい一言で止められた。

ただ・・・その一言だけだった。
その後アシェルはずっとやさしかった

「子供の姿だから」なんてらしくない言い訳みたいなことを言いながら
冗談すら言って私を笑顔にしてくれた。

自分がまだ声を出して、笑えるんだなんて知らなかった・・・

本当はわかっていた、このアシェルが私の知っているアシェルと違う事を
このアシェルも、私と同じ別世界から来たアシェルみたいでこのアシェルは私とサムさんを失ったが
ヘイトレットを倒して、旅を終えたらしいが結末に納得していないらしい。

彼女は言った。
「私たちがそろっていて、負けるはずないもの」と
あぁ・・・たとえ別の世界のアシェルでも思ってくれていることは同じなんだ。
私も同じだったみんながいればなんでもできるってあの時まではそう思っていたから。

だから私も探したい、私の納得できる結末を。
たとえ・・・どんな手段を使っても・・・私がどれだけの代償を払っても・・・。

だって今は一人じゃないってそう・・・少し思えるようになってきたから。


+ 偽りと本物
目が覚めると少し見慣れてきたハイヘンシャンタの自室
今まで余り固定の宿にずっといる事が無かったから部屋や場所に慣れるという感覚に
少し居心地の悪さを感じる。
昨日の疲れか少し遅めに起きると最近よく組む、水連さん、リムさん、プログさんが
依頼を選んでいたみたいで一緒に・・・と配達の依頼を請ける事に。

馬車を使い途中休憩をしていると、急に霧が出てきた。
水連さんによると周りを何者かに囲まれているらしい、注意深く様子をうかがっていると
仮面をつけた少し妙な集団が姿を現した。
話を聞くと人?違いだったみたいだったけど、この妙な霧はどうやって発生させていたんだろう・・・?

みんなに怪我がないと安心していると、リムさんの様子が少し変・・・?
どうやら御者さんが二人に見えているみたい、私達には見えていないし龍人特有の何か
の力なのかな。
あれこれと調べていると急に「避けるのじゃ!」という声と共にリムさんが斬りかかってきた、水連さんはなんとか受け止めたみたいだけどあまりの事に私はまったく動けずにいた。

どうやらリムさんが言うには自分が偽物だという、ただ少しリムさん事態の意識?みたいなものがあるのか私達に味方してくれているような気がした。
デザイアで会ったコトハのような偽物・・・?のような者かな・・・
けれど持っている力は本物そのもので、私達三人で戦っても互角の戦いになった。
真っ黒な炎とリムさんのブレスが襲い来る・・・経験則でわかる・・・
私の力を全て使い切れば私以外は助けられる・・・!
魔法も装飾品も能力も全部使い切った・・・!
代償で震えが止まらなくなってきた指先の向こうで二人がなんとか立っているのを
見た後私は意識を失った。

目を覚ますと黒い影のような世界が広がり続けていた
私が倒れた後どうやら水連さんとプログさんで偽リムさんは倒せたらしいけど
まだどうやら終わりじゃないみたい。
空間の亀裂からボロボロになったリムさんが落ちてきた。
どうやらリムさんも別の場所で戦っていたみたい、よくわからない触手のようなものが
まだまだ溢れてきた、少なくともまだ危機は去っていないみたいだった。

ギリギリの状態ながら少しずつ触手を減らしていたけど、突如本体から一際大きな攻撃が
撃ちだされた、みんなに回復を振りまけたけど攻撃の余波に巻き込まれて私自身の身体が
耐えられず吹き飛び視界が真っ黒の世界に落ちていった。

いつの間にか黒い世界が少しずつ白んでいきそこでネームレスという少女に出会った
彼女が言うには目の前の亀裂から現れた大量の触手の様なものは
世界を呑み込もうとするモノらしい。
勝算は正直わからなかった、でも代償はもう少し払える・・・
だったら私が考える事は世界を救うとか化け物を倒すとかじゃなくて
目の前のみんなを守る、それだけに命を懸ければいい。
震えが止まらないのは代償か失う恐怖かはわからないけど、聖印を胸に前を向いた。

ネームレスさんの加護のおかげもあったけれど、あのワールドホールに対して
みんなすごい戦いをしていた、特にリムさんとプログさんは少し前とは
比べられないほどに強くなっていた、それを後ろで見ていて本当に安心した。

みんなの力を合わせてなんとかワールドホールを封印した後、詳しい話を聞くと
どうやらネームレスさんはイクシニアという力を使い、このワールドホールを倒す旅をしているらしい、人知れず誰かの為にあんな強大なものと戦っているこういう人の事を英雄
というんじゃないのかな。あの独特な雰囲気を持つ人が探しているのはこんな人なのかな
と思いながらネームレスさんを見ていた。

気が付くとハイヘンシャンタに戻っていた、奈落ちゃんが言うには世界的にはほんの1秒
ほどの話、夢験石と同じ状況だったのかな・・・
肉体的な傷はないみたいだけど、精神的にはとても疲れたので今日のところはこれで
解散という流れになった。
そういえば・・・奈落ちゃんに聞きそびれたことがあったんだった。
時浸りの迷宮で見たここの前のマスター、あの人がどうしているのかと思い
奈落ちゃんに聞いてみたけど・・・なんだかんだで少しはぐらかされた様な・・・?
奈落ちゃん達のおかげでアシェルや他の事で少し助けてもらっているし
私も少しだけでも奈落ちゃん達を助けようと思う、恩返しみたいなかたちだけど。
感謝はきちんと伝えて、行動で示したいから。

寝る前に奈落ちゃんからもらったマンサチケットを使ったら、茶色のクインマンサが現れて知っている人か、知らない人を呼んで合わせてくれるらしい。
アシェルを・・・呼んで欲しいと言ったら、色々な世界の中からどれを選ぶ?と言われた
結局、この前のアシェルと同じで私の探しているアシェルじゃない、他の世界線の彼女
なんだろう呼べないってことはやっぱりそういうことなのかな・・・
「甘えている」小さなアシェルの声を思い出した。
また別の世界線のアシェルを選んだけれど、結局私は前を向いているようで後ろばかり見ている、1人で歩いていくことができずに必死にみんなを探している。
ベットの上で小さいマンサさんを抱きしめながら、自分のしたことが良いことなのかが
正しいのかわからないまま静かにその時を待っていた。


+ 誰かを赦すという事
今回はハイヘンシャンタで殺人犯を捕まえる依頼を、リムさんと水連さんと一緒に受けた。
ただ今日は色々宿が騒がしい、怪盗が何かを盗もうとしているみたい
誰かの大事な物を狙っているみたいだった。
みんな色々と自分の大事な物を守ろうと考えていたけど、不思議と自分自身に対しての危機感が
あまりないのは今の私にはきっと・・・。

依頼に行く前にアシェルが店を始めたらしいけど、色々とポーションを作って売ってくれるみたい。
けれど少し意外だったな、アシェルはこういうことするより研究とかに時間を使いそうだったけど
何か考えがあるのかな?そういう点も元のアシェルとも違うような気がした。

依頼の森に入ったところで急に「ヤトラ」と鳴く生き物に襲われた、リムさんは何度か会ったことがあるみたいだったけど、危険な生き物らしい。毒やかみつきなど危険な攻撃が多い敵だったけどなんとかみんなで退ける事
はできたけど、けれど・・・あの子もなんだか何かを言いたそうだった。
わかってあげたかったけど・・・けれど・・・優先順位は間違えない。
あの子を理解できるようなりたいならもっと、みんなを守れるようになってからだから。

森の奥にあった転移魔方陣を抜けると小さな小屋があった、そこには私と似たように魔神と契約した魔術師だった。リリィと似た種族だったけど、あまり仲は良くないみたい・・・同族嫌悪・・・?
そんなこと言ったらリリィに怒られそうかな?

結局魔術師の人は蛮族からの勧誘を受けて研究資料を盗んだみたいだけど、それでその弟子を殺した。
今日の20時に蛮族が迎えに来たら殺されるかもしれないからと投降してくれたので
とりあえず奈落ちゃんのところへ、罪を犯したなら罰が必要だけど許す事はきっと必要なことだと思う

だけど・・・償う意志があるからって許す事は正しいのかな、殺された人の関係者はそれでいいのかな?
ヘイトレットが償うって言ったら、私はそれを赦せるのかな・・・?

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最終更新:2024年12月16日 10:29