027
偽りの悪評 ◆w9XRhrM3HU
「ま、待って……待ってよぉ……」
やれやれだ。
俺はそう呟きたくなった。
俺とホ女は今、音ノ木坂学院とかいうのに向かっている。
どうやら知り合いが居るらしい。俺には関係ないが付き合ってやることにした。
無論、これで屁のことはチャラだぜ。
本当なら髪を毟ってやるところを、勘弁してやってこれだからな。聖人ならぬ聖犬だよ俺は。
「も、う……だ、め」
はあ~。
なんでこう人間ってのは、バテやすいんだろうな。
俺が走ってるのを後ろから追いかけるのは良いが、すぐにスタミナが切れやがった。
二足で走るから人間は馬鹿なんだよ。
ぜえぜえ言いやがって、雌豚みてえな奴だぜ。いや豚はブヒブヒか。
まあ何だって良い。ちったあ待ってやるかね。
「大丈夫かな。お嬢さん」
ホ女がへばってるとこに男がきやがった。
黒髪で長身の男だ。まあジョースターの方がガタイはいいが、顔立ちは人間の中じゃあ悪くない方だな。
あれはきな臭いぜ。何かむかつくしな。
「あ、貴方は……」
「名乗り遅れたね。私は
ロイ・マスタング」
「えーと、私は……」
「いや名乗らなくていい」
「え?」
あれか? 名前を聞く前に名前を当てる手品をやろうってか?
遊び慣れてるな。ホ女はヤリ捨て確定か?
「死んで貰うからね」
俺は舌打ちしながら愚者(ザ・フール)を出した。
面倒なことに、マスタングは殺し合いに乗っていやがるらしいな。
俺には関係のない事だが、一応ホ女に付き合ってやる事にした訳だし、少し助けてやることにした。
マスタングが取り出した剣がホ女を斬り付ける前に、愚者を刀身に叩きつけ狙いを反らしてやる。
勿論、スタンドはスタンド使いにしか見えねえ。ホ女もマスタングも何が何だか分からないはずだ。
俺は無関係な面装って、普通の犬の振りをしてれば報復を食らうこともないわけだ。
ほらとっとと逃げろって……。
「な、なんでマスタング……さん」
あのビチクソ女がッ! 腰抜かしやがった!!
せっかく人が気まぐれで助けてやってんのに何やってんだてめえッ!
「ほう、変わった力だね。君のかな?」
あ? 今なんつった?
あいつ、変わった力と言ったのか!?
まさか愚者が見えている? スタンド使いかこいつ!
「え? え? 今の何……私じゃ……」
い、いや、ホ女にも見えていた……。
俺の愚者がスタンド使いでもない人間にも見えているッ!
どういうことだ? スタンドはスタンド使いにしか見えないのがルールだろうが!
まさかホ女もマスタングもスタンド使い? んなアホな。
マスタングは今、「変わった力」と言ったんだぞッ!? つまり奴はスタンドを知らない、スタンド使いじゃあない。
そしてホ女だって、スタンド使いとは到底思えん。
「ふむ、ではあの犬かな?」
何にせよ不味いぜこいつは。あのホ女、あっけに取られ馬鹿正直に答えちまった。
てめえの能力じゃないと分かれば、消去法的に俺の能力ってばれちまうだろうが。
となればこいつは俺を敵として襲ってくるかも知れねえッ!
いや、既に敵として認識してやがる! こいつマスタングの野郎、俺を見ていやがる!
ああ、クソッ!! 最悪だ。気紛れに人助けなんかするんじゃあなかった! ホ女がとっとと逃げてりゃあ俺も普通の犬面して、さっさとズラかれたってのに!
今から馬鹿犬のフリすれば見逃さねえかこいつ!?
「特殊な能力を持った犬か。興味深いな、錬金術師としてね!」
だ、駄目だ! 俺がスタンド使いだとこの野郎は確実に認識しているッ!
こうなったらやるしかねえ! 『愚者』!!
マスタングの剣に合わせ、俺の愚者を盾に変形させる。
俺の愚者は砂のスタンド。変幻自在だ。盾だろうが何にだってなる。
マスタングの剣と愚者の盾激突する。が、大した事はねえ所詮人間の力だ、そう簡単に愚者が……。
「!?」
剣と盾がせめぎ合う。マスタングは全体重を剣に乗せてきやがった。
普通なら、人間の体重如き跳ね除けられる。
なのに……ば、馬鹿な……こいつ重過ぎるッ!
有り得ん。どう見たってジョースターよりも小柄なマスタングがこんな異様な重さを持ってるだなんて!
腹の中に何詰め込んでやがる! 人間の重さじゃあないぞこれは……!
「どうした? 苦しそうじゃないか」
うるせえんだよこの隠れデブ!
か、考えられるのは一つ。……スタンドだ。こいつは自分の重さを操れるスタンド使いなんだッ!
さっきマスタングはスタンド使いではないと思っていたが、もしかしたら自分がスタンド使いだと認識していないだけなのかもしれない!
スタンドのビジョンが見えないのが気になるが、そんなこと言ってる場合じゃあねえ。
重すぎるぞ……。俺のスタンドパワーを全開にしないと受け切れん!
その上、滅茶苦茶な集中力が居るもんだから、俺自身が動けねえ!
不味い! 非常に不味い! 愚者もこの重さに長くはもたねえ!
集中しすぎて俺のハンサムでキュートなドッグフェイスが人面犬みてえに歪んじまった!
しかも力みすぎて屁まで漏れてきやがったッ!
「さて、あともう一押しかな」
「駄目っ! ワンちゃん!!」
ああ、もう駄目だぁ!! 御終いだよくそぉ!!
ホ女なんとかならねえのかぁ!!
一か八か愚者を消して、剣をかわすか? だがタイミングがシビア過ぎる!
「何やってんだてめえ!」
ホ女やマスタングでもなく、当然俺でもない別の声が響いてくる。
マスタングは咄嗟に剣を引き、俺もスタンドを下がらせ一気に距離を取った。
た、助かった……?
声の主はダセェ服装した田舎野郎だった。
「見て分からないかね?」
「言い訳もなしってか? いっそ清清しいなオイ」
「それで君はこの私、ロイ・マスタングをどうする気かな?」
「斬る!」
正義感に燃える田舎野郎が剣を持って突っ走りマスタングに斬りかかる。
マスタングは剣を受けながら反撃に移るが、それよりも田舎野郎の剣の方が速い。
為す術もなく防戦一方に追い込まれやがった。
やるじゃあねえか、田舎野郎。まあ俺も本気出せば負けない自信はあったがね。さっきのはホ女が悪い。
「なるほど、威勢が良いだけではないらしい」
「そういうアンタも大したことないな」
「確かにそうだな。……だから、ここは逃げて他の参加者を殺すとしよう」
「何!?」
田舎野郎の剣を振り切ったマスタングは背を向け全力疾走で駆け抜ける。
速い。人間業じゃあない。あれもスタンドの能力に違いねえ。
田舎野郎ですら、追跡は諦めて剣を収めてやがる。
「くそっ逃げ足の速い奴だ。……あんた大丈夫か!」
「は、はい。ありがとうございます」
やれやれだぜ。
何はともあれ助かったのは事実だ。だが俺の心配をしねえのはどういう了見だこいつ。
「俺は
ウェイブ。殺し合いには乗ってない」
「私は穂乃果です。私もそんなもの乗ってません」
そもそも死に掛けたのは、そこのホ女のせいだってのによぉ。
腹が立つぜ。この田舎野郎には屁をかましたいとこだが、生憎さっき漏れて品切れだし代わりに良いモンくれてやるぜ。
「あっワンちゃんどうし……」
「こ、こいつッ! 俺の靴の上でクソしやがった!!」
【B-7/1日目/黎明】
【高坂穂乃果@ラブライブ!】
[状態]:ワンちゃん(
イギー)への怒り、疲労(中)
[装備]:練習着
[道具]:基本支給品、鏡@現実、幻想御手入りの音楽プレーヤー@とある科学の超電磁砲、コーヒー味のチューインガム(1枚)@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース、イギーのデイパック(不明支給品1~3)
[思考・行動]
基本方針:μ'sのメンバーを探す。
1:音ノ木坂学院へ向かう。
2:今度はクソかッ!
3:イギーと一緒に行動する。
4:さっきの砂の人形みたいなのはワンちゃんの?
5:ウェイブさんと話す。
6:ロイ・マスタングを警戒。
[備考]
※参戦時期は少なくともμ'sが9人揃ってからです。
※イギーを「ただの犬」だと思っていましたが認識が変わってきています。
※イギーの名前を知らず、「ワンちゃん」と呼んでいます。
※『愚者』を見ました。
※幻想御手はまだ使っていません。
【幻想御手について】
幻想御手を使うことで、たとえ学園都市の人間でなくてもレベル2程度の異能を手に入れることができますが、使用してから24時間後に脳死します。
手に入る異能は他の書き手の方にお任せします。
【イギー@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・行動]
基本方針:巻き込まれたくないが、とりあえず動く
1:ホ女に付き合ってやる。
2:広川をひでー目に遭わせてやる。
3:ジョースターたち(承太郎、ジョセフ、アヴドゥル、花京院)に会ったら髪を毟り、屁をかます。
4:田舎野郎(ウェイブ)は様子見。
5:ひでェ目にあったぜ。もう二度と人助け染みた事はしない。
6:ロイ・マスタングを警戒。
[備考]
※参戦時期はエジプトの砂漠で承太郎たちと合流する前からです。
※『愚者』の制限については、後続の書き手の方にお任せします。
※穂乃果を犬好きだと見なしています。
※穂乃果の名前を聞きました。
※スタンドが普通の人間にも見えることに勘付きました。
※マスタングはスタンド使いだと思っています。
【ウェイブ@アカメが斬る!】
[状態]:健康、イギーに怒り
[装備]:エリュシデータ@ソードアート・オンライン、イギーのうん○@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース
[道具]:基本支給品、
タツミの写真詰め合わせ@アカメが斬る!
[思考・状況]
基本行動方針:ヒロカワの思惑通りには動かない。
1:他参加者(工学に詳しい人物が望ましい)と接触。後ろから刺されぬよう、油断はしない。
2:地図に書かれた施設を回って情報収集。脱出の手がかりになるものもチェックしておきたい。
3:首輪のサンプル、工具、グランシャリオは移動の過程で手に入れておく。
4:盗聴には注意。大事なことは筆談で情報を共有。
5:
クロメ達はともかく、
エスデスはグランシャリオを取り戻すまで会いたくない。
6:穂乃果と話す。この犬は後でシメる。
7:ロイ・マスタングを警戒。次会ったら斬る。
[備考]
※参戦時期はセリュー死亡前のどこかです。
「ハハハッ! 良い感じだよ!」
ロイ・マスタングの姿をしたエンヴイーは愉快そうに笑う。
殺しの邪魔をされたというのに、そこに忌々しさや怒りはまるで感じられない。
むしろラッキーだったと言いたげな程、笑顔を浮かべていた。
「運がいいな。ウェイブ? だったけ。良い奴に良い感じで大佐の悪印象を植え付けられたよ」
詳細名簿に記載されたウェイブの項目。
幾つか意味の分からない用語があったが、イェーガーズと呼ばれる軍人らしい。
正義感は高い。戦力も十分。次、大佐と会えばほぼ間違いなく殺し合うだろう。
「楽しいねえ。さて、次はどうしようかな」
マスタングの姿から穂乃果の姿へ更にイギーへと変わりウェイブのへと変身する。
最後に髪を伸ばした青年の姿。
エンヴィーが普段から使用する容姿へと戻る。
手にある詳細名簿。そして変身能力。この二つでどう遊ぶかエンヴィーは思案を巡らせ始めた
【B-7/1日目/黎明】
【エンヴィー@鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST】
[状態]:健康
[装備]:ニューナンブ@PERSONA4 the Animation、ダークリパルサー@ソードアート・オンライン
[道具]:ディパック、基本支給品×2、詳細名簿
[思考]
基本:好き勝手に楽しむ。
1:マスタングの姿になって、彼の悪評を広める。
2:エドワードには……?
3:ラース、プライドと戦うつもりはない、ラースに会ったらダークリパルサーを渡してやってもいい。
[備考]
*参戦時期は死亡後。
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最終更新:2015年08月28日 04:59