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THE WAY OF THE ANSWER TAIKER - (2007/11/26 (月) 09:25:34) のソース
**THE WAY OF THE ANSWER TAIKER ◆hNG3vL8qjA 「うっかりしてたよ。おねーさんの形見を忘れるなんて、失職モンだ」 「しょげるなよジン。それだけお前がヨーコさんのことを引きずってたんだよ」 「引きずってたら尚のこと、そのまま『引退』したほうがいいんじゃ……」 「もう彼女の支給品はちゃんと回収したんだし、今は目の前の事に集中しようハッハッハ」 「……言ってるアンタが引きずっちゃってどうすんの。目が死んでるぜ清麿」 森を漸進する天才と王泥棒。高嶺清麿とジンは共にしょんぼりしていた。 C-7に安置されているヨーコの支給品一式を、完全に失念して一度家を出てしまったからだ。 清麿は自分の迂闊さとヨーコの死で戦術的基本行動がおろそかになっていた事を戒め、 ジンは自分の至らなさとヨーコの死で職業病すらまともに発揮できないほど動揺していることを恥じた。 彼らは決してヨーコの死を軽んじているわけではなかったが、だからこそヨーコ以外の事に目が入らなかったことが許せないのだ。 2人の最善の手を捜し求める頭脳と己のスタンスを貫く胆力は、まだ完全な状態ではないらしい。 「ジン、そろそろ森を抜けるぞ。ラッドの奴がカンカンになってそうだな」 「沸騰した頭で旨いサニーサイドを作ってたりして」 「朝飯時はもうとっくに過ぎてるだろ……ところでジン、消防車に乗ったら聞いてほしい話があるんだ」 「へぇ、森で話さなかったところをみると、あまり人に聞かれたくない話なのかな? 」 「あくまで俺の推察だが、重要な話には違いない。紙にもまとめてある」 「仕事が速いね。覗いてみたくなったよ、あんたのその頭の中のゼンマイをさ」 「冗談は止せよ。ま、そういう事で宜しく……な!? 」 「……マズイぜ清麿。ラッドの怒りが町を焼き上げちまった」 清麿とジンが森を抜けたとき、彼らの目に入ってきたのは火の海と化したエリアC-6だった。 崩れ落ちる瓦礫と反響する放出音。戦闘による無機物たちの唸り声が聞こえている。 その惨状を見たとき、2人がどう行動するのかは明白だった。 体を労わないスピードで、自分の達の元の鞘――消防車のもとへ戻り、スタンバイすること。 彼らの一連の行動にどれほど時間がかかったかはわからないが、その動きは実に無駄のない流れだった。 「ゼェハァ……当然だがラッドはいない! 見慣れないバッグが運転席あるが、特にいじられた様子はなさそうだ」 「そのバッグには遺失物届けを出しとくよ。問題はラッドだ。一度ここに戻ってきたとは考えにくいね。 森にいるときには銃声が全く聞こえなかった……今のうちに葬送曲でも贈るかい!? 」 「馬鹿を言うな! アイツに何かあったのは間違いないが、後ちょっとで放送だ。その時にはわかる」 「でもこのままじゃ向こうのエリアが本当に“対岸の火事”になっちまうぜ。アンタは遺憾の念を贈ってそれで気が済むのかな。 煽るつもりは無いけど、清麿は黙っていられる性分じゃないだろう? 清麿の相棒がいたらそれこそ……」 「クソッ! ラッドをほっとくわけにもいかないが……あの災害をこのまま黙って見すごすわけにはいかない……」 「俺は伝言役で残るつもりはないぜ。どうせなら清麿と一緒に人命救助をやらせて欲しいね。リスクの問題さ。 ラッドが好きか嫌いかは置いといて、アイツはそう簡単に死ぬような男じゃない。死ぬ直前までピンピンしてそうだし」 「……止むを得ない。 ここに伝言を残しておこう! 」 「そうくると思ったよ。任せといて、ここに着いたと同時に地面にXYZ(緊急サイン)のアート、始めてたから」 「出来るだけラッドが俺たちの所に合流したくなるような奴を頼む! 」 清麿が消防車の点検をし終え、ジンが夜刀神で地面に大きく文字を刻む。 「……へいおまち! ルートはどうする!? 」 「乗りながら話そう。いくぞ! 」 貧血の彼らに輸血してしまいそうなほど赤い車が、自分の本職を全うしたそうにエンジンを吹かす。 2人の最善の手を捜し求める頭脳と己のスタンスを貫く胆力は、いつの間にかほぼ完全な状態に戻ったようだ。 ちなみにジンが道路のそばに施したアートの詳細だが、それはぶっきら棒な文字列の刻みだった。 『コックを待たせる客に疲れました 「耳」寄りな話があったので転職します HO! HO! HO! 「予定通り」の王ドロボウ』 ■ ■ ■ 「……おいおい、それじゃ最初から病院に行くしか手が残されてないじゃないか!」 「そんなこと言ったってコイツは救命が本職じゃないし。どのみち誰かを病院に連れていくのなら、ね」 「確かに、誰が読んでも『病院に行く』と気づかないメッセージを残したのは助かるけどさ」 「清麿ならどんなに無茶なメッセージを書いても上手くやってくれると思ってたのさ」 巨大な体躯を振り回し、消防車はD-6を進む。 『D-7へ一旦下り安全なD-6へ渡る。次に病院とC-6を行ったり来たりし、消防活動をしながら火災の被害を受けた人たちを助ける』 運転者ジンとナビゲーター清麿が導き出した最良の結論はこれだった。 といっても、ジンの不本意な置き言葉に清麿が無理矢理辻褄を合わせた形になってしまったのだが。 「清麿の『耳』の負傷を知ってるのはラッドとあのヤバそうな2人だけ。 んで清麿はラッドと互いに取引している。その耳の治療のためにいずれ病院に行くはずだったんだし、流石にピンとくるでしょ。 一番の問題はラッドにご足労願って来てもらった後、また殴られ……」 「ちょ、ちょっと待てジン! 車を止めてくれ! 」 「え? 」 清麿の静止に納得がいかない顔をするも、ジンはブレーキを踏む。 そして自分の顔を見ず青ざめた顔でサイドミラーを見る清麿にハッとし、彼も窓から顔を出した。 彼らの目に映るのは、全身を血化粧で纏うE-6なデパートの大炎上。彼らにとってはさっきまでごく普通の建造物だったものだ。 「どうにも、今日の太陽はカゼ気味らしいね。もう一発くしゃみをされたらココも燃えるかな」 「おいジン!」 「……俺だってジョークでも言わなきゃこんなのやってられないぜ。で、どうする? 」 「火災は2箇所、消防車は1台、俺たちは2人。こんな状況で……何とかしろっていうのか! クソッ! 」 前門の虎と後門の狼に挟まれし少年たち。 ジンと清麿をあざ笑う焔の秒針は全てを刻み、彼らを追い詰める時の両針はもうじき天を仰ぐ。 彼らの心は、決断という歯車に少しづつ少しづつ締め付けられていた。 2人の最善の手を捜し求める頭脳と己のスタンスを貫く胆力は、もう完全な状態になっているはずなのに。 【D-6/中央部/路地/1日目/昼】 【ジン@王ドロボウJING】 [状態]:消防車の運的席。大程度の疲労。全身にダメージ。左足と額を負傷(応急処置済み)、貧血。 [装備]:夜刀神@王ドロボウJING×2(1個は刃先が少し磨り減っている)、穴の空いたデイパック(リザが放置したもの) [道具]:支給品一式×2、予告状のメモ、鈴木めぐみの消防車の運転マニュアル@サイボーグクロちゃん [思考] 基本:螺旋王の居場所を消防車に乗って捜索し、バトル・ロワイアル自体を止めさせ、楽しいパーティに差し替える。 1:マズイね。 2:ヨーコの死を無駄にしないためにも、殺し合いを止める。 3:ラッド、ちゃんと病院に来てね。 ※ヨーコの支給品は回収しました。 ※C-7の道路のそばにジンが刻んだメッセージがあります。 【高嶺清麿@金色のガッシュベル!!】 [状態]:消防車の助手席。右耳欠損(応急処置済み)、軽い貧血、小程度の疲労 [装備]:イングラムM10(9mmパラベラム弾22/32) [道具]:支給品一式(水ボトルの1/4消費、おにぎり2つ消費)、殺し合いについての考察をまとめたメモ帳、 イングラムの予備マガジン(9mmパラベラム弾32/32)×5、魔鏡の欠片@金色のガッシュベル!!、 無限エネルギー装置@サイボーグクロちゃん、清麿の右耳 [思考] 基本方針:螺旋王を打倒して、ゲームから脱出する 1:落ち着け……『クール』になるんだ高嶺清麿! 2:病院でジン及び自身の右耳の治療。ラッドと合流(仕方が無いので病院で)。 3:頃合いを見計らって、殺し合いについての考察をジンに説明したい。 4:考察の真偽を確認するための情報収集。とくに螺旋力について知りたい。 5:螺旋王に挑むための仲間(ガッシュ、フォレゴレ等)を集める。その過程で出る犠牲者は極力減らしたい。 ※清麿の考察について 監視方法について 首輪にGPSと盗聴器を仕込んでいて、参加者同士の戦闘が発生した際に特殊な能力などで戦闘を監視しているのではないかと推測。 螺旋力について 螺旋力の覚醒を、魔物の戦いにおける新たな術の発現と似たものと認識。 魔物の新術が発現することが戦闘中に多いことから、螺旋力の覚醒も戦闘中に起こるのではないかと推測。 一般人、魔物、特殊能力者等関係なしに、殺し合いの参加者全てに螺旋力覚醒の可能性が秘められているのではないかと推測。 上記の考察をメモ帳にまとめてあります。 *時系列順で読む Back:[[死ぬほど辛い]] Next:[[ ]] *投下順で読む Back:[[死ぬほど辛い]] Next:[[消えない憎悪]] |134:[[高峰清麿の考察、王ドロボウの消失]]|ジン|| |134:[[高峰清麿の考察、王ドロボウの消失]]|高嶺清麿||