とある魔物の海底撈月(後編) ◆6lyiPawAAI
東三局十四本場(親・UNKNOWN2)
ドラ表示牌・東
「ポン」
この局、衣は上家からポンする。
すなわち、海底コース。
(……何だ? UNKNOWNたちが動かないだと?)
黒服が後ろで疑問を抱く。
どうしてカンで海底防ぎに行かないのかと。
「まさか……」
黒服が少し左右に移動して、衣の上家・下家の手牌を見ると見事にバラバラだった。
カンはおろか、ポンやチーですらもできそうにない。
(防ぎに行かないのではなくて、防ぎに行けないのかっ……!!)
黒服がそうして驚愕している間にも局は進み、海底牌が衣の下へ。
海底牌を器用な仕草で卓に叩きつけ、衣は滑らかに宣言した。
「ツモ」
衣手牌
三四赤五ⅢⅣ赤Ⅴ34赤57 ⅨⅨⅨ ツモ:7
「三色海底ドラ3。2000-4000の十四本場」
東三局 終了時
ギャンブル船:41200
UNKNOWN1:15600
UNKNOWN2:24600(親)
UNKNOWN3:18600
「今のは風越の大将の分だ。疾く次に参ろうか」
衣の海底撈月を最も多く喰らった人物、
池田華菜。
今、誇りを掛けた衣の海底撈月を池田華菜に捧ぐ。
東四局(親・UNKNOWN3)
ドラ表示牌・六筒
この局、衣は南家なので、何もせずとも海底コースである。
UNKNOWNとしてはこのまま勢いづかせての連続海底は避けたい所。
「ポン」
始まって数巡目、衣の対面、UNKNOWN2が二索をポン。
これにより、海底コースがUNKNOWN2に移る。
「ポン」
その一巡後、UNKNOWN2から衣がポン。
海底コースも一巡して再び衣の下へ戻る。
(UNKNOWNがカンできず、天江にまた海底コース……これも支配の一環か)
黒服はそう判断しながら、一巡して再びツモ番が来た衣の手牌を覗き見る。
衣手牌
ⅢⅣ赤ⅤⅥⅦⅧⅨ777 南南南 ツモ:Ⅰ
(ドラの七筒暗刻に赤含み三面張の好形で満貫確定……このままツモ切りか)
しかし、衣はツモってきた一索を迎え入れ、ドラの七筒を切る。
(何っ!? 三面張からドラを捨てて残り一枚の二索を待つだとっ……!!)
黒服はそのあまりにも非合理的な打ち筋に今一度驚く。
しかし、魔物にとっては自分の打ち筋こそ最適解。
その事実はすぐに思い知らされることになる。
「カン」
衣の対面、UNKNOWN2がツモってきた二索を加カン。
そして嶺上牌に手を伸ばす。
「木偶、何をやっている」
「?」
「ロンといったはずだ。その嶺上牌を取る必要はない」
衣手牌
ⅠⅢⅣ赤ⅤⅥⅦⅧⅨ77 南南南 ロン:Ⅱ
「一通槍槓、南ドラ3 12000!
これは鶴賀の大将の分だ」
大将戦にて咲のカンに唯一槍槓で対応した打ち手、
加治木ゆみ。
今、衣による槍槓を加治木ゆみに捧ぐ。
そして、多面張を捨てての悪待ち。
それに捧げられるべき人物もいたのだが、衣はそれを知らない。
東四局 終了時
ギャンブル船:53200
UNKNOWN1:15600
UNKNOWN2:12600
UNKNOWN3:18600(親)
(馬鹿な……槍槓だとっ! そんなレア役、何年に一度出るかどうか……っ)
UNKNOWN2が焦ったかとその手牌を見ると、非常に高い手で張っていた。
念のため、監督者権限で嶺上牌を確かめてみると、それはUNKNOWN2の和了牌だった。
(これが天江の支配っ……)
さすがの黒服もこの意味不明な状況に戦慄さぜるを得ない。
無論、衣の快進撃はここで止まらない。
南一局(親・ギャンブル船)
ドラ表示牌・發
「リーチ」
開始直後、親番……すなわち衣がリーチの声を上げる。
最序盤、東一局ではUNKNOWNを警戒して避けたものであるが、UNKNOWNが嶺上使いを汚す打ち手である事に赫怒した本気の衣に迷う事はない。
果たして、UNKNOWNらは何ら身動きが取れず、次の巡。
「ツモ」
衣はあっさりと和了ってのけた。
「ダブリー一発。4000オール」
南一局 終了時
ギャンブル船:65200(親)
UNKNOWN1:11600
UNKNOWN2:8600
UNKNOWN3:14600
「これは……とーかの分だ」
最も近くで衣を支え続けてきた従姉妹、
龍門渕透華。
今、稲妻のごとき一発ツモを龍門渕透華に捧ぐ。
南一局一本場(親・ギャンブル船)
ドラ表示牌・西
「カン」
最早、聞きなれたかのようなカンの一言。
だが、その音声は無機質な物ではなく。
(天江がカン……だとっ……!?)
黒服はよもや嶺上開花までする気かと目を見張ったが、衣は普通にツモ切りした。
(さすがの衣も嶺上使いのような事は出来ん。衣は衣に出来るやり方でこやつ等を叩きのめす!)
衣の今回のカンは暗カン。
東家の衣はこれで海底コースに。
「カン」
すかさず、UNKNOWNの迎撃が入る。
(今回はカンできるのかっ……)
目まぐるしく変わる衣の支配に黒服は目を白黒させる事しかできない。
そして数巡後。
「リーチ」
衣からのリーチ宣言。
「ポン」
UNKNOWNの1人が一発消しに走る。
だが、衣がそれにひるむ事はない。
「ツモ」
またもやあっさりと和了る衣。
この局、結果論で言えば、流れを変える余裕は十分にあったが、海底警戒で鳴くのを控えていた為にそれはできなかったのだった。
衣手牌
二三四七七七ⅥⅦⅧ4 6666 ツモ:4
「リーチドラ7。8100オール」
カンドラ1枚目の裏が六萬、2枚目の裏が五筒。
見事に暗刻、暗槓にカンの裏ドラが丸乗って倍満までに至った。
「これが清澄の嶺上使いに捧げる衣の槓の使い方だ」
衣を破り、考えを変革させた打ち手、
宮永咲。
今、槓裏丸乗りの高打点を宮永咲に捧ぐ。
「そして、受けてもらうぞ。最後に、衣の分を!!」
その言葉と共に、雀卓一帯の空気はさらに異様さを増す。
次で最後。その言葉通りならば、最も凄惨な事が起こるに違いない。
南一局一本場 終了時
ギャンブル船:89500(親)
UNKNOWN1:3500
UNKNOWN2:500
UNKNOWN3:6500
南一局二本場(親・ギャンブル船)
ドラ表示牌・南
「カン」
一巡目、UNKNOWN1がいきなり仕掛ける。
暗カンである。
一巡目から槓材が揃っているのは劣化コピーとはいえ、宮永咲の能力の賜物だった。
「カン」
そして、そのUNKNOWN1の捨牌にUNKNOWN2が呼応する。
「カン」
そして、UNKNOWN3もまた。
(これはっ……!!)
黒服が目を見開く。
これは前半で衣が再三苦しめられた四開槓ではないか。
さては、先程の次の局で止めを刺すという言葉に反感を覚えたか。
いずれにせよ、これでまた流局か。
そんな考えを抱きながら、黒服はUNKNOWN3が牌を捨てるのを見守る。
―――しかし。
(何だ? 何故カンしないっ!?)
UNKNOWN3の捨牌にUNKNOWN1とUNKNOWN2はどちらも反応しなかった。
そのまま、衣がツモるのを見つめていた。
今のは完全に四開槓のパターンだったはずだが、と黒服は衣の後ろを離れてUNKNOWN1とUNKNOWN2の手牌を見る。
すると、UNKNOWN2にはカンを出来る牌がなかったが、UNKNOWN1には1つだけ3枚抱えている牌があった。
(一筒っ……!! この様子だと本来ならこれで四開槓を狙っていたのだろうがっ……)
しかし、一筒は一体どこにいったのか。
黒服は疑問の眼差しで卓上を眺める。
そして局面は進み、ラスト二巡。
「これが、誇りを失った雀士たちの無念……そして衣自身の怒りの結実だ! リーチ!!」
最後の言葉を放ち、衣からリーチが掛けられる。
ラスト一巡。
UNKNOWNたちは何もする事ができず、衣の海底牌ツモを迎えた。
「……ツモ」
衣手牌
2233445678999 ツモ:1
「リーチ、一発、清一、一通、平和……海底撈月。
―――48600」
終局
ギャンブル船:138100(親)
UNKNOWN1:-12700
UNKNOWN2:-15700
UNKNOWN3:-9700
……戦いは終わった。
◇ ◇ ◇
「これが今回獲得した賞金の1億2810万ペリカと先に預かった1000万のペリカードだっ……!!」
「うむ。貰っておくぞ」
「それで、まだ麻雀を続けるのか?」
「無論だ。衣にはまだ稼がねばならぬ理由がある」
「少し待ってもらう事になるぞ。今回より強い者を呼ばなければならないからな……」
「強い者……ハラムラノノカか」
衣が今までここで戦ってきた中で最も強かった者はやはりハラムラノノカ、いや
原村和であろう。
原村和と言えば、清澄の嶺上使いこと宮永咲とも並々ならぬ関係を築いていると聞く。
和ならば、今回のUNKNOWNに何を思うだろう。
衣の脳裏にふとそんな疑問が過ぎった。
「さあな……何がどうなるかは俺にも分からん。麻雀統括が考える事だ。
まあ、すぐに用意は出来るだろうから、少し休憩でもしているんだな」
「そうか……そういえば、黒子と藤乃は何処に?」
「この部屋の外でお前の警護をするとかいう話をしていた。
何もなければ、そこら辺にでもいるだろうよ」
「相分かった。情報、恩に着るぞ。黒服よ」
「ん? あ、ああ……」
黒服はさっきまでの衣の威圧感に気圧されたままの状態だった。
所謂、衣が微妙に怖い状態なのだった。
(さて、とりあえずは黒子たちと合流して放送について聞こう)
衣は黒子たちとの合流を図る事にした。
対局中のため、ロクに放送を聞けなかったので、まずはそれを聞いておきたかった。
その胸に抱くは友への慕情。
その行く末に抱くは主催への反抗。
その脳裏に抱くは一抹の不安。
多くの物を抱え、衣は来る次の対局を想念しながら、ギャンブルルームを後にするのだった。
【F-3 ギャンブル船・ギャンブルルーム/二日目/深夜】
【
天江衣@咲-saki-】
[状態]:健康、首輪爆発まであと7時間(現在の負債:2億ペリカ)
[服装]:いつもの私服
[装備]: チーズくんのぬいぐるみ@コードギアス反逆のルルーシュR2
[道具]:麻雀牌セット、レイのレシーバー@ガン×ソード、水着セット@現実、エトペン@咲-Saki-
サンドイッチ@現実×10、ミネラルウォーター@現実×20 、1億2810万ペリカ、ペリカード(残金1000万)
[思考]
基本:殺し合いには乗らない、麻雀を通して友達を作る。
1:黒子たちから放送の内容を聞き、再び麻雀に戻る。
2:誰にもバレないように、負債を返済する。
3:グラハムを信じる。
4:《はらむらののか》と《清澄の嶺上使い》を救い出したい!
5:ギャンブルではない麻雀をして友達をつくる。
6:チーズくんを持ち主である『しーしー』(
C.C.)に届けて、原村ののかのように友達になる。
7:皆が望むとあらば麻雀に臨みペリカを入手する。
8:
インデックスと友達になりたい。
9:浅上、白井とは友達になれた……?
[備考]
※利根川を帝愛に関わっていた人物だとほぼ信じました。
※Eカード、鉄骨渡りのルールを知りました。
※エスポワール会議に参加しました。
※ユーフェミアの外見的特長を把握しました。
※『黒子の仮説』を聞きました。
※ヒイロ・ファサリナと情報交換し、今まで判明した情報を『エスポワール・ノート』で整理しました。
※エスポワール船底に『ジングウ』が存在していることを知りました。
※ギャンブル船にて機動兵器が売られていることを知りました。
※帝愛グループに1億ペリカの借金をしました。借金は定時放送を迎えるごとに、倍額になります。
7時32分までに借金を返済出来ない場合、首輪が爆破されます。
※
阿良々木暦らと情報交換をしました。
※伊達軍の馬はギャンブル船の入り口に止めてあります
◇ ◇ ◇
「良かった、本当に良かった……」
和は対局が無事終わった事に心から安堵していた。
停電後の一転攻勢はどう見てもオカルトなのだが、今の和にはそんなつまらない事にケチを付けているような心理的余裕がなかった。
「どうだね、天江衣の様子は。……ほう、対局は終わったのか」
そんな和の前に再び言峰が現れる。
気が抜けた和はただ視線を向けるだけではあるが。
「放送の後始末で何があったのか分からぬのが惜しいな。牌譜とやらを見せてもらおうか、原村和」
「……分かりました」
和は唯々諾々と先程の衣の闘牌、その全てが描かれた牌譜を言峰に見せる。
「これがそうなのだな。ふむ、なるほどな……」
「麻雀が分かるのですか?」
「こう見えても私は娯楽という娯楽に触ってきているのでな。無論、麻雀もルールは熟知している。
しかし、これはまた……とんでもない打ち方があったものだ」
魔術世界出身の言峰であっても麻雀にその力を発揮する事はない。
もし、言峰が衣と対局したのであれば、瞬殺されてもおかしくはない。
牌譜から感じられる天江衣の能力。それは運命操作か何かの類の能力か。
世界によってここまで能力の大系が異なるものかと感心すらする。
「これは実に面白いことになったな」
「そんな闘牌、オカルトの類です」
「この闘牌の事を言っているのではない。これからの事だ」
「これからの事……?」
和は嫌な予感がした。
またも愉快そうな表情になっている言峰を見たからである。
果たして、言峰は言葉を紡いでいく。
「分からないか? ならば問おう。天江衣は次にどうやってペリカを稼ぐ?」
「……麻雀を使ってじゃないんですか」
「無理だな。見ろ、宮永咲のAIであるUNKNOWN3体相手に13万点も稼いでいるのだぞ。
どうしてそれと同等かそれ以下の打ち手と戦わせられるというのだ」
「それは……」
言峰の言葉は概ね正しい。
今の衣は借金を抱えた状況である。
放送を跨いで倍になったとはいえ、今回の一局でその半分以上を稼いでいる。
ここで宮永咲のAIより弱いであろう打ち手をぶつけるのは借金返済を確定させるだけであり、全く面白くないのである。
「天江衣は勝ちすぎたのだよ。確かに今回の神憑った闘牌に唸る者も中にはいるだろう。
だが、人間は罪深い生き物でな、どんな偉業であっても同じ類であれば、その次は急激に感動が薄れる。
最早、これを観戦しているスポンサー共に天江衣の馬鹿勝ちを望む者は居るまい」
「でも、それを決めるのは私です!」
「それも無理だ。時を経ずして天江衣の麻雀の利用が封じられるだろう。
それどころか、その他にも天江衣の豪運が発揮されそうな場所は全てかもしれんな」
「そ、そんな……」
麻雀を封じられた衣はどうやってペリカを稼ぐというのか。
残り7時間あるとはいえ、まだ必要なペリカは多い。ジリ貧ではないか。
愕然とする和の表情に再び愉悦を感じた言峰はさらに攻勢を掛ける。
「原村和、君の選択肢は3つだ」
「選択肢……3つ?」
言峰は和と同じ世界の住人―――
福路美穂子―――の時と同じ言葉を掛ける。
それはまさしく最悪の選択肢。
「1つ目。このまま天江衣が麻雀を禁止されるのを見ている。
これに関しては、特に説明するようなことはあるまい」
「……次は?」
「2つ目。原村和、君が天江衣に挑む」
「え……?」
「何を驚くような事がある。君こそ唯一UNKNOWNに勝る打ち手だろう?
君が出るのであれば、本部も無碍に天江衣の麻雀を封じないだろう。
そもそもすでに1回打っているではないか」
「それはそうですが……」
「なるほど、自分で天江衣に引導を渡すのが嫌と見える」
「ッ!! そんな言い方!!」
「別に天江衣をサポートしても構わんのだぞ?」
「……え?」
和は聞く耳を疑った。
主催側が参加者をサポートしても構わない。
普通に考えれば、そんな事があり得るはずもない。
理解不能のその発言に思考回路が止まってしまう。
そして、そこに悪魔の言葉が入り込む。
「ただし、宮永咲を見殺しにするのならば、だがな」
「!!」
「ククッ、当然だろう? 何の為の人質だと思っている」
「そ、そんな事したら、私はもう働きませんよ!!」
「何を勘違いしているのか知らないが、君の仕事は誰にでも出来る」
「……ッ!!」
「君の最後の見せ場がここだと判断されれば、遠慮なく使い捨てられる運命にある事を忘れてもらっては困る」
「あ、あぁ……」
崩れ落ちる和。
言峰は容赦せず、言葉を続ける。
「なに、宮永咲を助けるために天江衣を倒せば良い。
その場合は天江衣が死んでしまうだろうがな」
「咲さん……衣さん……嫌、そんなの嫌……」
「君自身はどちらも天秤に掛けたくはない、と。
ならば、最後の選択肢を選ぶがいい」
「最後の、選択肢……?」
顔を上げる和。
その表情は誰かに救いを求めたくてたまらないと言った風情がある。
最後の選択肢。そこに救いがあるのならばと。
言峰はここに来て最も愉悦を感じていた。
「3つ目。宮永咲と天江衣を戦わせる。勝てば生き残り、負ければ死ぬ特別ルールでだ」
「……ぁ」
「最もシンプルではないか。君が決められないのであれば、その2人にどっちが生き残るのか決めてもらうのだよ」
「ぃゃ…いやいやいやいや嫌嫌嫌嫌嫌」
嫌としか喋らず、壊れ始める和。
言峰はすかさず和の頬を張り、胸倉を締め上げる。
「壊れてもらっては困る。君自身が選ばねば後悔するのではないか?
そのまま壊れるというのであれば、自動的に1つ目……いや、3つ目になるだけだ」
「でも、嫌なんです……友達を秤に掛けるなんて、そんな事出来るわけありません」
「ならば、そこでどちらかが死ぬのを見ているのだな。
そうだな、対局が始まったら宮永咲の対局映像を君にも見せてやろう。
宮永咲の無事な姿が見れるのだ。喜ぶがいい」
その少し後にはどうなっているか分からないがな、と一言付け加える。
「では、私は準備に取り掛かろう。本部にも掛け合わなければならんしな。
まともな運営が出来る人材が少なすぎるのは困りものだ」
言峰は苦笑と言うべきか、愉悦と言うべきか、そのような表情を浮かべながら和の部屋を去っていった。
「私は……どうすればいいんですか……? 何でこんな事に……」
その後に残された和は絶望の表情を浮かべて呟くのだった。
【???/飛行船・原村和の部屋/二日目/深夜】
【原村和@咲-Saki-】
[状態]:健康、絶望
[服装]:私服
[装備]:エトペン@現実
[道具]:デスクトップPC×数台、会場監視モニタ×数台、質問対応マニュアル(電子ファイル)
[思考]
基本:帝愛に従い、咲さんを救う
1:どうしてこんな事に……。
2:言峰の3つの選択肢から行動を選ぶ。
3:役割(麻雀・サポート窓口)をこなす。
4:咲さんが心配。一目だけでも無事な事を確認したい。
5:どうせ打つなら守る為の麻雀を打ちたい。
6:
忍野メメを警戒。従ってはいるものの、帝愛は許せない。
7:【円形闘技場】、【象の像】、【遺跡】が帝愛にとっての最重要施設?
8:私には、帝愛に与えられた役割を果たすことしかできないんでしょうか……?
[備考]
※登場時期は最終回の合宿終了後です。
※基本的に自分の部屋から離れられません。
※監視されていること、異世界から集められていることを知っています。
※【櫓】が鬼門封じの重要施設。【円形闘技場】、【象の像】、【遺跡】のどれか、もしくは全てがこの島の最重要施設だと考察しています。
※何も行動を起こさなければ、衣と咲が対局します。
※以下の事柄はSOA!と思っています。
・死者が蘇る。
【質問について】
参加者の居場所
サポート窓口を利用可能になった時点で回答可能。
※但し一回の放送ごとに利用できるのは一人までで、居場所が分かるのも二人までです。
特定人物を殺害した人間の名前
※但し一回の放送ごとに利用できるのは一人までで、殺害者名が分かるのも二人までです。
殺し合いに巻き込まれた理由、殺し合いの目的
サポート窓口を利用可能になった時点から四回目の放送以降、回答可能。
原村和について
サポート窓口を利用可能になった時点から三回目の放送以降、回答可能。
特定の人物の同行者
少なくとも、サポート窓口を利用可能になってから一回目の放送を越えた時点では回答不可。
※ルルーシュからの質問が回答可能なものかどうかは、後続の書き手氏にお任せします。
◇ ◇ ◇
和の部屋を去った言峰は道々にいる黒服に指示を出しながら、本部に向かう。
その途上、指示を出した内の1人の黒服が質問を投げかけてきた。
「これは……越権行為ではないでしょうか。
それに、宮永咲に手を出した黒服があの奇妙な連中に殺されたと聞きます」
奇妙な連中とはもちろん、同じ顔の少女たち。シスターズのことである。
すでに黒服たちの間にもシンプソンという黒服が咲に手を出し、蜂の巣になった事件は知れ渡っていた。
咲を利用しようとしたディートハルトは、丁重に元の部屋に戻した。
何か妙な事をして殺されるのはたまらなかったのである。
「つまらない所で殺そうとするからそうなるのだよ。
参加者を交えて人質の生死を賭ける。そこに何の不都合があろうか。
もし、不都合があるのであれば、前もって『殺すな』『使うな』と命令を出しておくのが筋というものだ」
さらに言峰は越権行為についてこう語る。
「私の他に誰が遠藤の代わりを務めるというのだ。
忍野メメ、インデックス、ディートハルト、原村和……いずれも運営などといった事はできまい。
越権せずにこの状況を収拾できるものか。
それに、私が愉悦を感じる事はおそらくスポンサーにも好評になる。
あちらには私と同じく歪んだ感情の持ち主が多くいるだろうからな」
私の場合は根幹から歪んでいるのだがな、と心の中で自嘲する。
(さて、麻雀世界の住人たちよ。この苦難をどう演出してくれるのか、愉しませてもらうぞ)
愉悦を隠そうともしない言峰は惨劇の準備を着々と整えていく。
その在り様、神か悪魔か。
【???/飛行船/二日目/深夜】
【
言峰綺礼@Fate stay/night】
[状態]:健康
[服装]:神父服、外套
[装備]:???
[道具]:???、麻婆豆腐の詰まったタッパー
[思考]
基本:???
1:サーヴァントの死体(魂)を回収する。
2:
荒耶宗蓮に陰ながら協力する。
3:原村和の選択を待つか、魔物同士の対局のお膳立てをするか……。
4:この立場でバトルロワイアルを楽しむ。
5:結界の修復を手伝う。ただし1を優先する。
6:敵のアジトの結界の代替地になりそうな場所を探し、結界を設置する。
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最終更新:2010年08月16日 01:04