「……嘘。こんなのって、酷い…!」
シャルロット・デュノアは一人の死体を見て、悲痛な叫びを漏らしていた。
IS代表候補生であり、多少の荒事には慣れているつもりだったが、シャルロットは死体をーーー少なくとも本物の死体をーーー見たことは未だなかった。
肺から血を大量に流して辺りを血の海にし、なのにどこか安らかな表情で倒れている少年を目視し続けるのはあまりにも精神的ダメージが大きすぎた。
「せめて、埋めてあげても……」
パァン。
ぐらり、と肉体の芯が揺らいでいた。
脇腹には赤い染みができていて、少年の死体と同じ、いや少し赤みの強い赤色の液体が流れる。一般的には知られていないが、脇腹を撃たれれば助かる可能性は圧倒的に高いというのは眉唾ものだ。
脇腹にもいくつかの血管が通っているため、それを切られれば致命傷になる。
倒れたシャルロットは月明かりに照らされながら、
ーーー大粒の涙を流して顔を恐怖に歪めた少女が銃を向けていた。
「そこまでだ」
とすっ。と、秋山澪の足元に一本の矢が突き立っていた。
軍事知識など皆無に等しい澪でさえ、簡単に気付くことができた。ーーーいや、本能的に悟っていた。これは威嚇射撃。
二発目は確実に命を奪いに来る。
澪は不安定でいつ崩れてもおかしくない精神で、精一杯負の想定をしてしまう。
そして、矢が自らの眉間を貫くのを想像してしまうーーー。
「分かっているかは分からないが、二発目は無いぞ。次は我が"運命石の矢(シュタインズ・アロー)"が放たれて貴様の命を次元の狭間に音速の数千倍の速度で叩き込み、そこから俺は世界を次元レベルで混沌に導くのだ!フゥーハハハ!!」
高笑いするのは岡部倫太郎。その隣では"黄金の新顔"こと春原陽平が居る。
勿論これは全て妄想なのだが、実は澪をできるだけ穏便に撃退したいという目的を達成するための言葉だったりする。
澪はゆっくりと後ずさりしていく。自分は既に二人目を殺してしまったのではないか、という恐怖と不安が逃走という行動に駆り立てた。
◆
「やったな岡部。なんとか撒いたみたいだぜ」
「鳳凰院凶真だ。フン、俺にかかればこんなもの……っと、まずはこいつを止血してやらないとならないぞ。話はそれからだ」
シャルロットは薄れゆく意識の中、二人の声を聞いた。そして、震える声で岡部と春原に最後の願いを託す。
「おね…がいしても、いい…かな」
「駄目だ」
岡部は言葉を最後まで聞かずに、拒否した。彼の目は確かに真剣である。彼はSERNに椎名まゆりを射殺されてから、タイムリープした。世界がまゆりの死を望んでいるとしか思えなかった。
だからこそ、諦めたくなかった。
定められた予定調和のルールや法則など跳び越えてしまえ。
勝ち取るのだ、勝利の栄光を。
「貴様は死なない。この狂気のマッドサイエンティスト・鳳凰院凶真が処置を行うのだ。死のうと思っても死ねると思うな」
「黄金の新顔もいるぜ」
シャルロットはどこか安堵したように瞳を閉じた。
孤独の観測者は仲間と共に戦う。まずは、目の前の少女の救出から始めよう。
【深夜/c-4】
【シャルロット・デュノア@IS】
基本:ゲームを終わらせる。
【岡部倫太郎@Steins;Gate】
基本:主催者を打倒する。
1:少女を助ける
【春原陽平@CLANNAD】
基本:主催者を打倒する。
最終更新:2011年07月10日 23:25