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さあそろそろ本気を出そうか

56話「さあそろそろ本気を出そうか」

E-3市街地、住宅街の民家の一つ。
玄関扉を開け、右手に自動拳銃、ベレッタM92FSを携え周囲を警戒しながら出て来たのは、
白髪の猫耳猫尻尾を持った学生服姿の少女、シルヴィア。
そしてその後に続くのは右手に自動拳銃、シグザウエルP228を携え、
やや怯えた表情で辺りを見回すTシャツズボンに鉢巻姿の男、永井浩二。

「ちょっと永井」
「何や」
「何で女の私が前なのさ。普通男のアンタが先行するべきでしょうが」
「怖いもん」
「……まあいいわ」

この男に男気や騎士道精神といったものを期待するだけ無駄と言うものである。

「アンタも銃持ってんだから、いざと言う時は戦ってよ。そんで自分の身は自分で守る事」
「わかっとるわ…俺もそれくらいは出来るって」
「オーケー」

シルヴィアが門柱の陰からゆっくり頭だけ出し、左右を確認する。
太陽も出てきたのですっかり明るくなり、街灯は消えている。
道路には乗用車が路肩に多数駐車されているが人の姿は見えない。
非常に閑散とした住宅街、まるで何か原因不明の災害が起こって住民が強制退去させられたようだ。
シルヴィアと永井浩二はとりあえずF-3にある病院を目指す事にした。
地図に表示されているので人が集まるかもしれず、仲間になってくれそうな者もいる可能性がある。
但し殺し合いに乗った者もいるかもしれない事を覚悟しなければならないが。
また、病院にはほぼ間違い無く医薬品や治療器具も置いてあるはずなので、
それらを入手しておきたいというのもあった。
シルヴィアが合図を出し、永井と一緒に玄関門を右折し、病院の存在する方向へ向かう。
だが、二人が数歩進んだその時だった。

「……永井」

シルヴィアが静かな声で隣を歩く永井に囁く。
永井が怪訝そうな顔をする。シルヴィアは背後に感じる殺気を感じ取っていた。

「……走れ!!」
「ちょっ!?」

永井の腕を思い切り引っ張り、全速力で駆け出す。
直後に二人の背後数メートルに停まっていた白いワンボックスカーの陰から銃を構えた一人の人物が飛び出す。
それはシルヴィアと同じ制服に身を包んだ茶髪セミロングの少女、北沢樹里。
真っ赤に彩色された大型自動拳銃、カーマインエッジを前方を走る二人に向け引き金を引く。
静かな住宅街に銃声が響き渡る。

「うおわあああ!!」

突如背後から聞こえてくる銃声に永井は驚き悲鳴を上げる。

「止まるな! 走れ!!」

そんな永井に檄を飛ばしとにかく走るシルヴィア。そして永井。
だが、一発の銃声と同時に、永井が短く悲鳴を上げ、アスファルトの上に転倒した。
樹里の放った弾丸が永井の背中に命中したのだ。

「永井!!」

倒れた永井に駆け寄ろうとしたシルヴィアだったが、次の瞬間、二発の銃声が響き、シルヴィアの胴体から血が噴き出し二つの穴が空いた。

「がっ…ああっ」

思わずその場に昏倒し、苦痛に悶えるシルヴィア。
傷口を押さえながら襲撃者の顔を見るため、シルヴィアは顔を上げる。
そしてその顔には見覚えがあった。

「アンタ、北沢か……!?」
「シルヴィア、だったっけ? 久し振り」

自分と同じクラスに在籍する女子である事を確認したシルヴィアの顔が怒りで歪む。

「北沢…こんな殺し合いに乗るってのか……アンタだって知ってるだろ、前の殺し合いでどんな悲惨な事が起きたか」
「知ってるよ…私も、人生に絶望する程の、苦痛を味わったからね。だからだよ。だから乗るの。
もう、失いたくないから……」

そう語る樹里の顔はどこか悲しげな、しかし確固たる決意を感じさせるものだった。
そして樹里はシルヴィアにカーマインエッジの銃口を向けた。

「畜生、畜生……地獄に堕ちろッ」
「何とでも言えば?」

そして樹里が引き金を引くと同時に銃口から放たれた銃弾がシルヴィアの心臓を撃ち抜き、
シルヴィアは絶命した。

「あ、ああ……何て事、するんやお前……!」

口から血を吐きながらも何とか言葉を発するのは永井浩二。
急所は免れたようだが適切な手当てを受けなければ危険な状態だった。
樹里はシルヴィアが完全に息絶えた事を確認すると、次に地面に倒れている永井に銃口を向ける。

「悪いけど、死んで、おじさん」
「だ、誰がおじさんや――」

永井が言い終える前に、銃弾が永井の胸を撃ち抜く。
そしてもう一発、二発、三発と銃弾が撃ち込まれ、永井の身体は生体活動を維持出来なくなった。
遠退いていく意識の中、永井は自分のネット配信を見てくれている人々、家族、友人の事を思い出した。

(……死にたく無かったけど………もうあかん……か…………)

永井の意識は闇に飲まれ、そして永遠に戻る事は無かった。


今しがた殺害した二人の死体――クラスメイトとその同行者を見下ろし、樹里はふうっと溜息をつく。
費覧と名乗った雌の二足歩行の狐を撃退した後、市街地を他参加者を探して歩いていたのだが、
そこで発見したのがこの二人だった。
車の陰に隠れて背後から奇襲を仕掛けるつもりだったが、
感づかれたのか突然走り出された時には少し彼女も驚いた。
しかし、持ち前の俊足でいとも容易く接近し、銃撃で畳み掛けたのだ。

特に何も述べる事も無く、樹里は黙々とシルヴィアと永井の所持品を漁り始めた。


【シルヴィア@自作キャラでバトルロワイアル  死亡】
【永井浩二@永井先生  死亡】
【残り  28人】


【一日目/早朝/E-3市街地】

【北沢樹里@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:肉体的疲労(中)
[装備]:カーマインエッジ@オリジナル(0/14)
[所持品]:基本支給品一式、カーマインエッジの予備マガジン(5)、
二十六年式拳銃@SIREN(4/6)、ルミーア・ホワイトのデイパック
[思考・行動]:
0:殺し合いに乗り、優勝を目指す。
1:シルヴィアと同行者の男(永井浩二)の所持品を漁る。
2:回収したデイパックの中身の確認をしたい。
[備考]:
※本編死亡後からの参戦です。


※E-3に銃声が響きました。
※シルヴィアと永井浩二の所持品は北沢樹里が漁っています。


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最終更新:2010年02月14日 11:58
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