ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko0708 はじめてのくじょ~少女奮闘中~
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・この話は「ふたば系ゆっくりいじめ 583 ゆっくりしたけりゃ余所へ行け」と繋がっています。
読まなくても一応は大丈夫なつもりですが、やはり既読推奨です。
後日談に当たるような話なので、虐待はあまりないです。
あまり深く考えずに流して読んで下さい。
・もう原作設定すら怪しいけど気にしないでね!!
イラッと来たらごめんね!わざとじゃないよ!!
では、ゆっくりしていってね!!!
幻想郷に広がる、魔法の森と呼ばれる広大な森林。
人が普段踏み入れる事のないこの森に、二人の少女の姿があった。
片方は全体に白と黒の服装の、大きな帽子をかぶった元気な少女。
もう片方は、小さな人形を抱えた赤いカチューシャの物腰の落ち着いた少女だ。
「いやー、助かるよ。私一人じゃしんどくてさ」
「別に良いけど、何させるつもりなのよ」
「まあそう難しい事じゃないさ。キノコを集めたいんだが…」
「はぁ?それくらいいつもの事じゃないの。自分でやりなさいよ、下らない」
即座に踵を返そうとする少女を、慌てた様子で止める白黒少女。
「まあまあ、待てって。 集めたいんだけど、だ。
最近邪魔な奴がいてなぁ…お前も知らないか?ゆっくりっての」
「ゆっくり…?何よそれ」
「あー、やっぱ知らないか。お前もどうせ、ずっと家に篭ってたんだろ?
私も最近は実験で篭りっぱなしだったから最近の情勢に疎くてさぁ。他人に聞くまで知らなかったよ」
「うっ…で、何なのよ。そのゆっくりって」
「かくかくしかじか・・・」
どうやら
『最近ゆっくりという不思議饅頭が幻想郷中に蔓延ってるんだよ。
で、ここ数週間で爆発的に増えた奴らは、魔法の森にまで来るようになったわけだ。
あいつらが森の資源を食い荒らすせいでおちおちキノコも取れやしない。
まとまった数が取れなくなって困ってるんだ。一緒に駆除しようぜ☆』と、いうことらしい。
「…もっと早く気がつきなさいよ、引きこもり」
「いや全く気がつかなかったぜ。
なんせ私もしばらく森、っていうかほとんど自宅に篭りっぱなしだったからな。
あいつらもここには中々入ってはこなかったみたいだし、仕方ないっちゃ仕方ない。
っていうか、それお前にだけは言われたくないんだけど」
「う、うるさいわね! それよりも、そんなに強いの?そいつら。
あんたが手助け頼むなんて、異変の時だってそうある事じゃないのに」
「あー、別に強いってわけじゃないんだ。むしろ驚くほどに弱い。
私に似たやつに軽く弾幕撃ったらすぐ消し飛んだしな。だから『駆除』って言ったろ?
ただ、生命力に反比例するように数が多いんだよなー。
すごいんだぜ。もう、うじゃうじゃ~ってかんじ。
で、流石に森ごと薙ぎ払う訳にもいかないしさ。手伝ってもらおうってわけだ」
説明した後も、少女の眉間の皺は取れない。
「結局そんな事の為なのね。それくらい面倒臭がらずに、いつもの様にあんた一人で頑張んなさいよ」
「おいおい、お前だってここに住んでるんだから手伝っても罰は当たらないぜ。
自分の縄張りを守る為には必要なことだろ?駆除する責任はないが、義務はあるんだって」
言い返せない。ゆっくりがどんな者かは知らないが、放っておいては居心地が悪いのも確かだ。
「・・・わかったわよ。そうと決まればチャッチャと済ませましょう。
何時までもこんな下らない事に時間を割きたくないわ」
「そうそう。たまにはジメジメした所から出て運動しなきゃ、キノコでも生えちまうぜ。
あ、そのキノコを採取すれば「何か言ったかしら?」 何でもないよ。(おお怖い怖い)」
「やべでぇぇぇ!!」
そんなやり取りをしている二人の耳に、突然叫び声が届いた。
「何、今の!そう遠くないみたいだけど…」
「ありゃゆっくりの声だ!普段からやかましい奴らだったが、これはただ事じゃないぞ!」
「え、喋るの!?」 「そりゃ喋るって!今更驚くなよ。ここをどこだと思ってるんだ!」
「と、とにかく急いで行きましょう!!」
二人は声のするほうへと、ひたすら駆けていった。
そして、声の下へと駆けつけた先に居たのは―――
「いやぁぁ゛ぁ゛!!ばでぃざすっぎりじだぐない!!だずげでぇぇ!!!」
「んほぉぉぉ!!いいまむまむをもってるまりさはつんでれぐあいもさいこうねぇぇ!!」
ひたすらずっこんばっこんやっている饅頭のような物体だった。
ご存知ゆっくりまりさと、ゆっくりありす。又の名をレイパーと言う。
「な、な、な……」 「これがゆっくり…?しかもこいつ、私に・・・」
呆然とする人形少女と、顔を真っ赤にしてたじろぐ白黒少女。
どうやらすっきりーのことまでは知らなかったみたいだ。
「どういうことよ、これ!何でこんなことしてるわけ!?」
「こっちが知りたいよ!!どうしてアリスに似たやつがこんな…!!」
そう言っている間にも、ゆっくりの情事は進行中だ。
「んほぉぉ、いくわよぉぉ!!すっきりーー!!!」
「うばぁぁぁ!!れいばーはや゛だぁぁ゛ぁ゛!!ずっぎりーーー!!!」
二匹が声を上げると同時にゆっくりまりさの方にいくつもの蔓が生え、本体は黒ずんで動かなくなった。
「し、死んだのか?」 「汚らわしい…」
人形少女の方は嫌悪感をあらわにしている。
そんな二人に、レイパーがようやく気がついたようだ。
「あら、にんげん?わるいけど、にんげんはありすのしゅびはんいに…は…
んほぉぉ!!ゆっくりしたまりさみたいなにんげんだわぁぁ!!
それならはなしはべつよ!とかいはなありすのあいをあげましょうねぇぇ!!」
「え!?ア、アリ、え?え!!?」
いきなりそう言うと、ぺにぺにをおっ勃てるレイパー。
一方、突然のご指名に戸惑い、尻餅をつく白黒少女。
それに対して人形少女の視線は氷のように冷たく、冷静だった。
「…チッ。これ以上見ていたくないわ。やりなさい、上海」
「シャンハーイ」
「ゆぎぃ!!?」
今にも白黒少女に飛びつかんとするレイパーは、突然体を走る痛みに、身を竦めた。
ふと下を見ると、立派なぺにぺにが、見事に断ち切られている。
「あ゛…あ゛あ゛あ゛あ゛!あでぃずのとがいばなべにべにがぁぁぁ!!」
「まだ死なないのね、頑丈だこと。
なら徹底的に貫きなさい、上海。ちゃんと息の根止めるまでやめちゃ駄目よ」
「シャンハーイ」
「うゅげっ!!?や、やべでぇ!!どぼじでごんな、うべっ! ゆがぁぁぁぁ゛ぁ゛!!!」
レイパーの断末魔をバックに人形少女、アリスは座り込んだ白黒少女に歩み寄った。
「大丈夫?魔理沙。まったく、情けないわねえ」
「あ、ああ。悪いな。いきなりすごい迫力で来られたもんで驚いちまった」
「とりあえず、もう大丈夫よ。ちゃんと仕留めておくから。
それにしても、こんなのばっかりなのかしら……どうしたの?魔理沙」
「い、いや。何でもないぜ」
白黒少女、魔理沙は腰が引けている。どこか警戒しているようにも見えた。
「・・・あんたまさか」
「いやいやいや、そんなことないぜ!?
わかってる!アリスにはあんな趣味無いし、あんな・・・ゴニョゴニョも付いてないって事はわかってる!!」
「ならどうして距離をとるのかしら?」
「いやそれは、身の危険というか……じゃなくて!!
一応、なんか駆除くらい私一人でも十分かなーって。
じゃ、色々準備しなきゃいけないから!うふふ、気にしないで!!」
「ちょっと待って!?変な物憑いてるわよ!「気にするなって、じゃーな!!」 待ちなさいってば!!」
引き止める声を無視して、魔理沙は箒にまたがって行ってしまった。
これからどうなるかはわかっている。お喋りなあいつの事だ、きっと幻想郷中に広がることだろう。
『アリスは普段表に出さないが、実は強姦趣味の嗜好があるムッツリだ』と。
ついでに股間にナニが付いている、というのも追加されるかもしれない。
「ふ…ふふふふ……」
断じて許せる物か。そんな変な出鱈目は絶対に止めなければ、失くさなければならない。
「あ゛…あ゛でぃずばどがいばな…ぶぎゅっ!!」
「やってやるわ…根絶してやる!覚悟する事ね、饅頭ども!!」
穴だらけのズタズタになったレイパーを踏み潰しながら、決意を固めるアリス。
こいつらが原因なら根こそぎ絶やしてしまえば良い。臭い物には蓋を、の原理だ。
「とは言ったものの、どうしたものかしら…」
張り切るのは良いが、魔理沙の言葉を信じるならばこいつらの数は半端ではない。
おまけに幻想郷中に生息するとなれば、自分一人で根絶やしにするには明らかに人手不足だ。
生息分布も分からない現状況では無闇に動く事もできない。
「完全自立人形が完成していれば…いえ、無いものねだりをしている場合ではないわ。
とりあえずは仲間ね。目的を同じとする同士が必要だわ」
そうだ。魔理沙や自分に似た饅頭、となれば他の者に似たヤツもいるはず。
そして、自分の様に不名誉なレッテルを着せられそうになっている者もきっといるはずだ。
その者たちを引き込めば、曲者ぞろいの幻想郷の住人の事だ。何とかなるかも知れない。
「さて、まずは…博麗神社ね。なにせこういった事の専門家だもの。
待ってなさいよ饅頭。私の名誉の為にも、絶対に根絶やしにしてやるんだから!!」
決意を新たに飛び立つアリス。背中にはオーラのような物が漂っている。
果たして、アリスは見事名誉を挽回する事ができるのか。そして他の者達は―――
はじめてのくじょ~少女奮闘中~
場所は変わって博霊神社。
アリスは赤と白の服を着た少女を見つけた。
神社の巫女である博霊霊夢である。どうやら向こうもこちらに気付いたみたいだ。
目当ての人物を見つけたアリスは、少女目掛けて降りていって―――
「久しぶりね、霊夢」 「あら、“れいぱー”じゃない」 ズザァァー!!
おもいっきり顔から地面に突っ込んだ。
「痛い……」
「ゴメンゴメン、まさかそんな面白い反応が返ってくるとは…」
治癒術を施してもらったアリスは、元通りに治った鼻をさすっている。
「で、やっぱりそのレイパー云々って、魔理沙から?」
「ええ。いきなりやってきて
“ゆっくりのアリスに私が犯されかけた。レイパーってやつだ。
きっとあいつもそういう嗜好を持ってるに違いない。
何時も澄ました態度とってるくせに、とんだムッツリだぜ!
ついでに股間に・・・ゴニョゴニョも付いてるかもしれない!!”ってね」
「あいつ・・・カラスのような手癖の悪さの上に口まで軽いのね」
予想と一寸も違わないじゃないか。
「ま、流石にそんなこと無いってのはわかってるわよ。
大変ねー、アンタも。ゆっくりの風評被害は留まる事を知らないわ」
「アンタ“も”って事は……あなたも?」
「ええ。あの馬鹿饅頭のせいで『がめつい』『自分勝手』『傍若無人』って悪評だらけだわ」
「(それは割といつも通りじゃ・・・)「何か?」 いえ、何でもないわ」
それはともかく、これなら仲間に引き込めるかもしれない。
「実は霊夢……かくかくしかじか」
「まるまるうしうしってわけね。
・・・いいわよ。どうせいつかはやらなきゃいけないと思ってたし」
「そう?よかったわ。これで一歩前進ってところね。
…ところであのスキマ妖怪が居る場所わかるかしら?
協力してくれれば心強いのだけど」
あの胡散臭い妖怪、八雲紫がいてくれれば。
あの反則じみた能力の持ち主なら、この騒動自体を終わらせる事も可能かもしれない。
「それがねー。急に、すごい力を持ったゆっくりが来たから、って泡食って対処しに出て行ったわ。
「どっしり構えてなさいな」とか言っておいて、余裕こいてるからこういうことになるのよ。
言った自分が慌ててりゃ世話ないわ。って訳で、居ないわよ。しばらく戻っても来ないでしょうね」
「そう、残念ね……」
重要、且つ貴重な戦力が減った事になる。
「ま、そう落ち込む事も無いわよ。心当たりがないわけでもないわ」
「本当?どんな?」
「しらみつぶしに知ってる顔をあたっていけばいいのよ。
見たところゆっくりは幻想郷の中でも、強い力を持った存在の姿を模しているわ。
なら私達が居場所を知っている強い力の持ち主を当たっていけばきっと・・・」
「そ、そうかしら……でもそれが本当なら一理あるわね。他に良い方法も無いし、そうしましょうか。
で、最初は誰をあたるの?この近くには誰が居たかしら?」
「今の時期ならうってつけの奴がいるわよ。
あいつならきっと喜んでついて来るわ。あの加虐主義者ならね」
「ああ…そういえば居たわね……」
確かについて来るかもしれない。
なにせ誰かを痛めつける事に代え難い悦びを覚えるタイプの妖怪だ。
「じゃ、行きましょうか」
「そうね。太陽の畑は…こっちだったかしら」
重い腰を上げてアリスと霊夢は飛んでいった。
順調に進みそうなのにあまり嬉しくなさそうなのは、この先に待ち受ける人物のせいだろう。
――――――――――
「せっかくだけど、お断りするわ」 「「えっ!?」」
目的地にて、目当ての人物を見つけた二人は早速事情を話したが、
返ってきた返事は、予想とは反対の物だった。
「あんなゴミみたいな饅頭に興味はないし、今忙しくてそれどころじゃないの」
「何を今更…第一忙しいって、滅茶苦茶暇そうじゃない」
「私じゃないわよ。「おねえさーん!」あら、終わったのね」
向日葵畑の向こうから出てきたのは、大きな頭に小さな身体が付いた、
目の前の人物、風見幽香にそっくりなゆっくり。ゆうかりんだった。麦わら帽子をかぶっている。
「おねえさん、おわったわ!
ちゅういしてもらったとおりになおしてみたけど、どうかしら?」
「ええ。もう少ししたら見に行くわ。先に行っててちょうだい」
「はーい!!」
おぼつかない足取りで、それでも元気にゆうかりんは駆けて行く。
そんなゆうかりんを、幽香は愛しむ様な眼差しで見つめている。
「あれは・・・」
「少し前、ここの向日葵畑に目を輝かせていたのを拾ったのよ。
いつかここみたいな花畑を作るんだって息巻いてるわ。
まだまだ未熟だけど、やる気だけは一人前なのよ。…放っておけないでしょ?
それに私も、久しく忘れていた物を思い出させてもらったしね。
と、いう訳であなた達のお誘いはお断りするわ。これにて失礼」
そう言うと幽香は静かに向日葵畑の向こうへ去っていった。
呆然とした二人が残されている。
「い、意外だったわね…」
「チッ。まさかあの生粋の加虐主義者が母性に目覚めるとは、予想外だったわ。
まあ、あては外れたけどこれが最後って訳じゃないもの。まだまだいくわよ!」
「大丈夫なのかしら……でも数打ちゃ当たるって言うし、しょうがないかしらね」
いきなり有力候補に蹴られた二人は、
なんとなく幸先の悪さを感じながら不安を振り切るように飛んでいった。
――――――――――
次に来たのは迷いの竹林にある、永遠亭と呼ばれる屋敷である。
優れた頭脳の持ち主が欲しい、と言うアリスの要望によりここまで来たのだ。
「で、わざわざこんなところまで来て、何の用かしら。お話があるそうだけど」
目の前で女医の様にデスクに腕を置き、椅子をキコキコ鳴らしているのは月の頭脳、八意永琳だ。
傍には弟子である兎、鈴仙が立っている。
「実は、かくかくしかじか」
「まるまるうしうしね。・・・なるほど。
でも、まだゆっくりに関しては研究中なのよね…絶滅っていうのは勿体無いわ」
「今すぐって訳じゃないでしょ?自分の研究と平行して、手を貸して欲しいって言ってるの」
「別にあなた達に手を貸す義理も無いし、でも追い返すのもねぇ。どうしたものかしら…」
悩む永琳と心象が良くない事に緊張する二人。
「ウドンゲ、あなたはどう思う?」
「えっ、私ですか?私は…絶滅って程でもないですけど、あれはちょっと・・・」
鈴仙の視線の先には布団をかぶって寝ている女性のそばでゲラゲラ笑っているうさ耳ゆっくりの姿があった。
「ゲラゲラゲラゲラ」
「・・・まあ、気持ちは解らないでもないわ。
でもあなたはそれほど風評被害を受けてるって訳じゃないでしょう?」
「ええ、まあ確かに。あの子余所には滅多にいないみたいですし・・・」
悩む四人を余所にうさ耳ゆっくり、うどんげは寝ている女性の上によじ登った。
「こら!やめなさい、うどんげ!姫も先程から、こんな所で寝ないで下さい!」
「めどい」
「めどいって、そ…んな…?…まさか!」
布団をめくると、そこには月の姫、輝夜に良く似た服装の小さな人型が横たわっていた。
閉じた目に強く結ばれた口。にもかかわらず緊張感の欠片も無い、脱力しきった表情。
紛れも無く見た目は輝夜そっくりのゆっくり(?)、テルヨフだ。
「テルヨフ…!じゃあ姫は!?姫様ー!!」
「何よ、うるさいわねぇ……」 「うえぃ!?」
デスクの下からニュッと出てきた輝夜。どういった構造になってるのかは企業秘密だ。
「ど、どういうおつもりですか!どうやってそんなところに潜り込んだんですか!?」
「あなたがうるさいから、存分に寝られる場所を探しただけよ…」
「寝ないで下さいよ。自分の仕事を探すのではなかったのですか?」
「めどい。今はとにかく寝たいのよ…」
「めどいって・・・今の一瞬を大切にするというのはどこへ?」
「大切にしてるわよ。でも、こんなにも今眠いんですもの。だから寝るしかないじゃない」
永琳は頭を抱えたくなった。
暖簾に腕押しだ。いくら言おうとも全く手ごたえがない。
最近はあんなにやる気に満ち溢れていたのに、何故こんな事になってしまったのか。
理由はわかっている。あそこで寝ているあいつだ。
「はたらくとか、めどい」
「そうよねー。なんかあなた見てたら、全部どうでもよくなってきたわー。
あーあ、何もかもが「めどい」」
明らかに悪影響を受けている。ハモッた一人と一匹に永琳の血管は破裂寸前だ。
そして、先ほどから傍観に徹していた来客組はドン引きしていた。
「うわぁ…これはまたひどいわね」
「風評被害とはまた別の方向で最悪ね。ああならないでよかったわ…」 「!!」
二人の台詞を聞いて、月の頭脳の頭に青筋が走った。弟子は隣でオロオロするばかりだ。
このままでは、いけない。何もかもが駄目になってしまう。ならば―――
「・・・いいわ。手伝いましょう」 「「えっ!?」」
「手伝うと言ったのよ。ただし、絶滅はさせない。
要するにこいつらの最も悪い部分、元となった人物にとってマイナスになる部分を消し去れば良いんでしょう?
なら、時間は掛かるでしょうけどその方向でやってみるわ。あなた達は自分の好きに動きなさい。
その結果、ゆっくりが絶滅してしまっても文句は言わないわ。その程度の存在だったということでしょうし」
「うーん、何か釈然としないけど、まあいいわ」
「手伝ってくれるだけでも御の字ですものね」
「そうと決まれば早速取り掛からないと。
ウドンゲ、姫様たちを寝室に連れて行って。
てゐ、いるのでしょう?お客様がお帰りよ。“ちゃんと”外まで案内なさい」
「は、はい!!行きましょう、姫。「めどい」ああん、もう!!」
「はいよ。やっぱバレてたかぁ。 さ、ついてきてね。はぐれても知んないよ?」
一気に慌しくなった永遠亭を後にしたアリスと霊夢。何はともあれ、味方一人ゲット!
「やってやる、やってやるわ。待っててくださいね、姫様……!」
「めどい」 「ねむい」 「ゲラゲラゲラゲラ」
「もう、私こんな役回りばっかり……どうせならあの人達についていけば良かったかなぁ…
あっ、うどんげ!師匠の邪魔しに行っちゃ駄目だってば!!」
――――――――――
次に来たのは妖怪の山。自称幻想郷きってのブンヤ、鴉天狗の射命丸文が目当てだ。
「あんた、わかってるでしょうね?」
「やだなぁわかってますって。
あなたの強姦趣味云々ってのも裏は取れてませんし、
本人にここまで否定されちゃ記事にしようがありません。元々情報源があの魔法使いだしねぇ」
そういえば一番危ない奴が野放しになっていた、と思い出して急いで来たのだが、
案の定マジで記事を発行する五秒前だった。記者としてのポリシーはどこへいった。
「本当かしら・・・」
「あ、あれは冗談よ!本気にしないでってば。
…で、ゆっくり駆除の件だったかしら? 受けるわ」
「えっ、いいの!?」
「何よその反応。私が首を縦に振るのがそんなに意外?」
「いや、正直言ってあんたはできるだけおおごとにして、
記事を書きやすくしてから収拾つけようとするものだと思ってたから…」
「本当ならそうしたいところではあったんだけどねー」 「「おい」」
聞くところによると、この妖怪の山でも自分に似たゆっくりが出たらしい。
礼儀正しい上に友好的で、他のゆっくりが入ってくるのを防いだりと、
一見問題が全くないように思えるのだが、当の真似された本人にとっては大有りだ。
「どうも、きよくただしくうつくしく。きめぇまるです」ヒュンヒュン
「き・め・ぇ・ま・る!う・ぜ・ぇ・ま・る!!」ヒュンヒュン
なぜなら見た目や話し方や仕草、態度が半端なくきめぇ上にうぜぇのだ。
強烈なインパクトをもって山に住み着いた、通称「うぜぇ丸」「きめぇ丸」。
他の者は比較的すんなりと受け入れ何の問題も無く過ごしている。
が、文はその姿や言動を見聞きするたびに、恥ずかしいやら肩身が狭いやら、
情けないやら居た堪れないやら、うぜぇやらきめぇやらで何やら疲れた気分になっていった。
そしてつい先日、下っ端の白狼天狗に「きめぇま…射命丸様ー!」と呼ばれた事でとうとう限界が来たのだという。
そんな彼女にとってアリス達の誘いは渡りに船だったらしい。
「あいつらが嫌いと言うわけじゃないのよ。でも…限度があるじゃない。
何よ、なんで部下にまでアレと間違えられなきゃいけないわけ!?
あんなうぜぇ上にきめぇのと間違えられる気持ち、あんた達に分かる!?ってわかるか、ごめん…」
「謝らないでよ。余計惨めになるじゃない……」
「言わないで。できるだけ考えないようにしてるんだから」
こうして仲間を増やした惨めな一行は、次の目的地へと飛んでいった。
次は冥界に存在する大屋敷、白玉楼に来た一行。そこで待ち受けていたのは―――
「とのがたの…とのがたの…」 「も、もうそれ以上は…」
「ちーんぽ!!」 「いやぁぁぁ!!!」
「あはははははは!!!」
淫語を吐くゆっくりと、それを聞いてとんでもなく恥ずかしがる、二本帯刀した少女。
そしてその光景を見て大爆笑する亡霊の姫君、西行寺幽々子であった。
「・・・何してるの、あんたたち」
「あらまあ、珍しいお客様ね。いらっしゃい。
妖夢ー。何時までも顔真赤にしてないで、お茶でも入れてきて頂戴な」
「はいぃ……」
すごすごと下がる帯刀少女、妖夢。
対する幽々子は、いつもに増して上機嫌だ。
「で、何してたの?」
「見ての通り、あの妖夢そっくりの饅頭と妖夢“で”遊んでたのよ。
面白いわねアレ。食べても美味しいし、いくらでも居るし」
「この上なく楽しんでるわ・・・強者ね」
今までにない戦慄を覚えながら、一行は事情を説明した。
「なるほどねぇ……でもせっかくこんなに楽しい子が来たのに勿体無くないかしら?」
「あなたはそうかもしれないけれどね。私達は・・・「やりましょう!!」 妖夢、いたの?」
いつの間にか戻ってきた妖夢が、鼻息を荒くしながらこちらを見つめている。
「私も手伝わせていただきます。誰がなんと言おうとも!「ちーんぽ!」あなたは黙ってなさい!!」
「な、なんか気合入ってるわね」 「鬼気迫るとも言うわ」
「ええそうですとも!私は、私は・・・まだ未熟者の身ではありますが、
これまでにこんな辱めを受けた事はありません!幽々子様、止めないで下さい」
「えー、そんなに嫌だった?私こんなに笑ったの数百年ぶりなのよ?」
「それは…幽々子様は楽しいでしょうが……どうしても嫌ですか」
「嫌ね!!」 「ハッキリ言うわね・・・」
ならば致し方ないとでも言うように、妖夢はため息を一つ吐いた。
「そうですか・・・ならば、今日から晩御飯は無しです!!」
「な、なんですってー!?ちょっと妖夢!それは卑怯じゃないの?」
「何も嫌がらせで言っているわけではありません。これのせいです」
そう言って妖夢が障子の向こうから取り出したのは、ピンクの髪のゆっくりだった。
「こ~ぼね~♪」
「あらまあ」
「あら、幽々子にそっくり」 「ゆっくりゆゆこってところかしら」
「ええ、そうです。台所にいたところを捕獲しました」
「あややや。もう何でもアリですねぇ。で、これがどうしたの?」
そうだ。確かに少し驚いたが、だからなんだというのか。
「別に私はこの子が何言ったって堪えないわよ。どうしたというのかしら?」
「別にこの子は何も言いませんよ?ただ、食料がゼロになります」
「・・・は?」
呆然とする幽々子。ここまで呆けた顔をするのはそう無い事だ。
「だから、この子が食料を全部吸い込んでました。備蓄も全部」
「ちょっと待って、吸い込んだってどういうこと!?」
「言葉の通りです。この子がいる限り、きっと白玉楼の食料という食料は食べ尽くされる事でしょう」
忌々しそうに歯噛みする幽々子。
「な、ならその子だけ「捨てろとは仰いませんよね。私のゆっくりは置いておくのに」 うぅ・・・」
「さあ。どうなさいますか、幽々子様?」
「まあこのままじゃ食事無しか饅頭食べ放題のどちらかしかないわよね」
霊夢の台詞で、ゆゆこと幽々子の目の色が変わった。
「饅頭食べ放題…?そういう発想もあったのね!」 「こ~ぼね!!」
「幽々子様、ご決断を」
「もう答えは決まってると思うけど…」
「やりましょう!これ以上ゆっくりの食べほ…ゆっくりによる被害を見過ごしては置けないわ!」
「・・・まあ、やる気になっていただけたのなら一向に構いませんが。では、まずこれを」
妖夢が差し出したのは、先程から居た自分にそっくりなゆっくり。みょんだ。
「ありがとう。いただきまーす」「びっぐまらべにず!?ぢ、ぢ、ぢーんぼぉ!!あざだち!」
受け取った幽々子は躊躇なくかぶりついた。
「むーしゃむーしゃ、幸せだわー。うぐいす餡がたまらないわね」
「食べてる…」
「話には聞いてたけど、ホントに食べる人いるのね…」
「か、かぜーほうげぃっ!!」
「ふう、ご馳走様でした。じゃ、行きましょうか」
一息ついた一同は、ゆゆこを置いてまた飛んでいった。
もう食料は無いから大丈夫なはずである。
むしろそこらのゆっくりでも食って駆除してくれる事だろう。
「っていうかあんたの能力でゆっくり全部、死に誘えないの?」
「あら、だめよ。できるかもしれないけど、紫に止められてるでしょ?そういうの」
「チッ。抜け目ないわね、あのスキマ……年の功ってやつかしら」
次に着いた場所は紅魔館。あの我侭当主なら今頃癇癪おこしてるだろうなあ、と思ったからだ。
が、しかし
「殲滅戦?興味ないわ」
あっさりと拒否の返事が返ってきた。
「あら意外。あんたなら『あんな醜い肉まんに名乗られるなんて恥以外の何物でもないわ!』とか言うと思ってたけど」
「言わないわよ、そんな事。それよりもあなたがのうのうと顔を出したことの方がありえないわ。
まだこの前の不意打ちの件、忘れたわけではなくてよ」
「この前?何かしたっけ?」 「良い度胸じゃない、この守銭奴巫女…」
場の空気が視覚的に歪んだ。こんな所でドンパチやられてはたまった物ではない。
「待ちなさいってば。やるのは勝手だけど、話の後にしてちょうだい!」
「…仕方ないわね。で、殲滅戦だったかしら。さっきも言ったとおり興味ないわ、遠慮しておく」
「どうしてですか?あなただって尊厳を傷つけられたでしょうに」
「確かに少しはね。でも真の威厳という物はこの程度じゃ傷つかない物よ。まだまだ修行が足りないわね」
「はぁ、そういうものですか…?」
随分と立派な台詞である。妖夢も感心した事だろう。
当主、レミリアの後ろにある、首だけになって息絶えている膨れ肉まんの姿さえなければ。壁には大穴が開いている。
「明らかに八つ当たりか、ストレス解消の跡ですよね。あれ……」
「な、なんのことかしら!?あれは・・・そう!フランがやったのよ!!」
「居ないわよ。あんたが地下に軟禁してるんでしょうに…」
「仕方がなかったのよ…どこからか入り込んだあの肉まんが『れみりゃのすぴあ☆ざ☆ぐんぐにるをくらうんだどぉ』
とか言ったから、ついイラッと来て本物ぶっ放しちゃったのよ。て、手加減はしたのよ!?」
「当たり前でしょ。あんなもの全開で撃ったら屋敷吹っ飛ぶわよ」
苦しい言い訳をしているが、相手をしている霊夢以外はもうそんな事には興味はなかった。
「妖夢、あれ食べて良いかしら?」
「駄目に決まってます!床に落ちた汚い物食べてお腹壊したらどうするんですか!!亡霊だけど…」
「あら、随分と言ってくれるわね。私が家事を指揮する紅魔館に汚い所なんて一箇所もなくてよ」
突然背後に現れたのは、紅魔館のメイド長。十六夜咲夜である。
「おわぁ!いつの間に現れたんですか!?」
「ここは私が仕える屋敷よ。私が現れて何の不都合があるのかしら?鴉天狗」
「いえ、ありませんが…心臓に悪いんだってば」
「ところで、話は聞かせてもらったわ。
ゆっくり殲滅、お嬢様の代わりに私が行きます」
「あら、いいの?こちらとしては大歓迎だけど」
「ええ。パチュリー様からも苦情が出ているし、
屋敷に「ここをれいむのおうちにするよ!」
とか言って侵入しようとするゆっくりが後を絶たないせいで、
久しぶりに仕事続きの門番がノイローゼ気味なのよ。由々しき事態だわ」
「それはまた壮絶な話ね…あとその名前出すのやめてくれる?」
「私が言ったんじゃないわよ。とにかく、全てはあの饅頭が悪いんだわ。
メイド長でしては見過ごせないの。・・・それにもう肉汁掃除は嫌なのよ」
「掃除?」
「妹様がね、あの膨れ肉まんを気に入っちゃったみたいで。
毎日千切っては破裂させ、潰しては破裂させ。
完全に肉汁除去ができる技術が私にしかないから毎日出ずっぱりよ。流石に堪えるわ…」
(そこは姉妹揃ってなのね…)
一行は咲夜に疲れた背中を見た。幻想郷では珍しい物だ。
「そんな事が…ならば行って来なさい、咲夜。許します」
「よ、よろしいのですか、お嬢様!!」
「ええ。あの子が喜ぶならと黙っていましたが、
あなた達が疲労で潰れるのを見過ごすわけにはいかないわ。
だって…私はあなた達の主人だもの!」
「お、お…おじょうさまあーー!!」
「あーはいはい。じゃ、行くわよー。」 「「「「おー」」」」
勝手に盛り上がる二人と、極めて冷静な一行。
仲間が出来れば用はない。さっさとトリップ中の咲夜の首根っこを捕まえて飛んでいった。
一行が去った後、
「ふう…さて、この穴開いた壁どうしようかしら・・・咲夜いないし」
どうしようもなくなって佇むレミリア。依存度はれみりゃとそう変わらないみたいだ。
――――――――――
とりあえずその後も色々回った一行は、ひとまずそれなりの人数を集めた。
天界では
「ああ、いいよ。そろそろ甘い物にも飽きてきたしさ。
ところで次の宴会っていつ?」
「するのはいいけど、酒とか自前で持ってきなさいよアンタ…」
萃香と
「待ちなさい、何か面白そうな話をしているわね!あたしも混ぜなさいよ!」
「いや、あんたは要らない。能力的にも役に立たないし。地震起こしてどうすんのよ」
「そ、そんなことないわよ。っていうか正直暇じゃなければなんでもいいわ!」
「やれやれ・・・」
天子が。
人里では
「まあかまわんぞ。あれは子供達にも悪影響だ。
…ところでアリス。嘘だとは思うが……」
「あの空飛ぶ拡声器と私、どちらを信じるのかしら?」
「そうだな。すまなかった」
上白沢 慧音が加わった。
その後に稗田家の当主にもバッタリ会ったが、
ゆっくりの話題を出すやいなや、訊いてもいないのに尋常でない熱意で
『ゆっくりが如何に潰すべき存在のナマモノか、潰すとどれだけスカッとするか』
を少し危ない目をしながら語りだしたので、早々に退散した。
いくらなんでもあんな危険な子供を引き込もうとは思わない。触らぬ神になんとやら、だ。
余談ではあるが、アリスと妖夢は人里に入る時にかなり恥ずかしい思いをした。
中途半端に特徴を残したゆっくりたちの淫行がすでに知れ渡っており、人々の好奇の目に晒された為である。
特にアリスは、魔理沙が流した噂も広がっていたこともあって、一瞬死にたくなったそうな。
他にも再度戻った妖怪の山では
「ゆっくり?うーん。正直不思議生物には興味ないんだけど…
でも人間が困ってるらしいし、これは盟友である河童の出番だね!!」
河童のにとりが加わった。
ちなみに山の神社では
「く、駆除!?こんなに可愛いけろちゃんたちを駆除するって言うんですか!?
鬼、人でなし!!お二人も何か言ってやってください!!」
「いや、私達は別に…」
「面白いには面白かったが別に可哀相とは、なぁ?」
「あーぅー?」
「と、とにかく駄目なものは駄目です、帰ってください!塩撒きますよ!!」
人でなし呼ばわりされて追い返された。
その他にも地上に出てきて暇そうに飛んでいた地獄鴉や、
そこらで寝てたのを見つけ、サボっていたのをバラされたくなければと、口止め代わりに連行された死神。
そして自宅に戻っていたところをひっつかまえた、白黒魔法使い(すまん!わざとじゃなかったんだぜ!!)を加え、
本来ゆっくり相手には過剰とも言えるほどの戦力を手に入れた。
そして、時は満ちた。
大体の打ち合わせは終わり、河童の技術や文の聞き込みで大体のゆっくりの群生地はわかっている。
後は予定された地点に各自が散らばって、ここに課せられた役目を遂行するだけだ。
「えっと、ここでこう行って、ふゅーじょんすればいいのね!!」
「だから違うって!タイミング見図れって言ってるでしょうが!大災害が起きるよ!」
「あ、そっかー。ごめんね。ほら、あたし鳥頭らしいから!あはは!!」
「本当に大丈夫なのかねえ。死神が災害に巻き込まれて死ぬとか洒落にもならないよ。
いざとなったら、バラされてもいいからあたいはトンズラするからね!!」」
集まった面々を前に、異変解決代表者、霊夢。発案者、アリス。
そして首に縄をつながれた、ある意味今回の元凶である魔理沙が言葉を発する。
「おい、ちょっと。聞いてるのか?悪かったって」
「まあ協調性のないここの住人にしては集まったほうでしょ」
「なー、反省してるって。いくらなんでもこの首輪はないんじゃないか?心配しなくても逃げないって」
「そうね。全員癖はあるけど、使いようによってはかなりいけるはずだわ」
「私だって怖かったんだよ。むしろ被害者だって。あいつすごい顔で汁撒き散らしながら迫ってくるんだぜ?
そりゃトラウマになってアリスの顔をあのゆっくり「黙ってなさい!!」・・・ゴメンナサイ」
ここにいる者たちの目的は(一部を除いて)ゆっくりの殲滅、ただ一つ。
「さて、今回ばかりはちょっと私一人の手に余るわ。
作戦通りに動いて、この幻想郷からあの忌々しい饅頭を消し去るのよ!!」
今、少女達の尊厳と名誉と平穏(あと満腹感とサボりの完遂と暇潰し)を守る為の戦いが始まる―――
――――――――――
結果から言えば、少女達の惨敗だった。
どれだけ剣で斬ろうとも、大量の人形で蜂の巣にしようとも、
美味しく頂こうとも、緋想の剣を放とうとも、
空間を狭めて、そこを高火力で吹き飛ばそうとも、
大型の竜巻を作り出して打ち上げて、落として潰そうとも、
距離を操ってから巨大化して一気に押しつぶそうとも、
果ては結界に閉じ込めて、核の力で一気に蒸発させようとも、
ゆっくりはその場ではいなくなる事はあっても、少しすればまたいつの間にか増えていた。
結局少女達は、自分達が大暴れした“歴史”を隠して、後始末をすることしかできなかった。
その上なんと、奥の手であった永琳まで匙を投げてしまった。
彼女が言うには
「一応私の本来の目的は達成する事ができるわ。
ただ…それをやっちゃうと、あの子たちの存在自体が消滅しかねないの。
実験に使った、そこら辺によく居る種のゆっくりの半分が、苦しみながら塵も残さず消えたわ。
残りの半分は普通に激痛に身を捩じらせて死んだけど。
つまり、各ゆっくりの最も悪い部分が、そのゆっくり最大の特徴や個性になってるって訳ね。
それでも普通は消滅するなんて事ありえないんだけど、ゆっくりって一体なんなのかしら…」
なんとも奇妙な結果となったらしい。
ならばいっそ消してしまえという意見も出たが、
それでは本来の目的、用途とは違うため薬師としての沽券に関わるとの理由で断固拒否された。
そして、それ以上にうるさかったのが、ボロボロになって帰ってきた紫である。
この上なく不機嫌な紫に、主犯、元凶である三人はこってりと絞られてしまった。
「あなた達何考えてるの!?私が居ない間にこんな事しでかして…
博麗の巫女のくせに、幻想郷の結界や境界に何かあったらどうするつもりだったの!!」
「それくらいちゃんと私も気にしてるわよ。アンタこそ大丈夫だったの?」
「それが散々な目にあったわ…話も聞かずに上からいきなり来たり、一瞬で数が増えたり、
ちゃんと倒した筈なのに2ラウンド制とか言ってもう一度復活するしで、ワケが解らないわよ。
もうあの手の来訪者はこりごりだわ。今度からは問答無用でどこかにスキマ送りよ、あんなの」
「だから何とかしておけって言ったじゃない。調子に乗った結果がこれよ!!」
「と、とにかく!何が目的かは知りませんがこんな事はもうしないように!
次からは私も容赦しないわよ?・・・まったく、何でこんな事を・・・」
「私も思わず我を忘れてしまったし、まあ少しは悪かったとは思うけど」
「私は悪くないって。ほんの少しの思い違いが生んだ不幸な事故ってやつだな」
「ホント懲りないわね、あんたも・・・」
こうして駆除は失敗。ゆっくりたちの幻想入りを渋々認める結果だけが残ってしまった。
――――――――――
さて、幻想郷中を巻き込んだ今回の騒動。
損をした者しかいないと思われたが、一人だけ勝者がいた。
発案者であり、言いだしっぺのアリスである。
今回の騒動の原因を紫に聞かれた時に全てを包み隠さず打ち明けたアリスは、
ついでとばかりに、何とかならないかと駄目元で相談してみた。
何を馬鹿なことを、と一蹴されるかとも思われたが、
紫にとっては今回の様な事がまた起きるのも困るし、
ゆっくりも全てが無害ではないと思い知った今では少しぐらい融通を利かせるのも悪くはないかと考えた。
要するにただの気まぐれである。世の中そんなものだ。
アリスの本来の目的はレイパーありすの駆除。
そのために動いたのは八雲紫と西行寺幽々子、そして八意永琳の三人である。
まず永琳が開発した方法によって、レイパーの最も重要な部分を排除する事にした。
つまり、ぺにぺにである。
最初は永琳も渋ったが、元々レイパーはゆっくりありすの派生型である、という説得を受けて、
絶滅させる事にはならないだろうとレイパーを排除する事を了承、納得した。
これによってレイパー化したありすや幻想郷に入ってきたレイパーは、
ぺにぺにをおっ勃てた瞬間にぺにぺにが腐り落ち、激痛で悶絶しながら息絶える事になる。
ちなみに薬タイプであったのだが、魔理沙に無理矢理幻想郷中に散布させ、
薬の効果時間と、効果範囲の境界をいじる事によって常にどこでも、効果が現れる様にした。
そして、もう一つの生殖方法。すーりすーりに関しても対策を講じておいた。
身体の表面から分泌される精子餡によって体内でにんっしんした直後に、
赤ゆを死なせることにした。これで新たなレイパー候補は生まれない。
しかもゆっくりの絶頂の境界をいじっておいたので子作り目的ならともかく、
レイパーはすーりすーりをしても満足できない。
結局、それならばとぺにぺにをおっ勃てて、死ぬしかないのだ。
これに関しては全面的に幽々子が協力してくれた。
「本当に今回食べてただけだし、流石にこのまま何もしないのもねぇ。
それくらいなら別にいいわよ?疲れるのはやだけど」
という事で珍しく手を貸してくれたのだ。
こうしてレイパーは幻想郷から姿を消す事となる。
いや、厳密に言うならば誕生した瞬間に殆どが死んでしまうので、姿を現せないだけなのだが。
さて、ここで思わぬ大きな副次作用が現れる事になる。
永琳の薬の効果や幽々子の仕事が大雑把すぎたせいで、他のゆっくりに対しても効いてしまっているのだ。
普通のゆっくりまで、すっきりしようとぺにぺにを勃てたら腐り落ちて死んでしまい、
代わりにすーりすーりしても子供ができなくなってしまった。
しかし子作りができなくなったからと言ってゆっくりが居なくなる訳でもなく、
今日も次々とどこからともなく湧いてくる。
よって、永琳も研究材料が確保できればそれで良いかと思い、
紫ももう一度やり直すのはもう面倒臭いと、そのまま帰っていった。
幽々子も自宅周辺にゆゆこを放して野良ゆっくりを狩らせて遊んでいる。
もうゆっくりの精子餡の事など忘れているようだ。
どうやらゆっくりは簡単に死に誘えてしまうらしく、慣れれば息をするように無意識に行なえてしまうらしい。
無責任ではあるが、元々気まぐれが起こしたことではあるし、
永琳に至っては本来の目的には使えない物だったのに、
わざわざゆっくりの生殖行為ためにもう一度、一手間を加える事などするはずがない。
そして幸いと言うべきか幻想郷自体にも何かしらの影響は現れず、
むしろ適度に数が減って他の者にとっては良い事尽くめだったので、結局それで一件落着とされた。
アリスも上機嫌で帰ることができる。これでもう変な噂も流れずに済むだろう。
――――――――――
一件落着とされたものの、当のゆっくりたちはそんなことがあったなどと知るよしもない。
今日もゆっくりは快楽のため、子作りのためにすっきりを行い、
ある物はぺにぺにが腐って激痛でのた打ち回りながら死に、
ある物は子供ができない事に絶望するのだった。
「あぁぁ゛ぁ゛!!あでぃずのべにべにぃぃ!!」
「ずっぎりじだい、ずっぎりざぜで!!ず…っぎり……」
「ご、ごんなのどがいはじゃな゛いわ…」
「い゛やぁぁ゛ぁ!!だれがべにべにくっづげでぇ!ごんなきたないべにべにありずのじゃないぃぃ!!」
「ゆあぁぁ゛!なんでずっぎりでぎないのぉ!?べにべにもげじゃっだぁぁぁ!!!」
「ばでぃざ!ばでぃざ!ゆっぐりじでぇ!!」
「いだいよでいぶぅ!だれでぼいいがらだずげで!!ばでぃざまだじにだく…な…い……」
「ばぁでぃざぁぁぁ!!!」
「「すーりすーり……す、すっきりー!!」」
「ゆゆ~ん。ゆっくりしたあかちゃんできてね~!」
「…あかちゃん?ゆっくりしすぎだよ!あたまにはえてきてもいいのよ!!」
「……どおいうごどなのぉぉ!!?ぢゃんどずっぎりじだのにぃぃ!!」
「わがんないよぉ゛!でいぶにあがぢゃんちょうだいねぇぇ!!」
「ぐぞぉぉ!ごんなたねなじでいぶどいっじょにならなぎゃよがった!!」
「ごっぢのせりふだ!くぞげずばでぃざ!!だねなじはおばえだぁぁ!!」
「「じねぇぇ!!あがぢゃんもづぐれないくぞゆっぐりはゆっぐりせずにじねぇ!!」
「うっうー♪なんかうるさいあまあまいたど!いただきまーす!!」
「「ゆわぁぁぁ!れみりゃだぁぁぁ!!
こいつたべでぼいいがらでいぶ(ばでぃざ)はたずげで……い゛やぁぁぁ!!!」」
今日もゆっくりの叫び声で魔法の森は騒がしいが、アリスは満ち足りた気分だった。
あれからレイパーの姿は滅多に目撃されず、見つかったとしても、のた打ち回って死ぬ姿だけだ。
元々ありす種はゆっくり特有の傲慢さや頭の悪さはあるものの、比較的大人しいゆっくりである。
とにかくあの醜い姿や、それによる悪評判さえ無くなれば、それだけでアリスは満足だったのだ。
「ふぅ…今日は神社で宴会だったかしら。またゆっくりでも出されるんじゃないでしょうね…」
あれからレイパーによる風評被害は、全くと言っていいほど無くなった。
結局ゆっくりによる悪評を消せなかった他の者達の嫉妬の念が凄かったが、そんなことは関係ない。
薄暗い森の中を行くアリス。
今の彼女には森に響き渡るゆっくりの叫び声でさえも己を祝福しているように思えた。
・あとがき
元からこの話は予定はしていましたが、
書き上がるのに随分時間が掛かりました。
今回は考察がメインではないので多少強引な展開も許してくださいね!
ゆかりんの能力が万能すぎて(設定を)考えるのが辛い。
小五ロリあき
・過去作品
ふたば系ゆっくりいじめ 412 僕と『あの子』とゴミ饅頭と
ふたば系ゆっくりいじめ 446 俺とゲスと自業自得な餡子脳
ふたば系ゆっくりいじめ 460 弱虫まりさとほんとの勇気
ふたば系ゆっくりいじめ 484 ドスと理想と長の資格 前
ふたば系ゆっくりいじめ 494 ドスと理想と長の資格 後
ふたば系ゆっくりいじめ 514 僕とさくやとおぜうさま
ふたば系ゆっくりいじめ 548 てんことれいむとフィーバーナイト 前編
ふたば系ゆっくりいじめ 559 てんことれいむとフィーバーナイト 後編
ふたば系ゆっくりいじめ 583 ゆっくりしたけりゃ余所へ行け
読まなくても一応は大丈夫なつもりですが、やはり既読推奨です。
後日談に当たるような話なので、虐待はあまりないです。
あまり深く考えずに流して読んで下さい。
・もう原作設定すら怪しいけど気にしないでね!!
イラッと来たらごめんね!わざとじゃないよ!!
では、ゆっくりしていってね!!!
幻想郷に広がる、魔法の森と呼ばれる広大な森林。
人が普段踏み入れる事のないこの森に、二人の少女の姿があった。
片方は全体に白と黒の服装の、大きな帽子をかぶった元気な少女。
もう片方は、小さな人形を抱えた赤いカチューシャの物腰の落ち着いた少女だ。
「いやー、助かるよ。私一人じゃしんどくてさ」
「別に良いけど、何させるつもりなのよ」
「まあそう難しい事じゃないさ。キノコを集めたいんだが…」
「はぁ?それくらいいつもの事じゃないの。自分でやりなさいよ、下らない」
即座に踵を返そうとする少女を、慌てた様子で止める白黒少女。
「まあまあ、待てって。 集めたいんだけど、だ。
最近邪魔な奴がいてなぁ…お前も知らないか?ゆっくりっての」
「ゆっくり…?何よそれ」
「あー、やっぱ知らないか。お前もどうせ、ずっと家に篭ってたんだろ?
私も最近は実験で篭りっぱなしだったから最近の情勢に疎くてさぁ。他人に聞くまで知らなかったよ」
「うっ…で、何なのよ。そのゆっくりって」
「かくかくしかじか・・・」
どうやら
『最近ゆっくりという不思議饅頭が幻想郷中に蔓延ってるんだよ。
で、ここ数週間で爆発的に増えた奴らは、魔法の森にまで来るようになったわけだ。
あいつらが森の資源を食い荒らすせいでおちおちキノコも取れやしない。
まとまった数が取れなくなって困ってるんだ。一緒に駆除しようぜ☆』と、いうことらしい。
「…もっと早く気がつきなさいよ、引きこもり」
「いや全く気がつかなかったぜ。
なんせ私もしばらく森、っていうかほとんど自宅に篭りっぱなしだったからな。
あいつらもここには中々入ってはこなかったみたいだし、仕方ないっちゃ仕方ない。
っていうか、それお前にだけは言われたくないんだけど」
「う、うるさいわね! それよりも、そんなに強いの?そいつら。
あんたが手助け頼むなんて、異変の時だってそうある事じゃないのに」
「あー、別に強いってわけじゃないんだ。むしろ驚くほどに弱い。
私に似たやつに軽く弾幕撃ったらすぐ消し飛んだしな。だから『駆除』って言ったろ?
ただ、生命力に反比例するように数が多いんだよなー。
すごいんだぜ。もう、うじゃうじゃ~ってかんじ。
で、流石に森ごと薙ぎ払う訳にもいかないしさ。手伝ってもらおうってわけだ」
説明した後も、少女の眉間の皺は取れない。
「結局そんな事の為なのね。それくらい面倒臭がらずに、いつもの様にあんた一人で頑張んなさいよ」
「おいおい、お前だってここに住んでるんだから手伝っても罰は当たらないぜ。
自分の縄張りを守る為には必要なことだろ?駆除する責任はないが、義務はあるんだって」
言い返せない。ゆっくりがどんな者かは知らないが、放っておいては居心地が悪いのも確かだ。
「・・・わかったわよ。そうと決まればチャッチャと済ませましょう。
何時までもこんな下らない事に時間を割きたくないわ」
「そうそう。たまにはジメジメした所から出て運動しなきゃ、キノコでも生えちまうぜ。
あ、そのキノコを採取すれば「何か言ったかしら?」 何でもないよ。(おお怖い怖い)」
「やべでぇぇぇ!!」
そんなやり取りをしている二人の耳に、突然叫び声が届いた。
「何、今の!そう遠くないみたいだけど…」
「ありゃゆっくりの声だ!普段からやかましい奴らだったが、これはただ事じゃないぞ!」
「え、喋るの!?」 「そりゃ喋るって!今更驚くなよ。ここをどこだと思ってるんだ!」
「と、とにかく急いで行きましょう!!」
二人は声のするほうへと、ひたすら駆けていった。
そして、声の下へと駆けつけた先に居たのは―――
「いやぁぁ゛ぁ゛!!ばでぃざすっぎりじだぐない!!だずげでぇぇ!!!」
「んほぉぉぉ!!いいまむまむをもってるまりさはつんでれぐあいもさいこうねぇぇ!!」
ひたすらずっこんばっこんやっている饅頭のような物体だった。
ご存知ゆっくりまりさと、ゆっくりありす。又の名をレイパーと言う。
「な、な、な……」 「これがゆっくり…?しかもこいつ、私に・・・」
呆然とする人形少女と、顔を真っ赤にしてたじろぐ白黒少女。
どうやらすっきりーのことまでは知らなかったみたいだ。
「どういうことよ、これ!何でこんなことしてるわけ!?」
「こっちが知りたいよ!!どうしてアリスに似たやつがこんな…!!」
そう言っている間にも、ゆっくりの情事は進行中だ。
「んほぉぉ、いくわよぉぉ!!すっきりーー!!!」
「うばぁぁぁ!!れいばーはや゛だぁぁ゛ぁ゛!!ずっぎりーーー!!!」
二匹が声を上げると同時にゆっくりまりさの方にいくつもの蔓が生え、本体は黒ずんで動かなくなった。
「し、死んだのか?」 「汚らわしい…」
人形少女の方は嫌悪感をあらわにしている。
そんな二人に、レイパーがようやく気がついたようだ。
「あら、にんげん?わるいけど、にんげんはありすのしゅびはんいに…は…
んほぉぉ!!ゆっくりしたまりさみたいなにんげんだわぁぁ!!
それならはなしはべつよ!とかいはなありすのあいをあげましょうねぇぇ!!」
「え!?ア、アリ、え?え!!?」
いきなりそう言うと、ぺにぺにをおっ勃てるレイパー。
一方、突然のご指名に戸惑い、尻餅をつく白黒少女。
それに対して人形少女の視線は氷のように冷たく、冷静だった。
「…チッ。これ以上見ていたくないわ。やりなさい、上海」
「シャンハーイ」
「ゆぎぃ!!?」
今にも白黒少女に飛びつかんとするレイパーは、突然体を走る痛みに、身を竦めた。
ふと下を見ると、立派なぺにぺにが、見事に断ち切られている。
「あ゛…あ゛あ゛あ゛あ゛!あでぃずのとがいばなべにべにがぁぁぁ!!」
「まだ死なないのね、頑丈だこと。
なら徹底的に貫きなさい、上海。ちゃんと息の根止めるまでやめちゃ駄目よ」
「シャンハーイ」
「うゅげっ!!?や、やべでぇ!!どぼじでごんな、うべっ! ゆがぁぁぁぁ゛ぁ゛!!!」
レイパーの断末魔をバックに人形少女、アリスは座り込んだ白黒少女に歩み寄った。
「大丈夫?魔理沙。まったく、情けないわねえ」
「あ、ああ。悪いな。いきなりすごい迫力で来られたもんで驚いちまった」
「とりあえず、もう大丈夫よ。ちゃんと仕留めておくから。
それにしても、こんなのばっかりなのかしら……どうしたの?魔理沙」
「い、いや。何でもないぜ」
白黒少女、魔理沙は腰が引けている。どこか警戒しているようにも見えた。
「・・・あんたまさか」
「いやいやいや、そんなことないぜ!?
わかってる!アリスにはあんな趣味無いし、あんな・・・ゴニョゴニョも付いてないって事はわかってる!!」
「ならどうして距離をとるのかしら?」
「いやそれは、身の危険というか……じゃなくて!!
一応、なんか駆除くらい私一人でも十分かなーって。
じゃ、色々準備しなきゃいけないから!うふふ、気にしないで!!」
「ちょっと待って!?変な物憑いてるわよ!「気にするなって、じゃーな!!」 待ちなさいってば!!」
引き止める声を無視して、魔理沙は箒にまたがって行ってしまった。
これからどうなるかはわかっている。お喋りなあいつの事だ、きっと幻想郷中に広がることだろう。
『アリスは普段表に出さないが、実は強姦趣味の嗜好があるムッツリだ』と。
ついでに股間にナニが付いている、というのも追加されるかもしれない。
「ふ…ふふふふ……」
断じて許せる物か。そんな変な出鱈目は絶対に止めなければ、失くさなければならない。
「あ゛…あ゛でぃずばどがいばな…ぶぎゅっ!!」
「やってやるわ…根絶してやる!覚悟する事ね、饅頭ども!!」
穴だらけのズタズタになったレイパーを踏み潰しながら、決意を固めるアリス。
こいつらが原因なら根こそぎ絶やしてしまえば良い。臭い物には蓋を、の原理だ。
「とは言ったものの、どうしたものかしら…」
張り切るのは良いが、魔理沙の言葉を信じるならばこいつらの数は半端ではない。
おまけに幻想郷中に生息するとなれば、自分一人で根絶やしにするには明らかに人手不足だ。
生息分布も分からない現状況では無闇に動く事もできない。
「完全自立人形が完成していれば…いえ、無いものねだりをしている場合ではないわ。
とりあえずは仲間ね。目的を同じとする同士が必要だわ」
そうだ。魔理沙や自分に似た饅頭、となれば他の者に似たヤツもいるはず。
そして、自分の様に不名誉なレッテルを着せられそうになっている者もきっといるはずだ。
その者たちを引き込めば、曲者ぞろいの幻想郷の住人の事だ。何とかなるかも知れない。
「さて、まずは…博麗神社ね。なにせこういった事の専門家だもの。
待ってなさいよ饅頭。私の名誉の為にも、絶対に根絶やしにしてやるんだから!!」
決意を新たに飛び立つアリス。背中にはオーラのような物が漂っている。
果たして、アリスは見事名誉を挽回する事ができるのか。そして他の者達は―――
はじめてのくじょ~少女奮闘中~
場所は変わって博霊神社。
アリスは赤と白の服を着た少女を見つけた。
神社の巫女である博霊霊夢である。どうやら向こうもこちらに気付いたみたいだ。
目当ての人物を見つけたアリスは、少女目掛けて降りていって―――
「久しぶりね、霊夢」 「あら、“れいぱー”じゃない」 ズザァァー!!
おもいっきり顔から地面に突っ込んだ。
「痛い……」
「ゴメンゴメン、まさかそんな面白い反応が返ってくるとは…」
治癒術を施してもらったアリスは、元通りに治った鼻をさすっている。
「で、やっぱりそのレイパー云々って、魔理沙から?」
「ええ。いきなりやってきて
“ゆっくりのアリスに私が犯されかけた。レイパーってやつだ。
きっとあいつもそういう嗜好を持ってるに違いない。
何時も澄ました態度とってるくせに、とんだムッツリだぜ!
ついでに股間に・・・ゴニョゴニョも付いてるかもしれない!!”ってね」
「あいつ・・・カラスのような手癖の悪さの上に口まで軽いのね」
予想と一寸も違わないじゃないか。
「ま、流石にそんなこと無いってのはわかってるわよ。
大変ねー、アンタも。ゆっくりの風評被害は留まる事を知らないわ」
「アンタ“も”って事は……あなたも?」
「ええ。あの馬鹿饅頭のせいで『がめつい』『自分勝手』『傍若無人』って悪評だらけだわ」
「(それは割といつも通りじゃ・・・)「何か?」 いえ、何でもないわ」
それはともかく、これなら仲間に引き込めるかもしれない。
「実は霊夢……かくかくしかじか」
「まるまるうしうしってわけね。
・・・いいわよ。どうせいつかはやらなきゃいけないと思ってたし」
「そう?よかったわ。これで一歩前進ってところね。
…ところであのスキマ妖怪が居る場所わかるかしら?
協力してくれれば心強いのだけど」
あの胡散臭い妖怪、八雲紫がいてくれれば。
あの反則じみた能力の持ち主なら、この騒動自体を終わらせる事も可能かもしれない。
「それがねー。急に、すごい力を持ったゆっくりが来たから、って泡食って対処しに出て行ったわ。
「どっしり構えてなさいな」とか言っておいて、余裕こいてるからこういうことになるのよ。
言った自分が慌ててりゃ世話ないわ。って訳で、居ないわよ。しばらく戻っても来ないでしょうね」
「そう、残念ね……」
重要、且つ貴重な戦力が減った事になる。
「ま、そう落ち込む事も無いわよ。心当たりがないわけでもないわ」
「本当?どんな?」
「しらみつぶしに知ってる顔をあたっていけばいいのよ。
見たところゆっくりは幻想郷の中でも、強い力を持った存在の姿を模しているわ。
なら私達が居場所を知っている強い力の持ち主を当たっていけばきっと・・・」
「そ、そうかしら……でもそれが本当なら一理あるわね。他に良い方法も無いし、そうしましょうか。
で、最初は誰をあたるの?この近くには誰が居たかしら?」
「今の時期ならうってつけの奴がいるわよ。
あいつならきっと喜んでついて来るわ。あの加虐主義者ならね」
「ああ…そういえば居たわね……」
確かについて来るかもしれない。
なにせ誰かを痛めつける事に代え難い悦びを覚えるタイプの妖怪だ。
「じゃ、行きましょうか」
「そうね。太陽の畑は…こっちだったかしら」
重い腰を上げてアリスと霊夢は飛んでいった。
順調に進みそうなのにあまり嬉しくなさそうなのは、この先に待ち受ける人物のせいだろう。
――――――――――
「せっかくだけど、お断りするわ」 「「えっ!?」」
目的地にて、目当ての人物を見つけた二人は早速事情を話したが、
返ってきた返事は、予想とは反対の物だった。
「あんなゴミみたいな饅頭に興味はないし、今忙しくてそれどころじゃないの」
「何を今更…第一忙しいって、滅茶苦茶暇そうじゃない」
「私じゃないわよ。「おねえさーん!」あら、終わったのね」
向日葵畑の向こうから出てきたのは、大きな頭に小さな身体が付いた、
目の前の人物、風見幽香にそっくりなゆっくり。ゆうかりんだった。麦わら帽子をかぶっている。
「おねえさん、おわったわ!
ちゅういしてもらったとおりになおしてみたけど、どうかしら?」
「ええ。もう少ししたら見に行くわ。先に行っててちょうだい」
「はーい!!」
おぼつかない足取りで、それでも元気にゆうかりんは駆けて行く。
そんなゆうかりんを、幽香は愛しむ様な眼差しで見つめている。
「あれは・・・」
「少し前、ここの向日葵畑に目を輝かせていたのを拾ったのよ。
いつかここみたいな花畑を作るんだって息巻いてるわ。
まだまだ未熟だけど、やる気だけは一人前なのよ。…放っておけないでしょ?
それに私も、久しく忘れていた物を思い出させてもらったしね。
と、いう訳であなた達のお誘いはお断りするわ。これにて失礼」
そう言うと幽香は静かに向日葵畑の向こうへ去っていった。
呆然とした二人が残されている。
「い、意外だったわね…」
「チッ。まさかあの生粋の加虐主義者が母性に目覚めるとは、予想外だったわ。
まあ、あては外れたけどこれが最後って訳じゃないもの。まだまだいくわよ!」
「大丈夫なのかしら……でも数打ちゃ当たるって言うし、しょうがないかしらね」
いきなり有力候補に蹴られた二人は、
なんとなく幸先の悪さを感じながら不安を振り切るように飛んでいった。
――――――――――
次に来たのは迷いの竹林にある、永遠亭と呼ばれる屋敷である。
優れた頭脳の持ち主が欲しい、と言うアリスの要望によりここまで来たのだ。
「で、わざわざこんなところまで来て、何の用かしら。お話があるそうだけど」
目の前で女医の様にデスクに腕を置き、椅子をキコキコ鳴らしているのは月の頭脳、八意永琳だ。
傍には弟子である兎、鈴仙が立っている。
「実は、かくかくしかじか」
「まるまるうしうしね。・・・なるほど。
でも、まだゆっくりに関しては研究中なのよね…絶滅っていうのは勿体無いわ」
「今すぐって訳じゃないでしょ?自分の研究と平行して、手を貸して欲しいって言ってるの」
「別にあなた達に手を貸す義理も無いし、でも追い返すのもねぇ。どうしたものかしら…」
悩む永琳と心象が良くない事に緊張する二人。
「ウドンゲ、あなたはどう思う?」
「えっ、私ですか?私は…絶滅って程でもないですけど、あれはちょっと・・・」
鈴仙の視線の先には布団をかぶって寝ている女性のそばでゲラゲラ笑っているうさ耳ゆっくりの姿があった。
「ゲラゲラゲラゲラ」
「・・・まあ、気持ちは解らないでもないわ。
でもあなたはそれほど風評被害を受けてるって訳じゃないでしょう?」
「ええ、まあ確かに。あの子余所には滅多にいないみたいですし・・・」
悩む四人を余所にうさ耳ゆっくり、うどんげは寝ている女性の上によじ登った。
「こら!やめなさい、うどんげ!姫も先程から、こんな所で寝ないで下さい!」
「めどい」
「めどいって、そ…んな…?…まさか!」
布団をめくると、そこには月の姫、輝夜に良く似た服装の小さな人型が横たわっていた。
閉じた目に強く結ばれた口。にもかかわらず緊張感の欠片も無い、脱力しきった表情。
紛れも無く見た目は輝夜そっくりのゆっくり(?)、テルヨフだ。
「テルヨフ…!じゃあ姫は!?姫様ー!!」
「何よ、うるさいわねぇ……」 「うえぃ!?」
デスクの下からニュッと出てきた輝夜。どういった構造になってるのかは企業秘密だ。
「ど、どういうおつもりですか!どうやってそんなところに潜り込んだんですか!?」
「あなたがうるさいから、存分に寝られる場所を探しただけよ…」
「寝ないで下さいよ。自分の仕事を探すのではなかったのですか?」
「めどい。今はとにかく寝たいのよ…」
「めどいって・・・今の一瞬を大切にするというのはどこへ?」
「大切にしてるわよ。でも、こんなにも今眠いんですもの。だから寝るしかないじゃない」
永琳は頭を抱えたくなった。
暖簾に腕押しだ。いくら言おうとも全く手ごたえがない。
最近はあんなにやる気に満ち溢れていたのに、何故こんな事になってしまったのか。
理由はわかっている。あそこで寝ているあいつだ。
「はたらくとか、めどい」
「そうよねー。なんかあなた見てたら、全部どうでもよくなってきたわー。
あーあ、何もかもが「めどい」」
明らかに悪影響を受けている。ハモッた一人と一匹に永琳の血管は破裂寸前だ。
そして、先ほどから傍観に徹していた来客組はドン引きしていた。
「うわぁ…これはまたひどいわね」
「風評被害とはまた別の方向で最悪ね。ああならないでよかったわ…」 「!!」
二人の台詞を聞いて、月の頭脳の頭に青筋が走った。弟子は隣でオロオロするばかりだ。
このままでは、いけない。何もかもが駄目になってしまう。ならば―――
「・・・いいわ。手伝いましょう」 「「えっ!?」」
「手伝うと言ったのよ。ただし、絶滅はさせない。
要するにこいつらの最も悪い部分、元となった人物にとってマイナスになる部分を消し去れば良いんでしょう?
なら、時間は掛かるでしょうけどその方向でやってみるわ。あなた達は自分の好きに動きなさい。
その結果、ゆっくりが絶滅してしまっても文句は言わないわ。その程度の存在だったということでしょうし」
「うーん、何か釈然としないけど、まあいいわ」
「手伝ってくれるだけでも御の字ですものね」
「そうと決まれば早速取り掛からないと。
ウドンゲ、姫様たちを寝室に連れて行って。
てゐ、いるのでしょう?お客様がお帰りよ。“ちゃんと”外まで案内なさい」
「は、はい!!行きましょう、姫。「めどい」ああん、もう!!」
「はいよ。やっぱバレてたかぁ。 さ、ついてきてね。はぐれても知んないよ?」
一気に慌しくなった永遠亭を後にしたアリスと霊夢。何はともあれ、味方一人ゲット!
「やってやる、やってやるわ。待っててくださいね、姫様……!」
「めどい」 「ねむい」 「ゲラゲラゲラゲラ」
「もう、私こんな役回りばっかり……どうせならあの人達についていけば良かったかなぁ…
あっ、うどんげ!師匠の邪魔しに行っちゃ駄目だってば!!」
――――――――――
次に来たのは妖怪の山。自称幻想郷きってのブンヤ、鴉天狗の射命丸文が目当てだ。
「あんた、わかってるでしょうね?」
「やだなぁわかってますって。
あなたの強姦趣味云々ってのも裏は取れてませんし、
本人にここまで否定されちゃ記事にしようがありません。元々情報源があの魔法使いだしねぇ」
そういえば一番危ない奴が野放しになっていた、と思い出して急いで来たのだが、
案の定マジで記事を発行する五秒前だった。記者としてのポリシーはどこへいった。
「本当かしら・・・」
「あ、あれは冗談よ!本気にしないでってば。
…で、ゆっくり駆除の件だったかしら? 受けるわ」
「えっ、いいの!?」
「何よその反応。私が首を縦に振るのがそんなに意外?」
「いや、正直言ってあんたはできるだけおおごとにして、
記事を書きやすくしてから収拾つけようとするものだと思ってたから…」
「本当ならそうしたいところではあったんだけどねー」 「「おい」」
聞くところによると、この妖怪の山でも自分に似たゆっくりが出たらしい。
礼儀正しい上に友好的で、他のゆっくりが入ってくるのを防いだりと、
一見問題が全くないように思えるのだが、当の真似された本人にとっては大有りだ。
「どうも、きよくただしくうつくしく。きめぇまるです」ヒュンヒュン
「き・め・ぇ・ま・る!う・ぜ・ぇ・ま・る!!」ヒュンヒュン
なぜなら見た目や話し方や仕草、態度が半端なくきめぇ上にうぜぇのだ。
強烈なインパクトをもって山に住み着いた、通称「うぜぇ丸」「きめぇ丸」。
他の者は比較的すんなりと受け入れ何の問題も無く過ごしている。
が、文はその姿や言動を見聞きするたびに、恥ずかしいやら肩身が狭いやら、
情けないやら居た堪れないやら、うぜぇやらきめぇやらで何やら疲れた気分になっていった。
そしてつい先日、下っ端の白狼天狗に「きめぇま…射命丸様ー!」と呼ばれた事でとうとう限界が来たのだという。
そんな彼女にとってアリス達の誘いは渡りに船だったらしい。
「あいつらが嫌いと言うわけじゃないのよ。でも…限度があるじゃない。
何よ、なんで部下にまでアレと間違えられなきゃいけないわけ!?
あんなうぜぇ上にきめぇのと間違えられる気持ち、あんた達に分かる!?ってわかるか、ごめん…」
「謝らないでよ。余計惨めになるじゃない……」
「言わないで。できるだけ考えないようにしてるんだから」
こうして仲間を増やした惨めな一行は、次の目的地へと飛んでいった。
次は冥界に存在する大屋敷、白玉楼に来た一行。そこで待ち受けていたのは―――
「とのがたの…とのがたの…」 「も、もうそれ以上は…」
「ちーんぽ!!」 「いやぁぁぁ!!!」
「あはははははは!!!」
淫語を吐くゆっくりと、それを聞いてとんでもなく恥ずかしがる、二本帯刀した少女。
そしてその光景を見て大爆笑する亡霊の姫君、西行寺幽々子であった。
「・・・何してるの、あんたたち」
「あらまあ、珍しいお客様ね。いらっしゃい。
妖夢ー。何時までも顔真赤にしてないで、お茶でも入れてきて頂戴な」
「はいぃ……」
すごすごと下がる帯刀少女、妖夢。
対する幽々子は、いつもに増して上機嫌だ。
「で、何してたの?」
「見ての通り、あの妖夢そっくりの饅頭と妖夢“で”遊んでたのよ。
面白いわねアレ。食べても美味しいし、いくらでも居るし」
「この上なく楽しんでるわ・・・強者ね」
今までにない戦慄を覚えながら、一行は事情を説明した。
「なるほどねぇ……でもせっかくこんなに楽しい子が来たのに勿体無くないかしら?」
「あなたはそうかもしれないけれどね。私達は・・・「やりましょう!!」 妖夢、いたの?」
いつの間にか戻ってきた妖夢が、鼻息を荒くしながらこちらを見つめている。
「私も手伝わせていただきます。誰がなんと言おうとも!「ちーんぽ!」あなたは黙ってなさい!!」
「な、なんか気合入ってるわね」 「鬼気迫るとも言うわ」
「ええそうですとも!私は、私は・・・まだ未熟者の身ではありますが、
これまでにこんな辱めを受けた事はありません!幽々子様、止めないで下さい」
「えー、そんなに嫌だった?私こんなに笑ったの数百年ぶりなのよ?」
「それは…幽々子様は楽しいでしょうが……どうしても嫌ですか」
「嫌ね!!」 「ハッキリ言うわね・・・」
ならば致し方ないとでも言うように、妖夢はため息を一つ吐いた。
「そうですか・・・ならば、今日から晩御飯は無しです!!」
「な、なんですってー!?ちょっと妖夢!それは卑怯じゃないの?」
「何も嫌がらせで言っているわけではありません。これのせいです」
そう言って妖夢が障子の向こうから取り出したのは、ピンクの髪のゆっくりだった。
「こ~ぼね~♪」
「あらまあ」
「あら、幽々子にそっくり」 「ゆっくりゆゆこってところかしら」
「ええ、そうです。台所にいたところを捕獲しました」
「あややや。もう何でもアリですねぇ。で、これがどうしたの?」
そうだ。確かに少し驚いたが、だからなんだというのか。
「別に私はこの子が何言ったって堪えないわよ。どうしたというのかしら?」
「別にこの子は何も言いませんよ?ただ、食料がゼロになります」
「・・・は?」
呆然とする幽々子。ここまで呆けた顔をするのはそう無い事だ。
「だから、この子が食料を全部吸い込んでました。備蓄も全部」
「ちょっと待って、吸い込んだってどういうこと!?」
「言葉の通りです。この子がいる限り、きっと白玉楼の食料という食料は食べ尽くされる事でしょう」
忌々しそうに歯噛みする幽々子。
「な、ならその子だけ「捨てろとは仰いませんよね。私のゆっくりは置いておくのに」 うぅ・・・」
「さあ。どうなさいますか、幽々子様?」
「まあこのままじゃ食事無しか饅頭食べ放題のどちらかしかないわよね」
霊夢の台詞で、ゆゆこと幽々子の目の色が変わった。
「饅頭食べ放題…?そういう発想もあったのね!」 「こ~ぼね!!」
「幽々子様、ご決断を」
「もう答えは決まってると思うけど…」
「やりましょう!これ以上ゆっくりの食べほ…ゆっくりによる被害を見過ごしては置けないわ!」
「・・・まあ、やる気になっていただけたのなら一向に構いませんが。では、まずこれを」
妖夢が差し出したのは、先程から居た自分にそっくりなゆっくり。みょんだ。
「ありがとう。いただきまーす」「びっぐまらべにず!?ぢ、ぢ、ぢーんぼぉ!!あざだち!」
受け取った幽々子は躊躇なくかぶりついた。
「むーしゃむーしゃ、幸せだわー。うぐいす餡がたまらないわね」
「食べてる…」
「話には聞いてたけど、ホントに食べる人いるのね…」
「か、かぜーほうげぃっ!!」
「ふう、ご馳走様でした。じゃ、行きましょうか」
一息ついた一同は、ゆゆこを置いてまた飛んでいった。
もう食料は無いから大丈夫なはずである。
むしろそこらのゆっくりでも食って駆除してくれる事だろう。
「っていうかあんたの能力でゆっくり全部、死に誘えないの?」
「あら、だめよ。できるかもしれないけど、紫に止められてるでしょ?そういうの」
「チッ。抜け目ないわね、あのスキマ……年の功ってやつかしら」
次に着いた場所は紅魔館。あの我侭当主なら今頃癇癪おこしてるだろうなあ、と思ったからだ。
が、しかし
「殲滅戦?興味ないわ」
あっさりと拒否の返事が返ってきた。
「あら意外。あんたなら『あんな醜い肉まんに名乗られるなんて恥以外の何物でもないわ!』とか言うと思ってたけど」
「言わないわよ、そんな事。それよりもあなたがのうのうと顔を出したことの方がありえないわ。
まだこの前の不意打ちの件、忘れたわけではなくてよ」
「この前?何かしたっけ?」 「良い度胸じゃない、この守銭奴巫女…」
場の空気が視覚的に歪んだ。こんな所でドンパチやられてはたまった物ではない。
「待ちなさいってば。やるのは勝手だけど、話の後にしてちょうだい!」
「…仕方ないわね。で、殲滅戦だったかしら。さっきも言ったとおり興味ないわ、遠慮しておく」
「どうしてですか?あなただって尊厳を傷つけられたでしょうに」
「確かに少しはね。でも真の威厳という物はこの程度じゃ傷つかない物よ。まだまだ修行が足りないわね」
「はぁ、そういうものですか…?」
随分と立派な台詞である。妖夢も感心した事だろう。
当主、レミリアの後ろにある、首だけになって息絶えている膨れ肉まんの姿さえなければ。壁には大穴が開いている。
「明らかに八つ当たりか、ストレス解消の跡ですよね。あれ……」
「な、なんのことかしら!?あれは・・・そう!フランがやったのよ!!」
「居ないわよ。あんたが地下に軟禁してるんでしょうに…」
「仕方がなかったのよ…どこからか入り込んだあの肉まんが『れみりゃのすぴあ☆ざ☆ぐんぐにるをくらうんだどぉ』
とか言ったから、ついイラッと来て本物ぶっ放しちゃったのよ。て、手加減はしたのよ!?」
「当たり前でしょ。あんなもの全開で撃ったら屋敷吹っ飛ぶわよ」
苦しい言い訳をしているが、相手をしている霊夢以外はもうそんな事には興味はなかった。
「妖夢、あれ食べて良いかしら?」
「駄目に決まってます!床に落ちた汚い物食べてお腹壊したらどうするんですか!!亡霊だけど…」
「あら、随分と言ってくれるわね。私が家事を指揮する紅魔館に汚い所なんて一箇所もなくてよ」
突然背後に現れたのは、紅魔館のメイド長。十六夜咲夜である。
「おわぁ!いつの間に現れたんですか!?」
「ここは私が仕える屋敷よ。私が現れて何の不都合があるのかしら?鴉天狗」
「いえ、ありませんが…心臓に悪いんだってば」
「ところで、話は聞かせてもらったわ。
ゆっくり殲滅、お嬢様の代わりに私が行きます」
「あら、いいの?こちらとしては大歓迎だけど」
「ええ。パチュリー様からも苦情が出ているし、
屋敷に「ここをれいむのおうちにするよ!」
とか言って侵入しようとするゆっくりが後を絶たないせいで、
久しぶりに仕事続きの門番がノイローゼ気味なのよ。由々しき事態だわ」
「それはまた壮絶な話ね…あとその名前出すのやめてくれる?」
「私が言ったんじゃないわよ。とにかく、全てはあの饅頭が悪いんだわ。
メイド長でしては見過ごせないの。・・・それにもう肉汁掃除は嫌なのよ」
「掃除?」
「妹様がね、あの膨れ肉まんを気に入っちゃったみたいで。
毎日千切っては破裂させ、潰しては破裂させ。
完全に肉汁除去ができる技術が私にしかないから毎日出ずっぱりよ。流石に堪えるわ…」
(そこは姉妹揃ってなのね…)
一行は咲夜に疲れた背中を見た。幻想郷では珍しい物だ。
「そんな事が…ならば行って来なさい、咲夜。許します」
「よ、よろしいのですか、お嬢様!!」
「ええ。あの子が喜ぶならと黙っていましたが、
あなた達が疲労で潰れるのを見過ごすわけにはいかないわ。
だって…私はあなた達の主人だもの!」
「お、お…おじょうさまあーー!!」
「あーはいはい。じゃ、行くわよー。」 「「「「おー」」」」
勝手に盛り上がる二人と、極めて冷静な一行。
仲間が出来れば用はない。さっさとトリップ中の咲夜の首根っこを捕まえて飛んでいった。
一行が去った後、
「ふう…さて、この穴開いた壁どうしようかしら・・・咲夜いないし」
どうしようもなくなって佇むレミリア。依存度はれみりゃとそう変わらないみたいだ。
――――――――――
とりあえずその後も色々回った一行は、ひとまずそれなりの人数を集めた。
天界では
「ああ、いいよ。そろそろ甘い物にも飽きてきたしさ。
ところで次の宴会っていつ?」
「するのはいいけど、酒とか自前で持ってきなさいよアンタ…」
萃香と
「待ちなさい、何か面白そうな話をしているわね!あたしも混ぜなさいよ!」
「いや、あんたは要らない。能力的にも役に立たないし。地震起こしてどうすんのよ」
「そ、そんなことないわよ。っていうか正直暇じゃなければなんでもいいわ!」
「やれやれ・・・」
天子が。
人里では
「まあかまわんぞ。あれは子供達にも悪影響だ。
…ところでアリス。嘘だとは思うが……」
「あの空飛ぶ拡声器と私、どちらを信じるのかしら?」
「そうだな。すまなかった」
上白沢 慧音が加わった。
その後に稗田家の当主にもバッタリ会ったが、
ゆっくりの話題を出すやいなや、訊いてもいないのに尋常でない熱意で
『ゆっくりが如何に潰すべき存在のナマモノか、潰すとどれだけスカッとするか』
を少し危ない目をしながら語りだしたので、早々に退散した。
いくらなんでもあんな危険な子供を引き込もうとは思わない。触らぬ神になんとやら、だ。
余談ではあるが、アリスと妖夢は人里に入る時にかなり恥ずかしい思いをした。
中途半端に特徴を残したゆっくりたちの淫行がすでに知れ渡っており、人々の好奇の目に晒された為である。
特にアリスは、魔理沙が流した噂も広がっていたこともあって、一瞬死にたくなったそうな。
他にも再度戻った妖怪の山では
「ゆっくり?うーん。正直不思議生物には興味ないんだけど…
でも人間が困ってるらしいし、これは盟友である河童の出番だね!!」
河童のにとりが加わった。
ちなみに山の神社では
「く、駆除!?こんなに可愛いけろちゃんたちを駆除するって言うんですか!?
鬼、人でなし!!お二人も何か言ってやってください!!」
「いや、私達は別に…」
「面白いには面白かったが別に可哀相とは、なぁ?」
「あーぅー?」
「と、とにかく駄目なものは駄目です、帰ってください!塩撒きますよ!!」
人でなし呼ばわりされて追い返された。
その他にも地上に出てきて暇そうに飛んでいた地獄鴉や、
そこらで寝てたのを見つけ、サボっていたのをバラされたくなければと、口止め代わりに連行された死神。
そして自宅に戻っていたところをひっつかまえた、白黒魔法使い(すまん!わざとじゃなかったんだぜ!!)を加え、
本来ゆっくり相手には過剰とも言えるほどの戦力を手に入れた。
そして、時は満ちた。
大体の打ち合わせは終わり、河童の技術や文の聞き込みで大体のゆっくりの群生地はわかっている。
後は予定された地点に各自が散らばって、ここに課せられた役目を遂行するだけだ。
「えっと、ここでこう行って、ふゅーじょんすればいいのね!!」
「だから違うって!タイミング見図れって言ってるでしょうが!大災害が起きるよ!」
「あ、そっかー。ごめんね。ほら、あたし鳥頭らしいから!あはは!!」
「本当に大丈夫なのかねえ。死神が災害に巻き込まれて死ぬとか洒落にもならないよ。
いざとなったら、バラされてもいいからあたいはトンズラするからね!!」」
集まった面々を前に、異変解決代表者、霊夢。発案者、アリス。
そして首に縄をつながれた、ある意味今回の元凶である魔理沙が言葉を発する。
「おい、ちょっと。聞いてるのか?悪かったって」
「まあ協調性のないここの住人にしては集まったほうでしょ」
「なー、反省してるって。いくらなんでもこの首輪はないんじゃないか?心配しなくても逃げないって」
「そうね。全員癖はあるけど、使いようによってはかなりいけるはずだわ」
「私だって怖かったんだよ。むしろ被害者だって。あいつすごい顔で汁撒き散らしながら迫ってくるんだぜ?
そりゃトラウマになってアリスの顔をあのゆっくり「黙ってなさい!!」・・・ゴメンナサイ」
ここにいる者たちの目的は(一部を除いて)ゆっくりの殲滅、ただ一つ。
「さて、今回ばかりはちょっと私一人の手に余るわ。
作戦通りに動いて、この幻想郷からあの忌々しい饅頭を消し去るのよ!!」
今、少女達の尊厳と名誉と平穏(あと満腹感とサボりの完遂と暇潰し)を守る為の戦いが始まる―――
――――――――――
結果から言えば、少女達の惨敗だった。
どれだけ剣で斬ろうとも、大量の人形で蜂の巣にしようとも、
美味しく頂こうとも、緋想の剣を放とうとも、
空間を狭めて、そこを高火力で吹き飛ばそうとも、
大型の竜巻を作り出して打ち上げて、落として潰そうとも、
距離を操ってから巨大化して一気に押しつぶそうとも、
果ては結界に閉じ込めて、核の力で一気に蒸発させようとも、
ゆっくりはその場ではいなくなる事はあっても、少しすればまたいつの間にか増えていた。
結局少女達は、自分達が大暴れした“歴史”を隠して、後始末をすることしかできなかった。
その上なんと、奥の手であった永琳まで匙を投げてしまった。
彼女が言うには
「一応私の本来の目的は達成する事ができるわ。
ただ…それをやっちゃうと、あの子たちの存在自体が消滅しかねないの。
実験に使った、そこら辺によく居る種のゆっくりの半分が、苦しみながら塵も残さず消えたわ。
残りの半分は普通に激痛に身を捩じらせて死んだけど。
つまり、各ゆっくりの最も悪い部分が、そのゆっくり最大の特徴や個性になってるって訳ね。
それでも普通は消滅するなんて事ありえないんだけど、ゆっくりって一体なんなのかしら…」
なんとも奇妙な結果となったらしい。
ならばいっそ消してしまえという意見も出たが、
それでは本来の目的、用途とは違うため薬師としての沽券に関わるとの理由で断固拒否された。
そして、それ以上にうるさかったのが、ボロボロになって帰ってきた紫である。
この上なく不機嫌な紫に、主犯、元凶である三人はこってりと絞られてしまった。
「あなた達何考えてるの!?私が居ない間にこんな事しでかして…
博麗の巫女のくせに、幻想郷の結界や境界に何かあったらどうするつもりだったの!!」
「それくらいちゃんと私も気にしてるわよ。アンタこそ大丈夫だったの?」
「それが散々な目にあったわ…話も聞かずに上からいきなり来たり、一瞬で数が増えたり、
ちゃんと倒した筈なのに2ラウンド制とか言ってもう一度復活するしで、ワケが解らないわよ。
もうあの手の来訪者はこりごりだわ。今度からは問答無用でどこかにスキマ送りよ、あんなの」
「だから何とかしておけって言ったじゃない。調子に乗った結果がこれよ!!」
「と、とにかく!何が目的かは知りませんがこんな事はもうしないように!
次からは私も容赦しないわよ?・・・まったく、何でこんな事を・・・」
「私も思わず我を忘れてしまったし、まあ少しは悪かったとは思うけど」
「私は悪くないって。ほんの少しの思い違いが生んだ不幸な事故ってやつだな」
「ホント懲りないわね、あんたも・・・」
こうして駆除は失敗。ゆっくりたちの幻想入りを渋々認める結果だけが残ってしまった。
――――――――――
さて、幻想郷中を巻き込んだ今回の騒動。
損をした者しかいないと思われたが、一人だけ勝者がいた。
発案者であり、言いだしっぺのアリスである。
今回の騒動の原因を紫に聞かれた時に全てを包み隠さず打ち明けたアリスは、
ついでとばかりに、何とかならないかと駄目元で相談してみた。
何を馬鹿なことを、と一蹴されるかとも思われたが、
紫にとっては今回の様な事がまた起きるのも困るし、
ゆっくりも全てが無害ではないと思い知った今では少しぐらい融通を利かせるのも悪くはないかと考えた。
要するにただの気まぐれである。世の中そんなものだ。
アリスの本来の目的はレイパーありすの駆除。
そのために動いたのは八雲紫と西行寺幽々子、そして八意永琳の三人である。
まず永琳が開発した方法によって、レイパーの最も重要な部分を排除する事にした。
つまり、ぺにぺにである。
最初は永琳も渋ったが、元々レイパーはゆっくりありすの派生型である、という説得を受けて、
絶滅させる事にはならないだろうとレイパーを排除する事を了承、納得した。
これによってレイパー化したありすや幻想郷に入ってきたレイパーは、
ぺにぺにをおっ勃てた瞬間にぺにぺにが腐り落ち、激痛で悶絶しながら息絶える事になる。
ちなみに薬タイプであったのだが、魔理沙に無理矢理幻想郷中に散布させ、
薬の効果時間と、効果範囲の境界をいじる事によって常にどこでも、効果が現れる様にした。
そして、もう一つの生殖方法。すーりすーりに関しても対策を講じておいた。
身体の表面から分泌される精子餡によって体内でにんっしんした直後に、
赤ゆを死なせることにした。これで新たなレイパー候補は生まれない。
しかもゆっくりの絶頂の境界をいじっておいたので子作り目的ならともかく、
レイパーはすーりすーりをしても満足できない。
結局、それならばとぺにぺにをおっ勃てて、死ぬしかないのだ。
これに関しては全面的に幽々子が協力してくれた。
「本当に今回食べてただけだし、流石にこのまま何もしないのもねぇ。
それくらいなら別にいいわよ?疲れるのはやだけど」
という事で珍しく手を貸してくれたのだ。
こうしてレイパーは幻想郷から姿を消す事となる。
いや、厳密に言うならば誕生した瞬間に殆どが死んでしまうので、姿を現せないだけなのだが。
さて、ここで思わぬ大きな副次作用が現れる事になる。
永琳の薬の効果や幽々子の仕事が大雑把すぎたせいで、他のゆっくりに対しても効いてしまっているのだ。
普通のゆっくりまで、すっきりしようとぺにぺにを勃てたら腐り落ちて死んでしまい、
代わりにすーりすーりしても子供ができなくなってしまった。
しかし子作りができなくなったからと言ってゆっくりが居なくなる訳でもなく、
今日も次々とどこからともなく湧いてくる。
よって、永琳も研究材料が確保できればそれで良いかと思い、
紫ももう一度やり直すのはもう面倒臭いと、そのまま帰っていった。
幽々子も自宅周辺にゆゆこを放して野良ゆっくりを狩らせて遊んでいる。
もうゆっくりの精子餡の事など忘れているようだ。
どうやらゆっくりは簡単に死に誘えてしまうらしく、慣れれば息をするように無意識に行なえてしまうらしい。
無責任ではあるが、元々気まぐれが起こしたことではあるし、
永琳に至っては本来の目的には使えない物だったのに、
わざわざゆっくりの生殖行為ためにもう一度、一手間を加える事などするはずがない。
そして幸いと言うべきか幻想郷自体にも何かしらの影響は現れず、
むしろ適度に数が減って他の者にとっては良い事尽くめだったので、結局それで一件落着とされた。
アリスも上機嫌で帰ることができる。これでもう変な噂も流れずに済むだろう。
――――――――――
一件落着とされたものの、当のゆっくりたちはそんなことがあったなどと知るよしもない。
今日もゆっくりは快楽のため、子作りのためにすっきりを行い、
ある物はぺにぺにが腐って激痛でのた打ち回りながら死に、
ある物は子供ができない事に絶望するのだった。
「あぁぁ゛ぁ゛!!あでぃずのべにべにぃぃ!!」
「ずっぎりじだい、ずっぎりざぜで!!ず…っぎり……」
「ご、ごんなのどがいはじゃな゛いわ…」
「い゛やぁぁ゛ぁ!!だれがべにべにくっづげでぇ!ごんなきたないべにべにありずのじゃないぃぃ!!」
「ゆあぁぁ゛!なんでずっぎりでぎないのぉ!?べにべにもげじゃっだぁぁぁ!!!」
「ばでぃざ!ばでぃざ!ゆっぐりじでぇ!!」
「いだいよでいぶぅ!だれでぼいいがらだずげで!!ばでぃざまだじにだく…な…い……」
「ばぁでぃざぁぁぁ!!!」
「「すーりすーり……す、すっきりー!!」」
「ゆゆ~ん。ゆっくりしたあかちゃんできてね~!」
「…あかちゃん?ゆっくりしすぎだよ!あたまにはえてきてもいいのよ!!」
「……どおいうごどなのぉぉ!!?ぢゃんどずっぎりじだのにぃぃ!!」
「わがんないよぉ゛!でいぶにあがぢゃんちょうだいねぇぇ!!」
「ぐぞぉぉ!ごんなたねなじでいぶどいっじょにならなぎゃよがった!!」
「ごっぢのせりふだ!くぞげずばでぃざ!!だねなじはおばえだぁぁ!!」
「「じねぇぇ!!あがぢゃんもづぐれないくぞゆっぐりはゆっぐりせずにじねぇ!!」
「うっうー♪なんかうるさいあまあまいたど!いただきまーす!!」
「「ゆわぁぁぁ!れみりゃだぁぁぁ!!
こいつたべでぼいいがらでいぶ(ばでぃざ)はたずげで……い゛やぁぁぁ!!!」」
今日もゆっくりの叫び声で魔法の森は騒がしいが、アリスは満ち足りた気分だった。
あれからレイパーの姿は滅多に目撃されず、見つかったとしても、のた打ち回って死ぬ姿だけだ。
元々ありす種はゆっくり特有の傲慢さや頭の悪さはあるものの、比較的大人しいゆっくりである。
とにかくあの醜い姿や、それによる悪評判さえ無くなれば、それだけでアリスは満足だったのだ。
「ふぅ…今日は神社で宴会だったかしら。またゆっくりでも出されるんじゃないでしょうね…」
あれからレイパーによる風評被害は、全くと言っていいほど無くなった。
結局ゆっくりによる悪評を消せなかった他の者達の嫉妬の念が凄かったが、そんなことは関係ない。
薄暗い森の中を行くアリス。
今の彼女には森に響き渡るゆっくりの叫び声でさえも己を祝福しているように思えた。
・あとがき
元からこの話は予定はしていましたが、
書き上がるのに随分時間が掛かりました。
今回は考察がメインではないので多少強引な展開も許してくださいね!
ゆかりんの能力が万能すぎて(設定を)考えるのが辛い。
小五ロリあき
・過去作品
ふたば系ゆっくりいじめ 412 僕と『あの子』とゴミ饅頭と
ふたば系ゆっくりいじめ 446 俺とゲスと自業自得な餡子脳
ふたば系ゆっくりいじめ 460 弱虫まりさとほんとの勇気
ふたば系ゆっくりいじめ 484 ドスと理想と長の資格 前
ふたば系ゆっくりいじめ 494 ドスと理想と長の資格 後
ふたば系ゆっくりいじめ 514 僕とさくやとおぜうさま
ふたば系ゆっくりいじめ 548 てんことれいむとフィーバーナイト 前編
ふたば系ゆっくりいじめ 559 てんことれいむとフィーバーナイト 後編
ふたば系ゆっくりいじめ 583 ゆっくりしたけりゃ余所へ行け