ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko0246 バトルゆ虐!
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ankoss
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※独自設定垂れ流し
「おまえ、正気か?」
そう問われると、と少々迷いが生じる。なぜならこれからすることは、まっとうな人間か
らすれば間違いなく狂気の所行だからだ。
だが、このときこの場においては正気の意味は異なる。
だから俺はためらわず答える。
「いたって正気だ。チャンピオン――あんたを、倒す」
そう、俺は正気で、そして勝つつもりだ。このバトルゆ虐で、目の前のチャンピオンに。
バトルゆ虐!
ゆっくりと呼ばれる不思議生首饅頭。ゆっくりの登場により人々はその生活に様々な影響
を受けることになった。
安価な甘味を大量生産する手段の獲得、手軽なストレス発散手段の獲得といったプラス面。
郊外における畑荒らし、都内においては生ゴミ荒らし。場所を問わないおうち宣言と言っ
たマイナス面。
その影響は多岐にわたり、世の中も少しは変わった。
その変化が生み出したものの中でも、これはかなり特殊な部類にはいるだろう。
――バトルゆ虐。
ゆっくりを使ったまったく新しいスポーツである。
勝負は人間一人とゆっくり二十匹をひとチームとして競いあう。
ルールは簡単。「ゆっくりの中身で相手をよりおおく染め上げた方が勝ち」だ。
その手段はなんだっていい。ゆっくりを投げつけるもよし、中身を吹き出させて浴びせか
けるもよし。自分のゆっくり、相手のゆっくり区別なくどう使ってもかまわない。
武器の使用も自由。玄翁、キリ、バット、なんでもありだ。ただしそれを使用していいの
はゆっくりに対してのみ。武器で人間を傷つけた場合は重大なペナルティが課せられる。
ゆっくり加工所の昼休みの暇つぶしに端を発するこのスポーツは瞬く間に広まった。
そして今日、俺はチャンピオンに挑もうとしているのである。
「もう一度聞く。本当に、そんなゆっくりで俺に勝つつもりか?」
「ああ、もちろん。あんたに勝つつもりさ」
再びの問いに肩をすくめて答えてやると、チャンピオンは眉をひそめた。
まあ、それも無理はないだろう。
通常、バトルゆ虐では訓練されたゆっくりを用いる。なぜならゆっくりというやつは自分
勝手でいくらでもつけあがる愚か者ぞろいだ。しっかり訓練しなければ役に立つものでは
ない。
チャンピオンの手勢はまりさ種・ありす種主体。整然と並んでいるその様からは、実によ
く訓練されたゆっくりであることが伺える。
ところが、俺のときたら。
「ちょうだいね! かわいいれいむにあまあまちょうだいね!」
「じじい! まりささまにとっととあまあまよこすんだぜ!」
「んほぉぉぉぉ! むこうのまりさなかなかとかいはねぇぇ」
今も足下にまとわりついてくる、うざい俺のゆっくり共。どう見ても質の悪い野良だった。
実際、これはあまあまを餌に適当に捕まえてきた野良ゆっくりだ。バトルゆ虐においては
まず用いられない種類のゆっくりであり、チャンピオンが訝しむのも無理はない。
だが、俺は、こいつらを使って勝つつもりなのだ。冗談でもネタでもなく、まったくもっ
て正気の本気で。
チャンピオンは俺のぶれない態度にやれやれと言った感じで審判の方を見た。
審判はうなずき、
「バトルゆ虐! ゴー、ファイッ!」
バトルゆ虐の開始を宣言した。
リング――縦横十メートル、高さ三メートルの透明の箱の中、ついに勝負は始まったのだ。
「まずは挨拶代わりだっ!」
俺は足下のゆっくりを適当につかむと、全力でチャンピオンへと投げつけた。
「だぜぇぇぇぇ!?」
どうやらゆっくりまりさだったらしい。
まりさは悲鳴を上げて迫るが、チャンピオンは微動だにしない。
直撃する――そう思ったときだ。
「んほぉぉぉぉ!」
チャンピオンの足下からありすが跳躍、空中でまりさを捉えた。
「ゆわあああ!? や、やめるんだぜぇぇぇ!」
「んほ! んほ! すっきりーっ!」
一瞬にして犯され、黒ずみ朽ち果てるまりさ。
訓練されたれいぱーありすによる自動防御だ。
ありす種の旺盛な性欲を利用したバトルゆ虐におけるスタンダードな防御手段だ。さすが
にチャンピオン、この程度の備えはあるか。
「……やるな」
俺の賞賛ににこりともせず、チャンピオンは淡々とゆっくりに指示を出す。
「斉射」
チャンピオンの前に整列する、まりさとありす。その数、五組。
それらが一斉にすっきりーを始めた。
「すっきりー!」
「ゆぎ、うばれるっ!」
一瞬にしてすっきりーし、そして赤ゆを打ち出してくる。
「まりす砲」だ。
ありすがはらませ、まりさが赤ゆを打ち出す。シンプルながら恐るべきバトルゆ虐の技だ。
通常、胎生型にんっしんは出産まで時間を要する。それを一瞬で成すのは、バトルゆ虐用
にカスタマイズされたゆっくりならではだ。
胎生型にんっしんは強い力で赤ゆを打ち出す。また、赤ゆは皮が弱いため、当たれば容易
にはじける。まさにバトルゆ虐にうってつけの存在なのだ。
しかし、「まりす砲」用のゆっくりは調整が難しく、数を用意するのは困難なはずだ。そ
れを五組も所有するとは、さすがはチャンピオンといったところか。
「すっきりー!」
「ゆぎ、うばれるっ!」
「すっきりー!」
「ゆぎ、うばれるっ!」
「すっきりー!」
「ゆぎ、うばれるっ!」
「すっきりー!」
「ゆぎ、うばれるっ!」
「すっきりー!」
「ゆぎ、うばれるっ!」
五組から次々と打ち出される赤ゆはもはや弾幕と呼ぶほかない。逃げ場の限られた透明な
箱のリングの中、かわし切ることは不可能だ。
「かわせないなら受け止めるっ!」
俺は足下かられいむを持ち上げる。
「ゆうう、おそらをとんでるみた……」
「赤ゆと言えばれいむ! れいむの母性にかけるぜっ!」
次々と飛んでくる赤ゆをれいむで受け止める。
「ゆ! あかちゃんゆっくりして……」
激突、赤ゆがれいむの表面ではじける。
「あ、あがちゃんが……!」
激突、赤ゆがれいむの表面ではじける。
「ゆわああ! やべ……もがごっくん!」
しゃべりかけたれいむの口の中に赤ゆが突入。たぶん、そのまま飲み込まれた。
「ゆがあああ! やべでえええええ!」
れいむの悲鳴を一切無視し、俺は赤ゆの弾幕を防ぎ、しのいでいく。
やがて、さすがに弾切れか。赤ゆの弾幕はやんだ。
「ゆわあ……あかちゃん……あかちゃんがあ……」
俺の腕の中、餡子まみれで泣きぬれるれいむ。
よくよく考えたら盾にするだけだったられいむである必要はなかったような気もするが、
まあちゃんと防げたんだし結果オーライだ。
とりあえずれいむを離し、次に備えようとしたときだ。
「じゃおおおおん!」
「!?」
唐突に。叫び声は、足下から来た。
緑の帽子に赤い髪。特徴的な鳴き声は間違いない、めーりんだ。
気づいたときには遅かった。
鳩尾に重い衝撃。身体の丈夫なめーりん種の、それも急所への体当たり。
息が詰まり、悲鳴すら上げられない。
だが俺には痛みに浸ることすら許されなかった。
「むきゅうううううう!」
正面からぱちゅりーが飛んできたのである。
そのとき、ようやく俺は悟った。
赤ゆの弾幕はあくまで牽制、目くらましだったのだ。
弾幕に目を奪われている間にめーりんが接近。その丈夫な身体を生かして俺を攻撃し隙を
作る。
そして、チャンピオン自らがぱちゅりーを投げてとどめというわけだ。
ぱちゅりーは体が弱く、そのクリームは飛び散りやすい。これを食らえば俺の敗北はほぼ
確定だろう。
なるほど、よくできた連携だ。
だが!
「なめるなあああ!」
気合いと根性で痛みに耐え、俺は足下のめーりんを蹴り上げた。
「じゃおおっ!?」
「むぎゅうっ!?」
ぱちゅりーとめーりんは空中で激突、爆裂四散した。
空中にとびちったぱちゅりーのクリームとめーりんの肉まんの具。それらが地に落ちクリ
アになった視界の先。驚愕に満ちたチャンピオンの顔がある。
おそらくこの連携はこいつにとっての必勝パターンだったのだろう。「まりす砲」の斉射、
めーりんとぱちゅりーの喪失は痛手だろう。その上、俺がほとんどゆっくりの中身で汚れ
ていない――すなわち、バトルゆ虐としてはノーダメージの状態とくればなおさらショッ
クのはずだ。
「……次は俺の番だ」
足下では俺の集めたゆっくり共が逃げまどっている。だが、透明な箱に覆われたリングの
中、逃げ場などない。俺はまりさをつかむと、
「これで終わりだ!」
再び、チャンピオンに投げつけた。
チャンピオンは驚愕の表情から一転、余裕の笑みを浮かべる。
「バカの一つ覚えがっ!」
そう。チャンピオンにはまだれいぱーありすの自動防御がある。当然、まりさはあっさり
とそれに防がれる。
だが。
「バカの一つ覚えはおまえの方だよ」
俺が投げたのはまりさだけではなかった。
「な、なんだこれはっ!?」
チャンピオンが驚くのも無理はない。まりさに隠れるように投げ、今やチャンピオンの頭
の上で回転するそれ。
まりさの「おぼうし」。
「――秘技、イリュージョンおぼうし」
おぼうしの回転には、ゆっくりにいくつかの幻覚作用をもたらす特別な技が込められてい
る。
一つは、まりさ種に作用する幻覚。
「まりさのおぼうしぃぃぃ!」
「おぼうしぃぃ! おぼうしがないとゆっくりできないぃぃ!」
「かえしてね、かえしてね! まりさのおぼうしかえしてね!」
まりさ種に「自分のおぼうしを取られた」という幻覚を見せるのだ。たとえ対象のまりさ
がおぼうしを被っていても関係ない。とられた、と錯覚するのである。
これによって、付近のまりさはチャンピオンに群がることになる。
もう一つは、主にありす種に作用する幻覚。
「んほぉぉぉ! たまらないわあああ!」
「んほっ! んほっ! んほおおおおおおお!」
「な、なかなかとかいはなまりさねぇぇぇ! ありすがすっきりしてあげてもいいのよぉ
ぉぉぉ!」
おぼうしを被ったものを特上の美まりさに見せるという幻覚だ。
美まりさを前にすれば、ありす種は容易に発情する。
これによって、付近のまりさはチャンピオンに群がることになる。
高等な幻術と言えるだろう。だが、それは人間に対して同じようなことをした場合だ。
ゆっくりの単純餡子脳に対してなら、これぐらいの幻覚をみせる技など簡単なのである。
「や、やめろおまえたち! ……うわ、うわ、うわああああ!」
勝負開始前の整然とした様はどこへやら、チャンピオンのゆっくりは指示など聞かず群が
る。まりさ種、ありす種を主体にしたのも災いした。俺が連れてきたゆっくりも加わり、
ついにチャンピオンは無数のゆっくりに押し倒されてしまう。
「よし! とどめだ!」
走り、チャンピオンに接近。
そして、
「ゆっくりを蹴ってるだけ!」
叫びとともに、チャンピオンを……もとい、チャンピオンに群がるゆっくりを蹴りつぶす。
「ゆぎゃあっ!」
「ぐあっ!? ちょ、おま、やめろっ……!」
つぶされるゆっくりの断末魔に、チャンピオンの苦鳴。
どちらも無視して俺は踏みつけ続ける。
「ゆっくりを蹴ってるだけ! ゆっくりを蹴ってるだけ! ゆっくりを蹴ってるだけ!」
バトルゆ虐のルールでは、人間への直接攻撃は厳格に禁じられている。だが、ゆっくりに
対する攻撃は可能であり、しかも今こうして蹴りつぶすことによってチャンピオンはゆっ
くりの中身で染め上げられている。
一見ヘリクツをつけてチャンピオンをフルボッコにしてるように見えるかもしれないが、
これはルールに則ったまったくもって正しいことこの上ない「バトルゆ虐」なのである。
「ゆぎゃあ!」
「ゆぶげぇ!」
「ちょ、痛、やめろっ……!」
「ゆぶぐぅぅ!」
「ゆぶばああああ!」
ゆっくりの悲鳴に混じり聞こえるチャンピオンの声。それを塗りつぶすように俺は叫び続
ける。
「ゆっくりを蹴ってるだけ! ゆっくりを蹴ってるだけ! ゆっくりを蹴ってるだけーっ!」
楽しい。だんだんハイになってきた。
だが、俺もバカじゃない。この程度で冷静さを失ったりしない。
ちらり、と審判の方に目を向ければ、こちらに近づいてくる素振りが見えた。いくらルー
ル違反ではないとは言え、チャンピオンも蹴られていることに変わりはない。そろそろ注
意でもしてくるつもりだろう。
……頃合い、か。
俺は蹴るのをやめ、あたりを見回す。手近なところにおびえてふるえているれいむを発見。
れいむをつかむと、
「パイルダー! オーン!」
ダンクシュートのようにチャンピオンにチャンピオンの頭にたたきつけた。
「ゆげえええっ!」
「うぎゃああああっ!」
れいむとチャンピオンの悲鳴が重なる。
バトルゆ虐の技法の一つ、「ゆっくりパイルダーオン」。
ゆっくりを頭から被るというのはごく一部の変態紳士のみにゆるされた所行だ。
これをバトルゆ虐において、それも相手に強制的にされるというのは、最大の屈辱であり
決定的な敗北を意味するのだ。
審判は、足を早め俺に近づく。
そして俺の手をとり高々と上げると、
「ユーアー、ウイナー!」
俺の勝利を宣言した。
勝った。だが、俺にこの勝利に酔うような心の隙はない。
なぜなら、本当の戦いはこれからだからだ。
たった今倒したこいつは、実のところ地区チャンピオンに過ぎない。世界にはまだ見ぬバ
トルゆ虐の強豪たちがいる。
そいつらも、かならず倒してやる。
気に入らないのだ。たかがゆっくりに手間暇かけて教育し、それらでスポーツをするなん
て。
だから俺は、この身ひとつで勝つ。勝ち続ける。そしてゆっくりがいかに下等であるかを
証明し、そんなゆっくりの育成に血道を上げるバトルゆ虐がいかにくだらないかを世界中
に教えてやる。
俺は、バトルゆ虐を終わらせてやる。
今日の勝利はその一歩に過ぎない。
俺の戦いは始まったばかりだ!
了
※続きません
by触発あき
過去作品一覧は下記作品に収録
『ふたば系ゆっくりいじめ 151 ゆっくりみわけてね!』
「おまえ、正気か?」
そう問われると、と少々迷いが生じる。なぜならこれからすることは、まっとうな人間か
らすれば間違いなく狂気の所行だからだ。
だが、このときこの場においては正気の意味は異なる。
だから俺はためらわず答える。
「いたって正気だ。チャンピオン――あんたを、倒す」
そう、俺は正気で、そして勝つつもりだ。このバトルゆ虐で、目の前のチャンピオンに。
バトルゆ虐!
ゆっくりと呼ばれる不思議生首饅頭。ゆっくりの登場により人々はその生活に様々な影響
を受けることになった。
安価な甘味を大量生産する手段の獲得、手軽なストレス発散手段の獲得といったプラス面。
郊外における畑荒らし、都内においては生ゴミ荒らし。場所を問わないおうち宣言と言っ
たマイナス面。
その影響は多岐にわたり、世の中も少しは変わった。
その変化が生み出したものの中でも、これはかなり特殊な部類にはいるだろう。
――バトルゆ虐。
ゆっくりを使ったまったく新しいスポーツである。
勝負は人間一人とゆっくり二十匹をひとチームとして競いあう。
ルールは簡単。「ゆっくりの中身で相手をよりおおく染め上げた方が勝ち」だ。
その手段はなんだっていい。ゆっくりを投げつけるもよし、中身を吹き出させて浴びせか
けるもよし。自分のゆっくり、相手のゆっくり区別なくどう使ってもかまわない。
武器の使用も自由。玄翁、キリ、バット、なんでもありだ。ただしそれを使用していいの
はゆっくりに対してのみ。武器で人間を傷つけた場合は重大なペナルティが課せられる。
ゆっくり加工所の昼休みの暇つぶしに端を発するこのスポーツは瞬く間に広まった。
そして今日、俺はチャンピオンに挑もうとしているのである。
「もう一度聞く。本当に、そんなゆっくりで俺に勝つつもりか?」
「ああ、もちろん。あんたに勝つつもりさ」
再びの問いに肩をすくめて答えてやると、チャンピオンは眉をひそめた。
まあ、それも無理はないだろう。
通常、バトルゆ虐では訓練されたゆっくりを用いる。なぜならゆっくりというやつは自分
勝手でいくらでもつけあがる愚か者ぞろいだ。しっかり訓練しなければ役に立つものでは
ない。
チャンピオンの手勢はまりさ種・ありす種主体。整然と並んでいるその様からは、実によ
く訓練されたゆっくりであることが伺える。
ところが、俺のときたら。
「ちょうだいね! かわいいれいむにあまあまちょうだいね!」
「じじい! まりささまにとっととあまあまよこすんだぜ!」
「んほぉぉぉぉ! むこうのまりさなかなかとかいはねぇぇ」
今も足下にまとわりついてくる、うざい俺のゆっくり共。どう見ても質の悪い野良だった。
実際、これはあまあまを餌に適当に捕まえてきた野良ゆっくりだ。バトルゆ虐においては
まず用いられない種類のゆっくりであり、チャンピオンが訝しむのも無理はない。
だが、俺は、こいつらを使って勝つつもりなのだ。冗談でもネタでもなく、まったくもっ
て正気の本気で。
チャンピオンは俺のぶれない態度にやれやれと言った感じで審判の方を見た。
審判はうなずき、
「バトルゆ虐! ゴー、ファイッ!」
バトルゆ虐の開始を宣言した。
リング――縦横十メートル、高さ三メートルの透明の箱の中、ついに勝負は始まったのだ。
「まずは挨拶代わりだっ!」
俺は足下のゆっくりを適当につかむと、全力でチャンピオンへと投げつけた。
「だぜぇぇぇぇ!?」
どうやらゆっくりまりさだったらしい。
まりさは悲鳴を上げて迫るが、チャンピオンは微動だにしない。
直撃する――そう思ったときだ。
「んほぉぉぉぉ!」
チャンピオンの足下からありすが跳躍、空中でまりさを捉えた。
「ゆわあああ!? や、やめるんだぜぇぇぇ!」
「んほ! んほ! すっきりーっ!」
一瞬にして犯され、黒ずみ朽ち果てるまりさ。
訓練されたれいぱーありすによる自動防御だ。
ありす種の旺盛な性欲を利用したバトルゆ虐におけるスタンダードな防御手段だ。さすが
にチャンピオン、この程度の備えはあるか。
「……やるな」
俺の賞賛ににこりともせず、チャンピオンは淡々とゆっくりに指示を出す。
「斉射」
チャンピオンの前に整列する、まりさとありす。その数、五組。
それらが一斉にすっきりーを始めた。
「すっきりー!」
「ゆぎ、うばれるっ!」
一瞬にしてすっきりーし、そして赤ゆを打ち出してくる。
「まりす砲」だ。
ありすがはらませ、まりさが赤ゆを打ち出す。シンプルながら恐るべきバトルゆ虐の技だ。
通常、胎生型にんっしんは出産まで時間を要する。それを一瞬で成すのは、バトルゆ虐用
にカスタマイズされたゆっくりならではだ。
胎生型にんっしんは強い力で赤ゆを打ち出す。また、赤ゆは皮が弱いため、当たれば容易
にはじける。まさにバトルゆ虐にうってつけの存在なのだ。
しかし、「まりす砲」用のゆっくりは調整が難しく、数を用意するのは困難なはずだ。そ
れを五組も所有するとは、さすがはチャンピオンといったところか。
「すっきりー!」
「ゆぎ、うばれるっ!」
「すっきりー!」
「ゆぎ、うばれるっ!」
「すっきりー!」
「ゆぎ、うばれるっ!」
「すっきりー!」
「ゆぎ、うばれるっ!」
「すっきりー!」
「ゆぎ、うばれるっ!」
五組から次々と打ち出される赤ゆはもはや弾幕と呼ぶほかない。逃げ場の限られた透明な
箱のリングの中、かわし切ることは不可能だ。
「かわせないなら受け止めるっ!」
俺は足下かられいむを持ち上げる。
「ゆうう、おそらをとんでるみた……」
「赤ゆと言えばれいむ! れいむの母性にかけるぜっ!」
次々と飛んでくる赤ゆをれいむで受け止める。
「ゆ! あかちゃんゆっくりして……」
激突、赤ゆがれいむの表面ではじける。
「あ、あがちゃんが……!」
激突、赤ゆがれいむの表面ではじける。
「ゆわああ! やべ……もがごっくん!」
しゃべりかけたれいむの口の中に赤ゆが突入。たぶん、そのまま飲み込まれた。
「ゆがあああ! やべでえええええ!」
れいむの悲鳴を一切無視し、俺は赤ゆの弾幕を防ぎ、しのいでいく。
やがて、さすがに弾切れか。赤ゆの弾幕はやんだ。
「ゆわあ……あかちゃん……あかちゃんがあ……」
俺の腕の中、餡子まみれで泣きぬれるれいむ。
よくよく考えたら盾にするだけだったられいむである必要はなかったような気もするが、
まあちゃんと防げたんだし結果オーライだ。
とりあえずれいむを離し、次に備えようとしたときだ。
「じゃおおおおん!」
「!?」
唐突に。叫び声は、足下から来た。
緑の帽子に赤い髪。特徴的な鳴き声は間違いない、めーりんだ。
気づいたときには遅かった。
鳩尾に重い衝撃。身体の丈夫なめーりん種の、それも急所への体当たり。
息が詰まり、悲鳴すら上げられない。
だが俺には痛みに浸ることすら許されなかった。
「むきゅうううううう!」
正面からぱちゅりーが飛んできたのである。
そのとき、ようやく俺は悟った。
赤ゆの弾幕はあくまで牽制、目くらましだったのだ。
弾幕に目を奪われている間にめーりんが接近。その丈夫な身体を生かして俺を攻撃し隙を
作る。
そして、チャンピオン自らがぱちゅりーを投げてとどめというわけだ。
ぱちゅりーは体が弱く、そのクリームは飛び散りやすい。これを食らえば俺の敗北はほぼ
確定だろう。
なるほど、よくできた連携だ。
だが!
「なめるなあああ!」
気合いと根性で痛みに耐え、俺は足下のめーりんを蹴り上げた。
「じゃおおっ!?」
「むぎゅうっ!?」
ぱちゅりーとめーりんは空中で激突、爆裂四散した。
空中にとびちったぱちゅりーのクリームとめーりんの肉まんの具。それらが地に落ちクリ
アになった視界の先。驚愕に満ちたチャンピオンの顔がある。
おそらくこの連携はこいつにとっての必勝パターンだったのだろう。「まりす砲」の斉射、
めーりんとぱちゅりーの喪失は痛手だろう。その上、俺がほとんどゆっくりの中身で汚れ
ていない――すなわち、バトルゆ虐としてはノーダメージの状態とくればなおさらショッ
クのはずだ。
「……次は俺の番だ」
足下では俺の集めたゆっくり共が逃げまどっている。だが、透明な箱に覆われたリングの
中、逃げ場などない。俺はまりさをつかむと、
「これで終わりだ!」
再び、チャンピオンに投げつけた。
チャンピオンは驚愕の表情から一転、余裕の笑みを浮かべる。
「バカの一つ覚えがっ!」
そう。チャンピオンにはまだれいぱーありすの自動防御がある。当然、まりさはあっさり
とそれに防がれる。
だが。
「バカの一つ覚えはおまえの方だよ」
俺が投げたのはまりさだけではなかった。
「な、なんだこれはっ!?」
チャンピオンが驚くのも無理はない。まりさに隠れるように投げ、今やチャンピオンの頭
の上で回転するそれ。
まりさの「おぼうし」。
「――秘技、イリュージョンおぼうし」
おぼうしの回転には、ゆっくりにいくつかの幻覚作用をもたらす特別な技が込められてい
る。
一つは、まりさ種に作用する幻覚。
「まりさのおぼうしぃぃぃ!」
「おぼうしぃぃ! おぼうしがないとゆっくりできないぃぃ!」
「かえしてね、かえしてね! まりさのおぼうしかえしてね!」
まりさ種に「自分のおぼうしを取られた」という幻覚を見せるのだ。たとえ対象のまりさ
がおぼうしを被っていても関係ない。とられた、と錯覚するのである。
これによって、付近のまりさはチャンピオンに群がることになる。
もう一つは、主にありす種に作用する幻覚。
「んほぉぉぉ! たまらないわあああ!」
「んほっ! んほっ! んほおおおおおおお!」
「な、なかなかとかいはなまりさねぇぇぇ! ありすがすっきりしてあげてもいいのよぉ
ぉぉぉ!」
おぼうしを被ったものを特上の美まりさに見せるという幻覚だ。
美まりさを前にすれば、ありす種は容易に発情する。
これによって、付近のまりさはチャンピオンに群がることになる。
高等な幻術と言えるだろう。だが、それは人間に対して同じようなことをした場合だ。
ゆっくりの単純餡子脳に対してなら、これぐらいの幻覚をみせる技など簡単なのである。
「や、やめろおまえたち! ……うわ、うわ、うわああああ!」
勝負開始前の整然とした様はどこへやら、チャンピオンのゆっくりは指示など聞かず群が
る。まりさ種、ありす種を主体にしたのも災いした。俺が連れてきたゆっくりも加わり、
ついにチャンピオンは無数のゆっくりに押し倒されてしまう。
「よし! とどめだ!」
走り、チャンピオンに接近。
そして、
「ゆっくりを蹴ってるだけ!」
叫びとともに、チャンピオンを……もとい、チャンピオンに群がるゆっくりを蹴りつぶす。
「ゆぎゃあっ!」
「ぐあっ!? ちょ、おま、やめろっ……!」
つぶされるゆっくりの断末魔に、チャンピオンの苦鳴。
どちらも無視して俺は踏みつけ続ける。
「ゆっくりを蹴ってるだけ! ゆっくりを蹴ってるだけ! ゆっくりを蹴ってるだけ!」
バトルゆ虐のルールでは、人間への直接攻撃は厳格に禁じられている。だが、ゆっくりに
対する攻撃は可能であり、しかも今こうして蹴りつぶすことによってチャンピオンはゆっ
くりの中身で染め上げられている。
一見ヘリクツをつけてチャンピオンをフルボッコにしてるように見えるかもしれないが、
これはルールに則ったまったくもって正しいことこの上ない「バトルゆ虐」なのである。
「ゆぎゃあ!」
「ゆぶげぇ!」
「ちょ、痛、やめろっ……!」
「ゆぶぐぅぅ!」
「ゆぶばああああ!」
ゆっくりの悲鳴に混じり聞こえるチャンピオンの声。それを塗りつぶすように俺は叫び続
ける。
「ゆっくりを蹴ってるだけ! ゆっくりを蹴ってるだけ! ゆっくりを蹴ってるだけーっ!」
楽しい。だんだんハイになってきた。
だが、俺もバカじゃない。この程度で冷静さを失ったりしない。
ちらり、と審判の方に目を向ければ、こちらに近づいてくる素振りが見えた。いくらルー
ル違反ではないとは言え、チャンピオンも蹴られていることに変わりはない。そろそろ注
意でもしてくるつもりだろう。
……頃合い、か。
俺は蹴るのをやめ、あたりを見回す。手近なところにおびえてふるえているれいむを発見。
れいむをつかむと、
「パイルダー! オーン!」
ダンクシュートのようにチャンピオンにチャンピオンの頭にたたきつけた。
「ゆげえええっ!」
「うぎゃああああっ!」
れいむとチャンピオンの悲鳴が重なる。
バトルゆ虐の技法の一つ、「ゆっくりパイルダーオン」。
ゆっくりを頭から被るというのはごく一部の変態紳士のみにゆるされた所行だ。
これをバトルゆ虐において、それも相手に強制的にされるというのは、最大の屈辱であり
決定的な敗北を意味するのだ。
審判は、足を早め俺に近づく。
そして俺の手をとり高々と上げると、
「ユーアー、ウイナー!」
俺の勝利を宣言した。
勝った。だが、俺にこの勝利に酔うような心の隙はない。
なぜなら、本当の戦いはこれからだからだ。
たった今倒したこいつは、実のところ地区チャンピオンに過ぎない。世界にはまだ見ぬバ
トルゆ虐の強豪たちがいる。
そいつらも、かならず倒してやる。
気に入らないのだ。たかがゆっくりに手間暇かけて教育し、それらでスポーツをするなん
て。
だから俺は、この身ひとつで勝つ。勝ち続ける。そしてゆっくりがいかに下等であるかを
証明し、そんなゆっくりの育成に血道を上げるバトルゆ虐がいかにくだらないかを世界中
に教えてやる。
俺は、バトルゆ虐を終わらせてやる。
今日の勝利はその一歩に過ぎない。
俺の戦いは始まったばかりだ!
了
※続きません
by触発あき
過去作品一覧は下記作品に収録
『ふたば系ゆっくりいじめ 151 ゆっくりみわけてね!』