ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko0192 ままのおっぱい
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ankoss
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※スレでゆっくりのおっぱいについてのネタがあったので触発されて書いてみました
※独自設定垂れ流し
冬が、来ていた。
暗く冷たいゆっくりの巣の中、一匹の成体れいむと一匹の赤まりさがいる。
ゆっくりにとって死と隣り合わせの冬ごもり。
だが、赤まりさは不安など微塵もなく、とてもゆっくりしていた。
なぜなら、赤まりさにはゆっくりできるものがあった。
とても甘くやわらかく、とてもゆっくりできる「おっぱい」があるのだから、冬ごもりだ
ろうと心配することなど何一つ無かったのだ。
ままのおっぱい
「ゆっくちちていっちぇね!」
冬ごもりの巣の中、赤まりさは生まれた。
「ゆ、ゆっくりしていってね……!」
赤まりさは胎生型にんっしんの一人っ子だった。
巣の中にはおかあさんれいむが一匹だけ。よほど誕生が嬉しいのか、泣きながら赤まりさ
の誕生を喜んでくれた。
「ゆっくちゆっくち!」
どんなに暗くとも、ゆっくりは巣の中の様子は本能的にだいたいわかる。どれくらい広い
か、他のゆっくりはどこにいるか、なんとなく感じ取れるのだ。
巣は、ゆっくりのものとしては標準的な大きさだ。親れいむ一匹と赤まりさ一匹、十分余
裕がある。
そんあ広さの中、赤まりさは誕生の喜びをほとばしらせて跳ね回った。
だが、親れいむははしゃぐ赤まりさを止めた。
「おちびちゃん! いまは『ふゆごもり』なんだよ! ゆっくりしていないといけないん
だよ!」
「ふゆぎょもり……?」
「そうだよ! そとはふゆさんで、さむいさむいなんだよ! だから、おかあさんとすー
りすりしてゆっくりしようね!」
そう言って、親れいむは肌をこすりつけてきた。
「すーり、すーり!」
「しゅーり、しゅーり♪ しあわしぇー♪」
すーりすりの感触は暖かで柔らかで、なにより優しかった。生まれて初めての親のスキン
シップのゆっくりした感触に、赤まりさは感動した。
すごくゆっくりした気持ちにひと安心。そこで赤まりさは気がついた。
「おかーしゃん、おなきゃがしゅいたよ!」
生まれたばかりの赤ゆっくりは食欲旺盛。すぐに食べ物が欲しくなる。
「ゆっ……おちびちゃん、ちょっと待っててね!」
親れいむは巣の奥へと行く。
赤まりさがわくわくして待っていると、「ゆっ」という低いうめき声が聞こえてきた。
「おきゃーしゃん、どうしちゃの?」
「……なんでもないよ、おちびちゃん……。それより! おちびちゃんのごはんのようい
ができたよ!」
「ゆゆっ! ごはん!」
親れいむの言葉の通り、赤まりさは甘いとてもゆっくりした匂いを感じた。
「れいむがおっぱいをあげるよ!」
「おっぱい?」
ゆっくりは、生まれたときから生活に必要な基本的な知識を身につけている。だが、「お
っぱい」という言葉はその知識の中になかった。
「おっぱいはね、れいむみたいにすごくゆっくりしたゆっくりだけがだせる、とてもゆっ
くりしたものなんだよ!」
「ゆっくち!」
「おちびちゃんは、れいむのおっぱいをのんでおおきくなるんだよ!」
「ゆっくちー!」
ゆっくりしたものという言葉に、赤まりさは興奮した。
甘い匂いを頼りに跳ねると、親れいむにぶつかった。匂いは親れいむのほっぺたのあたり
からしている。
「おちびちゃん、そこがおっぱいだよ。ゆっくりおっぱいをのんでね!」
薄暗いなか、ゆっくりとした親れいむの言葉に甘い匂い。
赤まりさはその匂いにむしゃぶりついた。
「ちゅーぱ、ちゅーぱ……ち、ち、ちあわちぇぇぇぇ!」
赤まりさの中で、ゆっくりが爆発した。生まれて初めて口にした「おっぱい」は、甘くて
柔らかくおいしくて、赤まりさはそのゆっくりしたしあわせに涙を流して感動した。
夢中で吸う。吸えば吸うほどゆっくりできた。
「ゆっ……おちびちゃん……ふゆごもりはながいよ……おっぱいをすいすぎちゃだめだよ
……!」
「ゆぅ……でも、おっぱいをちゅーぱちゅーぱするとすごくゆっくちできるよ!」
「すいすぎるとちゅーぱちゅーぱできなくなるよ! まいにちゆっくり、すこしずつちゅ
ーぱちゅーぱするんだよ! そうすれば、はるさんがくるまでゆっくりできるよ!」
「はるしゃん……?」
「さむいさむいふゆさんじゃなくて、ぽーかぽーかしたはるさん! すこしずつちゅーぱ
ちゅーぱすれば、はるさんがきて、もっともっとゆっくりできるんだよ!」
「ゆゆ! ゆっくちりかいちたよ!」
赤まりさはニコニコとした。親れいむはその笑顔に答えて微笑んだ。
暗い冬ごもりの巣の中、お互いの顔は見えない。だが、二匹はお互いが同じようにゆっく
りしていることがわかった。親子のゆっくりとした絆を感じた。
「おちびちゃん……これからおかーさんと、とってもゆっくりしたあそびをしようね!」
「あしょび!? ゆっくちーっ!」
「『だまりっこ』しようね」
「だみゃりっこ……? なんだかゆっくちできないきがしゅるよ……」
「そんなことないよ! 『だまりっこ』はこえをださないで、ずーっとしずかにしてゆっ
くりするあそびだよ!」
親れいむの言葉に、赤まりさは想像する。
ずっと黙ったまま過ごす。ゆっくりは基本的に、何もしないでのんびりした、ゆっくりし
た状態を好む。
だから、黙ってじっとしている「だまりっこ」は、楽しそうに思えた。
だが、一つ気に掛かったことがある。
「『ゆっくちしちぇいっちぇね!』って、いっちゃいけにゃいにょ?」
ゆっくりにとって、「ゆっくりしていってね」は至上のキーワード。この言葉を発すれば、
どんなゆっくりだってゆっくりできる。
これを言わずにいるのはゆっくりできないことに思えたのだ。
親れいむはそんな赤まりさににっこり微笑んで答えた。
「『だまりっこ』ははるさんまでつづけるんだよ! はるさんがきたら、いりぐりさんが
ぽーかぽかしてくるんだよ! そうしたらいりぐちさんをあけて、『ゆっくりしていって
ね!』っていうんだよ! そうすると、すごくゆっくりできるんだよ!」
赤まりさは想像する。
冬ごもりの終わり、暖かな太陽の下、「ゆっくりしていってね」と叫ぶ。それはなんとゆ
っくりしているのだろう。
赤まりさは春の訪れが楽しみになった。
「ゆっくちーっ! とっちぇもゆっくちできりゅよ! はるしゃん! ゆっくちしにゃい
ではやくきちぇにぇ!」
「じゃあおちびちゃん、『だまりっこ』をはじめるよ! はるさんがくるまでゆっくりし
て、さきにおうちのそとにでて『ゆっくりしていってね!』したほうがかちだよ!」
「ゆっくちりかいしちゃよ!」
そして、親れいむと赤まりさは寄り添い合い、ゆっくりとし始めた。
退屈になったら眠り、目が覚めたらじっとゆっくりする。お腹が空いたら、隣の親れいむ
から「おっぱい」をもらった。赤まりさは冬ごもりの中、とてもゆっくりすることができ
た。
それでも「だまりっこ」難しく、そして面白かった。なにしろ親れいむは「だまりっこ」
の名人なのだ。全然動かず、まるで息もしていないかのようにゆっくりしていた。
冬は寒く、親れいむの身体もだいぶ冷えるようになってきた。そんなとき、赤まりさはす
ーりすりして親れいむをあっためてあげる。親れいむは震えるようにすーりすりを返して
くれた。
でも、だんだん親れいむはあまり動かなくなってきた。
赤まりさは興奮してきた。きっと春が近づくにつれて親れいむは「だまりっこ」をうまく
やるようにしているのだ。そして、春が来たら一気に巣の入り口まで行って、「ゆっくり
していってね!」を言うつもりなのだ。
赤まりさは負けられないと、自分もなるべくじっとして動かないようにした。
話しかけられないのは寂しかったが、「おっぱい」で親れいむが自分を愛してくれている
ことを感じられるから我慢できた。親れいむが「だまりっこ」が上手くなるに従って、
「おっぱい」も甘くなってきた。
そして。
赤まりさは春の到来を感じた。
ぽかぽかした、とてもゆっくりした空気が巣の外から感じられる。
間違いない。ゆっくりの本能が告げている。春がやってきたのだ。
赤まりさは我慢できず、巣の入り口へ跳ねていった。
「ゆっ!」
巣の入り口を破り、外に出る。
暖かな陽の光と柔らかな春の風に迎えられた。
生まれて初めて見る明るい世界。
草花が絢爛と芽吹き、世界が命の輝きを謳歌する春。
赤まりさは、ゆっくりとした春の空気を精一杯吸い込み、
「ゆっくりしていっちぇね!」
喜びの声を巣の中に響かせた。
赤まりさは感動していた。冬ごもりを越え、春を迎えたこと。「だまりっこ」で勝てたこ
と。
そして、親れいむへ自分の最高の「ゆっくりしていってね!」を伝えられたこと。
世界を祝福できると思った。
世界に祝福されていると思った。
最高にゆっくりできていると確信した。
だから、なかなか気がつくことができなかった。
巣の中の親れいむが、とっくの昔に干からび萎み、「永遠にゆっくり」していることに。
親れいむは、冬ごもりに失敗した。
何もかもが間違っていた。
冬ごもりの準備の最中に、親れいむとツガイのまりさはすっきりーしてしまった。若さゆ
えの過ちだった。
そして、まりさはより蓄えの必要となった冬ごもりの準備に奔走した。たくさんの餌を集
めなくてはと夜遅くまで狩りをし、れみりゃに襲われ帰らぬゆっくりとなってしまった。
れいむは身重のまま、一匹で冬ごもりするはめになった。
備蓄の食糧は十分ではなく、尽きたところで赤まりさが生まれた。
もはや絶望的な状況。だが、親れいむの強い母性は赤まりさだけでも生き残らせることを
選んだ。
それが「おっぱい」だ。
赤まりさが口にしていたのは、親れいむの餡子だ。親れいむは自らの身体を傷つけ、漏れ
出る餡子を「おっぱい」と称して赤まりさに与えたのだ。そして「だまりっこ」という遊
びを提案し、無駄な体力の消耗を控えた。
ゆっくりには珍しい知恵は、子を想うれいむの母性の起こした奇跡と言える。
そして、それは幸運にも成功した。
「おかーしゃん……?」
赤まりさの呼びかけは、虚ろだった。
今まで飲んできた、「おっぱい」の味。親れいむの状況。何が起きて、自分が何をしてき
たのか。赤まりさは、わかりかけていた。
教えてくれるものはいない。
真実は、自分でゆっくり理解するしかない。
春が訪れていた。
暖かな春が訪れていた。。
柔らかな陽の光が、無慈悲な程に優しく、暖かく、赤まりさに降りそそいでいた。
了
by触発あき
※独自設定垂れ流し
冬が、来ていた。
暗く冷たいゆっくりの巣の中、一匹の成体れいむと一匹の赤まりさがいる。
ゆっくりにとって死と隣り合わせの冬ごもり。
だが、赤まりさは不安など微塵もなく、とてもゆっくりしていた。
なぜなら、赤まりさにはゆっくりできるものがあった。
とても甘くやわらかく、とてもゆっくりできる「おっぱい」があるのだから、冬ごもりだ
ろうと心配することなど何一つ無かったのだ。
ままのおっぱい
「ゆっくちちていっちぇね!」
冬ごもりの巣の中、赤まりさは生まれた。
「ゆ、ゆっくりしていってね……!」
赤まりさは胎生型にんっしんの一人っ子だった。
巣の中にはおかあさんれいむが一匹だけ。よほど誕生が嬉しいのか、泣きながら赤まりさ
の誕生を喜んでくれた。
「ゆっくちゆっくち!」
どんなに暗くとも、ゆっくりは巣の中の様子は本能的にだいたいわかる。どれくらい広い
か、他のゆっくりはどこにいるか、なんとなく感じ取れるのだ。
巣は、ゆっくりのものとしては標準的な大きさだ。親れいむ一匹と赤まりさ一匹、十分余
裕がある。
そんあ広さの中、赤まりさは誕生の喜びをほとばしらせて跳ね回った。
だが、親れいむははしゃぐ赤まりさを止めた。
「おちびちゃん! いまは『ふゆごもり』なんだよ! ゆっくりしていないといけないん
だよ!」
「ふゆぎょもり……?」
「そうだよ! そとはふゆさんで、さむいさむいなんだよ! だから、おかあさんとすー
りすりしてゆっくりしようね!」
そう言って、親れいむは肌をこすりつけてきた。
「すーり、すーり!」
「しゅーり、しゅーり♪ しあわしぇー♪」
すーりすりの感触は暖かで柔らかで、なにより優しかった。生まれて初めての親のスキン
シップのゆっくりした感触に、赤まりさは感動した。
すごくゆっくりした気持ちにひと安心。そこで赤まりさは気がついた。
「おかーしゃん、おなきゃがしゅいたよ!」
生まれたばかりの赤ゆっくりは食欲旺盛。すぐに食べ物が欲しくなる。
「ゆっ……おちびちゃん、ちょっと待っててね!」
親れいむは巣の奥へと行く。
赤まりさがわくわくして待っていると、「ゆっ」という低いうめき声が聞こえてきた。
「おきゃーしゃん、どうしちゃの?」
「……なんでもないよ、おちびちゃん……。それより! おちびちゃんのごはんのようい
ができたよ!」
「ゆゆっ! ごはん!」
親れいむの言葉の通り、赤まりさは甘いとてもゆっくりした匂いを感じた。
「れいむがおっぱいをあげるよ!」
「おっぱい?」
ゆっくりは、生まれたときから生活に必要な基本的な知識を身につけている。だが、「お
っぱい」という言葉はその知識の中になかった。
「おっぱいはね、れいむみたいにすごくゆっくりしたゆっくりだけがだせる、とてもゆっ
くりしたものなんだよ!」
「ゆっくち!」
「おちびちゃんは、れいむのおっぱいをのんでおおきくなるんだよ!」
「ゆっくちー!」
ゆっくりしたものという言葉に、赤まりさは興奮した。
甘い匂いを頼りに跳ねると、親れいむにぶつかった。匂いは親れいむのほっぺたのあたり
からしている。
「おちびちゃん、そこがおっぱいだよ。ゆっくりおっぱいをのんでね!」
薄暗いなか、ゆっくりとした親れいむの言葉に甘い匂い。
赤まりさはその匂いにむしゃぶりついた。
「ちゅーぱ、ちゅーぱ……ち、ち、ちあわちぇぇぇぇ!」
赤まりさの中で、ゆっくりが爆発した。生まれて初めて口にした「おっぱい」は、甘くて
柔らかくおいしくて、赤まりさはそのゆっくりしたしあわせに涙を流して感動した。
夢中で吸う。吸えば吸うほどゆっくりできた。
「ゆっ……おちびちゃん……ふゆごもりはながいよ……おっぱいをすいすぎちゃだめだよ
……!」
「ゆぅ……でも、おっぱいをちゅーぱちゅーぱするとすごくゆっくちできるよ!」
「すいすぎるとちゅーぱちゅーぱできなくなるよ! まいにちゆっくり、すこしずつちゅ
ーぱちゅーぱするんだよ! そうすれば、はるさんがくるまでゆっくりできるよ!」
「はるしゃん……?」
「さむいさむいふゆさんじゃなくて、ぽーかぽーかしたはるさん! すこしずつちゅーぱ
ちゅーぱすれば、はるさんがきて、もっともっとゆっくりできるんだよ!」
「ゆゆ! ゆっくちりかいちたよ!」
赤まりさはニコニコとした。親れいむはその笑顔に答えて微笑んだ。
暗い冬ごもりの巣の中、お互いの顔は見えない。だが、二匹はお互いが同じようにゆっく
りしていることがわかった。親子のゆっくりとした絆を感じた。
「おちびちゃん……これからおかーさんと、とってもゆっくりしたあそびをしようね!」
「あしょび!? ゆっくちーっ!」
「『だまりっこ』しようね」
「だみゃりっこ……? なんだかゆっくちできないきがしゅるよ……」
「そんなことないよ! 『だまりっこ』はこえをださないで、ずーっとしずかにしてゆっ
くりするあそびだよ!」
親れいむの言葉に、赤まりさは想像する。
ずっと黙ったまま過ごす。ゆっくりは基本的に、何もしないでのんびりした、ゆっくりし
た状態を好む。
だから、黙ってじっとしている「だまりっこ」は、楽しそうに思えた。
だが、一つ気に掛かったことがある。
「『ゆっくちしちぇいっちぇね!』って、いっちゃいけにゃいにょ?」
ゆっくりにとって、「ゆっくりしていってね」は至上のキーワード。この言葉を発すれば、
どんなゆっくりだってゆっくりできる。
これを言わずにいるのはゆっくりできないことに思えたのだ。
親れいむはそんな赤まりさににっこり微笑んで答えた。
「『だまりっこ』ははるさんまでつづけるんだよ! はるさんがきたら、いりぐりさんが
ぽーかぽかしてくるんだよ! そうしたらいりぐちさんをあけて、『ゆっくりしていって
ね!』っていうんだよ! そうすると、すごくゆっくりできるんだよ!」
赤まりさは想像する。
冬ごもりの終わり、暖かな太陽の下、「ゆっくりしていってね」と叫ぶ。それはなんとゆ
っくりしているのだろう。
赤まりさは春の訪れが楽しみになった。
「ゆっくちーっ! とっちぇもゆっくちできりゅよ! はるしゃん! ゆっくちしにゃい
ではやくきちぇにぇ!」
「じゃあおちびちゃん、『だまりっこ』をはじめるよ! はるさんがくるまでゆっくりし
て、さきにおうちのそとにでて『ゆっくりしていってね!』したほうがかちだよ!」
「ゆっくちりかいしちゃよ!」
そして、親れいむと赤まりさは寄り添い合い、ゆっくりとし始めた。
退屈になったら眠り、目が覚めたらじっとゆっくりする。お腹が空いたら、隣の親れいむ
から「おっぱい」をもらった。赤まりさは冬ごもりの中、とてもゆっくりすることができ
た。
それでも「だまりっこ」難しく、そして面白かった。なにしろ親れいむは「だまりっこ」
の名人なのだ。全然動かず、まるで息もしていないかのようにゆっくりしていた。
冬は寒く、親れいむの身体もだいぶ冷えるようになってきた。そんなとき、赤まりさはす
ーりすりして親れいむをあっためてあげる。親れいむは震えるようにすーりすりを返して
くれた。
でも、だんだん親れいむはあまり動かなくなってきた。
赤まりさは興奮してきた。きっと春が近づくにつれて親れいむは「だまりっこ」をうまく
やるようにしているのだ。そして、春が来たら一気に巣の入り口まで行って、「ゆっくり
していってね!」を言うつもりなのだ。
赤まりさは負けられないと、自分もなるべくじっとして動かないようにした。
話しかけられないのは寂しかったが、「おっぱい」で親れいむが自分を愛してくれている
ことを感じられるから我慢できた。親れいむが「だまりっこ」が上手くなるに従って、
「おっぱい」も甘くなってきた。
そして。
赤まりさは春の到来を感じた。
ぽかぽかした、とてもゆっくりした空気が巣の外から感じられる。
間違いない。ゆっくりの本能が告げている。春がやってきたのだ。
赤まりさは我慢できず、巣の入り口へ跳ねていった。
「ゆっ!」
巣の入り口を破り、外に出る。
暖かな陽の光と柔らかな春の風に迎えられた。
生まれて初めて見る明るい世界。
草花が絢爛と芽吹き、世界が命の輝きを謳歌する春。
赤まりさは、ゆっくりとした春の空気を精一杯吸い込み、
「ゆっくりしていっちぇね!」
喜びの声を巣の中に響かせた。
赤まりさは感動していた。冬ごもりを越え、春を迎えたこと。「だまりっこ」で勝てたこ
と。
そして、親れいむへ自分の最高の「ゆっくりしていってね!」を伝えられたこと。
世界を祝福できると思った。
世界に祝福されていると思った。
最高にゆっくりできていると確信した。
だから、なかなか気がつくことができなかった。
巣の中の親れいむが、とっくの昔に干からび萎み、「永遠にゆっくり」していることに。
親れいむは、冬ごもりに失敗した。
何もかもが間違っていた。
冬ごもりの準備の最中に、親れいむとツガイのまりさはすっきりーしてしまった。若さゆ
えの過ちだった。
そして、まりさはより蓄えの必要となった冬ごもりの準備に奔走した。たくさんの餌を集
めなくてはと夜遅くまで狩りをし、れみりゃに襲われ帰らぬゆっくりとなってしまった。
れいむは身重のまま、一匹で冬ごもりするはめになった。
備蓄の食糧は十分ではなく、尽きたところで赤まりさが生まれた。
もはや絶望的な状況。だが、親れいむの強い母性は赤まりさだけでも生き残らせることを
選んだ。
それが「おっぱい」だ。
赤まりさが口にしていたのは、親れいむの餡子だ。親れいむは自らの身体を傷つけ、漏れ
出る餡子を「おっぱい」と称して赤まりさに与えたのだ。そして「だまりっこ」という遊
びを提案し、無駄な体力の消耗を控えた。
ゆっくりには珍しい知恵は、子を想うれいむの母性の起こした奇跡と言える。
そして、それは幸運にも成功した。
「おかーしゃん……?」
赤まりさの呼びかけは、虚ろだった。
今まで飲んできた、「おっぱい」の味。親れいむの状況。何が起きて、自分が何をしてき
たのか。赤まりさは、わかりかけていた。
教えてくれるものはいない。
真実は、自分でゆっくり理解するしかない。
春が訪れていた。
暖かな春が訪れていた。。
柔らかな陽の光が、無慈悲な程に優しく、暖かく、赤まりさに降りそそいでいた。
了
by触発あき