ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko2852 人間がゆっくりになる話 1
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ankoss
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『人間がゆっくりになる話 1』 9KB
小ネタ 都会 現代 問題があるようなら消します
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ゆっくり出来なさはすごく高いと思うので注意してください
* *
日本の冬らしい、カラッとよく晴れた寒い朝だった。
道端にはまだ半分夢の中にいる可愛らしい白黒の野良猫が丸まっていた。
その反対側の道端には――ゆっくり、まりさがいた。
道端にはまだ半分夢の中にいる可愛らしい白黒の野良猫が丸まっていた。
その反対側の道端には――ゆっくり、まりさがいた。
「ゆーしょ、ゆーしょ、まっててねおちびちゃん!」
どうやら自信満々にゴミ漁りを終えた後のようだ。この近くにはカラス・ゆっくり避けのカバーをかけていないゴミ捨て場があることは俺も知っている。
冬ごもりをしない、というかする所がない野良ゆっくりは一年中動きまわっていなければならない。
それがとても目障りだ。
冬ごもりをしない、というかする所がない野良ゆっくりは一年中動きまわっていなければならない。
それがとても目障りだ。
「ゆげふっ!」
目障りだったので、まりさの横頬に蹴りを入れた。
心は痛まない。だってこいつらは無価値なゴミだから。
生きているだけで罪なのだ。
心は痛まない。だってこいつらは無価値なゴミだから。
生きているだけで罪なのだ。
俺がこんな寒い中どこへ向かおうとしているのかというと、ある一人の男の家だ。
名前はAと言う。
その男は俺と同類だ。
同じ人類という意味でなく、ある物体を同じように感じるという意味だ。
名前はAと言う。
その男は俺と同類だ。
同じ人類という意味でなく、ある物体を同じように感じるという意味だ。
俺もそいつも、ゆっくりをゴミと見る。
だが俺の本心が、完全にゴミと見ているかどうかは定かではない。
なんせ自分から積極的にゴミ拾いをして、動くゴミを動かないゴミに処理して生ゴミの袋に入れてゴミの日に出しているのだから。
酔狂なことこの上ない。
だが俺の本心が、完全にゴミと見ているかどうかは定かではない。
なんせ自分から積極的にゴミ拾いをして、動くゴミを動かないゴミに処理して生ゴミの袋に入れてゴミの日に出しているのだから。
酔狂なことこの上ない。
「おーい、来たぞー」
俺はドアの前で近所迷惑にならない程度の大声でそいつを呼ぶ。
いつもならすぐにどたどたとやかましい足音を近所に響かせた後、まりさかれいむ辺りを小脇に抱え「よう、ささ入れよ」くらいの事を言うのに。
あいつがこんな朝に外出しているというのは考えづらいし。
いつもならすぐにどたどたとやかましい足音を近所に響かせた後、まりさかれいむ辺りを小脇に抱え「よう、ささ入れよ」くらいの事を言うのに。
あいつがこんな朝に外出しているというのは考えづらいし。
「……開いてるのか?」
なんだか心配になった俺はドアを引くと、やはりドアは空いていた。
部屋が荒れた形跡はなく、外と同じか少し暖かい程度の温度で、ストーブや暖房がついている気配さえ無い。
誰かいるのか調べようと中に入ると、奥からAの声が聞こえてきた。
部屋が荒れた形跡はなく、外と同じか少し暖かい程度の温度で、ストーブや暖房がついている気配さえ無い。
誰かいるのか調べようと中に入ると、奥からAの声が聞こえてきた。
「お、おい!お前か!助けてくれ!」
「どうした……今行くぞ!」
「どうした……今行くぞ!」
Aが必死に助けを求める声を聞き、俺は全力で奥へと向かった。
「どこだ!どこにいる!」
「ここだ!ここ!お前の足元だ!」
「ここだ!ここ!お前の足元だ!」
すぐに足元に目をやると――
「助けてくれ」
まりさが一個、上目遣いで佇んでいた。
* *
潰そうとした。
「ちょっと待った!ちょっ、ちょっと待った!」
「理想はこれからだ張った張った」
「諦めた時点でゲームオーバー……じゃねえ!俺だよ!お前の大親友だ!」
「悪いな、俺に大親友は一人しかいねえんだ」
「そのお前のたった一人の友達が俺だっての!」
「てめえゴミ饅頭……なぜ俺に友人がいないことを知ってんだ!」
「だから、俺だよ!Aだよ!昨日の夜、突然こんなクソみてーな姿に変わっちまったんだ!」
「……何だと?」
「理想はこれからだ張った張った」
「諦めた時点でゲームオーバー……じゃねえ!俺だよ!お前の大親友だ!」
「悪いな、俺に大親友は一人しかいねえんだ」
「そのお前のたった一人の友達が俺だっての!」
「てめえゴミ饅頭……なぜ俺に友人がいないことを知ってんだ!」
「だから、俺だよ!Aだよ!昨日の夜、突然こんなクソみてーな姿に変わっちまったんだ!」
「……何だと?」
確かに声はいつものあいつの声だ。
しかし人間がゆっくりに姿を変えるなんて――にわかには信じられない。
しかし人間がゆっくりに姿を変えるなんて――にわかには信じられない。
「俺だって何がなんだかわかんねーんだよ!まだ夢見てるみてーでさ、早く夢が覚めてくれないかなんて思ってて、幻覚とか幻聴とか明晰夢とかいろいろ調べてみたけど、駄目だった。これは最悪最低の、現実だ」
「ほんとにお前……なのか」
「なんとかして俺を俺に戻してくれ」
「ほんとにお前……なのか」
「なんとかして俺を俺に戻してくれ」
こちらを真顔で見つめる顔はゆっくり特有の嘘っぽすぎる嘘は全く含まず、本気の冗談じゃない状態のようだった。
「ところでここにケーキがあるが、欲しいか?」
「やめろ俺は人間だ」
「あまあまさんとか言わないでくれよ、その瞬間蹴り飛ばすから」
「そんな言葉を使うなら死んだほうがマシだ」
「やめろ俺は人間だ」
「あまあまさんとか言わないでくれよ、その瞬間蹴り飛ばすから」
「そんな言葉を使うなら死んだほうがマシだ」
あまあまトラップにも引っかからない、いよいよ自体は深刻なようだ。
正直ただ変な声のゆっくりが俺を愚かにも騙そうとしているのかと少し思っていたが、なんだか違うようで、それが俺の冷や汗を加速させる。
正直ただ変な声のゆっくりが俺を愚かにも騙そうとしているのかと少し思っていたが、なんだか違うようで、それが俺の冷や汗を加速させる。
「ちょっと頼みがあるんだ」
「何だ?」こいつの方から頼みごとをしてきた。
「俺を持ち上げてくれないか?変な言葉を言わないかどうか確かめたいんだ」
「ああ、いいぜ」
「何だ?」こいつの方から頼みごとをしてきた。
「俺を持ち上げてくれないか?変な言葉を言わないかどうか確かめたいんだ」
「ああ、いいぜ」
Aの丸っこくなってしまった身体を持ち上げ、同時に俺も立ち上がる。
「……」
「……」
「大丈夫だ、精神まで変わってはいないようだな」
「あー、良かった……俺の口が勝手に動いたらどうしようかと思ってた」
「この分なら食事時も安心そうだな、朝飯にラー油おにぎり持ってきたが食うか?」
「ああ、食いたいが……大丈夫なのか俺、この身体で食っても」
「……」
「大丈夫だ、精神まで変わってはいないようだな」
「あー、良かった……俺の口が勝手に動いたらどうしようかと思ってた」
「この分なら食事時も安心そうだな、朝飯にラー油おにぎり持ってきたが食うか?」
「ああ、食いたいが……大丈夫なのか俺、この身体で食っても」
不安そうにおにぎりを見つめるAの瞳は不安と哀しみに満ち溢れ、こんなことになってしまった自分の身体を恨んでいるようだった。
カフカの小説で朝起きたらでかい虫になっているというのがあったが、虫とゆっくりどっちがマシだろうか。
虫に変わった少年は最後は孤独になってしまったが、俺はずっと側にいてこいつを助けてやりたい。
人間に戻れるまで。
カフカの小説で朝起きたらでかい虫になっているというのがあったが、虫とゆっくりどっちがマシだろうか。
虫に変わった少年は最後は孤独になってしまったが、俺はずっと側にいてこいつを助けてやりたい。
人間に戻れるまで。
* *
「やっぱりおまえの作ったラー油おにぎりはうまいな。米がしっとりとしていて、それでいてベタつかない。しっとりとした辛さだ。ラー油は桃屋のものを使用したのかな?」
「黙って食え」
「黙って食え」
そろりそろりとラー油を舐めたAは、「あ、いける」と呟いた次の瞬間に飛びついた。
例えではなく、足も手もないので文字通り飛びついた。
ちゃんと口を閉じて食っている。最低限の人間らしさは失っていないようだ。
例えではなく、足も手もないので文字通り飛びついた。
ちゃんと口を閉じて食っている。最低限の人間らしさは失っていないようだ。
「ところで、これからどうするかな……俺だけの力じゃあどうにもできねえぞ」
「だな……医者にでも行ってみるか」
「もちろんゆっくり用の、だろうな」
「しゃーねーな」
「だな……医者にでも行ってみるか」
「もちろんゆっくり用の、だろうな」
「しゃーねーな」
俺のおにぎりで少し元気になったかと思えば、すぐに今の自分を思い出し落ち込んでしまった。
しかし現実は見なければいけない。
目を逸らして忘れているだけでは解決にならない。
地獄が長く続くだけだ。
しかし現実は見なければいけない。
目を逸らして忘れているだけでは解決にならない。
地獄が長く続くだけだ。
「じゃあ、行くか」
「おう」
「おう」
食事を終わらせ覚悟を決めた俺たちはドアを開け、外へと向かった。
そう遠くない場所にゆっくり用の医者がある、そこへ向かおう。
そう遠くない場所にゆっくり用の医者がある、そこへ向かおう。
「お前も場所は知ってたよな……?あれ、どこ行った」
ふと左を見て、次の瞬間思い出した俺は左下を見た。しかしAの姿はどこにもなく、周りを見回してもただただ寒さが身を切るだけだった。
「おい!ここだ、家の中だ!俺今動けねえってこと忘れてんじゃねえ!」
「あ……」
「あ……」
家の中からAの声が聞こえた。そうだ、人間が普通に歩くスピードにゆっくりが追いつけるわけがない。
「気をつけてくれよ、まったく」
「でも、これじゃどうやって連れていこうか」
「……持って行ってくれ」
「なんかのカバンにでも入れるか……」
「でも、これじゃどうやって連れていこうか」
「……持って行ってくれ」
「なんかのカバンにでも入れるか……」
Aは紙袋を集める趣味があるので、とりあえず紙袋が入っている箱から一つを出す。
「おい、それは大事だからやめろ。そっちのどうでもいい無地の白のやつにしろ」
「どれがどれか俺にはわかんねーけどな」
「俺の目にはゆうかりんとれいむくらい違って映るんだよ」
「……そうか、それは違うな」
「どれがどれか俺にはわかんねーけどな」
「俺の目にはゆうかりんとれいむくらい違って映るんだよ」
「……そうか、それは違うな」
その寒天の目にか、と言おうとしたが自分のあまりの無神経さに嫌になった。
軽口を叩ける状況では、どう見てもない。
俺は早く軽口を叩きたいんだ、なんとかしないと。
軽口を叩ける状況では、どう見てもない。
俺は早く軽口を叩きたいんだ、なんとかしないと。
* *
医者に連れていった俺たちは「人間だったんですけどゆっくりになったんです」なんて言える訳もなく、「なんだか調子が悪くて、全身調べてください」と言った。
普通と違う所があるなら、専門家ならどこか分かるはずだと。
しかし、俺たちの期待は外れた。
アテが外れた。
ほぼ唯一といってもいいアテが外れた。
「異常なし」それが医者の答えだった。
普通と違う所があるなら、専門家ならどこか分かるはずだと。
しかし、俺たちの期待は外れた。
アテが外れた。
ほぼ唯一といってもいいアテが外れた。
「異常なし」それが医者の答えだった。
病院から出た俺たちは、ずっと無言だった。
お互い何も言えなかった。
紙袋に作業的にAを入れ、Aの家までずっと下を向いて帰った。
Aが袋の中でどこを見ていたのかなんて、俺にはわからない。
お互い何も言えなかった。
紙袋に作業的にAを入れ、Aの家までずっと下を向いて帰った。
Aが袋の中でどこを見ていたのかなんて、俺にはわからない。
Aの家に入り、テーブルの上にA入りの袋を置いた俺は、Aの近くに居づらく別の部屋のソファーに倒れこんだ。
どうすればいいのかわからない。
どう言えばいいのかわからない。
どうすればいいのかわからない。
どう言えばいいのかわからない。
2時間ほどソファーに転がってもやもやといた俺は、どこからか水音が聞こえることに気づいた。
その音はだんだんと大きくなって行き、すぐに俺にもその音の正体がわかった。
その音はだんだんと大きくなって行き、すぐに俺にもその音の正体がわかった。
「……グッ……ウウッ………」
俺は気づいた。
その音は、Aの泣き声だった。
Aは泣いていた。
Aは、ひとりぼっちで泣いていた。
俺は泣いているAの側にいることすらできなかった。
その音は、Aの泣き声だった。
Aは泣いていた。
Aは、ひとりぼっちで泣いていた。
俺は泣いているAの側にいることすらできなかった。
* *
「おい……おい、ちょっと来てくれ」
「……何だ」
「……何だ」
Aの泣き声がやんでしばらくのことだった。
寝転んでいたとはいえ眠れるはずもなく、俺も俺で苦しんでいた。
Aの苦しみに届くはずもないとは分かりきっている。
だがAに呼ばれたのだ。側にさえ居てやらなかった俺をAは必要としてくれた。
寝転んでいたとはいえ眠れるはずもなく、俺も俺で苦しんでいた。
Aの苦しみに届くはずもないとは分かりきっている。
だがAに呼ばれたのだ。側にさえ居てやらなかった俺をAは必要としてくれた。
「どうした?」
テーブルの上の光景を見た俺は、心底泣きたくなった。
「……ごめん、ごめん……」
「やめろ、泣くな、泣くな……」
「やめろ、泣くな、泣くな……」
そこには放出された餡子、いわゆる「うんうん」がこんもりと存在していた。
泣くなと言った俺と、ひたすら謝っているAは、二人とも泣いていた。
俺は泣きながらAを慰めながら餡子を片付けた。
今度は、慰められた。
しかし、慰めることができたからといって笑顔にさせられるわけではない。
俺はあまりの罪悪感に死んでしまいたくなった。
だが、俺が死んだら誰がこいつを救うのだ。
俺はまだ死ねない。
こいつを救うまで、死んではいけない。
泣くなと言った俺と、ひたすら謝っているAは、二人とも泣いていた。
俺は泣きながらAを慰めながら餡子を片付けた。
今度は、慰められた。
しかし、慰めることができたからといって笑顔にさせられるわけではない。
俺はあまりの罪悪感に死んでしまいたくなった。
だが、俺が死んだら誰がこいつを救うのだ。
俺はまだ死ねない。
こいつを救うまで、死んではいけない。
* *
「まだ、医者はたくさんあるから。俺の父親の知り合いに生物学に詳しい大学教授だっている。気を落とすな」
「……ああ……」
買い物に行き、Aが好きだったものをたくさん買ってきた俺は、テーブルの上にご馳走をたくさん並べて言った。
手がないAでも食べられそうに適度に冷まし、手元の取皿に少しずつ取り分けてやった。
俺が手伝いたくはなかった。
Aが嫌がるだけだと思ったから。
俺はAの顔をなるべく見ないようにしてご馳走を腹に詰め込んだ。
どの食べ物も蛋白な味がした。
「……ああ……」
買い物に行き、Aが好きだったものをたくさん買ってきた俺は、テーブルの上にご馳走をたくさん並べて言った。
手がないAでも食べられそうに適度に冷まし、手元の取皿に少しずつ取り分けてやった。
俺が手伝いたくはなかった。
Aが嫌がるだけだと思ったから。
俺はAの顔をなるべく見ないようにしてご馳走を腹に詰め込んだ。
どの食べ物も蛋白な味がした。
「……なあ」
「何だ」
「何だ」
俺が作業的に食べ物を口に入れていると、Aが突然口を開いた。
「もし俺が元に戻れなかったら、その時は俺を、殺してくれ」
「…………嫌だ」
「なんでだ!」
「…………嫌だ」
「なんでだ!」
Aは俺の言葉に激昂し、叫んだ。
「俺は、こんな姿で生きながらえたくない!死んだほうがマシだ!」
「それでもだ!そんな姿でも、俺はお前とずっと馬鹿やってたい!」
「嫌だ!」
「知るか!どんな姿になろうと、お前がお前である限り、俺はお前と一緒にいたいんだよ!」
「…………そう、か」
「それでもだ!そんな姿でも、俺はお前とずっと馬鹿やってたい!」
「嫌だ!」
「知るか!どんな姿になろうと、お前がお前である限り、俺はお前と一緒にいたいんだよ!」
「…………そう、か」
Aはそれっきり、俺が寝るまで何も言わなかった。
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