ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko3289 その台詞は言わせない8
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ankoss
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『その台詞は言わせない8』 11KB
小ネタ 思いやり 群れ 現代 26作目ましてこんばんは、キャンセルあきです。
小ネタ 思いやり 群れ 現代 26作目ましてこんばんは、キャンセルあきです。
虐めなし、愛で特になし、希少種ちょっとだけあり、胴付きあり
誤字脱字、文法の間違いはなるべく無いように推敲していますが、もし見つかったら
感想スレッドにお願いします。
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タイトルは最後に書いてあります、ご了承下さい。
■1、
黎明、静寂に沈む北向きの斜面は、寒の戻りを受けて霜が降りるほど冷えていた。
人里近い山中のゆっくりぷれいすを、長らく治めてきたぱちゅりーは、斜面の穴を広げて作った
おうちに他のゆっくりが近づく気配を感じて、ゆっくりと目を覚ました。
おうちに他のゆっくりが近づく気配を感じて、ゆっくりと目を覚ました。
入口を塞ぐ結界の前で、声を張り上げるものが居る。
「おお、おさ、おさ。おやすみのところをしつれい。
えーりんせんせいがよんでいます――おお、だいしきゅう、だいしきゅう」
「……むきゅ、ゆっくりりかいしたわ」
えーりんせんせいがよんでいます――おお、だいしきゅう、だいしきゅう」
「……むきゅ、ゆっくりりかいしたわ」
予感のあったぱちゅりーは、狭いおうちの中で立ち上がると、結界を外した入口をくぐって、
群れの伝令役を務めるきめぇ丸を見下ろした。
群れの伝令役を務めるきめぇ丸を見下ろした。
ぱちゅりーは胴付きである。
「れいむでしょう?」
「おお、そのとおり、そのとおり」
「おお、そのとおり、そのとおり」
■2、
先導するきめぇ丸と共に、凍りかかった草を踏みつつゆっくりぷれいすを横断すると、
大木の根に支えられたりっぱな"おうち"にたどりついた。
大木の根に支えられたりっぱな"おうち"にたどりついた。
「ゆ、おさ!」「おさがきたよ」「えーりんせんせいにつたえて」「ゆっくりきてくれたよ!」
餡子が凍るような朝なのに、おうちの前には三十を数えるゆっくりの姿がある。
ゆっくりおじゃまするわ、出迎えた中で一際大きいまりさに断りを入れたぱちゅりーは、
彼女にとって狭すぎる――ゆっくり基準では立派な――おうちにあんよを踏み入れた。
ゆっくりおじゃまするわ、出迎えた中で一際大きいまりさに断りを入れたぱちゅりーは、
彼女にとって狭すぎる――ゆっくり基準では立派な――おうちにあんよを踏み入れた。
大小のゆっくりに囲まれた二体は、群れの"おいしゃさん"であるゆっくりえーりんと、
今はその患者であるゆっくりれいむだ。
今はその患者であるゆっくりれいむだ。
体の所々に青っぽいシミを作ったれいむは、乾きかけた白玉の目にぱちゅりーを映すと、
弱々しくも話しかけた。
弱々しくも話しかけた。
「ゆ……ぱちゅ……りー?」
「来たわよ、れいむ」
「ぱ……ちゅりー、ゆっくり……して、いって……ね?」
「来たわよ、れいむ」
「ぱ……ちゅりー、ゆっくり……して、いって……ね?」
べっどさんに横たわったれいむの傍ら、ゆっくりえーりんに視線を移すと、
えーりんはゆっくり体を左右に振った。
えーりんはゆっくり体を左右に振った。
「"かび"さんが止まらないわ。おそらくお日さまさんがしずむまでには……」
「ゆっくり理解したわ。しばらくれいむに付いていてあげて、えーりん」
「ゆっくり理解したわ。しばらくれいむに付いていてあげて、えーりん」
カビに侵されたれいむは、四度の越冬に成功した古強者で、ぱちゅりーとの付き合いは深い。
他ゆんの前でぱちゅりーを"長"と呼ばないゆっくりは、最早このれいむ位のものだろう。
他ゆんの前でぱちゅりーを"長"と呼ばないゆっくりは、最早このれいむ位のものだろう。
周りに集ったゆっくり達は、古れいむと餡子の繋がったあん類ゆん者で、特にすぐ下の娘達、
古れいむを『母』と呼ぶゆっくりの生き残り達が、不安な表情で集っていたのだった。
古れいむを『母』と呼ぶゆっくりの生き残り達が、不安な表情で集っていたのだった。
「きめぇ丸、まだ明るくなっていないけれど、山のふもとまで走ってもらえるかしら?
ゆっくりしないでゆっくり急いでね?」
「おお、おお……りょうかい、りょうかい」
「ぱちゅは、ちょっとお外に行ってくるわ。集めておかなければならない物があるの」
ゆっくりしないでゆっくり急いでね?」
「おお、おお……りょうかい、りょうかい」
「ぱちゅは、ちょっとお外に行ってくるわ。集めておかなければならない物があるの」
■3、
太陽が山の稜線から顔を出し、樹木の葉に反射した陽光がゆっくりの飾りにも暖かみを与える頃、
斜面の土を踏みしめて、一人のお兄さんが姿を現した。
斜面の土を踏みしめて、一人のお兄さんが姿を現した。
警戒する若いゆっくりに対して、長ぱちゅりーに続いてお兄さんを出迎えるゆっくり達は落ち着いたものだ。
こちらから無礼を働かなければ、ゆっくりのテリトリーで無体をする相手ではないと分かっている。
こちらから無礼を働かなければ、ゆっくりのテリトリーで無体をする相手ではないと分かっている。
「むきゅ、お兄さん。ぱちゅりーはぱちゅりーよ、ゆっくりしていってね」
「お兄さんはお兄さんです。ゆっくりしていって下さいね」
「お兄さんはお兄さんです。ゆっくりしていって下さいね」
ゆっくりプレイスの麓に住まうお兄さんは、ゆっくりにのーびのーびを要求するのが通常の
挨拶だが、膝に手を当てて頭を下げたぱちゅりーや、古参のゆっくり達とは顔見知りである。
挨拶だが、膝に手を当てて頭を下げたぱちゅりーや、古参のゆっくり達とは顔見知りである。
「れいむがそろそろ危ない……と、きめぇ丸から聞いて来ました」
「そう、そのれいむよ」
「そう、そのれいむよ」
野生のゆっくりは、まりさやれいむと言った種族の名前を超える固有名詞を持たず、
会話の中では、僅かなイントネーションの違いで個体をほぼ完璧に識別する。
会話の中では、僅かなイントネーションの違いで個体をほぼ完璧に識別する。
野良ゆは自然と、『傷ゲス』だとか『片目辻斬り』、『二つぺに』等と、著名な野良ゆに
渾名を付けて呼ぶ習性を得てゆくが、それは人間からの冤罪による駆除を避けるために、
個体を人間に識別して貰う必要性に迫られたためである。
渾名を付けて呼ぶ習性を得てゆくが、それは人間からの冤罪による駆除を避けるために、
個体を人間に識別して貰う必要性に迫られたためである。
「昔から、よく間違えて私の畑に迷い込んできていましたね。
おうち宣言を三回はされたので大変でした」
「むきゅ、その度に制裁されて、泣いて帰ってきてたわね」
おうち宣言を三回はされたので大変でした」
「むきゅ、その度に制裁されて、泣いて帰ってきてたわね」
お兄さんは、人間には珍しく、名前の発音やお飾りでゆっくりの個体を認識できるという
特技を持っていた。
特技を持っていた。
「間違えて囓った野菜の分、餡子を貰っただけです」
古れいむが生きて帰ってこれたのは、ひとえに、古れいむが行動範囲の広い活動的な阿呆であり、
お兄さんに対しての悪意を持っているわけではない、と理解されたためだ。
お兄さんに対しての悪意を持っているわけではない、と理解されたためだ。
「時々お兄さんの畑に手伝いに行っているまりさが居るでしょう?
あの子はれいむのおちびちゃんのおちびちゃん――"孫"よ」
「ほう……」
あの子はれいむのおちびちゃんのおちびちゃん――"孫"よ」
「ほう……」
長ぱちゅりーが指さした先には、ちょっとあにゃるが緩めのまりさが、
足跡にうんうんのシミを残しつつお兄さんを見上げていた。
足跡にうんうんのシミを残しつつお兄さんを見上げていた。
「それでれいむの事ですが、えーりんでも手の施しようが無いと言うことは……」
「むきゅ、オレンジジュースさんがあれば充分だとは思うけれど、念のために小麦粉さんもあれば。
お礼は……お兄さん、これぐらいの量でゆっくりできるかしら?」
「むきゅ、オレンジジュースさんがあれば充分だとは思うけれど、念のために小麦粉さんもあれば。
お礼は……お兄さん、これぐらいの量でゆっくりできるかしら?」
ぱちゅりーは、一抱えもある大きなビニール袋の中身をお兄さんに見せた。
春に芽吹いたばかりの、新鮮な山菜の類が丁寧に詰込まれている。
春に芽吹いたばかりの、新鮮な山菜の類が丁寧に詰込まれている。
「二日分のおかずにはなりそうですね。充分ですよ」
お兄さんは、ペットボトルに入った濃縮オレンジジュースと、一つかみ程に小分けされた
小麦粉のビニール袋を見せる。肯くお兄さんの足が、古れいむの家の前にたどり着いた。
小麦粉のビニール袋を見せる。肯くお兄さんの足が、古れいむの家の前にたどり着いた。
■4、
「ゆぅ……おそら……んで……たいだよ」
木の枝と木の葉で編んだふわふわのべっどさんに乗せられたまま、古れいむはぱちゅりーに
抱えられてゆっくりぷれいすの広場に横たえられた。
抱えられてゆっくりぷれいすの広場に横たえられた。
「ゆぅ……ゆぅ……」
吐息とも断末魔ともつかない、弱々しい声を漏らすれいむの周りに、娘のゆっくり達、
長ぱちゅりー、お兄さんと、群れの多くのゆっくり達が輪を作った。
長ぱちゅりー、お兄さんと、群れの多くのゆっくり達が輪を作った。
「カビですね」
「むきゅ……もう、中の餡子さんまでカビさんが入って行こうとしているわ」
「むきゅ……もう、中の餡子さんまでカビさんが入って行こうとしているわ」
餡子にも饅頭皮にも、カビは生える。
だが、健康なゆっくりならば、カビが体内に向って侵し続けるという事は無い。
大体の場合、ゆっくりの餡子と饅頭皮は、ゆっくり自身の吸収力と再生力の影響下で、
カビた部分が皮なら皮ごと代謝されてしまうからだ。
つまり、皮膚にはりついたカビが体内の餡子を侵しつつあるのは、消化と再生が不調を
来しているのであり、カビは原因ではなく結果なのである。
だが、健康なゆっくりならば、カビが体内に向って侵し続けるという事は無い。
大体の場合、ゆっくりの餡子と饅頭皮は、ゆっくり自身の吸収力と再生力の影響下で、
カビた部分が皮なら皮ごと代謝されてしまうからだ。
つまり、皮膚にはりついたカビが体内の餡子を侵しつつあるのは、消化と再生が不調を
来しているのであり、カビは原因ではなく結果なのである。
「こんにちは、れいむ。おにいさんはおにいさんです」
「ゆ……れいむは……ぃむだよ……っていっ……ね」
「ええ、とりあえず、オレンジジュースでゆっくりしていって下さいね」
「ゆ……れいむは……ぃむだよ……っていっ……ね」
「ええ、とりあえず、オレンジジュースでゆっくりしていって下さいね」
ペットボトルのオレンジジュースに、二つまみ程の小麦粉が混ぜられ、即席の賦活剤が
れいむの口に垂らされた。
効果は劇的だった。
皺の寄りかけた目元に張りが生まれ、枯れかけた白玉のお目々が瑞々しく光り、
ゆるんだ唇はきっと引き結ばれて、れいむはゆっくり身を起こした。
れいむの口に垂らされた。
効果は劇的だった。
皺の寄りかけた目元に張りが生まれ、枯れかけた白玉のお目々が瑞々しく光り、
ゆるんだ唇はきっと引き結ばれて、れいむはゆっくり身を起こした。
「ゆゆゆ……ゆっくりー!」
「ゆ、れいむ、体は辛くない?」
「ゆん! れいむはぜんっぜんいたくもかゆくもないよ、ぱちゅりー!」
「ゆ、れいむ、体は辛くない?」
「ゆん! れいむはぜんっぜんいたくもかゆくもないよ、ぱちゅりー!」
普通のゆっくりならば、オレンジジュースを掛けた瞬間からカビの消化吸収、侵された部分の
再生が始まって、すぐに全快するだろうが、れいむのカビは相変わらず、全身の至る所を毒々しく
彩ったままだ。
再生が始まって、すぐに全快するだろうが、れいむのカビは相変わらず、全身の至る所を毒々しく
彩ったままだ。
カビが消えない原因は、体が小さかったり栄養が不足することによって代謝が追いつかないか、
ゆっくりの代謝そのものが一つの限界に近づいているか。
ゆっくりの代謝そのものが一つの限界に近づいているか。
古れいむの場合は、明らかに後者であり――
「でも、ぱちゅりーとは、きょう、ここでおわかれのばいばいだね……」
「むきゅ……そうね。ぱちゅもそう思うわ」
「むきゅ……そうね。ぱちゅもそう思うわ」
――今の活力は、燃え尽き欠けた蝋燭に油を差して、一時燃え上がらせているに過ぎない。
長ぱちゅりーは、古れいむのあん類ゆん者に振り返り、重い口を開いた。
「むきゅ、今なら、ゆっくりお話だけは出来るわ。
悔いの残らないように、ゆっくりいそいで、なるべくお話をしてあげて」
悔いの残らないように、ゆっくりいそいで、なるべくお話をしてあげて」
れいむの復活に大きな希望を見出していたれいむの家族達は、ぱちゅりーの口調にれいむの
最期を感じ取り、深く打ちのめされた顔でれいむの周りに寄っていった。
最期を感じ取り、深く打ちのめされた顔でれいむの周りに寄っていった。
■5、
「おかあしゃああああん! まりさは、ちゃんとひとりでかりもいけるのぜ!
とかいはなありすをおよめさんにしたのぜ! もう、めいわくもかけないのぜぇ!」
「ゆふふん、おちびちゃんのまりさは、いつまでたってもなきむしさんだね。
ありす、れいむのおちびちゃんを、これからもよろしくね」
「ゆっくりりかいしたわ!」
とかいはなありすをおよめさんにしたのぜ! もう、めいわくもかけないのぜぇ!」
「ゆふふん、おちびちゃんのまりさは、いつまでたってもなきむしさんだね。
ありす、れいむのおちびちゃんを、これからもよろしくね」
「ゆっくりりかいしたわ!」
苦労して独り立ちさせたまりさが、つがいのありすと一緒に挨拶に訪れる。
「けんじゃなぱりゅりーは、おかあさんのまえでも……グス……ないたりしないわ!」
「わ……わきゃ……わきゃ……わきゃるよおおぉぉぉぉ!」
「ぱちゅりー、けんじゃだって、つらいときはないてもいいんだよ。
ちぇんは、ようやくわかるようになったんだね、れいむうれしいよ」
「わ……わきゃ……わきゃ……わきゃるよおおぉぉぉぉ!」
「ぱちゅりー、けんじゃだって、つらいときはないてもいいんだよ。
ちぇんは、ようやくわかるようになったんだね、れいむうれしいよ」
訪れる娘の種類が豊富なのは、れいむが送った、長く波乱なゆん生の証拠だ。
「おかあさん……さなえは……」
「ゆ~ん、さなえがうまれたときは、まりさといっしょにびっくりしちゃったけれど、
さなえはいまでも、れいむのおちびちゃんだよ」
「ゆ~ん、さなえがうまれたときは、まりさといっしょにびっくりしちゃったけれど、
さなえはいまでも、れいむのおちびちゃんだよ」
チェンジリングで生まれたさなえは、今、隣の群れのすわこに嫁いでいて、
母危篤の知らせを聞いて、うーぱっくで飛んできたのだった。
母危篤の知らせを聞いて、うーぱっくで飛んできたのだった。
偉大なる古強者れいむと、末期の挨拶を交わす群れのゆっくり達、その数は非常に多く、
一番新しい世代のおちびちゃんに限って言えば、れいむと餡子が繋がって居ないゆっくりは
殆ど居ないだろう。
一番新しい世代のおちびちゃんに限って言えば、れいむと餡子が繋がって居ないゆっくりは
殆ど居ないだろう。
「すぐ下の娘は……少ないのですね」
ゆっくりの集まりから、少し離れた一角にお兄さんとぱちゅりーは腰を下ろしていた。
「むきゅ、れいむも大分おばあちゃんだもの……おちびちゃんにも、沢山先立たれたのよ」
「まだ死なないでくれ、とお願いする家族が居ないのは不思議です」
「……みんな分かっているのよ、ゆん生は長くなれば成る程つらいものだって。
つらいゆん生をがまんして生きていけば、最期に大好きなおちびちゃんたちとお話しできる、
それぐらいのきぼう――希望って書くのね――希望が無ければ、生きていくこともできないくらいよ。
……れいむは充分に生きたと思うわ」
「まだ死なないでくれ、とお願いする家族が居ないのは不思議です」
「……みんな分かっているのよ、ゆん生は長くなれば成る程つらいものだって。
つらいゆん生をがまんして生きていけば、最期に大好きなおちびちゃんたちとお話しできる、
それぐらいのきぼう――希望って書くのね――希望が無ければ、生きていくこともできないくらいよ。
……れいむは充分に生きたと思うわ」
口を閉ざしたぱちゅりーは、その古れいむよりも遥かに長いゆん生を送っている。
お兄さんが小学生になる前から、この胴付きぱちゅりーは山に居て、記憶する限りでは二回、
所属する群れの崩壊を見送っている。
お兄さんが小学生になる前から、この胴付きぱちゅりーは山に居て、記憶する限りでは二回、
所属する群れの崩壊を見送っている。
街に出れば飼いゆの地位も金バッジも容易く手にすることが出来る――ひょっとすれば、
都市伝説クラスのプラチナバッジに手が届くかも知れない――胴付きぱちゅりーにとって、
野生で暮らし続けた十数年のゆん生はどう映っているのだろうか。
都市伝説クラスのプラチナバッジに手が届くかも知れない――胴付きぱちゅりーにとって、
野生で暮らし続けた十数年のゆん生はどう映っているのだろうか。
「お……おさああああ! おかあしゃんがああああ!」
お兄さんの考えを、成体れいむの悲鳴が中断させた。悲鳴の理由は明らかだ。
「ゆっ…………ゆっ…………」
断続的な痙攣に見舞われる古れいむに、ぱちゅりーが近づき、素手でカビを恐れもせずに、
青や緑に染まった饅頭肌を優しく撫でた。お兄さんが、大きく息を付いて落ち着くれいむの口に、
小麦粉を増量したオレンジジュースを垂らす。
青や緑に染まった饅頭肌を優しく撫でた。お兄さんが、大きく息を付いて落ち着くれいむの口に、
小麦粉を増量したオレンジジュースを垂らす。
「ゆぅ……おにいさん、もう……いいよ。
おにいさんの……はたけに、かってに……むーしゃむーしゃ……ごめんね?」
「ええ、分かっていますよ」
おにいさんの……はたけに、かってに……むーしゃむーしゃ……ごめんね?」
「ええ、分かっていますよ」
呼吸は落ち着いたが、れいむの顔色は変わらなかった。
オレンジジュースと小麦粉の魔力も、れいむの寿命には打ち勝てないのだ。
オレンジジュースと小麦粉の魔力も、れいむの寿命には打ち勝てないのだ。
優しく、母の様に、ぱちゅりーがれいむを抱え上げてあぐらをかいた膝の上に乗せる。
木漏れ日が、高い角度かられいむの周りだけを照らし出す。暖かな陽の光を浴びて
笑顔をほころばせたれいむに、ぱちゅりーはそっと口を開いた。
木漏れ日が、高い角度かられいむの周りだけを照らし出す。暖かな陽の光を浴びて
笑顔をほころばせたれいむに、ぱちゅりーはそっと口を開いた。
「むきゅ……れいむ、もっとゆっくりしたかった?」
「ううん、ぱちゅりー。れいむは、じゅうぶんにゆっくり……できた……よ」
れいむが最期に大きく吐きだした息が、森を抜ける暖かい春風に溶け込んでいった後、
ぱちゅりーに抱かれた古れいむは、物言わぬ饅頭に還っていた。
ぱちゅりーに抱かれた古れいむは、物言わぬ饅頭に還っていた。
ゆっくりが、不思議が終わったのだ。
同時に、お兄さんの仕事も終わる。
同時に、お兄さんの仕事も終わる。
動く饅頭の最期の鳴き声を、オレンジジュースと小麦粉の混ぜ物で少しばかり穏やかな物にする。
それだけだ。
それだけだ。
長ぱちゅりーと肯き合い、感情を抑えきれずに泣き叫ぶゆっくり達の声を背に立ち上がった時、
お兄さんは自分の手を見て驚きを禁じ得なかった。
お兄さんは自分の手を見て驚きを禁じ得なかった。
手の平同士を合わせて。終わった命を悼むように。
お兄さんの手は、祈りを形作っていた。
お兄さんの手は、祈りを形作っていた。
『その台詞は言わせない8 ~もっとゆっくりしたかった 編~』
キャンセルあき
キャンセルあき
終わり。
キャンセルあきの過去作品はwikiに収録されています
http://www26.atwiki.jp/ankoss/pages/869.html
http://www26.atwiki.jp/ankoss/pages/869.html